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5.2.4.3 留意及び限定事項
水の中に腐食抑制剤を入れて使用する場合,廃棄物処理として,その地域の環境に対する法律に従い処
理しなければならない。この方法でブラスト処理された表面は,研削材,水,離物の混ざった泥状の物
で覆われており,作業者の目視検査上の妨げになる。戻りさびが発生した箇所にはそれに対応した工程が
必要である。研削材は,一般的には非金属系研削材を使う。
6 研削材
6.1 材料及び種類
天然及び人工による様々な材料は,金属表面の素地調整をするために行うブラスト処理に使用すること
ができる。それらの材料を,表2に示す。ただし,材料の違いによって,ブラスト処理には特徴が出る。
なお,JIS Z 0311又はJIS Z 0312で規定された条件を満たし,腐食性成分及び密着を損なう汚染物質が
あってはならない。ブラスト処理後の鋼の表面に有害な影響を及ぼすため,初めから汚染された研削材は
使用できない。リサイクル研削材において使用前に洗浄処理することができないもの又は冷却のために塩
水,すなわち,海水を使用することによって造粒されたスラグから製造されたものは,用いてはならない。
表2−ブラスト処理用研削材の材料及び種類
分類 形状の 記号 比較板b) 用途
略号a)
金属系 鋳鉄 鋳鉄グリット G M/CI G 主としてエアー
ブラスト用
鋳鋼 高炭素鋳鋼 S又はG M/HCS-S/HCS-G Sc) 主として遠心式
ショット/グリット ブラスト用
低炭素鋳鋼ショット S M/LCS S
非金属系 天然鉱物 スタウロライト S N/ST G 主としてエアー
アルマンダイトガーネット G N/GA G ブラスト用
造鉱物 鉄鋼スラグ 高炉スラグ G N/FE G 主としてエアー
製鋼スラグ S又はG N/SS S/G ブラスト用
銅スラグ G N/CU G
ニッケルスラグ ニッケル精錬 G N/NI G
スラグ
フェロニッケ S又はG N/FN S/G
ルスラグ
石炭灰スラグ G N/CS G
溶融アルミナ 褐色アルミナ G N/FA/A G
ホワイトアル G N/FA/WA G
ミナ
注a) 及びSは,粒子の初期形状を示す記号で,Gは角張った形状(グリット状)を,Sは角張りが少ない形状(シ
ョット状)を示す。
b) 比較板によって表面形状を評価する場合に使用する比較板の種類を示す(JIS Z 0313参照)。
c) 初期形状がGでも,繰返し使用によってSに近くなることがある。
6.2 健康及び安全
素地調整のために使用される装置,研削材及び離物は,使用中,又は管理する場合,身体に危険を及
ぼすことがある。
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警告 ブラスト処理に関しては,常に適切な指示が与えられ,危険性に留意することが重要である。
対策としては,安全に作業するために,作業環境に移動可能な集じん(塵)機を設置する,
離物が舞い上がらないようにするなどの工夫が必要である。ブラスト作業者及び周辺作業者は,
有害物質が体内に取り込まれないように国内及び国外製品を問わず,各国の安全性確認テスト
を通過した防じん(塵)面,及び防じん(塵)面に送り込むための清浄エアーの確保をしなけ
ればならない。また,清浄エアーの確保のために,防じん(塵)面用エアーラインフィルター,
及び一酸化炭素監視モニターを設置することが必要である。
6.3 研削材の選択及び検討
研削材の選択及び検討は,次による。
a) 適切なブラスト処理方法及び条件とともに最適な研削材を選定することが,表面処理の規格を実現す
ることにおいて重要である。
b) ブラスト処理用研削材の種類において,粒度分布,形状,硬度,密度及び衝撃挙動(変形又は破砕性)
は,被ブラスト面の除せい度,ブラスト処理速度及びブラスト処理面の表面状態(表面粗さなどを含
む形体及びプロフィール)の基準を決定するのに重要である。研削材の粒度分布は,それぞれJIS Z
0311又はJIS Z 0312で規定する方法を用いて決定しなければならない。
c) あらかじめブラスト処理テスト施工を行った後に,現地でブラスト処理を行った方が,結果的には,
要求される除せい度を達成しやすいため,ブラスト処理テスト施工を行うことが望ましい。研削材を
循環して使う場合には,粉砕などによって形状及び粒径が変わり,未使用の研削材を使用した場合と
は結果が異なるため,同じ試験片に対してあらかじめ試験をしておく必要がある。
d) 研削材粒子径を特定した場合,処理面の表面粗さ及び形状は,非金属系研削材を使用するよりも,金
