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Z 8503-1 : 2002 (ISO 11064-1 : 2000)
図2 コントロールセンターの人間工学的設計手順
6. フェイズA : 明確化
6.1 全般
このフェイズでは,コントロールセンターの設計に関連する運用目標,関連要件,制約条件
などを明確にする(附属書A参照)。
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Z 8503-1 : 2002 (ISO 11064-1 : 2000)
コントロールセンターの役割と,それに関連するサブシステムとの関係をはっきり規定し,文書化しな
ければならない。図3に両者の関係の典型的な例を示す。主要設備系統,電源系統,通信系統などのサブ
システムの記述と機能も,同様に規定して文書化しなければならない。
図3 コントロールセンターと関連サブシステムの関係
6.2 ステップ1 : 到達目標と背景の要求事項の明確化
フェイズAは,“到達目標と背景の要求事項の明
確化”のステップ一つで構成する。既設又は類似のコントロールセンターでの運用経験は,改善又は新規
プロジェクトにも有効であるので,プロジェクトの開始に当たり,この経験を適切に考慮しなければなら
ない。
ステップ1の入力情報 :
− ユーザーの要求事項
− 法規制,規格,その他公式文書
− 既存のシステムとコントロールセンターに関する技術情報
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− 運用フィードバック情報
− 既存,類似システムの状況の分析結果
ステップ1の出力情報 :
− システムの機能(運用目標)
− 各種の関連要件と制約条件(附属書B参照)
− 相反条件と調整結果
ここで共通して用いる主な方法を,次に示す。
− 文書のレビュー(例えば,プロジェクト概要書,予算概略書及び概念図)
− 関係者(プラント統括管理,運転,技術・工務,保全などの部門)へのインタビューや聞き込み
情報の収集
− 類似コントロールセンターの実地調査
− 技術レビュー(人間−システムインターフェイスの最新技術など)
− 人間工学的検討とその他のトレードオフ検討
参考 例 コストとパフォーマンス,リスクとベネフィットなど。
コントロールセンターの設計で考慮するべきすべての要求事項又は制約条件を認識し,文書化しなけれ
ばならない。これらの要求事項には,附属書B(参考)に記載されている項目すべてを含むことが望まし
い。
特に,次のものを考慮に入れなければならない。
− 機能的な目標
− 法規制
− 安全とセキュリティの要求事項
− 運転と制御の要求事項
− 人間工学の要求事項
− 職務と組織の要求事項
− システムの保全
− 企業方針
− 企業標準
− 技術的制約
− リソースの制約
− 運用経験
− プロジェクトの不確実性と変更に関する管理の制度化
− 審美性と建築
他のプロジェクトからの運用経験をフィードバックしなければならない(10.2参照)。経験から得られた
相反する要求事項は,文書化し,評価し,解決しておかなければならない。
7. フェイズB : 分析と定義
7.1 全般
分析と定義のフェイズには,いろいろな目的があるが,コントロールセンターの総合的な設
計提案を展開するためには,次の五つのステップに示す事項を処理しなければならない。
このフェイズにおける五つのステップは,次のとおりとする。
− ステップ2 : システム性能の定義(機能の分析及び記述)。
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− ステップ3 : 人間と機械への機能配分。
− ステップ4 : タスクの定義。
− ステップ5 : 職務設計と作業組織の編成。
− ステップ6 : 検証と妥当性確認。
7.2 ステップ2 : システム性能の定義(機能の分析と記述)
フェイズAで定義した目標を達成するに
は,人間工学(関与して分析し解決すること)を必要とする。これを明らかにするために,フェイズAス
テップ1の結果に基づいて機能分析を行い,文書化しなければならない。
参考 機能分析の方法には,機能の細分化 (IEC 60964),フローチャート,シミュレーションやウォ
ークスルーなどの方法がある。
機能分析の範囲には,対象システムについて想定されるすべての運転モードを考慮しなければならない。
a) 定常運転 例えば,正常又は日常的と考えられる運転状態,すなわち,過渡的状態やプロセスの逸脱
が対象システムに影響を与えない状態。
b) 通常の過渡運転(スタートアップ,シャットダウン,製品の品種・品質や生産量の変更) 例えば,
プロセス又は対象システムを,ある運転状態から他の運転状態に変化させる運転。
c) 緊急時・異常時運転 例えば,異常発生後の短期の回復又は緩和のための運転も含む。緊急時・異常
時運転後長期にわたる回復又は緩和のための運転も含む。
参考 そのような運転では,一時的な機能・タスクの配分の変更,特別な安全に関する考慮及び職務
