JIS X 25020:2021 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)―品質測定の枠組み | ページ 3

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X 25020 : 2021 (ISO/IEC 25020 : 2019)
ついてはJIS X 25030を,ソフトウェア製品評価のためにソフトウェアQMを使用するための手引につい
てはJIS X 25040を参照する。

6.2 異なる種類のQM及び各種QM間の関係

  SQuaREシリーズには,次の四つの品質モデルがある。
a) JIS X 25010の利用時品質モデル : ソフトウェア製品,システム及びITサービスに適用可能なモデル
b) JIS X 25010の製品品質モデル : システム及びソフトウェア製品に適用可能なモデル
c) JIS X 25012のデータ品質モデル : コンピュータシステム内のデータに適用可能で,人間及びシステム
が利用可能なモデル
d) ISO/IEC TS 25011で定義されたITサービス品質モデル : 個々の利用者又はビジネスのニーズを支援
するITサービスに適用可能なモデル
これらのモデルは,品質特性及び品質副特性,並びにそれらの定義の集合を提供する。SQuaREシリー
ズにある,異なる種類の品質モデルに対する各種のQM間の関係を図3に示す。
開発及び保守プロセス
プロセス品質測定量 プロセス品質
依存する 影響する
システム,ソフトウェア製品,データ及びITサービス システム,ソフトウェア製品,
システム及び システム及び データ及びITサービスの影響
ソフトウェア製品の ソフトウェア製品の
内部特徴QM 外部特徴QM
利用状況
ITサービス品質
のQM
システム及び
ソフトウェア 影響する 影響する
システム及び ITサービスの
製品の品質 ソフトウェア製品
利用時品質
ITサービス の利用時品質
依存する
依存する
依存する
影響する 品質
データ品質
利用時品質のQM
データ品質のQM データ品質のQM
(固有) (システム依存)
図3−異なる種類のQM間の関係
組織レベルの運用概念の分析によって,品質要求事項が利用者ニーズから導出されるときに,特定の利
用状況における利害関係者の要求事項を明記するために,利用時品質のQMを定義又は選択する。利用時
品質のQMとは,利用者とシステムとのインタラクション(相互作用)の成果,及び直接利用者だけでな
く間接利用者も含めた利害関係者への影響の成果(効果)を定量化することで,製品が特定の個人的又は