属系研削材を使用する方が通常大きい。
注記 同条件でブラスト処理した場合,金属系研削材の方が非金属系研削材に比べて処理面の表面
粗さ及び形状が大きくなる理由は,金属系研削材の方が,比重が高いため運動エネルギーが
大きくなること及び衝撃破砕性が低いためである。
e) 研削材の粒子サイズを調整することで,除せい度,ブラスト処理速度,処理面の表面粗さ及び形状を
変えることができる。
f) 研削材が繰り返し使われるブラスト工場(ブラストルーム)では,研削材選別機などを用いて研削材
を再使用する前に,粉じん(塵)及び不純物を除去しなければならない。ブラスト処理された鋼材に
残留し,ブラスト工場から持ち出されることによる減量,及び摩耗した研削材などに関しては,残っ
ている研削材との粒度分布,偏った堆積に注意しながら管理し,未使用の研削材を補給する。
なお,研削材の管理をせず,研削材選別機を用いて繰り返し研削材を使用していると,研削材の摩
耗などによって,投入した研削材全体の粒度分布が設定した粒度分布とは異なるものになってしまう。
その場合は,投入している研削材全体の入替えが必要となることがある。
7 ブラスト処理前の検討事項
ブラスト処理に当たっては,次の事項を確認して実施可能な方法を検討し,それらの検討結果に基づい
た適切な施工を行わなければならない。
なお,検討の結果,ブラスト処理方法を応用しなければならないときは,附属書JAによる。
a) 処理前の鋼材に関する,角,及び隅の形状,溶接部の形状,死角部の状況,鋼材のきずの状況,塗膜
などの有無,腐食の種類及び程度,汚染物質の種類及び付着程度,並びにそれらが不適切な場合の補
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修及び修正の方法。
b) 要求される鋼材の仕上げ程度(表面粗さ及び清浄度)。
c) 処理対象物の形状(施工しやすさ及び大きさ)並びに作業条件(換気,温度・湿度対策など)。
d) 施工場所及び時期(気候条件)。
e) 採用できるブラスト処理方法。
f) 使用する研削材(材質,形状,硬さ,粒度分布,汚れ及び繰返し使用時の変化)。
g) 処理範囲(全面仕上げか又は部分仕上げか)。
h) ブラスト処理条件。
i) 処理後の処置(研削材の回収,鋼材表面の清掃,塗装及び廃棄物の処理)。
j) 施工期間及びコスト。
k) 粉じん(塵),酸欠及び研削材噴流に対する安全衛生対策(適切な管理者,防護措置など)並びに周辺
設備への影響。
l) バグフィルター式集じん機の火災などに対する災害対策。
8 施工方法
8.1 ブラスト処理前の検査及び処置
ブラスト処理前の検査及び処理は,次による。
a) 箇条7 a) に規定する鋼材の状態を目視などで検査する。受渡当事者間の協定によって,目視だけでは
なく,測定器などによる適切な検査方法を採用してもよい。
b) 不具合があれば,適切に補修及び修正を行う。
c) 処置終了後の状態をa) に従って検査し,問題のないことを確認する。
8.2 ブラスト処理
ブラスト処理は,次による。
a) 選定した仕様のブラスト処理設備が,適切に設置され,作動することを確認する。
b) 安全衛生対策及び災害防止対策が,それらのための設備も含めて適切であることを確認し,作業中,
それらの対策を確実に実施する。
c) 研削材が選定されたとおりの仕様であり,良好に保管されており,その状態を保持したまま供給でき
ることを確認する。乾式ブラストに用いる研削材は,十分乾燥していなければならない。
d) 遠心式ブラストを採用する場合においては,次の条件を適切に設定・維持管理してブラスト処理を行
う。
1) 研削材を投射するディスクの直径及び回転数。
2) 研削材の投射口と被処理物との距離,角度(中心角度及び広がり)及び相対速度。
3) 研削材の供給量。
e) エアーブラストを基本とする圧縮空気で研削材を噴射するブラスト処理方法を採用する場合は,次の
条件を適切に設定及び維持管理しながら,ブラスト処理を行う。
1) コンプレッサーの吐出圧力及び流量。
2) ブラストホースの長さ及び内径。
3) ブラストホース先端,又はブラストノズル直前での圧力。
4) コンプレッサーによって圧縮された圧縮空気の水及び油分の除去管理。
5) ブラストノズルの材質,長さ,内面形状及び内径並びにそれらの損耗度。
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6) ブラストノズルとブラスト処理面との距離及び角度。
7) 研削材と圧縮空気との混合比。
8) ブラスト装置の圧力容器としての検査,安全性,保管方法の確認及び日常点検の実行。
