JIS Y 23592:2021 サービスエクセレンス―原則及びモデル | ページ 5

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Y 23592 : 2021 (ISO 23592 : 2021)
− イノベーションを促進することに役立つ実質的な接点のネットワーク(例えば,顧客,バリューチ
ェーンにおける組織,大学,スタートアップインキュベーター,その他の関連機関)をもつ。
− イノベーションの目標を達成するために,進行中のイノベーションプロセスに十分な時間,資源及
び配慮を割り当てる。
− 顧客対応のための革新的なプロセスを設計する。
構築されたイノベーションプロセスに関する規定事項の実施のための適切な取組みには,次の事項
を含む場合がある。
1) イノベーション委員会の利用。イノベーション委員会とは,新しいアイデアを決定するために定期
的に集まる委員会のことをいう。
2) イノベーションファンネルの活用。イノベーションファンネルとは,イノベーションプロセスの次
の各段階へ進むために,特定の段階,及び決行又は中止を決定又は管理するゲートを使用すること
で,イノベーションプロセスを構築する概念のことをいう。
3) 共創の構築。共創によって,顧客は現在のカスタマージャーニーを表現するだけでなく,理想的な
カスタマージャーニーも表現する。最終段階では,この理想的なカスタマージャーニーを実施する
ことに役立つ。
4) 価値提案,サービス戦略並びに目指す関係性及び顧客体験との関連に基づき,革新的なビジネスモ
デルを設計するための,ビジネスモデルキャンバスの使用。

7.4 運用面でのサービスエクセレンス

7.4.1 顧客体験に関連する効率的かつ効果的なプロセス及び組織構造のマネジメント
組織は,顧客及び外部環境の変化しつつある既存のニーズ及び期待に対応可能なように,適切なプロセ
ス,技術,手法及び組織構造をもつことが望ましい。組織は,顧客体験の概念を実現し,卓越した顧客体
験へとつながるカスタマージャーニーを開発し,実施し,マネジメントすることが望ましい。この点に関
して,サプライヤー及びその他の組織を含む全てのサービスバリューチェーンには,卓越した顧客志向の
重要性を反映させることが望ましい。加えて,従業員のニーズ(例えば,従業員のフィードバック)も含
むことが望ましい。
この要素は,次の3項目に分けられる。
a) 顧客体験に関連するプロセスのマネジメント
組織は,顧客のニーズ,期待及び要望の変化に対応するために,内部プロセス及び顧客体験に関連
するプロセスをパートナーと連携させることが望ましい。
注記 顧客体験に関連するプロセスマネジメントは,顧客のニーズ,期待及び要望を満たし,上回
るために,顧客体験に関連する全てのプロセスを識別,設計,実施,監視,報告及び改善す
る。
組織は,次の事項を行うことが望ましい。
− 目指す顧客体験を提供し,個別の優れたサービス及び驚きのある優れたサービスを提供する顧客体
験に関連するプロセスを開発及び実施する。
顧客体験に関連するプロセスのマネジメントに関する規定事項の実施のための適切な取組みには,
次の事項を含む場合がある。
1) 顧客体験に関連するプロセスの定期的な評価(例えば,覆面調査,サービスエクセレンスの監査,
パフォーマンスのKPIの監視,ソーシャルメディア)

