JIS Z 8804:2012 液体の密度及び比重の測定方法 | ページ 4

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る。

8.4 浮ひょうの読み取り方

8.4.1  上縁視定
上縁視定は,図4に示すようにメニスカスの最上端を読む方法である。浮ひょうの目盛部に上縁視定の
表記がある場合,及び視定方法の表記がない場合にこの方法を用いる。
図4−上縁視定
8.4.2 水平面視定
水平面視定は,図5に示すように液体主表面と目盛との交点で読む方法である。初め,目を液面より下
に置いたとき,長円に見える液面が,目を次第に上げていくとき,一直線になったときに読み取る。浮ひ
ょうの目盛部に水平面視定又は水平面示度の表記があるものはこの方法による。
図5−水平面視定

8.5 浮ひょうの標準温度

  浮ひょうの標準温度は,表4による。
表4−浮ひょうの標準温度
浮ひょう 標準温度
密度浮ひょう 15 ℃又は20 ℃
比重浮ひょう 15/4 ℃。ただし,温度表記がある場合にはその温度
重ボーメ度浮ひょう 15/4 ℃。ただし,温度表記がある場合にはその温度
軽ボーメ度浮ひょう 15/4 ℃。ただし,温度表記がある場合にはその温度
日本酒度浮ひょう 15/4 ℃。ただし,温度表記がある場合にはその温度
API度浮ひょう 15.56/15.56 ℃
トワッデル度浮ひょう 15/4 ℃。ただし,温度表記がある場合にはその温度
牛乳度浮ひょう 15/4 ℃。ただし,温度表記がある場合にはその温度

8.6 補正

  必要があるときは,次の補正を行う。
a) 温度補正 浮ひょうを標準温度以外の温度で測定を行ったとき,標準温度における密度又は比重を求
めるには,その示度に,次の補正量 える。

――――― [JIS Z 8804 pdf 16] ―――――

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s t
.0000 025 s t0 s t t0 (16)
ここに, s : 浮ひょうの示度(密度又は比重)
拿 液体の膨張係数(℃−1)
t0 : 浮ひょうの標準温度(℃)
t : 測定温度(℃)
注記 式(16)の第1項は,浮ひょう自身の温度補正量で,第1項だけの補正量を加えた値は,測定
温度における液体の密度又は比重である。
b) 表面張力による補正 浮ひょうが校正されたときの液体の表面張力と,異なる表面張力をもつ液体を
測定したときは,表5を参照して次の式(17)による補正量 える。
πDs
s T T' (17)
mg
ここに, s : 浮ひょうの示度[密度(g/cm3)又は比重]
D : s付近のけい部の直径(cm)
m : 浮ひょうの質量(g)
g : 重力加速度(cm/s2)
T : 浮ひょうの校正に使用した液体の表面張力(mN/m)
T' : 測定した液体の表面張力(mN/m)
表5−(T'−T)=10 mN/mに相当する 10−5)
s M
30 50 80 100
D D D D
0.3 0.5 0.8 1.0 0.3 0.5 0.8 1.0 0.3 0.5 0.8 1.0 0.3 0.5 0.8 1.0
0.8 26 43 68 86 15 26 41 51 10 16 26 32 8 13 21 26
1.0 32 53 86 107 19 32 51 64 12 20 32 40 10 16 26 32
1.2 39 64 103 128 23 39 62 77 14 24 39 48 12 19 31 39
1.4 45 75 120 150 27 45 72 90 17 28 45 56 14 22 36 45
1.6 51 86 136 171 31 51 82 103 19 32 51 64 15 26 41 51
1.8 58 96 154 192 35 58 92 115 22 36 58 72 17 29 45 58
注記1 sが密度(g/cm3)の場合, g/cm3。sが比重の場合, 瀰
注記2 JIS B 7525の附属書3の4.(表面張力)に“そのけい部に働く表面張力が10 mN/mだけ変化した
とき,示度の変化が附属書3表1に示す許容誤差を超えてはならない”と規定されている。表5
は,その10 mN/mの変化に相当する 地

