JIS Z 8404-1:2018 測定の不確かさ―第1部:測定の不確かさの評価における併行精度,再現精度及び真度の推定値の利用の指針 | ページ 2

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Z 8404-1 : 2018 (ISO 21748 : 2017)

2 引用規格

  この規格に引用規格はない。

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
注記 “中間精度条件”については,JIS Z 8402-3:1999を参照。
3.1
かたより(bias)
試験結果又は測定結果の期待値と真の値との差。
注記1 かたよりは,偶然誤差と対比される系統誤差の全体である。かたよりに寄与する系統誤差は,
一つ以上あることもある。真の値からの大きな系統的なずれがあると,大きなかたよりとな
る。
注記2 測定器のかたよりは,通常,表示値の誤差を適切な回数の繰返し測定について平均すること
によって推定される。指示値の誤差は,“測定器の指示値から相当する入力量の真の値を引い
た値”である。
注記3 現実には,合意された参照値が真の値の代用となる。
(JIS Z 8101-2:2015の3.3.2参照)。
3.2
合成標準不確かさ(combined standard uncertainty)
測定結果を幾つかの他の量の値から求めるときの,測定結果の標準不確かさ。これは,これらの各量の
変化に応じて測定結果がどれだけ変わるかによって重み付けした,これらの各量の分散又は共分散の和の
正の平方根に等しい。
(ISO/IEC Guide 98-3:2008の2.3.4参照)。
3.3
包含係数(coverage factor)
拡張不確かさ(3.4)を求めるために,合成標準不確かさ(3.2)に乗じる数として用いる数値係数。
注記 包含係数kは,代表的には23の範囲にある。
(ISO/IEC Guide 98-3:2008の2.3.6参照)。
3.4
拡張不確かさ(expanded uncertainty)
測定結果の周りの,合理的に測定対象量に結び付けられ得る値の分布の大部分を含むと期待される区間
を定める量。
注記1 この部分の割合は,区間の包含確率又は信頼の水準と考えてもよい。
注記2 拡張不確かさによって定める区間に特定の信頼の水準を割り当てるには,測定結果及びその
合成標準不確かさ(3.2)が特徴付ける確率分布に関する明示的又は暗示的仮定を必要とする。
このような仮定が正当化できる程度においてだけ,この区間に付随する信頼の水準を知るこ
とができる。
注記3 参考文献[20]の段落5では,拡張不確かさを,総合不確かさ(overall uncertainty)と呼んでい
る。
(ISO/IEC Guide 98-3:2008の2.3.5参照)

――――― [JIS Z 8404-1 pdf 6] ―――――

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Z 8404-1 : 2018 (ISO 21748 : 2017)
3.5
精度,精密度,精密さ(precision)
定められた条件の下で繰り返された独立した試験結果と測定結果との間の一致の程度。
注記1 精度は偶然誤差の分布だけに依存し,真の値又は特定の値には関係しない。
注記2 通常,精度は,その悪さ(imprecision)によって表現され,試験結果又は測定結果の標準偏
差として計算される。標準偏差が大きいと,精度が悪い(又は精度が低い)という。
注記3 精度の定量的尺度は,規定された条件に大きく依存する。併行条件(3.7)及び再現条件(3.10)
は,両極端の規定された条件である。
(JIS Z 8101-2:2015の3.3.4参照)。
3.6
併行精度,繰返し精度,繰返し性(repeatability)
併行条件(3.7)下での精度(3.5)。
注記 併行精度は,結果のばらつきの大きさで定量的に表現できる。
(JIS Z 8101-2:2015の3.3.5参照)。
3.7
併行条件(repeatability conditions)
同一試験又は測定アイテムについて,同じ方法を用い,同じ試験施設又は測定施設で,同じオペレータ
が,同じ装置を用いて,短時間のうちに独立した試験結果又は測定結果を得る繰返しの条件。
注記 併行条件は,次を含む。
− 同一の測定操作又は試験操作
− 同一のオペレータ
− 同一条件で使用される同一の測定装置又は試験装置
− 同一の場所
− 短時間内での繰返し
(JIS Z 8101-2:2015の3.3.6参照)。
3.8
併行標準偏差(repeatability standard deviation)
併行条件(3.7)下で得られた試験結果又は測定結果の標準偏差。
注記1 これは,併行条件下での試験結果又は測定結果の分布のばらつきの尺度である。
注記2 同様に,“併行分散(repeatability variance)”及び“併行変動係数(repeatability coefficient of
variation)”も定義され,併行条件下での試験結果又は測定結果のばらつきの尺度として用い
られる。
(JIS Z 8101-2:2015の3.3.7参照)。
3.9
再現精度,再現性(reproducibility)
再現条件(3.10)下での精度(3.5)。
注記1 再現精度は,結果のばらつきの大きさで定量的に表現できる。
注記2 結果は,通常,かたよりを補正した結果であると理解されている。
(JIS Z 8101-2:2015の3.3.10参照)。

