JIS Y 5101:2022 スマートコミュニティインフラストラクチャ―電力インフラ―火力発電インフラの質の定量評価並びに運用及び管理に関する成熟度評価 | ページ 2

           4
Y 5101 : 2022

5.2 測定の成熟度

  発電所運用者は,火力発電インフラの質を維持するために,火力発電インフラの運転·保守データを適
時収集できるシステムを構築しなければならない。
発電所運用者は,JIS Y 37160:2022の5.2に規定された測定を行うに当たって,表1の基準によって評価
する。
表1−測定の成熟度レベル
要求事項 a) 運転·保守データの監視·測定
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,運転·保守データの測定について,火力発電イ
ンフラの質のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを実施
している場合。
1.1) 設備安全性を高めるために実施する監視項目を決定し,分析に必要なデータ要素などを設定
していること。なお,監視·測定を実施するために例えばIoTなどを整備していることが望
ましい。
1.2) 5.6のb)“運転·保守活動を行う人材への教育”のレベル4に定められた教育·訓練に基づい
て,運転·保守データの監視及び測定に必要なスキルをもった人材を,適切な職務に配置し
ていること。
3 1) 運転·保守データを監視·測定する際に,次の事項を定めて実行している場合。なお,監視·
測定の項目においては,燃料種別,発電種別などによって不必要な場合を除き,少なくともJIS
Y 37160:2022の4.3に規定された評価指標を算出するために必要な項目を含めること。
1.1) 監視·測定の項目
1.2) 適切な監視·測定の頻度
1.3) 監視·測定の方法
1.4) 監視·測定のための適切な装置又はシステム
1.5) 適切な担当者への監視·測定の責任の割り当て
2) 監視·測定する必要がある運転·保守データを決定する際には,運転·保守上の要求事項及び
ステークホルダーへの情報提供の必要性を考慮していること。
3) 運転·保守データの測定方法を決定する際には,要求される測定精度を考慮する仕組みを整備
していること。
4) 運転·保守データの監視·測定のために使用する装置又はシステムの十分な能力をもつ仕組み
を整備していること。
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。

5.3 データ管理の成熟度

  発電所運用者は,火力発電インフラの質を維持するために,測定した運転·保守データを包括的に記録
し,管理し,蓄積するとともに,運転·保守データの安全性に関する手段を構築することが必須となる。
発電所運用者は,JIS Y 37160:2022の5.3に規定されたデータ管理を行うに当たって,表2の基準によっ
て評価する。

――――― [JIS Y 5101 pdf 6] ―――――

                                                                                             5
Y 5101 : 2022
表2−データ管理の成熟度レベル
要求事項 a) 運転·保守データの管理
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,運転·保守データの管理について,火力発電イ
ンフラの質のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを実施
している場合。
1.1) セキュリティの完備されたクラウドなどの活用によって,必要なときに運転·保守データへ
のアクセスが可能となる環境を整備していること。
3 1) 運転·保守データを管理する際に,次の事項を定めて実行している場合。
1.1) 運用データの汎用フォーマットによる自動記録及び蓄積
1.2) 適用される保存期間の要求事項及びステークホルダーのニーズに対応する期間におけるデー
タの蓄積及び保存
1.3) 蓄積されたデータへの適切なアクセス及びタイムリーな分析
1.4) データの消失,不適切なアクセス及び不適切な使用からのデータの適切な保護
(適切なサイバーセキュリティ対策を含む。)
1.5) ステークホルダーへの適切なデータの提供
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。

5.4 分析の成熟度

  発電所運用者は,火力発電インフラの質を維持し,更に改善するために,測定した運転·保守データを
包括的に分析しなければならない。
発電所運用者は,JIS Y 37160:2022の5.4に規定された分析を行うに当たって,表3の基準によって評価
する。
表3−分析の成熟度レベル
要求事項 a) 運転·保守データの分析
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,運転·保守データの分析について,火力発電イ
ンフラの質のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを実施
している場合。
1.1) 運転·保守データを用いた不具合予兆検知,性能管理及び保守インターバル管理といった先
進的な分析を行うため,運転·保守データの分析に必要なスキルをもった人材を適切な職務
に配置し,技術的に高度な事象を検討する方法(例えば,専門組織の設置)を定めて実行し
ていること。
3 1) 運転·保守データを分析する際に,次の事項を定めて実行している場合。
1.1) 評価指標の測定結果の総合的な分析及び他のプラントとの比較による問題点の抽出(比較を
行う際には,次の事項を考慮する。)
· データのセキュリティの確保
· データの十分な質の確保
· 責任をもったデータの管理
1.2) データの分析に必要なスキルをもった人材の適切な職務への配置
1.3) 分析に適したデータフォーマットの決定
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。

