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JIS Z 8511:1999 規格概要
この規格 Z8511は、VDTを用いるオフィス作業についての人間工学上の一連の要求事項,利用者の作業のアプローチ指針,現在発行されているもの及び準備されているものの一連の規格の概要,規格の使用方法の指針並びに規格適合性の報告方法について規定。
JISZ8511 規格全文情報
- 規格番号
- JIS Z8511
- 規格名称
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―通則
- 規格名称英語訳
- Ergonomics -- Office work with visual display terminals (VDTs) -- General Introduction
- 制定年月日
- 1999年3月20日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO 9241-1:1997(IDT)
- 国際規格分類
ICS
- 13.180, 35.180
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 1999-03-20 制定日, 2004-04-20 確認日, 2007-09-20 改正日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS Z 8511:1999 PDF [9]
Z 8511 : 1999 (ISO 9241-1 : 1997)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS Z 8511には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) 参考文献
(pdf 一覧ページ番号 )
――――― [JIS Z 8511 pdf 1] ―――――
日本工業規格(日本産業規格) JIS
Z 8511 : 1999
(ISO 9241-1 : 1997)
人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−通則
Ergonomics−Office work with visual display terminals (VDTs) −General Introduction
序文 この規格は,1997年に第2版として発行されたISO 9241-1, Ergonomic requirements for office work
with visual display terminals (VDTs) −Part 1 : General introductionを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を
変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で点線の下線を施してある部分は,原国際規格にはない事項である。
人間工学の主要な目的の一つは,製品及びシステムが,人間が使用するのに適当であることを明確にする
ことである。そのためには,表示装置,入力装置,ソフトウエア,作業場,作業環境,作業内容などで構
成される製品やシステムを,想定される利用者の特性,能力及び限界に配慮した設計とすることが必要で
ある。システムの人間工学上の特性を改良することによって,作業性を改善し,エラーと不快感を減らし,
健康及び安全に関する危険性を最小限にすることができる。人間の能力への配慮を欠くことは無駄が多く,
効率が上がらず,結果として仕事をうんざりとしたものとしてしまう。
実際には,製品やシステムの利用者はそれぞれ異なるが,その違いを理解し定量化することは,利用者の
要求事項を設計に反映するために重要である。ハードウエア及びソフトウエアは,多くの異なる業務及び
様々な作業環境で使用されるが,それらの要求事項を設計の際に考慮することも重要である。優れた人間
工学的設計は,人間が使うために設計されたどのような機器及びシステムにおいても重要である。次の場
合は,特に重要である。
・使用の密度が高いとき。
・利用者の作業の正確性や速度が重視されるとき。
・利用者に受け入れられることが重視されるとき。
視覚表示装置(以下,VDTという。)を用いた作業は,作業密度が高い場合が多く,数あるオフィス作業
者の仕事のなかでも,しばしば重要な部分である。ハードウエア及びソフトウエアは,ともに利用者の作
業性に本質的な影響を与えるものである。利用者,利用者の代表及び管理者は,VDT作業の規格適合性が
あるか確認することを重要視し始めている。ある環境では適していることが,他の環境では不適切なこと
もあるので,VDTの人間工学規格を使用する場合は,想定される適用範囲が非常に広いことを明確に理解
することが重要である。したがって,人間工学規格は多くの場合,ある限られた環境を条件とした推奨又
は要求という形式をとる。
――――― [JIS Z 8511 pdf 2] ―――――
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Z 8511 : 1999 (ISO 9241-1 : 1997)
1. 適用範囲 この規格は,VDTを用いるオフィス作業についての人間工学上の要求事項,利用者の作業
