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X 9207 : 2012 (ISO 15076-1 : 2010)
附属書E
(参考)
色順応タグ
E.1 概要
この附属書では,色順応タグの導出及び用途について詳細に述べる。E.2では,一般的な用途に色順応
変換(CAT)を推奨する。E.3では,この推奨するCATの数学的記述について述べる。E.4では,色順応
タグを使用するための基本的な指針及び取り扱い方について述べる。
色順応タグは,PCS適用白色とは異なる適用白色色度に対する測色値をそのプロファイルデータから計
算するために必要となる。通常のICC色管理応用プログラムではそのような値は必要ではない(6.3.1参照)。
また,色順応タグは知覚的表現様式には適用しなくてもよい(D.7.3参照)。
実際の適用白色相対測色値は比較に便利な場合があり,利用者(又はソフトウェア)が直接色順応を扱
うことができるようになる(例えば,入力から出力まで同じCATを使うことを確実にする。)。この目的で
色順応タグを使う場合が幾つか考えられる。
E.2 色順応行列の計算
ICCプロファイル書式の規定では,異なる線形の(行列による)CATを使うことができる。この柔軟性
によって,プロファイル作成者は,その応用プログラムで最も適切なCATを選択することが可能となる。
選択の基準には,視覚的な性能,PCSへ変換したときの画像の色域,その他の検討事項が含まれる。しか
しながら,異なるCATを使用すると結果が異なり,望ましくないことがある。それゆえ,異なるCATを
使う理由がない場合は,線形Bradford CATの使用を推奨する。線形Bradford CATは,ディジタル画像を扱
う業界で広く用いられ,優れた視覚的性能を示している。もしプロファイル作成者が線形Bradford以外の
CATを使う場合は,そのプロファイルが他のプロファイルとは異なる結果になる可能性が非常に高いこと
を認識して,特定の既知の問題にだけ適用することが望ましい。
線形CATの色順応行列は,次の三つの変換の組合せである。
a) 元のnCIEXYZ三刺激値からすい(錐)体応答値への変換。
b) 観察者の色順応に対するすい(錐)体応答値の調整。
c) 調整されたすい(錐)体応答値からnCIEXYZ値へ戻す変換。
式(E.1)及び式(E.2)では,これらの変換をどのように使って行列を導くかを示す。
E.3 線形化されたBradford変換
完全順応を仮定して,青チャネルの僅かな非線形性を省略すれば,Bradford変換はすい(錐)体空間変
換の一種となる。すい(錐)体応答値は,式(E.1)の行列の式を通して得られる。
ρ 0.895 1 0.266 4 0.161 4X X
γ 0.750 2 1.713 5 0.036 7 Y MBFD Y (E.1)
β 0.038 9 0.068 5 1.029 6 Z Z
二つの白色点間で対応する(視覚的に等価な)nCIEXYZ値の計算は,次のように導出される色順応行列
を適用することで実現する。
――――― [JIS X 9207 pdf 111] ―――――
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X 9207 : 2012 (ISO 15076-1 : 2010)
ρPCS
0 0
ρSRC
1 γPCS
MadaptMBFD 0 0 MBFD (E.2)
γSRC
βPCS
0 0
βSRC
ここに,
ρSRC XNAW
γSRC MBFD YNAW (E.3)
βSRC ZNAW
ρPCS XW
γPCS MBFD YW (E.4)
βPCS ZW
XW, YW, ZWは,PCS適用白色nCIEXYZ値であり,XNAW, YNAW, ZNAWは,実際の適用白色のnCIEXYZ値で
ある。
E.4 色順応行列の可能な使用法
chromaticAdaptationTagの応用は,ICCで活発に議論されてきた。chromaticAdaptationTagは,知覚的表現
様式には適用しなくてもよい(D.7.3参照)。利用者はプロファイルの組を調べて,どんな調整が可能かを
判断する。次のように幾つかの可能性がある。
− プロファイルがchromaticAdaptationTagをもたない場合は,何もしない。
− 全てのプロファイルがchromaticAdaptationTagをもつ場合は,同じ方法を使っていれば,何もしないほ
うがよい。もし異なる方法を使っていれば,利用者は選択した一貫した方法を使う前にまずそれらを
元に戻してもよい。
− 片方のプロファイルしかchromaticAdaptationTagをもたない場合は,処理は実装に依存する。