――――― [JIS Y 5101 pdf 7] ―――――

           6
Y 5101 : 2022

5.5 リスク及び改善の機会への対応の成熟度

  発電所運用者は,火力発電インフラの質を維持し,更に高めていくために,潜在リスクの特定及び決定
を行い,関連する悪影響の低減,結果として発生する問題の解決,及び火力発電インフラの質を改善する
機会の促進を継続して行わなければならない。
発電所運用者は,JIS Y 37160:2022の5.5に規定されたリスク及び改善の機会への対応をするに当たっ
て,表4の基準によって評価する。
表4−リスク及び改善の機会への対応の成熟度レベル(1/7)
要求事項 a) リスクの特定
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,リスクの特定について,火力発電インフラの質
のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを実施している場
合。
1.1) 発電プラントの火災,爆発,設備損壊などによって人身·公衆安全に重大な影響を及ぼすお
それのある試験の適切な運用·管理方法を定め,重大事故の発生を未然に防止できるプロセ
スが定められ実行されていること。
1.2) 発電所運営におけるリスクの特定について,年1回以上実行
3 1) リスクの特定を行う際に,次の事項を定めて実行している場合。
1.1) 事故に備えるため,分析結果に基づく,火力発電インフラの内部·外部のリスクのタイムリ
ーな把握,事前の対応計画の立案,定期的な訓練,シミュレーションなどの実施
1.1.1) 例えば,内部リスクには,次の事項が含まれる。
· 設備の不具合,電気的·機械的事故(計画外停止,出力制限)
· 管理値からの逸脱
· ヒューマンエラー
· 発電所内の火災及び爆発
· 人身災害
1.1.2) 例えば,外部リスクには,次の事項が含まれる。
· 送電網故障
· テロ,戦争,ストライキ,暴動,騒乱
· 発電所へのサイバーフィジカル攻撃を含むサイバー攻撃及びフィジカル攻撃
· 燃料調達及び水源確保
· 自然災害(例えば,地震,台風,津波,洪水,森林火災)
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。

――――― [JIS Y 5101 pdf 8] ―――――

                                                                                             7
Y 5101 : 2022
表4−リスク及び改善の機会への対応の成熟度レベル(2/7)
要求事項 b) 事故の再発防止
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,事故の再発防止について,火力発電インフラの
質のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを実施している
場合。
1.1) 他の発電所において発生した事故に対する再発防止策を策定し,水平展開を実施する仕組み
を構築していること。
3 1) 事故の再発防止を行う際に,次の事項を定めて実行している場合。
1.1) 発生した事故に対する原因を究明し,その重要度に応じた再発防止策が講じられていること。
加えて,再発防止策の妥当性評価の仕組みを構築していること。
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。
表4−リスク及び改善の機会への対応の成熟度レベル(3/7)
要求事項 c) 計画外停止の低減
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,計画外停止の低減について,火力発電インフラ
の質のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを実施してい
る場合。
1.1) IoTなどの先進的な技術を用いて運転·保守データを活用し,早期に不具合を予兆·検知す
るなど計画外停止を最小化するための取組みを実行
3 1) 計画外停止の低減を行う際に,次の事項を定めて実行している場合。
1.1) 計画外停止を最小化するための予防保全及び予知保全プログラムの開発
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。
表4−リスク及び改善の機会への対応の成熟度レベル(4/7)
要求事項 d) 計画外停止からの早期復旧
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,計画外停止からの早期復旧について,火力発電
インフラの質のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを実
施している場合。
1.1) 速やかな使用を可能とするための予備部品の点検及び修理
1.2) 計画外停止からの早期復旧のための速やかな作業員の確保体制の整備
3 1) 計画外停止からの早期復旧を行う際に,次の事項を定めて実行している場合。
1.1) 問題発生時の早期復旧に必要とされる予備部品の決定及び保管
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。

――――― [JIS Y 5101 pdf 9] ―――――

           8
Y 5101 : 2022
表4−リスク及び改善の機会への対応の成熟度レベル(5/7)
要求事項 e) 環境負荷の低減及び性能向上
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,環境負荷の低減及び性能向上について,火力発
電インフラの質のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを
実施している場合。
1.1) 排出ガス(例えば,CO2,NOx)の低減及びパフォーマンス向上に向けた取組み(運用改善を
含む。)の実施
3 1) 環境負荷の低減及び性能向上を行う際に,次の事項を定めて実行している場合。
1.1) 排出ガス(例えば,CO2,NOx)の低減及びパフォーマンス向上のためのシステム管理の最適
化(経年劣化の回復を含む。)
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。
表4−リスク及び改善の機会への対応の成熟度レベル(6/7)
要求事項 f) 運用の柔軟性
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,運用の柔軟性について,火力発電インフラの質
のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを実施している場
合。
1.1) 運用の柔軟性を改善する組織の設置及び活動の実行
3 1) 柔軟な運用を行う際に,次の事項を定めて実行している場合。
1.1) 運用の柔軟性を向上させるための最新の技術及び手法の合理的な実施
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。
表4−リスク及び改善の機会への対応の成熟度レベル(7/7)
要求事項 g) ライフサイクルコストの削減
5段階の成熟度レベル
レベル 基準
5 1) レベル3及びレベル4の要求事項を継続的に実施している場合。
4 1) レベル3における要求事項を実施し,さらに,ライフサイクルコストの削減について,火力発
電インフラの質のパフォーマンスの維持·向上に向けた,実効性を高める次のような取組みを
実施している場合。
1.1) ユニットの検査周期及び検査期間の最適化以外のコスト削減に向けた施策(例えば,作業改
善,調達改善)の実施
1.2) 発電プラントの機器に応じた的確な保守点検の計画実施可能な専門組織の設置,及びスキル
をもった人材の適切な職務への配置
3 1) ライフサイクルコストの削減を行う際に,次の事項を定めて実行している場合。
1.1) 最適なユニットの検査周期及び検査期間
2 1) レベル3における要求事項を実施しているが,実施内容が不十分である場合。
1 1) レベル3における要求事項を実施していない場合。

――――― [JIS Y 5101 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS Y 5101:2022の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Y 5101:2022の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称