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Z 8101-3 : 1999 (ISO/FDIS 3534-3 : 1999)
説明変数の値として,許される値の集合。
参考 実験の場ともいう。
1.5 因子,要因 いんし,よういん
factor
応答変数に対する効果を評価することを意図して,変動させている説明変数。
備考1. 因子は,実験結果に対する見逃せない変動原因となる場合がある。
2. ここでは“因子”という用語を説明変数(1.3)の同義語としており,一般用語としての“因子
(factor)”よりは,限定的に用いている。
3. 因子はブロック(1.11)の構成にも関連する場合がある。
参考 最適の水準を選ぶ目的でとり上げる因子を制御因子という。最適水準を選ぶことを目的とせず,
他の制御因子との交互作用を調べることを目的としてとり上げる因子を標示因子という。
1.6 水準 すいじゅん
level
因子の設定可能な値あるいは設定可能な割りつけ。
備考1. “説明変数の値”が,同義語である。
2. “水準”という用語は,通常は量的特性に対して使う。しかし,質的特性の設定を識別する
のにも用いる。
例 触媒に関する二つの水準は,例えば“用いる”か“用いない”かである。熱処理の四つの水準は,
例えば100℃,120℃,140℃,160℃である。試験室に関する質的変数としては,例えば3種の分
析機器に応じて,水準をA,B,Cとすることができよう。
備考3. 一つの因子の様々な水準に対して応答変数を観測すれば,実験の水準範囲内での因子の効果
を定める情報が得られる。水準範囲を超えた外挿は,仮定したモデル式に対して確証がない
限り,通常不適切である。水準範囲内での内挿の妥当性は,水準数と水準間隔に依存するこ
とがある。実験水準の範囲内に,極端な変動を引き起こすような不連続な関係や多峰性が生
じていない限り,内挿は通常妥当である。水準は,選択された規定値(値自体は,既知の場
合も未知の場合もある)に限定される場合もある。また,水準が研究範囲からの純粋にラン
ダムな選択で与えられる場合もある。
1.7 実験誤差 じっけんごさ
experimental error
応答変数の変動の中で,因子やブロック,若しくは,実験実施に関するその他の寄与として説明できな
い変動。
備考1. 実験の材料や環境条件,実験操作を注意深く制御しても,実験を繰り返せば,各試行ごとに
その結果が変動することは,実験の一般的な特性である。したがって,実験誤差が生じるこ
とが,一般的である。この変動が,実験結果から得られる結論にある程度の不確実性を生じ
させる。このため,結論に至る際には,この変動を考慮すべきである。
2. 個々の応答変数の誤差に関するこの漠然とした概念的枠組みを具体的なものに進化させるた
めに,残差(1.21),確率変数としての誤差(1.22),純誤差(1.23) といった用語が用意されてい
る。
3. 実際の実験が,“併行条件 (JIS Z 8101-2 : 1999, 2.12)”や“再現条件 (JIS Z 8101-2 : 1999,
2.15)”で行われるならば,それらの実験条件で求められる“併行標準偏差 (JIS Z 8101-2 : 1999,
――――― [JIS Z 8101-3 pdf 6] ―――――
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Z 8101-3 : 1999 (ISO/FDIS 3534-3 : 1999)
2.13)”や“再現標準偏差 (JIS Z 8101-2 : 1999, 2.16)”が,それぞれの実験誤差と関連して興
味の対象となる。
1.8 分散成分 ぶんさんせいぶん
variance component
要因効果あるいは実験誤差を表す確率変数の分散。
備考1. モデルyij= 槿 攀椀柿 ここで,椰 それが取り得る値の無限集合からランダムに抽
れた水準であり, 椰攀椀 布は独立である。 椰 攀椀艸 率変数である。可能な水準から
無限集合からのランダムな選択がなされた後には,解析は 椰湛 侮 暈
確率構造の観点からは,分散を含む方程式
椀
Var (yij) =Var ( Var ( 攀椀
を考えることに意味がある。ここで右辺を 攀 攀 椀 散成分を
記号である。
2. 枝分れ実験や要因実験への拡張も可能である。
1.9 実験単位 じっけんたんい
experimental unit
特定の処理を受ける単位体。
参考 実験単位に対する処理の結果として,応答変数の値が生成される。
1.10 処理 しょり
treatment
各因子の特定の水準設定。
1.11 ブロック ぶろっく
block
実験単位の全体集合よりは均一となるように実験単位(1.9)を集めたもの。(1.28も参照)
備考1. “ブロック”という用語は,元来農場を風当たり,地下水への近さ,耕地層の厚さといった
共通条件で分割する農事試験に起因する。ブロックとして用いられる他の例は,原材料のバ
ッチ,オペレータ,一日の内で検討される対象単位の数などである。
