JIS Z 8101-3:1999 統計―用語と記号―第3部:実験計画法 | ページ 6

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Z 8101-3 : 1999 (ISO/FDIS 3534-3 : 1999)
2.4 応答曲面計画 おうとうきょくめんけいかく
response surface design
応答変数と説明変数群の関係を研究することをねらいとした実験計画。
備考1. これらの計画を用いることの明らかな利点は,応答変数を改善するため,説明変数に関する
連続的な調節についての示唆が得られる点である。
例1. 中心複合計画 (central composite design) の例を示す。
これは効率的な計画(典型的には回転可能)となるように選ばれた頂点,星型点,中心点か
らなる処理の組合せである。三つの説明変数について,次の組合せは中心複合計画となる。
実験単位 x1 x2 x3
1 −1 −1 −1
2 1 −1 −1
3 −1 1 −1
4 1 1 −1
5 −1 −1 1
6 1 −1 1
7 −1 1 1
8 1 1 1
9 0 0 0
10 0 0 0
11 −2 0 0
12 2 0 0
13 0 −2 0
14 0 2 0
15 0 0 −2
16 0 0 2
実験単位1−8は計画の頂点への配置であり,これは23要因計画に等しい。説明変数の水準
はコード化して示している。実験点9,10は中心点,実験点11−16は星型点である。最初の8
個の実験点についてまずは一つのグループとして実験が行われ,その後に残りの実験点が行わ
れると推察される。(実際の実験順序は無作為化されるべきである。)中心複合計画では計画を
逐次的に組み合わせることが容易である。この計画によって収集されたデータに対するモデル
は,
線形 (x1,x2, x3) ,2乗 (x12, x22, x32) ,2因子交互作用 (x1x2, x1x3, x2x3) からなる。
備考2. 中心複合計画の変形として,ある因子(群)の水準数を減らした面中心型中心複合計画があ
り,これはすべての星型点を 懿 1とすることによって導かれる。因子の水準数を減らすこと
によって,回転可能性が損なわれることがある(因子の数に依存する)。
例2. ボックス−ベーンケン計画 (Box−Behnken design) は,2k要因計画に釣合い型不完備ブロック
計画を組合わせることにより構成される。次は3変数のBox−Behnken計画である。

――――― [JIS Z 8101-3 pdf 26] ―――――

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実験単位 x1 x2 x3
1 0 −1 −1
2 0 1 −1
3 0 −1 1
4 0 1 1
5 −1 0 −1
6 1 0 −1
7 −1 0 1
8 1 0 1
9 −1 −1 0
10 1 −1 0
11 −1 1 0
12 1 1 0
13 0 0 0
14 0 0 0
15 0 0 0
例3. 五角形計画 (pentagon design) は,2因子で単位円(水準をコード化した場合)上に等距離に位
置する五つの点からなる計画で,可能ならば中心点を反復する。この定義を満たす五つの点は :
(1,0), (0.309,0.951), (−0.809,0.588), (−0.809,−0.588), (0.309,−0.951) である。
これらの値は,cos (72°) =0.309,sin (72°) =0.951のようになっている。
例4. 六角形計画 (hexagon design) は,2因子で単位円(水準をコード化した場合)上に等距離に位置
する六つの点からなる計画である。可能ならば中心点で反復を実施する。この定義を満たす六
つの点は : (1,0), (0.5,0.866), (−0.5,0.866), (−1.0,0), (−0.5,−0.866), (0.5,−
0.866) である。これらの値は,cos (60°) =0.5,sin (60°) =0.866のようになっている。
備考3. 単位円に内接する任意の正多角形は,応答曲面計画のクラスの中で基礎となる回転可能計画
となる。
2.5 配合計画,混合計画 はいごうけいかく,こんごうけいかく
mixture design
説明変数の総和がある一定量という制約がある場合の実験計画。
備考 配合計画の最も典型的な例は,合金要素の混合の比率を因子として取り上げた場合である。こ
の計画空間はX1+X2+···+Xk=1を満たさなければならない。例えば,それぞれの要素に最低
レベルがある場合のように,他の制約も取り入れる場合の計画もいくつか用意されている。配
合実験の取り扱いについては参考文献[9]に包括的に述べられている。
2.6 枝分れ計画 えだわかれけいかく
nested design, hierarchical design
ある因子のすべての水準が,他のすべての因子の一つの水準だけに現れる実験の計画。
備考1. この計画は主として因子の分散成分を評価するために用いられる。三つの因子をA,B,C
とするとき,Bの全水準が因子Aの一つの水準だけに現れ,同様にCの全水準が因子Bの一
つの水準だけに現れる。k因子 (k≧2) の枝分れ計画は,k段枝分れ計画 (k-stage nested design)
と呼ばれることがある。

