43
Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
0.8 -)
0.6
検出効率(
0.4
0.2
粒径(nm)
1 検出効率曲線 4 正規化されたプラトー
2 正規化した検出効率曲線 5 プラトー
3 最小可測粒径
図A.2−ある濃度及び粒子性状の場合の参照CPCの検出効率の粒径依存性
A.3 例
検出効率の実測データを用いてCPCの主要特性の計算方法を,次に記載する。表A.1に,検出効率の測
定値を示す。
表A.1−被験CPCを参照CPCと比較した結果
d(nm) CN,CPC,ref(cm−3)CN,CPC(cm-3) CN,CPC/CN,CPC,ref
90 11944.7 11184.9 0.94
90 10422.6 9827.8 0.94
90 8267.9 7809.3 0.94
90 4448.8 4191.1 0.94
90 609.2 571.4 0.94
90 13.3 12.4 0.93
90 5.9 5.5 0.93
90 2305.0 2176.2 0.94
90 10104.6 9510.0 0.94
75 8380.2 7807.8 0.93
55 4073.9 3671.3 0.90
55 5157.7 4634.6 0.90
41 5422.9 4533.6 0.84
23 2521.8 1074.6 0.43
15 778.1 1.4 0.00
28 3565.4 2217.7 0.62
41 5408.5 4531.1 0.84
37 5036.2 4029.7 0.80
23 2469.0 1051.4 0.43
――――― [JIS Z 8850 pdf 46] ―――――
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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
A.3.1 直線性
校正から得られる重要な情報の一つは,被験CPCの応答が線形であるかどうかということである。これ
は,プラトー領域の粒径で粒子数濃度を変化させ,被験CPCと参照装置とを比較することで行う。例えば,
0 cm-3104 cm-3の間の校正範囲に対して,検査する濃度は,2 000,4 000,6 000,8 000及び10 000 cm-3
(参照装置としてFCAEを使う場合),又は10,100,1 000,5 000及び10 000 cm-3(参照装置として参照
CPCを使う場合)などである。
A.3.1.1 被験CPC濃度/参照装置濃度のプロット
初めに,被験CPCの参照装置に対する個数濃度の比を,参照装置の濃度の関数としてプロットする[22]。
そのグラフから,データの挙動及びそれらの関係について,適切な視覚的な評価を行う。プロットから,
装置間にどのような一致が見られるか,測定値の大きさによってばらつきが変わるか,又は外れ値はない
かを簡単に見ることができる[12]。被験CPCの偏りは,二つの装置の比の算術平均(被験CPC/参照装置)
から1を引いた値に等しい。この偏りが正規分布に従うなら,偏りの95 %が“比率の算術平均±2 s”の間
にある。しかしながら,正規性の評価のためには,正規確率プロットの作成が必要である。一般的には,
算術平均からの許容できる差としてしきい(閾)値を設定する。図A.3は,直線性を評価するため,あら
かじめ定義された±2.5 %のしきい値で,表A.1のデータを示す。しきい値は用途に応じて異なる。
)
(-
0.98
e
r
CPC,f
0.96
CPC/CN,
0.94
CN,
0.92
0.9
1 10 100 1 000 10 000 100 000
CN,CPC,ref(cm-3)
許容可能な変動の範囲 :
1 平均+0.025=0.963 3 平均−0.025=0.913
2 平均=0.938
図A.3−参照装置濃度に対する,被験CPCと参照装置との比(表A.1のデータ)。算術平均=0.938。
この方法を用いるに当たって,参照CPCが線形であることを検証しなければならない。検証していない
場合,二つのCPCに線形性があるようにみえても,装置設計上よく起こり得る偏り誤差が同時に起こった
ための,アーチファクトかもしれない。統計的な現象としてよく知られているように,二つの装置が同じ
ような不確かさをもつ場合,それらの差にはお互いが影響を及ぼすため,差をプロットする際の横軸にど
ちらかの値を使うのは誤りである[11]。代わりに単純な算術平均を計算して横軸に用いると,影響を低減
できる。また,この例のように広い濃度範囲にわたって測定を行い,かつ,二つの測定間の差が僅かであ
る場合は,この影響は重要ではない。
図A.4に四つの典型的な例を示す[20][24]。
− 二つの方式が優れた一致を示すとき,比は約1になって,確率的なばらつきが小さい(図A.4の△)。
――――― [JIS Z 8850 pdf 47] ―――――
45
Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
− 比が1と異なって偏りがあるが,確率的なばらつきが小さい場合,補正係数を用いて問題を解決でき
る(図A.4の○)。一般的にこの問題は,初期校正の不具合,又はCPC又は飽和部の流量制御システ
ムのドリフトによって生じる[24]。
− どちらかの方法にオフセットがあるとき,グラフは図A.4の□のようになる。例えば,CPCの僅かな
漏れ又は光学系の汚染のため,非常に低い濃度で,実際より高い濃度(偽計数)を示す。
− 高濃度範囲で違いがある場合,図A.4の×のようになる。これは,二つ以上の粒子が同時にCPCの光
学系を通過したとき,一つの粒子としてカウントするために起きる。この場合,同時通過補正が機能
をしていないか,誤って校正されたかのどちらかである。
図には示していないが,ばらつきの大きなデータは,精度が落ちる。一般的に,これは光学系での粒子
カウントが減少する低い濃度で見られる。
なお,中央部分の相関関係は,通常,どの場合も線形であり,この領域ではオフセット又は同時通過の
影響は最小である。この理由によって,可能な場合はこの領域でCPCの校正を行うのが望ましい。最後に,
上記の相関関係は粒径及び粒子性状によって異なる点に留意する必要がある(附属書B)。
1.6
)
(-
f
1.4
CPC/CN e
r
CPC,
,
1.2
