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Z 8526 : 2006 (ISO 9241-16 : 1999)
3.16 ポイント動作(Pointing) ポインティングデバイスを用いて,ポインタを何らかのオブジェクトの
上に,又はある位置に置く操作。
3.17 ポインティングデバイス(Pointing device) 人の制御動作を表示上の制御動作へと転化する装置。
備考 機械装置だけではなく,人の体の部分(例えば,指,腕)をもポインティングデバイスとして
利用する技術もある。
3.18 拡大縮小動作(Scaling) 縦横比を保ちながら寸法変更を行う動作。
3.19 スクロールバー(Scroll bar) オブジェクトの大きさが,表示するウィンドウ又はリストの大きさ
以上の広がりをもつ場合に,表示領域へオブジェクトの一部を出し入れすることで,ユーザーが希望する
オブジェクトの一部を眺めることを可能にするコントロール。スクロールバーは,また現在見えているほ
かに,見えていないオブジェクトの部分があるかの情報をも示す。
3.20 選択動作(Selecting) 表示されたオブジェクトから,そのうちの一つ又は複数個のオブジェクトを
選ぶ動作。
3.21 選択指摘(Selection indication) 表示されているオブジェクトが,現在選択されていることを示す
視覚上の又はその他の目印。通常,それ以降のユーザーの操作対象となる。
3.22 寸法変更動作(Sizing) オブジェクトの寸法を縦横比を保たずに任意に変える動作。
3.23 オブジェクトの状態(State of objects) オブジェクトの状態で,そのオブジェクトに加えることの
できる変更と関連するもの。
例 オブジェクトの状態には,“作動中”,“利用可能”,“選択済み”,“利用不可”などがある。
3.24 ウィンドウ(Window) 表示画面上の独立に操作できる領域で,オブジェクトを提示したり,及び
/又はユーザーと対話を行ったりするのに用いるもの。
4. この規格の適用
4.1 直接操作対話が適切な場合
直接操作対話は,次の条件に該当する場合,特に適している。条件は,
ユーザー,仕事及びシステムに関して分類する。より多数の条件に該当するほど,適用可能性は増大する。
a) ユーザーの特性
1) ユーザーは,必ずしも適切な読み書き技能をもつとは限らないが,直接操作のために必要な感覚運
動能力はもっている。
2) 想起の助けとなる視覚的手掛かりが与えられると,ユーザーの作業成績は向上する。
3) 文章記述よりも,図表現を用いたほうがユーザーの作業成績は優っている。
b) 仕事の特性(1)
注(1) 次の特性を備えていると,直接操作時に,ユーザーはオブジェクトの知覚及びオブジェクトと
のやり取りを効果的に行うことができる。
− ユーザーは,視覚的に表示された実体を直接的に操作する形で情報の入力が行える(例え
ば,ポインティングデバイスの動きと直接に関連を保ちながら,ある表示されたオブジェ
クトを画面上で動かせる。)。
− 迅速なフィードバックによって入力と出力との関係が明確である(例えば,あるアイコン
の動きは連続的に画面上に表示され,いきなり最初の位置から目標の位置へ飛ぶことはな
い。)。
− 表示されたオブジェクトの変更の仕方が,実世界の体験と対応している(例えば,従来の
機械式タイプライタの左右境界に似た目印の位置を変化させることで,表示文書の左右境
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界を変更できる。)。
1) 実世界の仕事オブジェクト,その性質及び操作を模擬できる,すなわち,アプリケーションに対し
ての適切な比ゆ表現が可能である。
参考 例えば,描画されたオブジェクトの一部を消去するという行為が,紙に書かれた絵の一部を消
しゴムで消すという実世界の体験と対応している。
2) 対象となるものの属性が複雑で,日常語では一言で表現しにくい(例えば,ある模様を言葉で記載
することよりも,模様そのものを指し示す方が容易である。)。
3) 仕事の順序をあらかじめ決めることができず,仕事を完了するのに融通性が必要である。
4) 仕事上,ユーザーがオブジェクトに働きかけ,それを制御できる必要がある。
5) 入力すべきもの(例えば,あるコマンド)は表現しにくく,覚えにくいが,視覚化することは容易
である。
6) オブジェクトを視覚化し,それを直接操作する方が,仕事をより一層容易に遂行できる。
7) 仕事の内容が,オブジェクトの視覚的な属性を変えることである。
8) たまにしか行わない仕事である。
