JIS Z 8101-3:1999 統計―用語と記号―第3部:実験計画法 | ページ 7

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備考2. 主効果プロットは,個々の因子について,各水準の平均応答を与える。応答に対する各因子
の影響の性質や大きさをはっきりと理解できる。交互作用の存在により各因子の効果が隠れ
ることがある。
3.1.2 交互作用プロット こうごさようぷろっと
interaction plot
二つの異なった因子の水準で平均応答をプロットしたもの。交互作用(1.17)を参照。
備考 交互作用プロットは交互作用を説明するための図による検出ツールである。平行性からの乖離
が交互作用の指標となる。
3.1.3 効果の分位点プロット こうかのぶんいてんぷろっと
quantile plot of effect
要因実験や一部実施法において推定された効果に対する標準正規分位点のプロット。
例 図は3.1.1の例で示したデータについてのものである。
例 反復が行われていない実験に対して,このプロットが主要な効果を示唆するであろう(打点の大
部分を通るように引いた“ガイドライン”から右や左に大きく離れている点がそれに当たる。)。
上の例では,効果の値が24である右上方の点は温度の効果に対応する。

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3.1.4 残差プロット ざんさぷろっと
residual plot
特定の因子の水準あるいは予測値に対して残差をプロットしたもの。
例 3.1.1の例について,四つの主効果とBDの交互作用をもつモデルを用いて図示する。
3.2 最小二乗法 さいしょうじじょうほう
metbod of least square
攀\ ラメータ推定の技法。ここで,eは観測値と仮定されたモデルによる予測値との差で
あり,和はすべての処理についてとる。
備考 一般に,個々の観測値の実験誤差は独立であることが仮定されているけれども,誤差に相関が
ある場合に推定の方法を調整することは可能である。普通の分散分析,回帰分析及び共分散分
析はすべて最小二乗法を基礎としており,それぞれ異なった計算上及び解釈上の利点がある。
それは実験の配置の中でデータの群分けを可能にするある種のバランスに由来する。
3.3 回帰分析 かいきぶんせき
regression analysis
応答変数に説明変数を結びつけるモデルを評価するための手続きの集まり。
備考1. 回帰分析には,ある目的関数の値を最適化すること(例えば,観測値と仮定されたモデルに
よる予測値との差の二乗和を最小化すること)によって,仮定されたモデルのパラメータを
推定する過程が付随している。統計のソフトウェアがあるため,パラメータの推定値やその
標準誤差を求めること,及び,多くのモデル診断を行うことが容易になった。また,回帰分
析は応答の他の尺度を考慮することを容易にしている。例えば,繰返しのある要因実験にお
いてばらつきの効果に関心がある場合,Si2(ここで,Si2は繰返し点の試料分散である)の対
数は,応答変数そのものより解析及び解釈に適している。
参考 標本分散の記号にSi2を用いているが,この規格の第1部2.19ではsi2を用いている。
備考2. 回帰分析は,分散分析と似たような役割を果たしているが,因子の水準が連続的であり,ま
た,明示的な予測モデルに重点が置かれている場合に特に適切である。分散分析の一般的な
使用に要求されるバランスが,回帰分析には要求されないことから,欠測値のある計画され
た実験にとって,回帰分析は有用である。しかし,バランスがとれていないことによって,
仮説検定の次数依存性(最初の相関項に共通的な要素が含まれ,次の項に含まれないこと)

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が増すとともに,バランスした実験の他の有利な点がなくなってしまう。バランスした実験
においては,この二つの技法は単に最小二乗法の変形であり,同様の結果を与える。
参考 予定した実験の割り付けにおいて,何らかの事故のため得られなかった値を欠測値 (missing
values) という。
例1. 23の要因実験で,三つの量的な因子を持った直交計画(2.8参照)を考える。
ここで,繰返し1回で,各実験単位に対して仮定されたモデルは,
Y=b0X0+b1X1+b2X2+b3X3+e
である。ここで
X0=1
X1は因子Aの水準
X2は因子Bの水準
X3は因子Cの水準
eは偶然誤差
である。
このモデルは,−1及び+1でコード化された水準をもつ三つの質的因子に対しても適用可能
である。
例1.の回帰分析表
4
(記号 : ,ここで X i X ji / 4 )
xji X ji X ,i
j 1
要因 回帰係数 平方和 (S. S.) 自由度 (D. F.)平均平方 (M. S.)
合計 2 8 −
Sr Yi
定数 (X0) x0iYi Sx0=戀ヰ 椀 椀 1 Sx0
0 2
x0 i
X1 (A) の回帰 x1iYi Sx1=戀 椀 椀 1 Sx1
1 2
x1i
X2 (B) の回帰 x2iYi Sx2=戀 椀 椀 1 Sx2
2 2
x2 i
X3 (C) の回帰 x3iYi Sx3=戀 椀 椀 1 Sx3
3 2
x3 i
残差 SE=ST−Sx0−Sx1−Sx2−Sx3 4 SE/4
備考3. もし,23の要因実験が同じブロック内で繰り返されたとしたら,“合計”(1行目)の自由度は
16に,“残差”の自由度は12になる。“残差”の平方和は,“繰返し”と“あてはまりの悪さ”
の二つの要素に分けられることになる。そのそれぞれは8及び4の自由度を持つ。
例1.の回帰分析表−繰返しのある実験のための補遺
ばらつきの要因 平方和 (S. S.) 自由度 (D. F.) 平均平方 (M. S.) 期待値
残差 SE 12 SE/12
繰り返し SR Yij Yi 8 SR/8
j
あてはまりの悪さ SL=SE−SR 4 SL/4
それぞれの要因の統計的な有意性は,適切な正規性の仮定の下で,その要因及び適切な誤