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Z 8404-1 : 2018 (ISO 21748 : 2017)
3.10
再現条件(reproducibility conditions)
同一の試験又は測定アイテムについて,同じ方法を用い,異なる試験施設又は測定施設で,異なるオペ
レータが,異なる装置を用いて,独立した試験結果又は測定結果を得る繰返しの条件。
(JIS Z 8101-2:2015の3.3.11参照)。
3.11
再現標準偏差(reproducibility standard deviation)
再現条件(3.10)下で得られた試験結果又は測定結果の標準偏差。
注記1 これは,再現条件下での試験結果又は測定結果の分布のばらつきの尺度である。
注記2 同様に,“再現分散(reproducibility variance)”及び“再現変動係数(reproducibility coefficient of
variation)”が定義され,再現条件下での試験又は測定結果のばらつきの尺度として用いられ
る。
(JIS Z 8101-2:2015の3.3.12参照)。
3.12
標準不確かさ(standard uncertainty)
標準偏差で表す,測定結果の不確かさ(3.14)。
(ISO/IEC Guide 98-3:2008の2.3.1参照)。
3.13
真度(trueness)
試験結果又は測定結果の期待値と真の値との一致の程度。
注記1 真度の尺度は,通常,かたより(3.1)で表現される。
注記2 真度は,しばしば“平均値の精確さ”といわれる。しかし,この用語は推奨されない。
注記3 現実には,合意された参照値が真の値の代用となる。
(JIS Z 8101-2:2015の3.3.3参照)。
3.14
不確かさ(uncertainty)
測定結果に付随した,合理的に測定対象量に結び付けられ得る値のばらつきを特徴付けるパラメータ。
注記1 このパラメータは,例えば,標準偏差(又はそのある倍数)であっても,又は信頼の水準を
明示した区間の半分の値であってもよい。
注記2 測定の不確かさは一般に多くの成分を含む。これらの成分の一部は一連の測定結果の統計分
布によって推定することができ,また,実験標準偏差によって特徴付けられる。その他の成
分は,それらもまた標準偏差によって特徴付けられるが,経験又は他の情報に基づいて確率
分布を想定して評価する。
注記3 測定結果は測定対象量の値の最良推定値であること,並びに補正及び参照標準に付随する成
分のような系統効果によって生じる成分も含めた全ての不確かさの成分は,ばらつきに寄与
することを考えている。
(ISO/IEC Guide 98-3:2008の2.2.3参照)。
3.15
不確かさのバジェット表(uncertainty budget)
不確かさ(3.14)の原因及びそれらに伴う標準不確かさの一覧表であり,測定結果に付随した合成標準

――――― [JIS Z 8404-1 pdf 8] ―――――

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Z 8404-1 : 2018 (ISO 21748 : 2017)
不確かさ(3.2)の評価のためにまとめたもの。
注記1 この一覧表は,感度係数(結果に影響する量が単位量変化したときの結果の変化),各標準不
確かさの自由度,タイプA評価又はタイプB評価による各標準不確かさの評価方法などの追
加情報を含むことが多い(ISO/IEC Guide 98-3参照)。
注記2 ISO/IEC Guide 99:2007では,次のように定義されている。
2.33 不確かさバジェット(uncertainty budget)
測定不確かさ,その測定不確かさの成分,並びに,それらの計算及び合成に関する表明(statement)。
注記 不確かさバジェットには,測定モデル,推定値と測定モデルの量に付随する測定不確かさ,
共分散,適用した確率密度関数のタイプ,自由度,測定不確かさの評価のタイプ及び包含
係数を含めることが望ましい。ただし,この訳は仮訳である。