のアプローチ指針,現在発行されているもの及び準備されているものの一連の規格の概要,規格の使用方
法の指針並びに規格適合性の報告方法について規定する。
ISO 9241におけるオフィス作業とは,一般的な文書処理やデータ処理の広範囲の仕事を含む。
これらの仕事と,他の分野,例えば医学,科学,通信,制御室及び公共アクセスで遂行される仕事とが
類似しているため,ISO 9241の中での要求事項のうち多くのものが,同様にこれらの分野にも適用できる
ものとする。
参考1. ISO 9241はVDTの電気的安全性については扱っていない。それはIEC 950で扱っている。
2. 平面表示装置についての人間工学上の要求事項は,ISO 13406第1部及び第2部で扱ってい
る。インタラクティブシステムのための,人間本位の設計 (human-centred design) についての,
より広範囲にわたる指針は,ISO 13407で提供している。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版を適用する。
ISO 6385 Ergonomics principles in the design of work systems(1)
注(1) SO 6385 : 1981の改訂として出版予定。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,ISO 6385及び次による。
3.1 利用者の作業性を用いた解析方法 (user performance approach) ある仕事を実行するときに,利用者
が達成すると見込まれる,作業性のある水準に基づいてシステムへの要求事項を設定するシステム評価の
解析方法。
3.2 利用者の作業性試験 (user performance test) システムを評価するために利用者の作業性の水準を直
接計測する試験。
参考 測定される作業性のパラメータは,精度,速度及び快適性を含む。
4. ISO 9241の位置付け
4.1 用途及び対象者 ISO 9241は,VDTを用いるオフィス作業のための,人間工学上の要求事項を確立
するものとする。人間工学的設計は,VDTの利用者がVDT装置を安全に,健康的に,効果的に,効率的
に,そして快適に操作する能力を高めることとする。このことは,VDTとそれが使われる作業場,作業環
境及びVDT作業が組織,管理され,そして遂行される方法を注意深く設計することによって達成される
こととする。
参考 実際に,これらの異なった局面は多数の異なった人々や組織の責任であろう。
ISO 9241の用途は,人間工学的にしっかりとした根拠のあるVDT及びソフトウエア・システムを開発
できるように,設計者及び製造業者を助けることにあることとする。またISO 9241は,自らの組織の中で
使うVDTシステムの仕様を決めたい購入者及び既存の機器,作業環境及び仕事の遂行の適合性を評価し
たいと思う人たちとも関係するものとする。
――――― [JIS Z 8511 pdf 3] ―――――
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Z 8511 : 1999 (ISO 9241-1 : 1997)
4.2 製品仕様,技術的変化及び利用者の作業性を用いた解析方法 ISO 9241は,システムの人間工学面
を設計したり,システムの人間工学上の特性を評価する際に,考慮した上で適切である限り使うことので
きる多くの種類の情報を含むものとする。幾つかの部は,機器,ソフトウエア,及び仕事の設計において
考慮する必要のある一般的な指針を規定する。他の部では,現行の技術で表現された,より特定の設計指
針及び要求事項を規定する。ISO 9241は,利用者の作業性に影響を与える要因を明らかにする必要性,及
びシステム評価する上での利用者の作業性を用いた解析方法を採用する必要性を規定する。
この利用者の作業性を用いた解析方法は,VDT作業のための,人間工学上の要求事項を直接的に取り扱
う。
VDTは,典型的には表示装置,キーボード,及び幾つかの組み合わされた電子回路並びに制御回路から
構成する。また,他の入力装置(例えば,マウス)及び出力装置(例えば,音響発生装置)をも含む。
参考1. この解析方法を使うことによって,ISO 9241の特定の部で規定されたもの,及び異なる特性
をもった新しい技術を利用した装置が,人間工学の見地から許容できるかどうかを査定する
ことが可能となる。この解析方法は,特定の設計指針がなく,指針を提供するデータがない
場合でも応用することができる。
2. 利用者の作業性を用いた解析方法は,少なくとも絶対基準又は参照システムのどちらかに対
しての試験の試験方法の信頼性と有効性に依存する。これらは利用の状況 (context of use) に
基礎を置き,使用性 (usability) の基準と計量の詳細な規定,すなわち,どのようにして測定
するか(適宜,使用する試験装置を含む。),適切な対象のサンプルは何か,適切な実験条件
は何か,どのような作業性の水準が見込まれるかを含む。ISO 9241の利用者の作業性試験を
規定している部では,情報はこれらの点に関連して与えられる。
3. VDTは,より大きなシステムの端末の場合もあるし,独立したコンピュータのこともある。
プリンタや通信装置などの他の機器類が,VDT作業場又は離れた場所に置かれ,接続されて