9) ブラスト装置の緊急時の安全停止装置の有無及び作動状態の確認。
10) ブラスト作業者の防じん(塵)面,手袋,防護服,防じん(塵)面用エアーラインフィルター,防
じん(塵)面供給エアー用一酸化炭素監視モニター,ブラスト装置内圧排気時の消音装置など安全
衛生品の確認。
f) ブラスト処理作業に適切な気温及び相対湿度の確認。
8.3 ブラスト処理後の処置及び検査
ブラスト処理後の処置及び検査は,次による。
a) ブラスト処理後,研削材を回収し,表面の残留物を真空掃除機,清浄な圧縮空気などによって清掃す
る。有機溶剤,水,水蒸気などで洗浄する方法を採用する場合には,それによるさびの再発生又は腐
食抑制剤の残留のために被覆の付着に障害が生じないよう,事前に十分な検討をしておかなければな
らない。
b) 受渡当事者間の協定によって,ブラスト処理面を速やかに検査し,その程度を評価する。
8.4 施工管理者
施工に関する作業を適切に実施するため,施工企業は,素地調整の技術的な専門知識及び経験をもつ管
理者(例えば,防せい管理士)を任命して,その管理者に必要な権限を与え,適切な管理を行わせなけれ
ばならない。
9 ブラスト処理面の評価
ブラスト処理面は,JIS Z 0313に従って評価するか,又はその中から受渡当事者間の協定によって,適
切な方法を採用する。
10 ブラスト処理の表示
ブラスト処理した鋼材については,送り状などの適切な書類に次の事項を表示する。
a) ブラスト処理方法の種類及び条件。
b) 研削材の種類及び粒度。
c) ブラスト処理面の除せい度。
d) ブラスト処理面の表面粗さ。
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附属書JA
(規定)
ブラスト処理方法の応用
ブラスト処理方法の応用
ブラスト処理方法の応用は,次による。
a) スィープブラスト処理 スィープブラスト処理は,塗料及び金属コーティングされている表面層だけ
の素地調整を行う処理方法であり,付着が不十分なものだけを除去し,十分にコーティングされてい
る塗料及び金属コーティングの下の鋼材まで露出させずに,研削材を食い込ませないように行う。要
求される表面処理状態を得るために,ブラスト試験施工エリアを区切り,研削材の種類,研削材の粒
子径,ブラスト掃射角度,距離,空気圧力などを調整し決定する。一般的には,細かい研削材を使用
し,低い空気圧力で行う。
b) スポットブラスト処理 スポットブラスト処理は,エアーブラスト方法及びモイスチュアブラスト方
法と同じ処理方法であり,完全な状態で塗膜及び金属コーティングされている場合において,一部目
視できる部分的なさび及び溶接部だけをブラスト処理する。スポットブラスト処理とスィープブラス
ト処理とを併用してもよい。これらの処理を行った場所は,再塗装処理などを行う前に洗浄処理が必
要である。
c) ウォーターブラスト処理 ウォーターブラスト処理は,加圧された清浄な水の噴流を洗浄及び離す
る対象物へ噴射し,除去する処理方法である。水の圧力は,付着汚染物の溶解度,薄いさび度及び劣
化塗膜の度合いによって決まる。洗浄工程上,洗剤を使用した場合は,清浄水で洗い流す必要がある。
一般的には,高圧ウォーターブラスト処理は70170 MPaに,超高圧ウォーターブラスト処理は170
MPa以上に使用され,70 MPa以下は水洗浄として使われる。
注記 5.2.4のウォータージェットブラスト方法とは違い,研削材を混合しない。
参考文献
JIS H 8200 溶射用語
――――― [JIS Z 0310 pdf 15] ―――――
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JIS Z 0310:2016の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8504-1:2000(MOD)
- ISO 8504-2:2000(MOD)
JIS Z 0310:2016の国際規格 ICS 分類一覧
- 25 : 生産工学 > 25.220 : 表面処理及び被覆加工 > 25.220.10 : 下地ごしらえ
JIS Z 0310:2016の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ0103:1996
- 防せい防食用語
- JISZ0311:2004
- ブラスト処理用金属系研削材
- JISZ0312:2016
- ブラスト処理用非金属系研削材
- JISZ0313:2004
- 素地調整用ブラスト処理面の試験及び評価方法