9) 複数の実体を一まとまりのものとして,直接操作ができると好都合であり,かつ,それらの実体を,
個別に直接操作する必要の少ない仕事である。
c) システム能力
1) 正確で精密な直接操作が可能となるような画面解像度及び入力装置を備えている。ほとんどの場合,
これは,グラフィック機能とポインティングデバイスとを備えたハードウェアを意味する(英数字
表示とカーソルキーしか使えない場合でも,直接操作インタフェースを設計することはあるが)。
2) オブジェクトの図表現を,十分に能率よく生成する能力をもっている。
3) ユーザーの直接操作に対して,即座にフィードバックを与えるだけの十分な能力をもっている。
4.2 推奨事項の適用
全般的な人間工学設計目標は,5.9.にそれぞれよる。これらの目標を達成するた
めの各推奨事項には,その推奨事項を当てはめるのに適した具体的な状況(例えば,ユーザー,仕事,環
境,技術の種類)があり,それに添って適用することが望ましい。各推奨事項の記述形式は,推奨事項,
備考,例及び参考とする。備考,例及び参考は,必ずしもすべての推奨事項にはない。
推奨事項に対し与えている例は,大体が推奨事項を具体的に実現した例であるが,あるものは望ましい
実現案を示している。
個々の推奨事項が,適用可能かを評価し,適用可能と判断すれば,該当する直接操作対話中に,その推
奨事項を具体化することが望ましい。ただし,結果として設計目標に外れたり,使いやすさを全体的に低
下させないという確証があれば,必ずしも推奨事項に従い具体化しなくてもよい。適用可能かを決定する
場合,推奨事項は,一般には該当する箇条における記載順で評価するとよい。適用可能な推奨事項に従っ
ているかを判定する場合,評価者は,ユーザーが直接操作対話システムを使って仕事を行う状況で製品を
評価するか,又は製品の代表的なユーザーを観察することが望ましい。
適用可能性を決定する上での,及び推奨事項に従っているかを判定する上での助けとなる見本の手順を,
附属書Aに示す。
4.3 製品の評価
ある製品を,この規格中の適用可能な推奨事項に適合していると主張するには,その
直接操作対話の要求事項を設定するときに用いた手順,並びにその直接操作対話を開発する及び/又は評
価するときに用いた手順を,明確に指定しなければならない。手順指定の詳細度は,関係者間の協議事項
とする。
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5. 一般
5.1 比ゆ表現
比ゆ表現は,仕事に直結したオブジェクトに働きかけているという印象を与えるもので
あることが望ましい。
比ゆ表現を直接操作対話の設計で助けになるものとして利用することが多い。しかし,実世界での制御
の仕方が必ずしも直接操作対話の方法として適切であるとは限らない。実世界での手順をより一層効率化
するインタフェースを目指す場合には,特にそうである(例えば,ある主題を電子ブックで見ようとする
場合に,“本”の比ゆ表現に従ってページを追って探していく方が,キーワードをクリックして直ちに該当
箇所へと移るよりも,かえって効率的ではない場合がある。)。
ユーザーになじみがあり,システムについてのユーザーの理解を容易にする概念を与えることで,シス
テムの使い方を,ユーザーが予想できるようにする比ゆ表現を用いることが望ましい。採用した比ゆ表現
は,ユーザーが仕事の計画を立てる上で,及び仕事を実行していく上において手引きとなることが望まし
い。
5.1.1 枠組みの提供 比ゆ表現を使う場合,その比ゆ表現が,実世界との類推と整合した概念の枠組み及
び状態についての情報とを提供すること,及びどんな直接操作が可能で,その及ぼす効果は何かについて
のユーザーの理解をその比ゆ表現が支援することが望ましい。
例1. “部屋”の比ゆ表現では,開いているドアでユーザーが,その部屋の中のものを扱えることを
示す。
例2. 文書のアイコンをプリンタアイコンへ移動して印刷を開始する。文書が印刷されている間,プ
リンタアイコンは,用紙が出てくる形の表現に変わる。
例3. 顧客管理のアプリケーションでは,“見出しつまみのついた帳面”の比ゆ表現を用いて,顧客の
いろいろな関連データを分類整理し,見出しつまみを利用して必要データを取り出せるように
している。
例4. “オフィス環境”の比ゆ表現では,ある文書の削除は,ユーザーがその文書を選択し,それを
くずかごアイコンまでドラッグして,捨てることで実現できる。
5.1.2 認知しやすい比ゆ表現 ある比ゆ表現を使う場合,その比ゆ表現は,十分に認識しやすいものであ
ることが望ましい。