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ビジネス上の目標に関して,特定の利用者ニーズを満たしているかを測定することである。これらの測定
量は,現実的で運用可能なシステム環境だけで準備することが可能である。
製品の外部特徴QM及び内部特徴QMは,それぞれ利用者(テストを実施する技術者を含む。)及び開
発者のためのものである。品質特性及び品質副特性のレベルでは,外部及び内部の区別はない。しかし,
利用者がソフトウェア製品のライフサイクルの目的及び段階に応じてQMを適用する場合,選択するQME
及びQMは,利用者又は開発者のいずれかに関連性があり,適したものにすることが望ましい。外部特徴
QMは,システムの振る舞いに基づいてシステム及びソフトウェア製品の品質を測定するために使用する。
外部特徴QMは,製品のライフサイクルのテスト及び運用段階で使用する。内部特徴QMは,利用者が中
間納入物又は作業成果物の品質を測定することを可能にする。さらに,これらの測定量は,最終的なシス
テム及びソフトウェア製品の品質を予測するために,分析モデルとともに使用することが可能である。こ
れによって,利用者はシステム及びソフトウェア製品の品質上の課題を検出し,開発ライフサイクルの初
期段階で是正処置及び予防処置を行うことが可能である。
データ品質測定量は,利用時品質並びにシステム及びソフトウェア製品の品質に対する,品質要求事項
及び測定量から変換することが可能である。また,対象とするデータ品質要求事項を表すこれらのデータ
品質測定量は,システム及びソフトウェア製品のデータ品質を評価し,設計,実装,テスト又は利用のフ
ェーズで,段階的に,データ及び製品の検証,妥当性確認及び改善を行うために使用する。データ品質の
QMは,データ及びデータベースに関連する潜在的な品質問題を検出するために,システム及びソフトウ
ェア製品のデータを“固有”及び“システム依存”の二つの観点から測定することである。これらのQM
は,開発,テスト及び運用の段階で適用可能である。データ品質は,特に,有効性,有用性及びリスク管
理に対して,利用時品質に大きな影響を与える。
ITサービス品質のQMは,明記された条件下で利用したときに,ITサービスの特徴がITサービスの明
示的ニーズ及び暗黙のニーズを満たすことが可能な度合いを定量化する。ITサービスには,ITサービス自
身の提供システムがある。通常,ITサービス品質のQMは,システムとサービスの受け手との間のインタ
ラクションを測定する。
プロセス品質(JIS X 0160で定義されているライフサイクルプロセスの品質)は,システム及びソフト
ウェア製品の品質,データ品質,並びにITサービス品質の向上に寄与する。ソフトウェア製品が利用者の
品質ニーズを満たすことが可能かどうかの評価は,ソフトウェア開発ライフサイクルの中のプロセスの一
つである。異なる状況で,ソフトウェア製品,ITサービス及びデータは,利用時品質に影響を与える。そ
のため,プロセスの総合評価及び改善は,システム及びソフトウェア製品の品質を改善する一つの手段で
あり,システム及びソフトウェア製品の品質の評価及び改善は,利用時品質を改善する一つの手段である。
同様に,利用時品質の評価は,ソフトウェア製品を改善するためのフィードバックを提供することが可能
であり,ソフトウェア製品の評価は,プロセスを改善するためのフィードバックを提供することが可能で
ある。システム及びソフトウェア製品の品質は,内部特徴QM及び外部特徴QMを用いて評価することが
可能である。システム及びソフトウェア製品の品質は,ITサービス品質及びデータ品質に影響を与える。
ITサービス品質は,ITサービス品質の測定量を使って評価することが可能である。ITサービス品質は,
システム及びソフトウェア製品の品質並びにデータ品質に依存する。特定の利用状況(システム,ソフト
ウェア製品及びITサービスを実際に利用する場合又はシミュレートする場合)において,ITサービスの
利用時品質はシステム及びソフトウェア製品の利用時品質に依存する。
図4は,システム及びソフトウェア製品·データ·ITサービスについて開発·運用·保守を包含するラ
イフサイクルを通して,次の二つのために使用することが可能である,調整されたQMの集合としての品
質ライフサイクルを示している。

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− 品質要求事項を詳細に明記するため
− 検証·妥当性確認のために要求された品質の達成度を測定することによって品質を評価するため
利用者及び/又は利害関係者の観点から,品質ライフサイクルは,利用者層,実行層及び実装層の三つ
の層で構成される。品質要求事項及び対象実体は,三つの異なる各層で相互に妥当性確認及び/又は検証
を行う。システム,ソフトウェア製品,データ及びITサービスを含む,様々な対象実体に対して,利用者
及び/又は利害関係者の品質ニーズを引き出し,利用時品質要求事項に変換することが可能で,次に,外
部特徴(すなわち,振る舞い)を用いて品質要求事項に変換し,そして内部特徴(すなわち,静的属性)
を用いて品質要求事項に変換することが可能である。同様に,対象実体は要求事項から実装することが可
能である。品質ライフサイクルの実行及び繰り返しは,品質の向上及び改善につながる。
QMは,利用時品質のQM,外部特徴QM及び内部特徴QMを含む。利用状況における利害関係者の影
響及び作用は,利用時品質のQMによって測定することが可能である。外部特徴QMは,振る舞いの属性
の測定量である。内部特徴QMは,ソフトウェア及び/又はシステムの技術的·構造的な属性を測定する
ために使用する。対象実体の品質特徴には,外部品質特徴及び内部品質特徴を含む。内部品質特徴は,ソ
フトウェア及び/又はシステムが実行状態にあるとき,外部品質特徴に影響を与え,一方,特定の利用状
況におけるソフトウェア及び/又はシステムの成果又は結果は,外部品質特徴の影響を受ける。
注a) 測定量は,測定関数を適用して構成する。
図4−品質ライフサイクルにおけるQM
利用時品質要求事項は,有効性,効率性,満足性,リスク回避性及び利用状況網羅性を考慮して,シス