CN,
0.8
1 10 100 1 000 10 000
CN,CPC,ref(cm-3)
△ 完全一致 □ オフセットあり
○ 一定比率(偏りあり) × 同時通過損失あり
図A.4−確率的ばらつきが小さい場合の残差プロットの典型的なパターン
A.3.1.2 標本サイズの計算
標本サイズの計算は,2組の任意の標本の算術平均値μ1とμ2とに,統計的に有意な差があるかどうか評
価するために行う。前提として,標本の平均値は正規分布に従うと仮定する。
連続測定に対する標本について,必須の標本サイズは,次に示す値を決めることで決定される[13][17]。
− 真の値μの真の標準偏差σ(標本の算術平均値の標準偏差sによって近似);
− 二つの算術平均値間に関連する正の差δ;
− 有意水準α;
− 検出力1−β。
βが非有意差を認めることができる確率を定量化し,有意水準αは真の違いを無視できる確率を定量化
する。したがって,検出力1−βは,有意差を許す確率を指す。
最小標本サイズnは,次の不等式を満たす最小の整数として推定できる。
――――― [JIS Z 8850 pdf 48] ―――――
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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
2
z1 αz1 β
n (A.1)
ε
ここに, z1−α,z1−β : それぞれの正規分布パーセンタイル
ε : 効果量
ε δ
(A.2)
s
一般に,0.05の有意水準α及び0.8の検出力(それぞれ95パーセンタイル及び20パーセンタイルに対
して1.65及び0.842)が,統計的な仮説検定(有意差検定)に使われる。この例では,効果量ε=0.5(統
計上の中間の効果)は,25点の標本サイズが必要となる。εが減少するとき,標本サイズは増加する。こ
のように,算術平均値に小さくても有意な差を見いだそうとする場合は,多くのデータ点数を必要とする。
A.3.1.3 線形回帰
残差プロットが被験CPCと参照装置との間の線形関係を示す場合,横軸を参照装置濃度,縦軸を被験
CPC濃度とした線形回帰が適用できる(ここで線形回帰とは,特に明記しない限り,最小二乗法による一
般的な回帰分析のことである。)。ただし,線形回帰から公正な結果を得るために,次の条件を満たす必要
がある[14]。
a) 横軸の値(参照装置)の測定誤差は無視できる程度に小さい。
b) 各々の横軸(参照装置)と縦軸(被験CPC)との関係は,線形である。
c) 連続する誤差(縦軸と横軸との違い)は,相関していない(独立している)。
d) 誤差項の分散は,横軸の各々の数値に対して一定である。
e) 誤差項は,正規分布に従う。
横軸に対する残差(縦軸の値と縦軸の予測値との差)をプロットすることで,上記の条件を満たすかど
うかのテストを行う(図A.3と同様の図による)。条件の一つが満たされない場合は,変数変換を行うと直
線回帰を適用できる場合もある([21]参照)。
通常,回帰では,CPCの偏りは,傾き1からのずれによって示される。個々の測定値の精度は,回帰の
残差標準偏差として与えられる。また,被験CPCのオフセットは,回帰の切片として表される。傾きの逆
数は,プラトー効率が1になるようにCPCの補正係数として使う。文献又は統計解析パッケージに記載さ
れている回帰分析の式から,もう一つの重要な量である,傾きの不確かさが得られる。正常なCPCにはオ
フセットがないはずなので,通常,回帰には原点を通過する式を用いる。図A.5は,表A.1のデータに対
する回帰グラフを示す。オフセットがなかったので,原点を通る回帰式を用いた。
――――― [JIS Z 8850 pdf 49] ―――――
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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
12 000
10 000
m-)
3
8 000
c
CPC(
6 000
CN,
4 000
2 000
0
0 2 000 4 000 6 000 8 000 10 000 12 000 14 000
CN,CPC,ref(cm-3)
1 線形回帰
CN,CPC=0.940 7
CN,CPC,ref;R2=1
図A.5−被験CPCと参照装置との間の単純な線形回帰(表A.1のデータ)。傾き=0.940 7。
図A.4の四つ事例を,図A.6に参照装置−被験CPCグラフで示す。CPC濃度が広い範囲に渡るため,図
A.6から事例ごとの挙動の違いを見いだすことは難しい。
10 000
)
(-
1 000
CPC/CN e
r
CPC,
, f
100
CN,
10
1
1 10 100 1 000 10 000
CN,CPC,ref(cm-3)
△ 完全一致 □ オフセットあり
○ 一定比率(偏りあり) × 同時通過損失あり
図A.6−不完全なCPCの挙動パターン(図A.4及び関連説明を参照)
A.3.1.4 2種類の補正係数の比較
計算方法によって,2種類の補正係数が得られる。一つは,二つの装置の比率の算術平均(図A.3,0.938),
もう一つは,二つの装置間の線形回帰の傾き(図A.5,0.940 7)である。被験CPCの応答が線形で,かつ,
線形回帰が成り立つための他の仮定を満たす場合,統計学的には,回帰結果の方がより適した結果といえ
る。しかし,測定点間の間隔を等しくして行ったデータの場合は,2種類の計算結果は,多くの場合,ほ
ぼ一致する。二つの結果に差異が生じるのは,回帰分析から見積もった傾きは,極端な濃度のデータ点ほ
ど大きな重みをもつ加重算術平均という,各測定点における傾きの相対的な情報を利用した方法のためで
ある。対照的に,もう一つの方法では,全てのデータ点の重みは同じである。二つの結果の差異の度合い
――――― [JIS Z 8850 pdf 50] ―――――
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JIS Z 8850:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 27891:2015(IDT)
JIS Z 8850:2018の国際規格 ICS 分類一覧
- 19 : 試験 > 19.120 : 粒度分析.ふるい分け