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Z 8531-1 : 2007 (ISO 14915-1 : 2002)
項が存在する場合もある。
マルチメディアの特徴としては,知覚に大きな負担がかかりやすい,構成上及び意味上複雑である,及
びシステムを介して伝える情報が多量であることが挙げられる。マルチメディアアプリケーションで提示
するデータ又は情報の操作を,ユーザーが受けもつ場合がある。
5.2.2 設計原則 マルチメディアアプリケーションの設計及び評価では,JIS Z 8520に規定している総論
的な人間工学の原則を適用することが望ましい。これら7原則は,会話型アプリケーションの設計及び評
価にとって重要である。次に各原則を規定する。
a) 仕事への適合
例 楽器学習用のアプリケーションでは,手の動きを動画又はアニメーションで示し,楽譜上の音符
を示しながら音楽を演奏する。
b) 自己記述性
例 カーソルがWebページのホットスポット上にきたとき,そのホットスポットの説明(例えば,ど
こへのリンクであるか)を飛び出し表示させる。
c) 可制御性
例 音響を出すか止めるかをユーザーが切り替えることができる。
d) ユーザーの期待への合致
例1. マルチメディアアプリケーション中のどの動画及びアニメーションでも,同じやり方でメディ
アを再生したり停止したりできる。
例2. メディア操作のための画面部品は,いつも同じ場所にある。
例3. メディア操作のための部品は,メディアが異なっても一貫して操作できる。
e) 誤りの許容
例 ユーザーがうっかり動画を止めてしまった場合でも,止まった位置から再開でき,先頭から再生
し直す必要がない。
f) 個人化への適合
例 ユーザーは自分の好み(例えば,出力メディアを選ぶ,音響を設定する)を設定したり,しおり
機能を使ったり,注釈の書込みができる。
g) 学習への適合
例1. あるマルチメディアアプリケーション中のナビゲーションの仕組みを,視覚表現で提示する。
例2. ある主題を,幾つかのメディアの組合せによってそれぞれ別の観点から提示する。
5.2.3 マルチメディア特有の設計原則 JIS Z 8520の一般的な原則に加え,この規格はマルチメディアを
用いたユーザインタフェースを設計する上で特有の設計原則を規定する。
− コミュニケーション目標への適合
− 知覚及び理解への適合
− 探索への適合
− やり取りに専念できることへの適合
これらの原則は,特にマルチメディアアプリケーションを対象としているが,一般的なユーザインタフ
ェース設計にも適用できる。大部分の設計基準と同様に,実際の設計では各設計原則の優先順位,重点の
置き方の違いに折り合いを付ける。この折り合いをうまく付けるため,設計過程における慎重な意思決定
及び適切な根拠を必要とする。
以下の5.2.45.2.7では,これらマルチメディア特有の原則を規定する。各原則における一群の推奨事項
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は,各原則に関連した設計上の推奨事項を与えるが,必ずしも完備したものではない。各原則に適合する
推奨事項が他にも存在する可能性がある。
5.2.4 コミュニケーション目標への適合 マルチメディアアプリケーションの主要な目的は,提供者から
受け手へと情報を伝えることである。マルチメディアアプリケーションは,次の項目と調和するように設
計されている場合に,コミュニケーション目標に適合する。
− 伝えようとする情報の提供者の目標,及び,
− 情報のユーザー又は受け手の目標。
コミュニケーション目標への適合を達成するためには,情報の提供者又は設計者はコミュニケーション
の目標を定義し,それに応じてマルチメディアアプリケーションを設計することが望ましい。またアプリ
ケーションを,情報の受け手の目標,仕事及び情報への要求に合わせて設計することが望ましい。
情報提供側の全体的な目標は,ユーザーへ教示すること,知らせること,又は楽しませることである。
詳細な目標は,要約,解説,発表,納得,正当化,感銘,動機付けなどである。ユーザー側が求めること
は,学習に役立つ情報が得られること,仕事の遂行に必要な情報が得られること,仕事に専念できるよう
な設計などである。
例1. 画像(図表)などをうまく設計すると,要約の効果が向上する。
例2. 主張を納得させたり証明したりする場合,冗長な,又は目立つメディアを使ってメッセージの