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差項の平均平方に対するF−統計量を用いて検定される。繰返しのない場合,“回帰”項は“残
差”項によって検定される。繰返し2回の場合,モデルが不適切であるか否かを決定するた
めに,“あてはまりの悪さ”項は“繰返し”(“実験誤差”)項によって検定される。“繰返し”
項は,“残差”項に含まれ得るモデルの不適切さによる潜在的な影響を除いた実験誤差の指標
を表している。
3.4 分散分析試 ぶんさんぶんせき
analysis of variance ANOVA
応答変数の全変動を,特定のばらつきの要因に伴う意味ある要素に分ける技法。
備考1. 分散分析は,分散成分(1.8参照)の推定及びモデルのパラメータに対する仮説の検定に用い
られる。
分散分析表は一般に次の列を含んでいる。
− ばらつきの要因
− 平方和,sum of squares (SS)
− 自由度,degrees of freedom (DF)
− 平均平方,mean square (MS)(平方和を自由度で割ったもの)
− F(その行の平均平方の誤差に付随した平均平方に対する比)
− 平均平方の期待値(モデルのパラメータの項で表される平方和の数学的期待値)
表の行は特定の要因効果又は交互作用,ブロック(ブロックが実験計画に含まれている場
合),又は誤差(モデル又はブロックによって説明されずに残った効果)を表している。“合
計”の行は,一般にサンプルサイズから1を引いた自由度を持った全平均まわりの全平方和
を表している
参考 平方和の計算で用いられる 総合計2 を修正項という。
観測値の総数
例 乱塊法において,r個のうちj番目のブロックで,因子Aのt水準のうちi番目の水準により得ら
れる観測値をYij (i=1,2,···t,j=1,2,···r) と表す。主要な因子Aは母数因子,因子Bはブロ
ック因子である。このとき,次の分散分析表が計算される。
分散分析 (ANOVA) 表
要因 平方和 自由度 平均平方 F 平均平方の期待
(S. S.) (D. F.) (M. S.) 値 (E [M. S.])
合計 Sr Yij Y hl−1 − − −
i j
因子 A SA h YijYi l−1 MSA
SA MSA hK2A
i vA F vA, ve S
(処理) M
因子 B SB l Yij Yi h−1 MSB
SB MSB lK2B
i vB F vB, ve Se
(ブロッ M
ク)
誤差 Se Yij Yi Yj Y (l−1) (h−1)
MSe
Se −
i j ve
参考 フランス語では平方和の記号をS. C.,自由度をD. L.,平均平方をC. M. と表す。
分散分析表において
ST=SA+SB+SC

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F( はF統計量である。
観測値の一つのモデルは次式で与えられる。
Yij= 愀槿 戀 eij ; i=1, 2···, l ; j=1, 2···, h
ここで
台愀槿 台戀 0 ; eijN (0,
a2i 2
j
K2 A ; K 2B
l 1 h
また
平均
愀椰 極 の処理の効果
戀 のブロック効果
eijは実験誤差。
である
この例では,母数模型が仮定されている。 懿 戀 び 湧\ 豎 定値は次のように与
えられる。
Y Yij / hl
i j
ai Yi Y Y
Yij / h
j
j Yj Y Y
Yij / l
i
2
2 Yij Yi Yj Y
S2e
i j l 1 h 1
例に示した簡単な公式は乱塊法のセルの中の観測値が同数である場合のものである。
備考2. 基本的な仮定は次のとおりである。すなわち,すべてのばらつきの要因による効果は加法的
であること,また,実験誤差は独立で,平均値は0,同じ分散(等分散性)をもって正規分布
していること,である。F比に関連して,この技法は,これらの要因の効果の有意性検定,
及び/又は,これらの要因による分散の推定のために使われる。正規分布の仮定は有意性検
定及び信頼区間のために必要である。平均値及び交互作用は二元(又はk元)表に要約する
ことによって見ることができる。この例は,母数模型(モデル1)(3.4.1参照)を仮定してい
る。誤差の正規分布の仮定ができない場合には,応答変数の変換(例えば対数変換)を行う
こと,または,ノンパラメトリックな方法を適用することが可能なこともある。
参考 要因効果の推定量の分散 一 地 neを有効反復数という。
3.4.1 母数模型の分散分析 ぼすうもけいのぶんさんぶんせき
fixed effects analysis of variance
因子の水準が,各因子の値の範囲内でそれぞれ予め一定値に定められた場合の分散分析。
備考 母数模型の場合,分散成分を計算することは不適切である。この模型は,分散分析モデル1と
も呼ばれる。

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