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附属書A(参考) 規格化のねらい及び応用分野
この附属書(参考)は,規格化のねらい及び応用分野について記述するものであり,規定の一部ではな
い。
規格化のねらい 設計,プリプレス,印刷,印刷物加工などで使う材料及びデータ,機械及びオペレー
タへの作業指示など,印刷関連の生産工程では,様々な種類の制御パラメタが存在し,制御パラメタ間を
関連付ける必要がある。生産工程の中で,これらの制御パラメタを正確に記述でき,自由に交換できれば,
効率的かつ知的な生産工程を構築できる。
制御パラメタを正確に記述するためには,最適化された構造モデルが必要である。この構造モデルは,
全工程を網羅し,あらかじめ関連性が明示された制御パラメタ群から構成される。この構造モデルを
AMPAC(Architecture Model and PArameter Codingの略称)データベースと呼ぶ。この規格は,印刷関連の
生産工程で利用する符号化された制御パラメタを定義する。すべての制御パラメタは,標準の構造モデル
に基づく分類に従って,符号化された同一の構造をもつ。また,制御パラメタの符号化のほかに,この規
格は,制御パラメタ間の関連付け及び制御パラメタ値の算出方法を包含する。
印刷物生産に関係するすべての顧客,印刷業者及び販売業者は,この規格が定義する制御パラメタを設
計から印刷物加工までの生産工程に利用すれば,相互の情報交換の利便性が向上する。また,個々の工程
段階,個々の機器,機器間,材料,中間製品,作業及び管理情報で発生する誤り,誤解及び冗長性を排除
できる。これらの結果,印刷生産に関連する全工程の効率は,最大レベルに到達する。
この規格が定義するAMPACデータベースは,唯一性のあるコード番号(英文字)及び書式をもってい
るので,分散する計算機の独立したファイルとして生成できる。これは,別会社間又は異国間において,
開放型(誰でも使用できる)生産システムの構築を可能にする。一つの例として,世界的に広がった様々
な作業現場から,インターネット技術を使ったAMPACデータベースのアクセスが挙げられる。開放型シ
ステムを構築する際に,このデータベースは,二種類の情報公開手段をとることができる(附属書A図1
参照)。一つは,知識データベースとして制御パラメタの情報を世界のあらゆる顧客,印刷業者及び販売業
者に公開する手段である。他の一つは,限定された利用者だけがアクセスできるように,情報を制限する
手段である。
この規格は,仕様,評価,工程制御,環境及び材料に関する情報を統合して管理する。そして,印刷関
連の各工程の制御に利用できるので,ワークフロー管理システム,デジタルネットワーク生産システム
(DNPS) など,別の規格の確立に寄与できる。さらに,高度な知的データベースへ拡張できる発展性をも
っているので,巨大な開放型システムを構築しているCALS (Commerce at Light Speed) 又はIMS (Intelligent
Manufacturing System) と結び付き,これらの中で利用できる(附属書A図2参照)。
――――― [JIS X 9206-1 pdf 11] ―――――
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附属書A図1 AMPACデータベースにおける二種類の通信手段
附属書A図2 印刷関連産業を例としたAMPACデータベースの構想
応用分野 この規格は,唯一性のある制御パラメタを提供するので,異分野,異業種又は異国の間にお
ける制御パラメタの不整合又は誤解に起因する問題を解決する。この規格を用いることによって,顧客,
設計者,材料供給者,プリントショップ,製版操作員,印刷・印刷物加工機の操作員,機械製造業者,機
械保守業者などを含めた各産業分野で,個々のデータベースを構築できる。そのデータベースは,交換可
能なデータ記述書式をもち,インターネットのような統一された情報伝達システムを介した情報交換を実
――――― [JIS X 9206-1 pdf 12] ―――――
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現する。これは,生産設備又はシステムを他のものと接続したり,異分野間の協力の下で,加工作業又は
材料特性の利用方法に関する知識を交換したり,蓄積したりすることを容易にする。
このように,各産業分野でこの規格に基づいたシステムを構築すれば,広範囲の応用展開を見いだせる。
次にこれらの例を示す。
a) 材料特性及び機械仕様の制御パラメタ記述 AMPACデータベースは,印刷関連の生産工程で用いる
あらゆる材料の特性を制御パラメタで記述する。ISO 12647-1で規定された紙は,坪量 (115.0g/m2),
ISO白色度 (85.0%),鏡面光沢度 (65.0) 及び色 (L*a*b* : 93.5, 0.0, -3.0) からなる。この紙を特定する
制御パラメタの値は,附属書D(参考)のD-1に示すように表現できる。また,インキ,フィルム,
ブランケット,湿し水などの他の材料も,同様に表現できる[附属書D(参考)のD-2参照]。さら
に,印刷機,入力スキャナなど,あらゆる機械の仕様も,制御パラメタの組合せで記述できる[附属
書D(参考)のD-4参照]。
b) 制御パラメタの障壁のない伝達 AMPACデータベースの制御パラメタは,生産工程の至る所で利用
できるように,工程間の障壁を越えて伝達できる。例えば,AMPACデータベースの制御パラメタで
記述された印刷機の仕様及びタイムスケジュールの値は,設計者のワークステーションから参照され,
設計者は,最適な印刷機を選択できるようになる。この設計者の作業は,将来,ワークフロー管理シ
ステムで自動化される可能性が高い。このような障壁のないデータ伝達は,ワークフロー管理システ
ムにとっての基本的な要求事項である。
c) 関連パラメタによる制御パラメタの検索 AMPACデータベースは,制御パラメタに従属する変数と
して,関連パラメタを定義している。これは,関連パラメタの値が変わった際に,影響を受ける制御
パラメタを検索できることを意味する。例えば,操作中に温度が変わった場合,温度を含む関連パラ
メタを検索すれば,温度が影響する制御パラメタを抽出できる。印刷用紙が変わった場合も,同様に