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X 25020 : 2021 (ISO/IEC 25020 : 2019)
テム及び/又はソフトウェア製品の期待される成果又は結果(例えば,利用者が特定の意図したタスクを
完了するために費した時間)に基づく。外部特徴を用いる品質要求事項(例えば,スループット,応答時
間など)は,利用時品質要求事項から導出することが可能である。外部特徴を用いる品質要求事項は,対
象実体を評価するときに使用する外部特徴QMを用いて,品質要求事項の仕様書に定量的に記述すること
が望ましい。内部特徴を用いる品質要求事項(例えば,プログラム構造の複雑さなど)は,外部特徴を用
いる品質要求事項から導出することが可能である。内部特徴を用いる品質要求事項は,技術的又は構造的
な特徴を反映する。内部特徴を用いる品質要求事項は,文書及びマニュアルのような,納入物で実行不可
能なソフトウェア製品の特徴を明記するために使用してもよい。内部特徴を用いる品質要求事項は,検証
のための対象実体として使用することも可能であり,開発の様々な段階で検証の基準を定義するために使
用することも可能である。
品質ライフサイクル全体を通して,検証及び妥当性確認のために,要求される品質の達成度の測定を,
異なる層で行うことが可能である。利用者層では,利用時品質要求事項と品質影響との間の妥当性確認に
おいて,利用状況が重要な役割を果たす。実行層では,外部特徴を用いる品質要求事項は外部特徴の品質
に基づいて妥当性確認及び検証を行い,その逆に,外部特徴を用いる品質要求事項に基づいて外部特徴の
品質を妥当性確認及び検証する。実装層では,内部特徴を用いる品質要求事項は内部特徴の品質に基づい
て検証し,その逆に,内部特徴を用いる品質要求事項に基づいて内部特徴の品質を検証する。
注記 利用時品質のQMは,利害関係者への影響効果によって説明する品質を示す。外部特徴QMは,
プロトタイプを作成して行うテスト中,製品テスト中,及び実利用中に,対象実体の振る舞いに
よって説明する品質を示す。内部特徴QMは,仕様書及び/又はソースコードのレビューの結果
として説明する品質を示す。

6.3 QMの選択

  開発者,取得者,管理者,直接及び間接利用者,並びに他の利害関係者がもつ,情報に対するニーズを
満たすために,QMを明記する。潜在的に品質要求事項を満たす可能性のあるQM候補は,JIS X 25022,
JIS X 25023,JIS X 25024などの,SQuaREシリーズの品質測定部門の特定のQMを規定する規格から識別
することが望ましい。また,該当する場合には,QM候補を更に詳細化することが可能である。QMを選
択した理由を(QMで用いる測定量の組合せの採用理由を含めて)示す基準を,少なくとも一つ記述しな
ければならない。指標として機能する,又は特定の品質要求事項に対応する,追加のQMを構築するため
に,基本測定量及び導出測定量の多くの異なる組合せを選択してもよい。選択肢の中からQMを選択する
ときに,次の要因を考慮する。要因とは,優先順位付けした情報ニーズとの関連性,組織単位でのデータ
収集の実現可能性,データ収集及び管理のための人的資源の利用可能性,並びにデータ収集の容易性であ
る。品質要求事項を定義するためにQMを使用する場合,前記の品質要求事項の重要性又は品質要求事項
の不十分さのリスクは,QMを選択するための基準の一つと考えることが可能である。品質を評価するた
めにQMを使用する場合,適用可能な厳密性及びタイミングを基準として考えることが可能である。
選択した測定量は,人の振る舞いに影響を及ぼすことがある。多くの場合,“システムの抜け道を見つけ
よう”とする個人の振る舞いは,測定システムが機能しない結果につながる可能性がある。測定の利用者
は,このような課題を予測することが望ましく,教育訓練,指導及び追加の戦略的な統制を含め,リスク
を軽減するための行動をとることが望ましい。
それらの情報ニーズを果たすためにQMを選択する基準を文書化しなければならない。
QMを選択する基準の例を附属書Aに示す。
注記 JIS X 25030及びJIS X 25040は,それぞれ品質要求仕様書及び製品の品質評価に関する手引を規