の再編,作業環境の変更もあり得る。
d) 保全時(計画保全,計画外保全)運転 すべて又は一部のシステムの装置,機械,表示器・制御機器,
ユーティリティ(電気,水,空気,蒸気,通信など)などが保守作業によって一時使えなくなったと
きの運転状態。計画保全がコントロールセンターやサブシステムに及ぶ場合には,特別な手順や,タ
スク配分,機器の共用があり得る。
参考 多くの場合,後者の運転状態では,通常より多くのオペレータの関与が必要である。
ステップ2での出力情報 :
全体的な運転目標とその下位目標に関する,人間工学に関連したシステム性能の要求事項と機能。
分析の内容は,例えば,次のとおりとする :
1) 各運転モードにおけるウォークスルー及び/又はトークスルー(8.3参考1.,2.参照)
2) 運転上の安全と信頼性の要求事項
3) 対象システムプロセスの階層的機能展開図
4) プラント,工場,プロセスなどの配置
7.3 ステップ3 : 人間と機械への機能配分
このステップでは,ステップ2で明らかにされた性能に対す
る要求事項と機能を人間と機械とに割り当てる。
参考1. よく使われる方法は,最初に仮の役割分担を決め,その後様々な評価を加えていくやり方で
ある。この方法で,要求されるすべての機能を人間又は機械が満たすように機能設計をまと
める(参考文献6参照)。
2. 初期の割当ての幾つかは,法規制が求める強制事項によって決定される(例えば,安全性の
問題など)。
割当てのときには,人間と機械との長所・短所,過去の設計経験とその効果を同時に考え,更に,それ
によってもたらされる安全性,生産性,充足感などを考慮する。
極めて重要なこととして,ユーザーの多様性も考慮する。多様性とは,年齢,認知能力,性別,経験,
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体格及び仕事に関する心理的要因(監視作業,単調・退屈感及びチームワーク)などをいう。
ひとまず行った割当ては,人間と技術的規準のそれぞれに対して必要な変更を繰り返しながら確定しな
ければならない。
ステップ3の出力情報 :
− 人間が担うべき機能
− 機械が担うべき機能,及びエラートレラントな機械設計のための要求事項
− 人間と機械との相互関係
おおまかな配分方法を次に述べる。他の配分方法を,表1に示す。
a) 人間と機械の特性 機能配分は,すべての安全及びその他の要求事項を満たしながら,職務が挑戦的
で,興味深く,充足感のあるものになるようにするのがよい。人間と機械への機能配分は,検証と妥
当性確認で得られるデータを必要とするので,配分はプロジェクトの早い時期に最終決定しないほう
がよい。
備考 機械は,恒常的監視作業,高精度又は反復作業に向いている。一方人間は,適応,統合化,及
び普遍化に優れている。人間はまた,戦略的,戦術的企画立案能力に優れている(参考文献2
参照)。
b) 認知面と情緒面への配慮 認知的配慮とは,人間が充足感をもって意思決定できるような,情報に関
する要求事項などをいう。自動化は,オペレータがシステムの状況が分からなくなる危険を増加させ
る。オペレータのメンタルモデル(オペレータが認識している対象システムの状況)を最適に保つた
めには,たとえ自動化できる機能でも,あえて人間に分担させるのがよい。同様に,人間がまれに必
要とされる手動又は認知的な技能を維持するために,ある機能を配分してもよい。更に,監視作業,
単調・退屈感,疲労などの要素を考慮し,それに関する知見を文書化しておくのがよい。
情緒面の配慮とは,人間の動機付けをいう。オペレータにとって,自分がシステム全体を制御して
いると感じられるようにする。要求が満足されないために,オペレータの全体的な作業成果が下がる
ことのないように,オペレータが,自分は生産的であり,有用な役割を果たしていると自覚できるよ
うに配慮するのがよい。
機能を人間に割り当てる場合には,次のような認知的,情緒的配慮の基準を考慮しなければならな
い。
− 全体的な主体性を人間に置くようにする(例えば,モード選択)。
− 機械の状態をより良く把握できるようにする(例えば,チェックポイント制御)。
− システム全体の中で自分が有用であるとの自覚を向上させる。
− 状況認識をよい状態に保つ。
− 教育と訓練の必要性を考慮する。
機能を機械に割り当てる場合には,次のような認知的,情緒的配慮の基準を考慮しなければならな
い。
− 繰返し作業や退屈な作業を割り当てる。
− システムの効率性と信頼性を向上させる作業を割り当てる。
c) 配分ステップ すべての機能を人間と機械へ固定して割り当てる代わりに,動的に対応できるように
割り当ててもよい。動的割当てでは,人間の作業負荷が飽和したときに,ある機能を機械に渡せるよ
うにシステムインターフェイスを設計する。動的割当てではまた,オペレータが自己の技能を維持す
ることや,故障の場合には機械の機能を人間が引き継ぐことができるようにする。
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