かぎ(鍵)となる項目を強調する。
5.2.5 知覚及び理解への適合
5.2.5.1 一般 伝えようとする情報が容易に知覚でき理解できるように設計されていれば,マルチメディ
アアプリケーションは知覚及び理解に適合している。このことは,特に提示内容が複雑であったり一時的
であったり,また幾つかのメディアを同時に提示するようなマルチメディアアプリケーションでは特に重
要である。ねらいどおりにうまく知覚させるには,かかわるメディアのそれぞれが,JIS Z 8522に規定し
ている次の性質を満たすことが望ましい。
a) 気付きやすさ
例 ユーザーが気付きやすいよう,画面背景とナビゲーション用ボタンとの間に十分なコントラスト
をもたせる。
b) 区別しやすさ
例 静止画像の説明として,背景音楽にかぶせて音声を用いる。音声は,他の音と区別できるよう,
十分に大きく,はっきり聞こえるようにする。
c) 明りょう(瞭)さ
例 アニメーションによるエンジンの図解で,ユーザーが現在進行している仕事に関連する部品が見
やすいよう,部品ごとに色を変えて表示する。
d) 判読性
例 ユーザーが読みやすい速さで表示文を動かす。
e) 一貫性
例 情報を提示するときの再生及び停止といった制御が,音響,動画,アニメーションなどメディア
が異なる場合でも,同様の操作で行えるように設計する。
f) 簡潔さ
例 静止画像で示した装置の修理法を音声で説明する場合,ユーザーの学習を促進するためには情報
を不可欠なものに絞る。
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g) 分かりやすさ
例 複雑な生物学的構造の各部分の位置関係をユーザーが理解できるよう,三次元シミュレーション
によって様々な角度から探索できるようにする。
マルチメディアアプリケーション特有の性質に合わせ,5.2.5.25.2.5.6の指針を守ることが望ましい。
5.2.5.2 知覚の過負荷の回避 単体のメディアであれ,複数メディアの組合せであれ,ユーザーに,一度
に大量の情報を提示して過大な負担を与えないことが望ましい。
例 複数の動画を同時に見せられた場合,内容を理解するのは困難である。
備考 過度の情報がもたらす精神的作業負担に関する人間工学の原則については,JIS Z 8502及びJIS
Z 8503に定義し詳細に述べてある。
5.2.5.3 情報の提示時間に起因する過負荷の回避 メディアの選択及び提示では,ユーザーが内容を把握
して必要な情報を取得する時間的なゆとりをもたせることが望ましい。
例 詳細な説明は,動画及び音声によってではなく,ユーザー自身が提示速度を調節できる文章及び
画像によって行う。
備考 ユーザーにとって動的メディアから詳細な情報を引き出すのは難しく,大まかな情報しか理解
されず,画像から詳細な情報を引き出すには時間を要するため,ユーザーには画像から重要な
情報を引き出すための十分な時間を与えたほうがよい。情報提示の流れが大切で内容の見直し
が必要とされる場合,動画及び音声の繰返し再生機能が重要である。話の速さを,題材の複雑
さと聞き手の熟知度とに応じて調節できるとよい。
5.2.5.4 付随活動による過負荷の回避 ユーザーの目標に直結する情報が,ユーザーへの方向付け,ナビ
ゲーション行為,又は操作によって知覚しにくくならないことが望ましい。
例 次の場合,ユーザーは大事な情報を失いやすい。
− 動画で,複数の制御を同時に実行する必要がある場合,又は
− 一連の操作実行に関する助言が,一つのメディアで提示されずに幾つかのメディアに分散して
与えられる場合。
5.2.5.5 知覚の違いの考慮 人間がメディアを知覚する方法の違い及び個々のメディアの知覚に対して
人間のもつ限界がどのように影響するかを考慮することが望ましい。例えば,聴覚又は色覚に特別な配慮
が必要なユーザーに対して,マルチメディアアプリケーションを使えるようにすることが望ましい。
5.2.5.6 ユーザーの理解の支援 メディアの設計,選択,及び組合せによって,伝えようとする情報のユ
ーザーによる理解を支援することが望ましい。メディアの選択及び組合せ法についての指針は,JIS Z
8531-3 に規定してある。
例 乗り物のエンジンの動作を音響で説明する場合,対応する図表中の関連部分を強調表示する。
5.2.6 探索への適合
5.2.6.1 一般 マルチメディアアプリケーションが探索に適合しているとは,ユーザーが関連する又は関
