この規格ページの目次
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Y 0076 : 2021 (ISO/IEC Guide 76 : 2020)
3.11
サービス(service)
消費者の利益のために,又は消費者のニーズを満たすために提供される,単独又は一連の活動
注釈1 サービスは一般には形のないものであり,しばしば変更可能である。
注釈2 サービスには,次のようなものがある。
− 単体のサービス又は製品と一体化したサービス
− 組織又は個人が提供するサービス
− 短期,一回限り若しくはやり取りが繰り返されるサービス(例えば,ホテル,レストラン),
又は継続的で長期的な関係(例えば,携帯電話の契約,住宅ローン,保険証券)の一部で
あるサービス
− 無償のサービス,又は対価(前払い,後払い,分割払い)が直接(例えば,サービス提供
者に対して)又は間接(例えば,地方自治体が提供する教育,健康,又はケアサービスの
場合)に発生するサービス
注釈3 サービスの多様性及び複雑さのために,規格によっては,提供されるサービスの特定の状況に
応じて,“サービス”の異なる定義をもつことが可能である。
注釈4 サービス提供者となる個人又は組織は,複数のサービスを提供する場合がある。
3.12
サービス提供者(service provider)
一つ以上のサービスを提供する実体
注釈1 実体は,個人又は組織のことがある。
3.13
安全対策(safeguard)
サービス提供のある側面における悪い影響を防止するため,又は軽減するために講じる予防措置
3.14
消費者のぜい弱性(consumer vulnerability)
サービス提供者とのやり取りにおいて,個別の状況及び市場環境の要因が存在することによって,個人
が不利な立場に置かれ得る状況,又は不利益を被るリスクをとらされ得る状況
注釈1 誰もがいつでもぜい弱になり得る。ぜい弱性は,一時的又は永久的であり得る。
注釈2 消費者のぜい弱性に寄与する要因には,個人的(例えば,健康,疾病,けが,障害,機能障害)
又は状況的(例えば,失業,死別,識字率の低さ)なものがある。
注釈3 組織のプロセス及び手順が,消費者のぜい弱性を減少させたり,悪化させたりすることがある。
注釈4 ぜい弱な場合の消費者は,次のようになり得る。
− サービス提供者とのやり取りによって,良くない結果を経験するリスクが高くなる。
− 自己の利益を最大化する可能性が制限される。
− 情報を得たり,理解したりすることが困難になる。
− 適切なサービスを購入,選択又はアクセスすることができにくくなる。
− ある種の販売手法においては,懸念が生じやすくなる。
3.15
要員,職員(personnel,staff)
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Y 0076 : 2021 (ISO/IEC Guide 76 : 2020)
サービス提供者に代わってサービスを提供する担当者
注釈1 要員には,有給の従業員だけでなく,ボランティア,下請業者及び代理人も含まれる。
4 この規格の利用
4.1 サービスの消費者利益
この規格は,サービス規格の作成において,いかに消費者の利益を明確にして,それを考慮するかにつ
いての概要を示す。
4.2 構造
この規格は,規格作成者が,その作業の全ての関連する段階において,消費者の利益が考慮されること
を確実にするために従うとよいプロセスの概略を示す。
− 箇条5では,規格作成者が,高齢者及び障害者のニーズを含め,消費者の重要な関心領域に対処する
ために用いることが可能なプロセスの概要を示す。また,規格を作成するプロセスにおいて,消費者
の利益が考慮されることを確保する方法についての指針を提供する。
− 箇条6では,サービス提供者と消費者との間に相互関係がある全ての段階で対処すべき重要な消費者
原則を示す。
− 箇条7では,消費者原則をサービスの主要な要素に適用する方法を示す。
4.3 この規格を利用する利点
この規格の適用は,表1に示すように,サービス規格作成者,それらの規格を利用する実体,及びそれ
らのサービスを利用する消費者に広く利益をもたらすことが可能である。
表1−規格を利用する利点
規格作成者に対して 産業に対して 消費者に対して
消費者の洞察力 : 含めるべき主要な消費消費者に必要なものの提供 より良い品質サービス : より高
者問題のチェックリスト いレベルの満足
ベストプラクティスに沿った専門家に 既存の顧客の維持,新しい顧客 より安全でアクセシブルなサー
よるアドバイス の獲得 ビス
規格作成のためのテンプレートの提供 : プロセスの効率化−経費節減 コスト,条件などの透明性の向
時間及び労力の節約 上
関連する規格,法規及び主要な同種の問共通の問題の回避及び苦情の削 より効果的な救済システム
題を想起させるような全体的アプローチ減
一貫性の確保 信頼性及びブランド評判の向上 サービス提供者への信頼向上
継続的改善の仕組みの提供 顧客満足の維持及び向上 サービスが,提供者の提案する
価値を満たすという期待の向上
5 規格の作成作業を開始する前に
サービス規格を起草する際には,その規格がサービスの関連する全ての側面を取り扱うことを確実にす
ることが大切である。作業を始める前に,次に示す質問について考えてみるとよい。
a) サービスを構成するものは何か?