例 “帳面”の比ゆ表現を使う場合,データシートはページに似た外見に設計し,ナビゲーションに
用いるコントロールは,“見出しつまみ付き仕切りページ”に似たものとして,特定のページに移
るために,ユーザーが直接的に選択できるように設計する。
5.1.3 比ゆ表現の当てはまる範囲 比ゆ表現がシステムのある部分には当てはまらない場合,このことを
ユーザーに対して明りょうに指摘することが望ましい。比ゆ表現の当てはまる範囲に関して,ユーザーの
混乱が生じそうな場合,比ゆ表現を利用することが適切かどうかを再検討することが望ましい。
例1. “デスクトップ”の比ゆ表現では,場所を動かせるオブジェクトにも,場所を変えられないア
クションボタンにもアイコンを用いている。両者の違いをアイコン外周の枠の形を変えて指摘
する。
例2. “デスクトップ”の比ゆ表現では,あるオブジェクトをあるフォルダへとドラッグする同じ操
作が,行き先となるフォルダの違いによって異なる結果(移動か,複製か)となる。移動とな
るか,複製となるかの違いが分かるように,システムからのメッセージでユーザーに対して明
りょうに指摘する。
例3. “デスクトップ”の比ゆ表現では,文書を表すアイコンをシュレッダアイコンへとドラッグし
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て,ある文書を削除できるが,アプリケーションソフトウェアの場合には,シュレッダアイコ
ンへとドラッグすることでは削除できず,別の手段を用いて行うべきであることを,システム
からのフィードバックで指摘する。
5.2 直接操作で使用するオブジェクトの外観
直接操作対話では,オブジェクトを扱う,探す,見分け
る,理解するなどの作業をユーザーが行う上で,及び直接操作を容易に,正確にユーザーが行う上で助け
となるような情報を提示することが望ましい。このために,この箇条中の推奨事項を適用することが望ま
しい。さらに,ISO 9241-12の4.1“Characteristics of presented information”を適用することが望ましい。
5.2.1 操作領域の適切な大きさ ユーザーが,迅速,かつ,正確にポインタで選択できるように,選択領
域及び操作領域は,十分な大きさをもつことが望ましい[JIS Z 8524の7.5.1 b)参照]。
備考 ポインタ,入力装置(例えば,指,マウスポインタ)などの種類,及び利用の状況に応じて,
操作領域の適切な大きさは異なる。
5.2.2 オブジェクトと直接操作用コントロールアイコンとの間の見分けやすさ 直接操作インタフェー
スにおける視覚設計は,直接に操作できるものと変更できないその他の要素とを,ユーザーがはっきり識
別できるようにするだけでなく,選択したオブジェクトに対して,どんな種類の直接操作が可能なのかを
明りょうに示すものであることが望ましい。
例1. 直接的には操作できないテキスト形の要素と,テキストオブジェクトとを,囲み枠を使って区
別する。さらに,ポインタが操作可能なテキストオブジェクトの領域に入った場合だけ,ポイ
ンタをアイビームの形に変える。
例2. ある図形オブジェクトが直接操作できるかどうかを,このオブジェクトを選択した場合に,表
示するハンドルの種類を変えることで,及びポインタがそのオブジェクトのハンドル上にある
ときのポインタの形を変えることで示す。
5.2.3 利用できないオブジェクト及びコントロールアイコンの外観 ある時点で利用できないオブジェ
クト,属性又は直接操作用コントロールアイコンでも,仕事上適切であれば,表示したままにするのがよ
い。一時的に利用できないことを示すには,同一アプリケーション内に組み込まれたほかの対話手法(例
えば,メニュー対話)で使われている指示の仕方に対して整合した表現方式を利用することが望ましい。
例1. 現在用紙が無くなっているプリンタを表すアイコンを暗く表示し,その時点でプリンタが使え
ないこと,及びプリント命令は実行できないことを示す。
例2. 現在選択されているオブジェクトと組み合わせては押せないボタンを,暗く表示する。
5.2.4 重要度の低いオブジェクトを隠す 仕事上適切であれば,一時的にあまり重要でないオブジェクト
を,直接操作の結果として,他のオブジェクトの下にしたり,隠したり,表示領域の隅に置いたりしても
よい。
a) そのオブジェクトの状態は,ユーザーがそのオブジェクトに対し,次の入力を行うまで変えないこと
が望ましい。
b) 再びそのオブジェクトが必要になった場合に,そのオブジェクトを扱う何らかの手段を用意すること
が望ましい。
例 表計算ソフトのシート中の選択されたセルは,ユーザーが文書をスクロールし,その選択された