心のある情報を,その情報の種類,規模,若しくは構成について,又はアプリケーションが用意する機能
について,ほとんど又はまったく知識をもっていなくても探し出せるように設計してある場合をいう。
5.2.6.2 探索の支援 仕事上適切であれば,アプリケーションは,ユーザーがマルチメディアアプリケー
ション内を探索できるようにすることが望ましい。
例 マルチメディア技術文書では,階層型のナビゲーション構造と関連題目間のリンクとの両方を用
意し,ユーザーがいろいろな探し方でアプリケーションのコンテンツを調べて回れるようにする
(ナビゲーションの概念の定義については,JIS Z 8531-2参照)。
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備考 マルチメディアアプリケーションの中には,探索に適合するようには設計できないものもある。
例えば,安全上の指示を与えるマルチメディアアプリケーションには,ユーザーによる制御及
び探索ができないものがある。
5.2.6.3 ユーザーの方向感覚の支援 アプリケーションは,マルチメディアアプリケーション中での現在
の場所,どのようにその場所に達したか,その場所からどこへ行けるかを含めて,常にユーザーが決めら
れるようにすることが望ましい。
備考 ユーザーがナビゲーションを制御するのではなくシステムが自動的に行う場合,各進行段階で
の到達目標をいちいち表示しなくてもよい。
例 Webサイトの図表表現又は地図は,ユーザーの現在位置を強調して表示する。
5.2.6.4 分かりやすいナビゲーション アプリケーション中では,一貫して分かりやすいナビゲーション
であることが望ましい。
備考 分かりやすいナビゲーションとは,どのようなナビゲーションができるかがユーザーに自明で
あり,ナビゲーションの実行結果の分かりやすいフィードバックが与えられるものをいう。
5.2.6.5 代わりとなるナビゲーション経路の提供 仕事上適切であれば,目的の情報に到達できる別種の
手段をユーザーに対して用意し,ユーザーがこれらのうちから選択できるようにすることが望ましい。関
連する情報には,適切なリンクを介してたどり着けるようにすることが望ましい。
例1. 複数のナビゲーション経路を,初心者及び熟練者のそれぞれを支援するために利用する。
例2. ユーザーは,階層型メニュー,検索機能のいずれを用いても情報にたどり着ける。
5.2.6.6 情報の構造化 コンテンツは,人間の情報処理能力の限界を考慮して体系化を行い,ユーザーが
コンテンツの各部分と部分間相互との関係を容易に識別できるようにすることが望ましい。扱う領域の構
造がユーザーにとって既知であれば,その構造をナビゲーションに取り入れることを検討することが望ま
しい。
例 コンテンツの体系化及び情報コンテンツの各部分に簡単にたどり着く方法を提供するためにツリ
ー構造を用いる。
5.2.6.7 重要な箇所に戻るための便宜 アプリケーションは,ユーザーがナビゲーション構造の各部分に
たどり着けるようにするために,それまでに訪れたナビゲーション構造上の大事な箇所に戻れるようにす
ることが望ましい。
例 あるWebサイト内を調べているとき,異なる階層から現在のページに至るユーザーの経路をリン
ク一覧として表示する。一覧表示は,訪れたコンテンツの階層の深さに応じて字下げをして表示
する場合もある。
5.2.6.8 探索及びナビゲーションを手助けする機能の提供 アプリケーションが欲しい情報を含んでい
るかどうか,どうすればその情報にたどり着けるかをユーザーが素早く判断するために,探索及びナビゲ
ーションの助けとなる適切な機能を用意することが望ましい。
例1. Webサイトの内容地図(Webサイトのサイトマップ)を用意し,そのサイトで利用可能な各項
目を示すとともに,その構造を図的に表現する。
例2. Webサイトにキーワード検索の機能を用意し,すべての関連するページから利用できるように
する。
5.2.6.9 異なるメディアでの表示 仕事上適切であれば,同一のコンテンツを表現するのに複数メディア
の組合せを用意し,ユーザーがそれらを選択して利用できるようにすることが望ましい。
例 ユーザーがコンテンツを異なる見地から探索できるようにするため,解剖学の授業で人体の循環
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Z 8531-1 : 2007 (ISO 14915-1 : 2002)