chromaticAdaptationTagを含む二つのRGB表示装置プロファイルから色変換が生成される場合,どのよ
うに調整を行うかの例を順を追って示す。
a) ステップ1 : 二つの方法が同じかどうか確認する。二つの行列が同一であるとき,色順応の方法は
同じである。行列が異なっていても,実際の観察測色光源が異なる場合は方法が同じである可能性が
残っている。これをテストする簡単な方法がある。M1,M2をそれぞれプロファイル1及び2の色順応
行列とした場合,もし次の式が成立するのならば,色順応アルゴリズムが同じであることが証明され
る。
M1×M2=M2×M1
注記 この結論は,行列の対角要素が全て異なる場合にだけ正しいが,通常の場合は成り立ってい
る。
もし二つのアルゴリズムが同じならば,ここで終了する。
b) ステップ2 : プロファイル1の実際の適用白色を決める。これは,色順応行列の逆行列をPCS 適用
――――― [JIS X 9207 pdf 112] ―――――
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X 9207 : 2012 (ISO 15076-1 : 2010)
白色のnCIEXYZ値に適用することで実現できる。
c) ステップ3 : 色材タグに保持されている赤,緑,青の値を実際の値に逆変換する。これは,色順応
行列の逆行列を各々の色材に適用することで実行する。
d) ステップ4 : 新しい色順応行列を計算する。好きなすい(錐)体応答行列を使ってもよいが,E.3
のBradford変換を使うことを推奨する。
e) ステップ5 : ステップ4で計算した行列をステップ3で導いた装置の測色光源での色材値に適用し
て,赤,緑,青の新しいPCS適用白色相対色材値を計算する。
f) ステップ6 : プロファイル2に対してステップ2からステップ5までを繰り返す。
LUTタグをもつプロファイルでは,色順応を元に戻して再び適用する処理ステップを追加して値をPCS
に変換した後に,調整をすることができる。
――――― [JIS X 9207 pdf 113] ―――――
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附属書F
(規定)
プロファイル計算モデル
F.1 1次元曲線の逆変換
定義域[x0, xn]で定義された1次元の非定数曲線y = f(x)が,その定義域全体で単調増加又は単調減少であ
るとき,その曲線は逆変換可能である。逆変換は座標値(x, y)の交換で得られる。しかし,次の二つの特殊
な場合を明示的に論じておく必要がある。
a) 定義域のある区間で元の曲線が一定,かつ,その区間の終点が1ではない,すなわち[x1, x2]でy1に割
り付けられ,かつ,x2 < xnのとき,y1に対応する逆変換値はy1で得られる最も大きなx値が与えられ
る。しかし,定義域のある区間で元の曲線が一定,かつ,その区間の終点がxn,すなわち[x1, xn]でy1
に割り付けられるとき,y1に対応する逆変換値はy1で得られる最も小さなx値が与えられる。
b) その1次元曲線において逆関数の定義域内にy値に割り付けられるx値がないときは,元の曲線の値
域内の最も近いy値を探して,対応するx値を与えられたy値に対する逆変換値とみなす。
F.2 grayTRCTag
grayTRCTagのデータで表現される数学モデルを,次に示す。
connection = grayTRC[device] (F.1)
これは,ほとんどの白黒入力装置に適した単純な階調再現曲線を表す。この式のconnection値は,PCS
の無彩色チャネルであり,01.0の範囲で,0は黒を,1.0は白を表すのが望ましい。PCSXYZ又はPCSLAB
の値は,01.0に正規化したTRC値にPCSXYZ又はPCSLABの白色点の値を乗じて求める。この逆変換
が必要な場合には,式(F.2)を使用する。
device = grayTRC−1[connection] (F.2)
ここで,grayTRC−1は,grayTRC関数の逆関数を表す。
grayTRC関数が逆変換できない場合,grayTRC−1関数の振る舞いは定義できない。1次元の曲線が定数
の場合,この曲線は逆変換ができない。
注記 grayTRCTagは,通常PCS(PCSXYZ Y又はPCSLAB L*のいずれか)の輝度チャネルから導く。
F.3 3成分行列型プロファイル
このモデルは,装置色空間からPCSへの変換を記述する。この変換は,非線形RGB値と線形RGB値と
の間の変換をするチャネル間独立の階調再現曲線,及び線形RGB値と相対的XYZ値との間を変換する3
×3行列に基づく。このデータによって表した数学モデルは,次のとおりである。