セルが表示領域を外れて見えなくなっても,選択された状態を維持する。セルの選択状態が変わ
るのは,ユーザーが別のセルを選択したときだけである。
5.2.5 オブジェクトの提示 処理すべきオブジェクトの数又は寸法によって,仕事の完了が困難となる場
合は,オブジェクトの提示方法を,そのどれもが直接操作を可能にする幾つかの提示方法のうちから,ユ
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ーザーが選べるようにすることが望ましい。
例 含まれているオブジェクトをアイコンとして表示することは,多種のオブジェクトが少数含まれ
る場合には適切である。ほとんどが同種の非常に多数のオブジェクトが含まれる場合には,アイ
コンとして表示すると見分けがつきにくく,また,広い表示領域を必要とする。この場合には,
オブジェクトをテキスト表現した方がより効率よく扱える。より多数のアイコンが見えるように
表示領域を拡張することも,ユーザーの能率を向上させる。
5.3 フィードバック
フィードバックは,各直接操作の影響と結果に関する動的な及び状況に関連した
情報をユーザーに提供し,ユーザーが必要な対話段階を踏む上での手引きとなることが望ましい。この目
標を満たすために,箇条中の推奨事項を適用することが望ましい。さらに,ISO 9241-13の7.(フィード
バック)の推奨事項を適用するのがよい。
5.3.1 直接操作の種類を示すポインタ あるオブジェクトの,又はオブジェクトのある部分の直接操作が,
あらかじめ明確に決まっているシステム動作をもたらすなら,ポインタの形でその動作を示すことが望ま
しい(ポインタを扱うISO/IEC 11581-3及びISO 9241-12の6.2参照)。
例 − ポイント動作が行われることを,矢印形のポインタで示す。
− オブジェクトを一つ移動させる動作は,矢印にオブジェクトの小型版を添えたポインタで示
す。
− 複数個のオブジェクトを移動させる動作は,オブジェクトの小型版を重ねたものを添えた矢
印で示す。
− 大きさの変更動作が行われることを,両向き矢印形のポインタで示す。
− 描画動作が行われることを,鉛筆形のポインタで示す。
− ハイパーテキスト中の相互参照へのジャンプができることを,横向き矢印形ポインタで示す。
5.3.2 利用不可であることを示すポインタ あるオブジェクトに対して直接操作を施すことができるか
どうかを,ポインタの形で示すことが望ましい。
例1. ポインタを砂時計又は時計の形に変えて,現在行っている処理をアプリケーションが完了する
までこれ以上の直接操作はできないことを示す。
例2. ドラッグ操作の途中で,ドロップできない位置にポインタがあるときは,ポインタを禁止標識
の形に変える。
5.3.3 必す(須)選択肢の催促 ある作業で,直接操作で指定できる以上のデータが必要となる場合は,
次による。
a) システムがこのようなデータの入力を促すことが望ましい。
b) システムに余力があり,仕事上適切であれば,システムが選択可能な選択肢を,ユーザーに対して示
すことが望ましい。
c) システムが既定値をユーザーに示すこと,及び確認を求めることが望ましい。
例 ユーザーがある文書アイコンをプリンタ上へドロップすると,アプリケーションは,部数,印刷
箇所その他のデータの指定を催促する。この場合,プリンタ一覧では,あるプリンタが選択され
ていて,既定値として全ページを部数1で印刷することが示される。
5.3.4 直接操作の各段階に対しての即時の及び継続的なフィードバック システムは,次による。
a) 直接操作の進行に関してのフィードバックを,継続的に与えることが望ましい。
b) 直接操作の各段階が完了したことを示すフィードバックを,直ちに与えることが望ましい。
例1. 継続的なフィードバック。ウィンドウ,アイコンなどのオブジェクトを,ある場所から他の場
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JIS Z 8526:2006の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-16:1999(IDT)
JIS Z 8526:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
JIS Z 8526:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8524:1999
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―メニュー対話