――――― [JIS Z 8101-3 pdf 27] ―――――

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例 三つの異なる供給者が四バッチの原材料を,ある会社に納品し,バッチの純度を評価するという
状況を想定する。
図に表したように,例えば,供給者1のバッチ1と供給者2のバッチ1は区別されるため,バ
ッチは各供給者から枝分れしている。バッチという因子名は同じであるが,バッチという因子と
供給者という因子は交差していない。この例で,供給者からのバッチ数がそれぞれ異なっていて
も枝分れ計画である。次の構成もまた枝分れ計画である。
しかし,各供給者からのバッチ数が一定であれば,解析はずっと簡単になる。
備考2. 一般に枝分れ計画では,水準の差や予測モデルではなく,分散成分として結果を評価するた
めに用いられる。
2.6.1 バランス型枝分れ計画,完全枝分れ計画 ばらんすがたえだわかれけいかく,かんぜんえだわかれ
けいかく
balanced nested design,fully nested design
上位の因子内での水準数が一定の枝分れ計画。
例 次の図はバランス型枝分れ計画を示している。
この計画は,各試験室が2日(因子Bの水準数が2)にわたり,各日とも2回測定(因子Cの
水準数が2)を行うので,バランス型枝分れ計画である。日は,与えられた測定環境の中ではラ
ンダムに選ばれたものと考え得るので,各試験室で実験を行った日は異なっているであろう。
備考 構造を変えることで問題がより深い意味を持つようになる場合には,下位の因子の水準が他の
因子と交差するように因子の定義を調整できることがある。B1を月曜日にし,B2を金曜日とし
よう。こうすることによって,試験室ごとに無関係な日の割り当てが,試験室を通じて共通の
設定となるので,一つの興味ある問題として月曜日と金曜日の測定結果の比較ができるように
なる。この計画の形状は,もはや枝分れ的ではなく二元的(すなわち,一つの因子の水準が他
の因子のすべての水準と組み合わせられている)な意味を持ち,要因実験とみることができる。
2.6.2 スタッガード型枝分れ計画 すたっがーどがたえだわかれけいかく
staggered nested design
2番目に枝分れしている因子が,1番目に枝分れしている因子の片方の水準では2水準をもち,1番目に
枝分れしている因子の他方の水準では1水準だけもつ枝分れ計画。