8.7 測定結果の不確かさ要因

  浮ひょうによる密度及び比重の測定の不確かさを見積もる場合,次の要因を考慮する。
a) 浮ひょうの校正の不確かさ
b) 試料液体の温度測定の不確かさ
c) 試料液体の表面張力の不確かさ
d) 実験標準偏差

9 振動式密度計による密度及び比重の測定方法

9.1 測定原理及び特徴

9.1.1  測定原理
一端を固定したガラス管(以下,試料セルという。)に試料液体を導入し,これに初期振動を与えると試

――――― [JIS Z 8804 pdf 17] ―――――

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料セルは試料液体の質量に比例した固有振動周期をもって振動する。試料セルは振動部分の体積を一定と
すれば,固有振動周期は試料液体の密度に比例する。この試験方法は,試料セルの固有振動周期を検出し
て,試料液体の密度を求める方法である。
9.1.2 特徴
振動式密度計による密度及び比重の測定方法の特徴は,次による。
a) 操作が簡単で測定できる。
b) ほとんど全ての液体に使用することができる。
c) 非常に少量の液体で測定できる。
d) 標準物質(液体及び気体)の密度を基準とする測定方法である。

9.2 測定に用いる器具

  測定に用いる器具は,次による。
a) 振動式密度計 振動式密度計は,測定部,演算部,温度調節部,温度計及び試料導入部から構成され,
例を図6に示す。
1) 測定部 試料セル,駆動部及び固有振動検出器からなり,試料セルに初期振動を与え,生じる固有
振動周期を検出する。
2) 演算部 試料セルの固有振動周期を数値変換し,表示する。また,固有振動周期から式を自動演算
し,試料液体の密度を表示できる。
3) 温度調節部 恒温ブロック,断熱材,ペルチェ素子など温度の制御機能によって試料セルを測定温
度に保持する。測定精度によって温度安定性は異なり,温度の制御機能を省略する場合もある。
4) 温度計 試料液体の温度を測定する。要求される精度に応じて校正された温度計を使用する。密度
及び比重の測定の結果の国家計量標準へのトレーサビリティを確保するためには,国家計量標準に
トレーサブルな方法で校正された温度計を用いる。
5) 試料導入部 試料液体を試料セルに導入するのに用いる。注射器などで圧入する方式,ポンプなど
で吸引,圧入する方式などがある。
b) 標準物質 密度の異なる二つの標準物質を用い,振動式密度計を校正する。密度及び比重の測定の結
果の国家計量標準へのトレーサビリティを確保するためには,主として箇条5のa),又は必要に応じ
て,箇条5のb)に規定する,国家計量標準にトレーサブルな方法で校正された標準物質を用いる。標
準物質として空気を用いる場合には,その密度は,表2若しくは表3を参照して求めるか,又は式(8)
若しくは式(13)によって求める。標準物質として水を用いる場合には,JIS K 0557に規定されたA3又
はA4の水を用い,その密度は表1又は式(7)によって求め,必要に応じて溶解空気及び同位体組成の
影響を補正する。

――――― [JIS Z 8804 pdf 18] ―――――

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温度計 試料セル ペルチェ素子 断熱材 恒温ブロック
演算表示部
試料導入部 出口
固有振動周期
検出部
検出部
駆動器
発振部
入口
水晶発振部
ポンプ 容器
測定部 演算部
試料
図6−振動式密度計(例)