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2) 顧客の視点からのプロセス品質の評価(例えば,カスタマージャーニーの監視,顧客の日記調査,
定期的な顧客調査)
3) 顧客体験に関連するプロセスの定期的な改善(例えば,サービス及びプロセスのアイデア及びニー
ズを交換するためのエラー又は苦情マネジメント,QCサークル,ユーザーグループ,顧客コミュニ
ティ)
4) 顧客体験に関連するプロセスの定期的な改訂
b) 顧客体験に関連する技術及び手法の展開
技術及び手法は,組織が卓越した顧客体験を提供するのに役立つことが望ましい。それは,組織が
サービスエクセレンスをマネジメントし,日常の業務の中で従業員を支援することにも役立てること
が可能である。
組織は,次の事項を行うことが望ましい。
− 卓越した顧客体験を提供するために,適切な技術及び手法を用いる。
− 安全な方法で顧客のデータを取り扱う。
顧客体験に関連する技術及び手法の展開に関する規定事項の実施のための適切な取組みには,次の
事項を含む場合がある。
1) 多次元データ又は多変量データを表示するグラフィカルな方法(例えば,レーダーチャート,スパ
イダーチャート),及び顧客との相互作用を表示するグラフィカルな方法(例えば,カスタマージャ
ーニーマッピング)を用いる。
2) ツールボックスを用いて,顧客接点を最適化及び同期することによって,顧客体験を戦略的にマネ
ジメントする(例えば,顧客体験マネジメント)。
3) 組織と顧客との間でのクラウドシェアリング(群衆共有)を可能とする,共有データベース及び統
合データベース(チャンネルから独立した)を提供する。
4) 個人を認識し,個別化された情報及び選択肢を提供するデジタルデバイスを用いる。
5) 例えば,人工知能,チャットボット,音声アシスタントシステムといった,顧客の要求に自動的に
対応するためのデジタル技術を用いる。
6) 目指す体験を創出する技術を用いる。
7) 例えば,安全で顧客を納得させるデータ処理システム並びにリスク及び違反に関するネットワーク
監視といった安全な体験を創出するために,プロセス及び技術を用いる。
c) 組織構造及びパートナーシップのマネジメント
組織は,特に顧客及び従業員のニーズ及び要求事項に関して,柔軟な構造をもつことが望ましい。
組織は,次の事項を行うことが望ましい。
− 顧客中心のアプローチの実施を促すよう調整する。
− 内部の縦割り化を回避可能なように,顧客体験に関連するプロセスに沿って構築する。
− 顧客体験に影響を与えるパートナー及びその他の関連する利害関係者と緊密に協力して投資する。
組織構造及びパートナーシップのマネジメントに関する規定事項の実施のための適切な取組みには,
次の事項を含む場合がある。
1) エンド·ツー·エンドのプロセスの中のサービスにおいて,サービスエクセレンスの要素の文書化
及び定期的なコミュニケーションを用いる。組織が掲げるカスタマーデライトに影響を与える,内
部及び外部の全てのサービス提供者及び必要な補助的プロセスを含む,バリューチェーン全体を表
現する。

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2) 顧客及び従業員のニーズ及び要求事項に関するデータに基づく洞察及びKPIに基づいて,組織構造
を定期的にレビューする。次に例を示す。
− ベンチマーク及びベストプラクティス
− カスタマーデライトに関するワークショップ
− 革新的なサービスアイデアに関するワークショップ
− プロセスアプローチに従うための組織構造の調整
3) 卓越した顧客体験に影響を与えるサプライヤー,内部の顧客及びその他の組織とのパートナーシッ
プに関する合意若しくはサービスレベルの合意(SLA)又はその両方の使用
4) 組織が提供する研修のような,改善及び開発に関する活動をパートナーの組織内で実現すること
7.4.2 サービスエクセレンスの活動及び結果の監視
組織は,サービスエクセレンスモデルの全ての要素に焦点を当てた一連の内部及び外部の指標を開発し,
体系的に利用しなければならない。
トップマネジメントは,組織の全部門における監視,改善及び革新のために,この指標を用いることが
望ましい。
可能であれば,指標及びその使用方法を,定期的に評価及び改良することが望ましい。
この要素は,次の4項目に分けられる。
a) 因果関係
組織は,サービスエクセレンスの効果の連鎖(図2参照)の要素及びそれらの関係性の最も重要な
決定要因又は指標を理解することが望ましい。
注記 因果関係の例としては,次のものがある。
− 従業員エンゲージメントとカスタマーデライトとの間の関係(及びその逆の関係)
− 顧客の認識,姿勢及びカスタマージャーニーにおける実際の行動及び/又は自己申告の
行動との間の関係
− サービスエクセレンスへの投資と実際の見返りとの間の関係
組織は,次の事項を行うことが望ましい。
− サービスエクセレンスの効果の連鎖の要素及びそれらの関係性における最も重要な決定要因又は指
標を測定及び分析する。
因果関係に関する規定事項の実施のための適切な取組みには,次の事項を含む場合がある。
1) 全体的な満足及びカスタマーデライトに影響する最も重要な要因を決定するための,統計分析の使