器系を図示する写真と図表との両方を用いる。
備考 異なるメディアを用意することで,ユーザーがより仕事に専念できるようになる。
5.2.7 やり取りに専念できることへの適合 仕事上適切であれば,マルチメディアアプリケーションは,
ユーザーがやり取りに専念できるように,すなわち,ユーザーの気持ちをとらえ,それとやり取りしよう
という興味を起こさせるように設計することが望ましい。
例 シミュレーションにおける高度な写実性と高度な相互作用性との連係動作は,やり取りに対する
専念のしやすさをもたらす。
備考1. 興味を起こさせる又はわくわくさせるコンテンツもまた,やり取りに専念させるようなアプ
リケーションを設計するための手段となる。やり取りに専念させるマルチメディアアプリケ
ーションの他の側面は,相互作用の直接さである。直接さの高い相互作用は,伝えるべき情
報又は実行すべき仕事の中に,ユーザインタフェースの制御を組み込むことで達成されるこ
とが多い(例えば,コンテンツの一部をリンクで表示して利用する。)。
2. メディアの美的な側面もまたマルチメディアアプリケーションとのやり取りへの専念の強さ
に影響を及ぼす。例えば,図的にうまく設計したWebサイトは,ユーザーにそのサイトのコ
ンテンツをもっと見てみようという気持ちを起こさせる。メディアの設計者に美的な側面及
びやり取りへの専念の側面からの助言を求めてもよい。
6. 設計で考慮すべき事項
6.1 一般
ここでは,マルチメディアを用いるユーザインタフェースに関する,開発プロセスに固有の
種々の側面について規定する。これらの側面は,個々の設計課題を組織化するための枠組みを確立する。
また,これらの側面は,設計者がマルチメディアアプリケーションの設計に系統だった取組み方を適用す
る助けになる。これらの側面は設計プロセスでの手順(進捗)として使うことができるが,完璧な設計プ
ロセスを表しているわけではなく,また,一定の順番で扱う必要もない。ユーザー中心設計プロセスの一
般的な手引は,JIS Z 8530に規定している。マルチメディアアプリケーションのための設計プロセスに関
する推奨事項は7.に規定されている。
次の三つは,マルチメディアのインタフェース設計に固有の側面である。
― コンテンツの設計
― 対話の設計
― メディアの設計
これらの側面は設計プロセスにおいて,どのようなモデル又は表現が適切かを決めることにも使われる。
例 マルチメディアアプリケーションのコンテンツを明確にモデル化することは,アプリケーション
がコミュニケーション目標に合っているかどうかを評価するのに役立つ。
6.2 コンテンツの設計
6.2.1 一般 マルチメディアアプリケーションの重要な側面は,コンテンツの意味及びそのコンテンツの
構造であり,この側面は,具体的な見掛け(例えば,アニメーションの視覚的デザイン)又はアプリケー
ションの振る舞いにではなく,概念設計の問題に関係する。マルチメディアアプリケーションを設計する
場合には,コンテンツにかかわる次の2点を取り上げるのが望ましい。
――――― [JIS Z 8531-1 pdf 10] ―――――
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JIS Z 8531-1:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 14915-1:2002(IDT)
JIS Z 8531-1:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.200 : インタフェース及び相互接続設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
JIS Z 8531-1:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8531-2:2007
- 人間工学―マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア―第2部:マルチメディアナビゲーション及び制御
- JISZ8531-3:2007
- 人間工学―マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア―第3部:メディアの選択及び組合せ