2. ブロックの存在を意識することで,実験単位に処理を割り付ける方法が,変更されるのが一
般的である。
1.12 1因子実験 いちいんしじっけん
one-factor experiment
単一の因子について,その因子が応答変数に効果があるか否かを調べる実験。
参考 一因子実験と表記してもよい。
例 次のモデルを考える。
y= 槿 攀
ここで,yは応答変数, 椰 子の第i水準の平均応答, のすべての効果と変動の原因を
表現する確率変数。
この理論モデルによって,応答変数yと,因子の水準に依る効果 楓 び誤差項 連付けら
れる。応答変数に対する因子の効果が, 榕 違に反映する。この場合,応答変数の平均は,
因子の水準の関数となる。
このモデルの別の表記法は,次のようになる。
――――― [JIS Z 8101-3 pdf 7] ―――――
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Z 8101-3 : 1999 (ISO/FDIS 3534-3 : 1999)
y= 愀槿 攀
ここで,yは応答変数, 応答変数の総平均, 愀椰 子の第i水準により上乗せされる調整
量, のすべての効果と変動の原因とを表現する確率変数である。
1.13 主効果 しゅこうか
main effect
応答変数の平均に対する単一因子の影響。
備考 水準の因子については,主効果は一つの水準からもう一つの水準へ移ったときの応答変数の変
化と関連する。水準を−1(例えば,“低い”)と+1(例えば,“高い”)で表せば,因子の主効
果の推定値は,因子が+1のときの応答の平均値から,因子が−1のときの応答の平均値を引い
たものである。次のモデルを考えよう。
y= 戀 攀
ここで,y, 桔 様であり,Xは上記したように+1か−1である。また, 戰
子Xによる調整量を表す。 戰 因子Xの主効果の1/2に等しくなることに注意されたい。 戰
0の場合には,Xは,Xの水準にかかわらず応答変数の平均に対して影響を及ぼさない。すなわ
ち,Xの主効果は0ということになる。
1.14 ばらつきの効果 ばらつきのこうか
dispersion effect
応答変数の分散に対する単一因子の影響。
備考 因子が応答変数の平均にそれほど影響を与えなくても,応答変数のばらつきには大変な影響を
与える可能性を認識することが大切である。そのような状況では,因子の特定の水準が応答変
数の変動を低くさせる,あるいは一貫させるといった意味で,非常に好ましいことがある。な
お,応答変数の平均と分散の両方に影響を与える因子の存在もあり得る。
1.15 2因子実験 にいんしじっけん
two-factor experiment
応答変数に影響を与え得る二つの異なる因子を同時に検討する実験。
備考 二つの因子が互いに干渉しなければ,“主効果”という用語を適用すべきである。すなわち,個々
の因子に対して主効果とは,応答変数の平均に対するそれぞれの因子の寄与である。
参考 二因子実験と表記してもよい。
1.16 k因子実験 けーいんしじっけん
k factor experiment
応答変数に影響を与え得るk個 (k≧2) の異なる因子を同時に検討する実験。
備考 一般的な同義語として,多因子実験 (multi-factor experiment) がある。
1.17 交互作用 こうごさよう
interaction
応答変数に対する一つの因子の影響が,ほかのいくつかの因子に依存している程度を表す効果。
備考1. 交互作用は,応答に対して一つの因子の主効果では表せず,もう一つの因子の水準に依存す
る程度を示す。交互作用は差の効果とも言われる。以下の図でこれらの現象を示す。
――――― [JIS Z 8101-3 pdf 8] ―――――
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Z 8101-3 : 1999 (ISO/FDIS 3534-3 : 1999)
2. 一般に交互作用は二つの因子について考える。より正確には,それは2因子交互作用あるい
は1次の交互作用と言われる。もちろん,三つの因子,例えばA,B,Cにおいて,1次の交
互作用ABが因子Cの水準に依存するという交互作用を考えることもできる。この場合,2
次の交互作用があるという。同様に,3次,4次,より高次の交互作用を考えることもできる。
3. 1.1の例3.において,二つの因子とそれらの2因子あるいは1次の交互作用 椀 の
モデルが与えられている。
参考 主効果と交互作用とを総称して要因効果という。
1.18 交絡 こうらく
confounding
二つ以上の要因効果(主効果及び/又は交互作用)が区別できないように計画的に組み合わせること。
備考 交絡は重要なテクニックの一つで,例えば実験において特定のブロックを効率的に利用するこ
とを可能にする。これは,検討の対象でない効果(主効果あるいは交互作用)を前もって選び
ブロック効果に交絡させ,他の重要な効果がそのような交絡から免れるように,計画を立てる