2) 特定された因果関係に基づいた原因及び結果のモデルの概説
b) 業績評価指標の使用
サービスエクセレンスの概念をマネジメントし,改善するために,組織は因果関係に基づき,イン
プット,処理,アウトプット及び成果の一連の指標を用いることが望ましい。
組織は,次の事項を行うことが望ましい。
− 指標をサービスのスコアカードに統合する。
業績評価指標の使用に関する規定事項の実施のための適切な取組みには,次の事項を含む場合があ

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る。
1) 特定の取引及び関係性の認識を含む顧客体験についての成果指標の使用。例として,顧客体験,顧
客労力,顧客満足,カスタマーデライト,顧客の幸せ及び顧客エンゲージメントに関連するスコア
及び指標がある。
2) 正味推奨者比率,維持率又は離脱率,顧客内シェア及び顧客生涯価値のような金銭的な結果といっ
た,意図した実際の顧客行動の使用
3) 専門的なエクセレントサービスの力量,従業員の関与,意欲及びエンゲージメントといった,従業
員のスキル,認識及び行動に関する指標の使用
4) コミュニケーション·チャンネル,カスタマージャーニー及び内部(支援)プロセスのような運用
パフォーマンスに関する指標の使用
5) 評判及びブランディングに関する指標の使用
6) 組織の学習,改善及びイノベーションに関する指標の使用
c) 測定手法の使用
組織は,継続的に目標に応じた測定手法を用いることが望ましい。
組織は,次の事項を行うことが望ましい。
− そのクラス内で最高のパフォーマンスを発揮している組織の基準を用いて,ベンチマークを構築す
る。
− 否定的及び肯定的なサービスエクセレンスに関連する成果から学ぶ。
測定手法の使用に関する規定事項の実施のための適切な取組みには,次の事項を含む場合がある。
1) 定性的及び定量的な調査,又はインタビューのような,利害関係者の認識を測定するための手法の
使用
2) 覆面調査のような,サービスレベル,共感及びプロセスを測るための手法の使用
3) データベース分析のような,顧客の実際の行動を測定するための手法の使用
4) ソーシャルメディアの監視
d) 運用的,戦術的及び戦略的なレベルにおける指標の使用
指標は,組織の前向きなサービス文化を支援し促進するために,及びグッドプラクティスをエクセ
レントプラクティスへと発展させるために使用することが望ましい。
組織は,次の事項を行うことが望ましい。
− 透明かつ頻繁に,全ての関係する利害関係者と結果を共有する。
− 到達点,パフォーマンス,及び可能な場合には改善を決定するために,組織の全部門及び全階層で
指標を用いる。
− 定量的なデータに加えて,顧客及び従業員の体験及び体験談のような定性的なデータを得る。
運用的,戦術的及び戦略的なレベルにおける指標の使用に関する規定事項の実施のための適切な取
組みには,次の事項を含む場合がある。
1) ダッシュボード,パフォーマンスウォール,バロメータ及びビデオ画面上でのナローキャスティン
グを用いた結果の視覚化
2) 前向きな文化を発展させるための,賞賛の掲示板の開発
3) 従業員,チーム及び管理者に対する評価及びインセンティブのための結果の使用
4) 利害関係者の各グループに対するフィードバックの使用(各グループに対する明確なコミュニケー

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ション·チャンネルの特定)
5) 企業報告の形式でのサービスエクセレンスに関連するKPIの報告

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  • ISO 23592:2021(IDT)

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