――――― [JIS Z 8101-3 pdf 28] ―――――

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備考 スタッガード型計画では,すべての因子の影響がほぼ等しい自由度で推定される。
参考 スタッガード型計画の分散分析では,各平方和の自由度がほぼ等しくなる。しかし,分散成分
として推定される因子の効果の自由度までが等しくなるわけではないので,原国際規格の備考
は不正確である。
2.7 最適計画 さいてきけいかく
optimal design
ある基準,典型的には計画行列の関数を最適化するように因子の水準を設定した実験計画。
備考 取り上げた基準を最適化する計画を求める際,モデルが正しいという前提で求められているこ
とを注意しておく。もしモデルが正しくない場合には,最適計画は理論的には(すなわち数学
的には)最適かもしれないが,実践的な意味で有用ではないかもしれない。ここに示すいくつ
かの計画は最適計画として考慮することができる。
2.7.1 計画行列 けいかくぎょうれつ
design matrix
行が個々の処理(可能ならば仮定したモデルに従って変換したもの)を表現し,仮定したモデルに基づ
く処理の水準から導かれる水準(交互作用,2乗項など)によって構成されている行列。
備考1. ある与えられた実験の実施計画に対して,仮定したモデルに応じて複数の計画行列を想定す
ることができる。
2. 計画行列は一般的にはXと表記される。Xのそれぞれの行は実験の一つの処理に対応する。
もし総平均項 デルに含まれているならば,Xの第1列は全要素が1である。それ以外の
列は,因子,又は説明変数の関数として表すことができる。
2.7.1.1 D−最適計画 でぃ−さいてきけいかく
D−optimal design
X'Xの行列式を最大化する計画。
参考 X'で行列Xの転置行列を表している。
備考 D−最適計画のための基準は,計画行列Xを用いた場合の回帰係数の信頼楕円の体積に関連す
る。2.2で紹介したプラケット・バーマン (Placket−Burman) 計画は主効果のみのモデルに対し
てD−最適計画である。
2.7.1.2 A−最適計画 えー−さいてきけいかく
A−optimal design
X'Xのトレース(対角要素の和)を最大化する計画。
備考 A−最適基準は回帰係数の信頼楕円の体積の真球への近さに関連している。
2.7.1.3 G−最適計画 じーさいてきけいかく
G−optimal design
計画空間において応答変数の分散の最大値を最小化する計画。

――――― [JIS Z 8101-3 pdf 29] ―――――

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備考 G−最適基準は直接的あるいは明示的にXを含んではいない。しかしながら,数学的にD−最
適性とG−最適性は同値であることが導かれており,D−最適計画を求めるために最適化の過
程を容易にするG−最適基準を利用することができる。
2.8 直交計画 ちょっこうけいかく
orthogonal design
任意の二つの因子が直交する計画。
備考 直交性とはnij= (ni. ×n. j) /Nがすべての (i, j) 水準の組合せについて,そしてすべての列の組
合せについて成立することである。ただし,
nij = ある2列において水準 (i, j) が出現する数。
ni. = ある列において水準iが出現する数。
n. j = もう一方の列において水準jが出現する数。
N = 総実験単位回数
である。
2.9 飽和計画 ほうわけいかく
saturated design
計画行列の列の数が実験の処理数に等しい計画。
備考 実験単位の総数よりも多くの数の母数 (parameter) をあいまいさを残さずに推定するのは不可
能である。

3. 解析の方法

3.1   図による方法,グラフィカルな方法 ずによるほうほう,ぐらふぃかるなほうほう
graphical methods
実験結果の図による描写に基づく解析。
備考 計画された実験の結果を単純にプロットすることで,とりあえずの効果的な評価を行うことが
できる。
3.1.1 主効果プロット しゅこうかぷろっと
main effects plot
個々の因子について,各水準の平均応答をプロットしたもの。
備考1. 参考文献[3]の10.8節の例を図に示す。応答変数は転化率,説明変数は触媒量 (A),温度 (B),
圧力 (C),濃度 (D) である。各説明変数は2水準で,低い水準を“−”,高い水準を“+”で
表す。24の要因実験が行われた。図から,温度が転化に対して最も実質的な効果があり,触
媒が2番目で,残りの二つの因子はほとんど同等である。打点を結んだ線の傾きが0に対して
有意な差があるかということを評価するためには,追加の解析が必要であろう。

――――― [JIS Z 8101-3 pdf 30] ―――――

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JIS Z 8101-3:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/FDIS 3534-3:1999(IDT)

JIS Z 8101-3:1999の国際規格 ICS 分類一覧