4 記号

a     実験式   
sR a bm における切片を示す定数
B かたよりの試験所成分
b 実験式
sR a bm における傾きを示す係数
Rcmd
c 実験式 s における係数
ci 感度係数 y /ix
d 実験式 sRcmd 式における指数を示す定数
e 併行条件下での偶然誤差
k 包含係数
l 試験所番号
m 複数の測定結果の平均値
N 合成標準不確かさの計算に含まれる寄与成分の数
n' 合成標準不確かさの計算において,共同実験のデータに追加される寄与成分の数
nl 認証標準物質を用いた共同実験における,試験所lによる測定の繰返し回数
nr 測定の回数
p 試験所の数
Q 十分大きなバッチから取った試験品の数
q 共同実験において,合意によって付与された値の数
rij xiとxjとの相関係数
sb 標準偏差で表したグループ間分散成分
sD かたより管理の確認に使用する標準物質の繰返し測定によって得られた結果の推定標準偏差又は実
験標準偏差
sinh 試料の不均質性に付随する標準偏差
sl 併行精度の確認における,試験所lの自由度vlをもつ併行標準偏差の推定値
sL 試験所間標準偏差の推定値
Ls
sLが応答に依存するときの,かたよりの試験所成分Bの標準偏差の調整後の推定値
sr 試験所内標準偏差の推定値(併行条件下での偶然誤差eの推定標準偏差)
rs
要因効果が応答に依存するときの,試験所内標準偏差の調整後の推定値
sR 再現標準偏差の推定値

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Z 8404-1 : 2018 (ISO 21748 : 2017)
Rs
試験所の繰返し標準偏差に対する調整をした後の再現標準偏差の推定値
Rs
要因効果が応答に依存するときの,実験的モデルから計算した再現標準偏差の調整後の推定値
sw 繰返し又はその他の繰返し性の実験によって得られた試験所内標準偏差の推定値
s
共同実験によって求めた,かたより の推定標準偏差
s Δy基準方法による値又は合意によって付与された値と日常の方法による値との比較における差の試験
所間標準偏差
u)( 越 をもつ参照計測標準又は参照標準物質の測定によるδの推定の不確かさに起因するδの不
確かさ
u)( 越 の不確かさ
u(xi) 入力量xiの不確かさ
u(y) yの合成標準不確かさ
ui(y) の合成標準不確かさに対する値xiの寄与成分
u(yi) 測定結果又は付与された値yiの合成標準不確かさ
u(Y) 測定結果Y=f(y1, y2, ...)の合成標準不確かさ
uinh 試料の不均質性に付随する不確かさ
U 拡張不確かさ(合成標準不確かさのk倍)
U(y) の拡張不確かさ[U(y)=ku(y)]
xi 測定結果の計算における,i番目の入力量の値
ix
i番目の入力量の,公称値xからの偏差
Y 他の測定結果yiの関数で表された測定結果
yi 複数の方法間又は共同実験における付与された値と合意によって付与された値との比較において,
基準方法によって得られた試験品iの結果
iy
方法間の比較において,日常の試験方法によって得られた試験品iの結果
Δ 試験所のかたより
Δl 試験所lのかたよりの推定値(試験所の平均値mから認証値 を減じた値)
Δy 日常の測定方法について,基準方法又は合意によって付与された値との比較における,試験所のか
たよりの平均値
δ 測定方法に固有のかたより
推定された又は測定されたかたより
μ 理想的な結果の未知の期待値(真の値)
標準物質の認証値(参照値)
σ0 技能試験での標準偏差
σD かたより管理の確認に使用する標準物質の繰返し測定から得た測定結果の標準偏差の真の値
σL 試験所間標準偏差(Bの標準偏差)
σr 試験所内標準偏差(eの標準偏差)
σw グループ内標準偏差
σw0 十分なパフォーマンスを得るために必要な標準偏差(JIS Q 0033参照)
veff 測定結果yiの標準偏差又は不確かさに付随する有効自由度
vi 不確かさへのi番目の寄与成分に付随する自由度
vl 繰返し性の確認のおける,試験所lの推定標準偏差slに付随する自由度

――――― [JIS Z 8404-1 pdf 10] ―――――

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JIS Z 8404-1:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 21748:2017(IDT)

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