9.3 測定

  測定は,次による。
a) 試料セルを洗浄し,乾燥する。
b) 二つの標準物質のうちの一方(標準物質a)を試料セルに導入する。標準物質として液体を用いる場
合には,気泡が入らないように注意する。
c) 振動周期が安定したら,その値を記録する。空気を標準物質aとして用い,式(8)又は式(13)を用いて
その密度を計算する場合には,大気圧などを記録する。
d) 標準物質aを試料セルから排出し,試料セルを洗浄し,乾燥させる。
e) もう一方の標準物質(標準物質b)を試料セルに導入する。このとき,気泡が入らないよう注意する。
f) 振動周期が安定したら,その値を記録する。
g) 次の式(18)を用い試料セル定数を計算する。
Kt ,a t ,b t
2
T,a t
2
T,b t (18)
ここに, Kt : 温度tにおける試料セル定数
愀 t : 温度tにおける標準物質aの密度(kg/m3)
戀 t : 温度tにおける標準物質bの密度(kg/m3)
Ta,t : 温度tにおける標準物質aの振動周期(s)
Tb,t : 温度tにおける標準物質bの振動周期(s)
h) 標準物質bを試料セルから排出し,試料セルを洗浄し,乾燥させる。
i) 試料液体を試料セルに導入する。このとき,気泡が入らないよう注意する。
j) 振動周期が安定したら,その値を記録する。

――――― [JIS Z 8804 pdf 19] ―――――

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9.4 計算

  計算は,次による。
a) 試料液体の密度は,次の式(19)によって算出する。
2 2
t ,a tKt Tt T,a t (19)
ここに, 温度t ℃における試料液体の密度(kg/m3)
Tt : 温度t ℃における試料液体の振動周期(s)
b) 試料液体の比重は,試料液体の密度を水の密度で除することによって求める。水の密度は,表1によ
って求めるか,又は式(7)によって計算する。温度t0の水の密度を比重の算出に用いた場合には,比重
t/t0 ℃と表記し,温度t0を明示する。

9.5 測定結果の不確かさ要因

  振動式密度計による密度及び比重の測定の不確かさを見積もる場合,次の要因を考慮する。
a) 標準物質の不確かさ
b) 試料液体の温度測定の不確かさ
c) 実験標準偏差

10 磁気浮上式密度計による密度及び比重の測定方法

10.1 測定原理及び特徴

10.1.1 測定原理
密閉容器中に試料液体及び体積既知の固体(シンカー)を封入する。磁気的相互作用によってシンカー
を浮上させ,シンカーに作用する浮力を測定し,試料液体の密度を求める。
10.1.2 特徴
磁気浮上式密度計による密度及び比重の測定方法の特徴は,次による。
a) 箇条7で規定した液中ひょう量法による測定と同じ原理を用いるが,磁気浮上式密度計では,密閉測
定容器中にあるシンカーを非接触の磁気的相互作用で持ち上げひょう量する。このため,高温・高圧
下での密度及び比重の測定が可能である。また,つり線を使わずにシンカーを持ち上げるため,つり
線が液体表面を通過するときに生じるメニスカスにおける表面張力の影響を受けずに密度又は比重を
測定できる。
b) シングルシンカー及びダブルシンカーのシステムがある。ダブルシンカーシステムは,表面積が等し
く体積の異なる二つのシンカーをもつ。凝縮性ガスなどシンカー表面へ吸着し質量測定誤差を与える
場合は,ダブルシンカーシステムによってその表面吸着量を補正することが可能である。

10.2 測定に用いる器具

10.2.1 磁気浮上式密度計
試料液体を封入するための測定容器,シンカー,浮力を測定するための磁気的相互作用を用いた懸架シ
ステム及び天びんからなる。密度及び比重の測定の結果の国家計量標準へのトレーサビリティを確保する
ためには,国家計量標準にトレーサブルな方法で校正された分銅を用いて天びんの感度を校正し,シンカ
ーとして、主として箇条5のa) ,又は必要に応じて,箇条5のc)に規定する,国家計量標準にトレーサ
ブルな方法で校正された標準物質を用いる。シンカー体積が校正されていない場合には,10.3で規定する
操作によって,水又は密度標準液を用いてシンカー体積を校正する。磁気浮上式密度計の例を図7に示す。

――――― [JIS Z 8804 pdf 20] ―――――

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