ことによって行われる。交絡は実験の実施計画(1.30)の試行回数を減らすためにも計画的に用い
られる。しかし時に,実験を行っている最中に計画が不注意で変わったり,不完全な計画から
交絡が生じ,実験の効率が落ちたり,あるいは実験が無効になることさえある。
1.19 別名 べつめい
alias
<統計>実験の性質のため,他の主効果や交互作用が完全に交絡している効果(主効果あるいは交互作用)。
1.20 曲線関係,曲線性 きょくせんかんけい,きょくせんせい
curvature
予測変数と応答変数の直線関係からの乖離(かいり)。
備考1. 曲線関係は名義的な,又は順序的な,若しくは質的な説明変数ではなく,量的な説明変数に
対して意味がある。曲線関係を見つけるために因子は3水準以上でなければならない。例えば,
反復された中心点(因子の高と低の中央)は曲線関係の発見や評価を可能にする。また,因
子の水準の範囲を拡げることが曲線関係を観測するために必要になることもある。
2. 1.12の例で示したモデルに戻れば,曲線関係は
Y= 戀 最堀 攀
のような形で簡単にモデル化することができる。もし, 直線
関係に比べて曲線関係があるということになる。
1.21 残差 ざんさ
residual
応答変数における観測値と予測値との差。
――――― [JIS Z 8101-3 pdf 9] ―――――
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Z 8101-3 : 1999 (ISO/FDIS 3534-3 : 1999)
備考 応答変数の予測値は想定したモデルに基づき,そのモデルのパラメータはデータから推定され
る。
例1. yij ai j は,1.1の例2.のモデルを用いたAの第i水準,Bの第j水準の実験単位の残差
である。
2. yijk ai j ij は,1.1の例3.のモデルに対する残差である。
0 1xi 2 xi2
3. yi e は,1.1の例4.のモデルに対する残差である。
1.22 (確率変数としての)残差,実験上の残差 (かくりつへんすうとしての)ざんさ,じっけんじょ
うのざんさ
residual error
応答変数の観測値と,想定したモデルに基づき求めた応答変数の予測値との差を表す確率変数。
備考1. この定義のために,応答変数の予測値という用語は,想定したモデルを用いて実験のデータ
から導かれた経験的なモデルによって定められた処理に対して求めた応答変数の推定値と解
釈される。
例 帰 1.13の備考における 戰
定量ならば,
y x は予測変数の値がxの
ときのyの観測値が与えられたときの(確率変数としての)残差である。
備考2. (確率変数としての)残差は実験誤差とモデルによって考慮されていない避けられない原因
の変動を含んでいる。
3. (確率変数としての)残差の分散は通常,一つの実験において総平方和から想定したモデル
に含まれる項に関してプールされた平方和を引き,対応する差の自由度で割ることによって
推定される。(3.3の例1.と3.4の例を参照。)
参考 複数の平方和を合算して一つの平方和にすることをプーリングという。プーリング後の平方和
の自由度は対応する平方和の自由度の和になる。
1.23 純誤差,純粋な誤差 じゅんごさ,じゅんすいなごさ
pure error
固定した処理組合せで観測を反復した際の観測値の変動を表す確率変数。
備考1. 計画の中心点のみで反復が行われた場合,中心点の応答に関する標本分散は,純誤差の分散
の推定値を与える。もし,複数の処理組合せで反復が行われた場合,純誤差の分散の総合的
な推定値は,処理組合せごとに推定値を求め,それらをプールすることによって求められる。
nij
1
例 1.1の例3.に戻ると,固定した (i, j) に対する純誤差の分散の推定値は yijk yij とな
nij 1
k 1
る。ここで, nij である。もし,各 (i, j) の組合せで反復が生じた場合,純誤差の分
1
yij yijk
nij
k 1
1
散のプールした推定値は yijk yij ,ここで,i=1,···,I ; j=1,···,J ; k=1,···,nijと
N IJ i, j, k
いう形になる。
備考2. 純誤差という用語は,実際には二つの異なった意味で使われる。一つは数学モデルに関係し
て母分散( を指す。もう一つは,推定された(確率変数としての)残差に関連して,モ
デルのあてはまりの不足を検定するための基準を与える標本純誤差あるいは経験的な純誤差
――――― [JIS Z 8101-3 pdf 10] ―――――
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JIS Z 8101-3:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/FDIS 3534-3:1999(IDT)
JIS Z 8101-3:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学(用語集)