いることもある。
4. VDT作業環境の設計と開発に用いられた技術が急速に変化する一方で,規格を制定する目的
のための,意見の一致は遅々として進まない。このため,一般的に用いられる技術が,国際
規格が有効になる時点では異なったものになっていることがある。ISO 9241は,この問題を
処理するために,ある要求事項に対する適合性を評価する方法として,可能な限り,製品仕
様に基づくのではなく,利用者の作業性に基づいて評価する別の方法を与えている。
5. ISO 9241の構成 VDTに係る人間工学の複雑さと,ISO 9241の複雑で多目的な性質から,ISO 9241
は作業場及び作業環境を含み,VDTの使用における異なる局面を取り扱う複数の部に編成する。規定した
要求事項及び記述した試験は,オフィス作業のためのものとする(1.参照)。
ISO 9241の各部の概要及び適用は,表1による。
――――― [JIS Z 8511 pdf 4] ―――――
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Z 8511 : 1999 (ISO 9241-1 : 1997)
表1 ISO 9241各部の概要
部 表題 内容 対象 規格の利用者(参考)
使用者 管理者製造者
/設計者
1 General introduction ISO 9241シリーズの適用範囲と適合への考え 全体 *** *** ***
方を説明する。
2 Guidance on task VDTを用いた作業に関係する仕事の設計への 全体 ** *** **
requirements 指針を示す。
3 Visual display VDTに対する表示装置の設計を扱う。設計仕 ハードウエア * ** ***
requirements 様に加えて,この部への適合を判断するため
の別の手段として提案された利用者の作業性
試験を含む。
4 Keyboard requirements英数字キーボードの設計を扱う。設計仕様及 ハードウエア * ** ***
(to be published) び作業試験方法の両者を含む。ISO/IEC 9995
で規定されている配置ではなく,キーボード
の人間工学的側面を扱う。
利用者が快適で疲れない姿勢をとることがで 環境
5 Workstation layout and *** *** **
postural requirementsきるようなVDT作業場の人間工学上の要求事
(to be published) 項を扱う。
6 Environmental VDTが使われている作業環境がストレス及び 環境 *** *** **
requirements 不快の要因となることを防止し,能率を高め
(to be published) るための人間工学上の要求事項を扱う。視覚,
聴覚,熱環境を適用範囲とする。
7 Requirements for ディスプレイの表面処理を含む反射及びグレ ハードウエア * ** ***
display with reflections
アの測定方法の詳細と人間工学上の要求事項
(to be published) を扱う。
8 Requirements for ISO 9241の第3部における単色での要求事項 ハードウエア * ** ***
displayed colours を補う多色ディスプレイのための人間工学上
(to be published) の要求事項を扱う。作業性試験を含む。
9 Requirements for *
ディスプレイと共に使う非キーボード入力装 ハードウエア ** **
nonkeyboard input 置(例えば,マウス)のための人間工学上の
devices 要求事項を扱う。この部への適合を判断する
(to be published) ための別の手段として提案された利用者の作
業性試験を含む。
10 Dialogue principles 人間と情報システム間の対話の設計及び評価 全体 *** *** ***
で重要である人間工学上の7項目の原則を扱
う。
11 Guidance on usability使い勝手を定義し,それをどのように確認し 全体 *** *** ***
(to be published) 測定するかを述べる。
12 Presentation of *
VDT上に情報を呈示し表現するための原則及 ソフトウエア ** **
information び推奨事項を示す。ウィンドウの使い方,英
(to be published) 数字,図形/記号符号,画面配置/設計技法
を用いて複雑な情報を提示する上での指針を
含む。
13 User guidance *
プロンプト,フィードバック,状況表示,オ ソフトウエア ** **
(to be published) ンラインヘルプ及びエラーの扱いなど,ソフ
トウエアと利用者の間のインタフェースにお
ける利用者案内の設計及び評価についての推
奨事項を示す。
――――― [JIS Z 8511 pdf 5] ―――――
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JIS Z 8511:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-1:1997(IDT)
JIS Z 8511:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学