抽出できる。JIS B 9620-2が規定するトーンバリューインクリースの例を附属書D(参考)のD-3に
示す。
d) 印刷工程シミュレーションシステムの構築 AMPACデータベースは,印刷システムを構成する制御
パラメタをすべてもっている。これによって,異分野の技術者の協力の下で,仮想的な生産システム
を容易に構築できる。この仮想生産システムは,印刷関連の生産工程のシミュレーションを通して,
作業及び材料の設計に利用できる。さらに,このシミュレータを印刷初心者の教育にも利用できる。
e) 故障原因の究明 AMPACデータベースでは,制御パラメタ間の関連を記述しているので,故障原因
を究明する制御パラメタで,個々の故障を表現できる。これは,制御パラメタ間の関連記述を検索す
れば,AMPACデータベースが故障の解決を支援できることを意味する。個々の故障は,AMPACデー
タベースのコード番号で同一に表現できるので,故障に関する知識を国際規模にわたって,同じ方法
で容易に蓄積及び共有できる。
f) 機械及び機器の互換性及び保守 AMPACデータベースは,機械及び機器を制御するソフトウェア群
を用意することによって,機械及び機器間の互換性を保証する。なぜならば,AMPACデータベース
は,すべての機械及び機器で,制御パラメタを同一に記述するからである。これは,通信による機械
及び機器の遠隔保守を容易にする。
――――― [JIS X 9206-1 pdf 13] ―――――
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附属書B(参考) AMPAC共通辞書の例
この附属書(参考)は,AMPAC共通辞書による制御パラメタ値の定義例を記述するものであり,規定
の一部ではない。
データベースの符号化規約は,数値で指定できない特殊な制御パラメタ(単語)を定義する辞書を提供
する。parameter nameが “0.0.0.0” のコード番号をもつ制御パラメタは,それに続くreferenceを辞書の検
索語として,二つ下の階層に制御パラメタの値を特定する辞書をもつ。これは,コード番号 “0.0.0.0” を
もつ第4階層の制御パラメタが,第6階層の中から値を選ぶことを意味する。
次の簡単な例は,コード番号 “0.0.0.0” をもつ制御パラメタ及び検索語 “type of stitch” が,製本におけ
るステッチ(とじ)の種類を定義している。sewing(かがりとじ),saddlestitch(中とじ),sidestitch(平
とじ),perfectbinding(無線とじ),Ajirobinding(あじろとじ)の五種類のステッチ方法が表されている。
AMPAC Ver.01.00;ISO/IEC 646IRV
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designbookbinding;0.0.0.0:$typeofstitch:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
5;sewing, saddlestitch, sidestitch, perfectbinding, Ajirobinding
End of data
さらに,設計工程において作業の指示に使用される共通辞書の例を,附属書B表1に示す。
附属書B表1 設計工程における制御パラメタの共通辞書
第4階層 (REFERENCE) 第6階層
finalproducts(最終製品) newspaper(新聞),magazine(雑誌),book(書籍),textbook(教科書),
catalog(カタログ),pamphlet(パンフレット),poster(ポスター),leaflet
(チラシ),map(地図),businessform(ビジネスフォーム),bond(証券),
bag(袋),carton(紙容器),flexiblepackaging(軟包装),
interierdecorativesheet(建材)
typeofmanuscript(テキスト原稿種別) text(テキスト),heading(ヘッダ),caption(説明文)
typeofgeometricobject(図形種別) triangle(三角形),square(四角形),round(円形),ellipsoid(だ円形)
typeoffolding(折り種類) rightangle(直回し折り),letterfold(巻折り),parallelfold(平行折り),
accordionfold(経本折り),gatefold(観音折り)
typeofcoverfeature(表紙形態の種類) glue-oncover(くるみ表紙),two-piececover(ツーピース表紙),
three-piececover(スリーピース表紙),cutflashcover(切りつけ表紙),
creasingcover(筋付け表紙)
typeofcoverpaper(表紙の種類) stiffcover(厚表紙),flexiblecover(薄表紙)
typeofback(背の種類) roundback(丸背),squareback(角背),hollowback(フォローバック),
tightback(タイトバック)
typeofcase(函の種類) slipcase(外函),foldingcase(帙 : ちつ)
typeoffeature(形態種別) casebound(函付き),non-casebound(函無し)
typeofbound(表紙形態) fullbound(まる表紙),guarterbound(継ぎ表紙),halfbound (=cornercover)
(角革表紙)
これらをデータベースの符号化規約に従って記述すると,次のようになる。
AMPAC Ver.01.00;ISO/IEC 646IRV
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designoutlineofproducts;0.0.0.0:$finalproducts:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
15;newspaper,magazine,book,textbook,catalog,pamphlet,poster,leaflet,map,