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X 25020 : 2021 (ISO/IEC 25020 : 2019)
定している。
JIS X 25022,JIS X 25023又はJIS X 25024のような全ての特定の品質測定規格で識別されていない,修
正した測定量又は新しい測定量を使用する場合,測定量の利用者は,測定量が対応する品質モデルにどの
ように関係するか,及び測定量をQMEからどのように構成するかを明記しなければならない。
QMを文書化する方法の例を附属書Cに示す。
注記 JIS X 25010は,システム及びソフトウェア製品の品質モデルの定義及び利用に関する手引を規定
している。

6.4 QMの構築

6.4.1 必要なQMの識別
システムの品質は,システムが様々な利害関係者の明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満たし,価値を提
供する度合いである。SQuaREシリーズ規格では,これらの明示的ニーズ及び暗黙のニーズを,品質を品
質特性に分類する品質モデルによって表現しており,さらに品質特性を品質副特性に分けている特性もあ
る。これらのモデルの品質特性の全部の集合が,全ての利害関係者に関係するわけではない。それにもか
かわらず,使用する品質特性の集合を確定する前に,(例えば,ソフトウェア製品及びシステムの性能の要
求事項又は評価基準を確立するために),各品質モデルにおける品質特性の関連性を検討して考慮すると
きに,利害関係者の各分類を説明しなければならない。
適用可能なQMは,JIS X 25022,JIS X 25023及びJIS X 25024に一覧表示されているQMに限定され
ない。必要に応じて,利用者の追加の品質要求事項を満たすために,新しいQMを構築して特定の品質特
性又は品質副特性のQMの集合に含めてもよい。新しいQMは,6.4.2に従って記述し,測定関数を用いて
適切な品質測定量要素を選択及び結合することが望ましい(附属書D参照)。
修正したISO/IEC 2502nのQMを含め,新しいQMの定義を文書化しなければならない。
QMの定義は,附属書Cに示す様式の例に含まれる情報を含めることが望ましい。
注記1 推奨する利用時品質のQMの集合は,その定義とともにJIS X 25022に示されている。
注記2 推奨するシステム及びソフトウェア製品のQMの集合は,その定義とともにJIS X 25023に示
されている。
注記3 推奨するデータ品質のQMの集合は,その定義とともにJIS X 25024に示されている。
6.4.2 QMの記述
利用者が,システム,ソフトウェア製品,データ及びITサービスの測定を遂行するとき,次の情報は,
各QMの定義を文書化するために重要である。より利用しやすくするためにQMを記述するとき,利用者
は追加の詳細情報を文書化することが望ましい。このようなQMの詳細情報を附属書Cに示す。
a) ID : QMの識別コード。各IDは,次の三つの部分で構成する。
− 品質特性及び場合によっては品質副特性を表す,アルファベットの略号(例えば,“PTb”は,“性
能効率性”を測定する“時間効率性”の測定量を示し,“Acc”は,正確性の測定量を示す。)
− 品質副特性内の連番
− 利用法タグ
− G : 一般的に適用可能であり,広範囲の状況で利用可能である。

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JIS X 25020:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 25020:2019(IDT)

JIS X 25020:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 25020:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称