ここでは,サービス提供の中核的要素及び消費者に提供されるものについて説明する。消費者がサ
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ービスの使用を検討する主な理由は,当該サービスが,消費者が欲しがっている,又は必要としてい
るものを提供するサービスであるかどうかである。
b) サービス提供者は誰か?
サービス提供者とは,サービスを消費者に届けることに最終的に責任を負う個人又は組織のことで
ある。サービス提供者は,他の仲介業者がプロセスに介入したかどうかにかかわらず,合意されたサ
ービス水準を遵守する責任を負う。
c) サービスは誰に対して提供するのか?
サービスを受ける消費者は,サービスが満足するという要求及び期待を抱いている。消費者がどの
ような者であるかを明確に特定することが非常に重要である。消費者は,個人でも団体でも,人でも
法人でもあり得る。あらゆる消費者を満足させるために,サービス提供者が一連のサービス群として
提供することもある。
サービスの対象とする消費者の範囲を狭める必要がある場合がある。例えば,子どものように,サ
ービスの対象となっていない消費者がいる場合には,それを適用範囲に記載することが望ましい。対
象となる消費者グループを特定したら,そのニーズ及び期待を特定するための調査を行うことが望ま
しい。特に,ぜい弱な消費者の特定ニーズを明らかにするための調査を行うことが大切である。
d) サービスはどこで提供するのか?
サービスを提供する,自然の,人工の又はオンライン上の環境は,安全かつアクセシブルか?設備
を提供する必要があるか?もしそうであれば,設備の安全及びアクセシビリティに対処する必要があ
る。
e) サービスはいつ提供するのか?
サービス提供を行う時点又は期間。サービスの開始及び終了は,必ずしも特定の時点で行われるも
のではなく,サービス業界ごとに異なる可能性がある。サービスは,単一の事象(例えば,宅配便)
の形式で,又は継続的に(例えば,電話回線)提供することが可能であり,それは,ただ一つの中核
サービス(例えば,アイスクリームの販売)だけで構成することも,又は幾つかの中核サービス(例
えば,宿泊)から構成することも可能であり,レベル又はオプション(例えば,プレミアムサービス,
標準サービス)を含むことも可能である。
f) サービスをどのように提供するのか?
方法,順序又はプロセスを含む,サービスの提供方法。要員は,サービスの提供に関与しているか?
サービスのどの時点で,要員と消費者とがやり取りすることになるのか?
表2に示すプロセスは,サービス規格の新規作成又は既存規格の改正において,主要な消費者問題を確
実に特定して対応する助けとなることを意図している。
注記 このプロセスは,JIS Z 8071の一つに基づいている。
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表2−サービス規格開発段階での消費者問題の検討
ステージ1 : 次を特定する。
標準プロジ − 規格,その他成果物を適用する目的,適用範囲及び分野
ェクトの定 − サービスを提供する様々なタイプのサービス提供者
義 − サービスを使用する可能性が高いのは誰か?それは誰のために作られているのか?他にサービ
スの影響を受ける可能性のあるのは誰か?
− 消費者にとっての潜在的な利益及びリスクは何か?
− サービスへの現状の満足のレベルはどの程度で,対処すべき共通的な問題はあるか?
ステージ2 : 次を確実にする。
委員会の設 − 規格作成のプロセスに精通していない委員を対象に教育訓練を実施する。
置 − 委員は,関連するガイドを認識し,アクセスすることが可能である。
− 委員会は,サービス提供者及び提供されたサービスに利害関係のある他の者(消費者の代表者を
含む。)からのバランスのとれた代表で構成する。
− サービスに対する消費者の経験(例えば,消費者の苦情,事故データ)に関するデータを考慮す
る。
− 委員会は,サービス提供者,ユーザグループ,ユーザ調査·フォーカスグループ,市場サーベイ
ランス,オンラインレビューの確認など,他からの情報を活用する。
ステージ3 : 次を確実にする。
規格のコン − 規格は,あらゆる潜在的消費者のニーズに対処する。
テンツの開 − 規格は,起こり得る安全上,プライバシー上及びセキュリティ上のリスクを最小限に抑え,排除
発 不可能なリスクに関する適切な情報を提供する。
− 規格は,必要に応じて支援技術の使用を含め,あらゆるユーザへのアクセシビリティを最大化す
る。
− 継続的な改善につながる,消費者の期待に対してパフォーマンスを適切に評価する方法がある。
ステージ4 : 次を確実にする。
レビュープ − 規格の草案は,その特定のサービスによって影響を受ける可能性のある消費者を代表するグル
ロセス ープに回付し,コメントを求める。
− 規格の草案は,幅広い事業ユーザのステークホルダーに回付し,コメントを求める。
− 可能であれば,規格を現実のケーススタディに使ってみることで,それがどの程度うまく機能す
るかの良いテストになる。
ステージ5 : 次を確実にする。
規格発行 − 規格は,必要に応じてアクセシブルな形式で複製することが可能である。
− 規格の適用及び促進のための計画がある。
ステージ6 : 継続的改善を確保するために規格は定期的に見直す。レビューは,次を考慮することが望ましい。
規格のレビ − 規格を利用しているのは誰か?