linearr = redTRC[devicer] (F.3)
linearg = greenTRC[deviceg] (F.4)
linearb = blueTRC[deviceb] (F.5)
connection X redMatrixColumn XgreenMatrixColumn X blueMatrixColumn Xlinearr
connection Y redMatrixColumn YgreenMatrixColumn Y blueMatrixColumn Ylinearg (F.6)
connection Z redMatrixColumn ZgreenMatrixColumn Z blueMatrixColumn Zlinearb
これは,単純な線形化及びそれに続く線形混合モデルを表す。三つの階調再現曲線は,元の値をPCSの
――――― [JIS X 9207 pdf 114] ―――――
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X 9207 : 2012 (ISO 15076-1 : 2010)
PCSXYZ数値化の輝度(Y)次元に対して線形化する。3×3行列は,これらの線形化した値をXYZの値
に変換する。その値は,6.3.4に規定したPCSXYZ PCS値に数値化できる。この逆のモデルは,次の式で
得られる。
1
linear r greenMatri xColumn X
redMatrixC olumn X blueMatrix Column X connection X
linearg redMatrixC olumn Y
greenMatri xColumn YblueMatrix Column Y connection Y (F.7)
linearb greenMatri xColumn Z
redMatrixC olumn Z blueMatrix Column Z connection Z
linearr0 湘 , device rredTRC
1
寰 (F.8)
r
0 linear 1 の場合,device rredTRC
1
(F.9)
linearr
linearr1 湘 , device rredTRC 1
寰 (F.10)
linearg0 湘 , device ggreenTRC 1
寰 (F.11)
g 1
0 linear 1 の場合, device g
greenTRC (F.12)
linearg
g
for linear1
湘 ,
device ggreenTRC 1
寰 (F.13)
linearb0 の場合, device bblueTRC 1
寰 (F.14)
b 1
0 linear 1 の場合, device b
blueTRC linearb (F.15)
linearb 1 湘 , device bblueTRC 1
寰 (F.16)
ここでredTRC−1,greenTRC−1及びblueTRC−1は,それぞれのredTRC,greenTRC及びblueTRC関数の
逆関数を表す。
redTRC,greenTRC又はblueTRC関数が逆変換できない場合,redTRC−1,greenTRC−1及びblueTRC−1に
対応する振る舞いは定義できない。一次元の曲線が定数の場合,この曲線は逆変換ができない。
行列TRCモデルには,PCSXYZ数値化だけが使用できる。このプロファイルは,このモデルでXYZへ
適切に関係付けした3成分の色空間をもつ任意の装置に使用してもよい。PCSLAB数値化を使用している
場合には,AToB0Tagを含む必要がある。
注記 3成分行列型モデルは,代わりに,lutAtoBTypeタグにM曲線,オフセット項を0とした行列,
恒等変換のB曲線で表すことができる。M曲線に対応するTRC曲線を設定する場合は,等価
なPCS値にするために,3成分行列型モデルからの行列値はlutAtoBTypeの行列に設定する前
に32 768/65 535で比例計算する必要がある。32 768/65 535は,PCS PCSXYZに対する数値化係
数を表す。
――――― [JIS X 9207 pdf 115] ―――――
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JIS X 9207:2012の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 15076-1:2010(IDT)
JIS X 9207:2012の国際規格 ICS 分類一覧
- 37 : 映像技術 > 37.100 : グラフィック技術 > 37.100.99 : グラフィック技術に関するその他の規格