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businessform,bond,bag,carton,flexiblepackaging,interierdecorativesheet
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designobjectmanuscript;0.0.0.0:$typeofmanuscript:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
3;text,heading,caption
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designobjectvector;0.0.0.0:$typeofgeometricobject:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;
0;4;triangle,square,round,ellipsoid
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designbookbinding;0.0.0.0:$typeoffolding:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
5;rightangle, etterfold,parallelfold, accordionfold,gatefold
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designbookbinding;0.0.0.0:$typeofcoverfeature:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
5;glue-oncover, wo-piececover,three-piececover,cutflashcover,creasingcover
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designbookbinding;0.0.0.0: $typeofcoverpaper:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
2;stiffcover,flexiblecover
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designbookbinding;0.0.0.0:$typeofback:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
4;roundback, squareback,hollowback,tightback
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designbookbinding;0.0.0.0:$typeofcase:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
2;slipcase, oldingcase
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designbookbinding;0.0.0.0:$typeoffeature:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
2;casebound,non-casebounde
$IPTSWG4;$COMDIC;$Designbookbinding;0.0.0.0:$typeofbound:;;0;;CDIC ( ) ;1;;;0;
3;fullbound, guarterbound, halfbound (=cornercover)
End of data
――――― [JIS X 9206-1 pdf 15] ―――――
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JIS X 9206-1:2000の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/WD 16044-1:1999(IDT)
JIS X 9206-1:2000の国際規格 ICS 分類一覧
- 37 : 映像技術 > 37.100 : グラフィック技術 > 37.100.01 : グラフィック技術一般
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.240 : 情報技術(IT)の応用 > 35.240.30 : 情報,ドキュメンテーション及び出版業務におけるITの応用
JIS X 9206-1:2000の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISX0201:1997
- 7ビット及び8ビットの情報交換用符号化文字集合
- JISZ8123:1995
- 印刷用語―基本用語
- JISZ8202-0:2000
- 量及び単位―第0部:一般原則
- JISZ8202-1:2000
- 量及び単位―第1部:空間及び時間
- JISZ8202-10:2000
- 量及び単位―第10部:核反応及び電離性放射線
- JISZ8202-12:2000
- 量及び単位―第12部:特性数
- JISZ8202-13:2000
- 量及び単位―第13部:固体物理学
- JISZ8202-2:2000
- 量及び単位―第2部:周期現象及び関連現象
- JISZ8202-3:2000
- 量及び単位―第3部:力学
- JISZ8202-4:2000
- 量及び単位―第4部:熱
- JISZ8202-5:2000
- 量及び単位―第5部:電気及び磁気
- JISZ8202-6:2000
- 量及び単位―第6部:光及び関連する電磁放射
- JISZ8202-7:2000
- 量及び単位―第7部:音
- JISZ8202-8:2000
- 量及び単位―第8部:物理化学及び分子物理学
- JISZ8202-9:2000
- 量及び単位―第9部:原子物理学及び核物理学
- JISZ8203:1964
- 単位記号
- JISZ8203:2000
- 国際単位系(SI)及びその使い方