ュー − それはどのように使われているか?
− 消費者には現在も関連があるか?
− 消費者に新しいリスクはないか?
6 対処すべき重要な消費者原則
6.1 一般
重要な消費者原則又は消費者の権利は,消費者利益の基礎を形成し,消費者とサービス提供者との間に
接触がある可能性が高いサービスの計画,設計及び提供のあらゆる段階において考慮することが望ましい
(箇条7参照)。サービス規格の開発を通じてこれらの原則を考慮することは,サービス提供者が消費者の
ニーズに対処し,持続的な改善を推進することを確実にするのに役立つ。
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Y 0076 : 2021 (ISO/IEC Guide 76 : 2020)
6.2 選択肢
消費者の選択を後押しすることは,基本的な消費者原則である。消費者は,自分の要求に最も適したサ
ービスを選択可能なように,比較可能で現実的な選択肢が提供されることが望ましい。標準化において,
このことは,規格がある特定の供給者を優遇したり,又はサービス提供形態を不必要に制限したりするも
のであってはならないことを意味する。サービスの様々な特性は,金額に見合う価値及び競争市場を維持
する必要性によってバランスが保たれる。
6.3 アクセス
サービスへのアクセスは,消費者が必要とする又は希望するものを,彼らに都合のよい時間に手に入れ
ることが可能かどうかを示す機能である。サービスは,場所,社会的·経済的事情,及び身体又は精神的
障害に関係なく,できる限り多くの消費者に利用可能なものとすることが望ましい。必須サービス(水,
エネルギー,ヘルスケアなど)は,全ての人にとってアクセシブルであることが望ましい。子ども,高齢
者,身体的及び精神的能力の多様性をもつ者,異なる文化的及び民族的な背景及びニーズをもつ者などあ
らゆる消費者の利益は,関連する規格の開発において含まれることが望ましい。サービスが特定のグルー
プの消費者を不当に差別しないように,規格で確実にすることが望ましい。
多様な個人的要因によって,サービス提供者との相互関係においてぜい弱な状況に置かれ,不利益又は
損害を受ける可能性がある消費者に対しては,より柔軟で全ての人に配慮した対応の仕方が求められるこ
とから,そうした消費者を特定し,対応するための,特別な考慮がなされることが望ましい。
注記 規格におけるアクセシビリティへの対応に関する詳細な手引きは,JIS Z 8071に記載されている。
6.4 情報
明確で,正確で,簡潔で,関連性があって,タイムリーな情報が,アクセシブルな形式でなければ,消
費者は,使用するサービスについて,情報に基づいた選択を行うことは不可能である。情報及びその伝達
は,サービスの選択,提供及び効果的な利用において重要な役割を果たす。なぜならば,サービスは製品
とは異なり,消費者が品質,目的への適合性,金銭的価値などを査定する際に役立つ有形要素が少ないか
らである。情報の伝達,特に購買の決定前又は契約への署名前の情報の伝達及びその方法(要員の態度を
含む。)は,基本的な考慮事項である。
注記 消費者の購買情報に関する詳細な手引きは,ISO/IEC Guide 14に記載されている。
6.5 安全
消費者は,提供される全てのサービスが安全であることを期待する権利をもち,また,想定する可能性
が高い。安全には,身体的安全,保健衛生,金融サービス,電子商取引などの個人データの安全,セキュ
リティ,プライバシーなどが含まれる。組織は,消費者安全への潜在的なリスクを特定し,それらを最小
化するために,あらゆる合理的な措置を講じることが望ましい。サービスがアドベンチャーホリデー1)など
の固有のリスクをもっている場合には,消費者に購入の前段階で情報を提供し,潜在的なリスク並びにそ
れらを最小限に抑えるための組織及び消費者の責任を明確に説明することが不可欠である。
安全は,ぜい弱な人々を考慮するときに特に大切である。
注記1 子どもの安全に関する詳細な指針は,JIS Z 8050に記載されている。
注記2 開発中のISO 31700は,消費財及びサービスの,設計によるプライバシーを保つための指針を
記載している。
注1) 山歩き,マウンテンバイク,スクーバダイビングなどの冒険的な要素を含んだ休日の過ごし方を
――――― [JIS Y 0076 pdf 10] ―――――
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JIS Y 0076:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC Guide 76:2020(IDT)
JIS Y 0076:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.080 : サービス > 03.080.01 : サービス業務一般