JIS Z 8850:2018 エアロゾル粒子の個数濃度―凝縮粒子計数器の校正 | ページ 9

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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
線形性の試験は行わない粒径での測定),被験CPCの同時通過補正が1 %未満となるような
濃度に設定することを推奨する。
注記2 同一の被験CPCに対して異なる粒径での検出効率を測定する場合,おおよそ同じ粒子数濃度
で測定を行うことを強く推奨する。これによって,CPCの非線形応答による影響を低減でき
る。
注記3 測定する濃度を選定する際,検出効率の不連続性を予期できるよう,製造業者の取扱説明書
を参照し,被験CPCの測定形式が切り替わる濃度についてあらかじめ調べておくのが望まし
い。
7.3.8 最初の測定点の繰返し
複数の測定点で校正を行った後,いずれかの測定装置の電源をオフにした場合,又は何か不具合が発生
した場合,最初の粒径及び濃度条件での測定を繰り返さなければならない。繰返しの測定では,多価帯電
粒子の割合の測定も行う。検出効率の変動は,±0.025でなければならない。さらに,参照CPC及び被験
CPCの流量は,7.2.7で最初に測ったときの値と5 %以内で一致することが望ましい。これらを満たさない
場合,行った測定は全て無効である。
注記 最初の点の繰返しは,3点の測定後でも,又はそれ以上の測定点を取った後でもよい。しかし
ながら,5点より多くの測定を行った後では,検出効率の変動が0.025を上回り,全ての測定結
果を失う危険性が高くなる。
7.3.9 校正証明書の準備
箇条8及び附属書Cに従って,結果を校正証明書に記載する。以上によって,被験CPCの検出効率の
校正を完了する。

7.4 測定不確かさ

7.4.1  一般
CPC校正の結果は,ある性状の粒子に対する,目標の粒径及び目標の粒子数濃度における検出効率ηで
表される。検出効率ηに対する不確かさ評価では,主に粒径(7.4.2)及び検出効率(7.4.3)に対して,明
確に定義された不確かさが必要とされる。粒子数濃度は不確かさ評価においてそれほど重要ではなく,検
出効率の不確かさにおおむね包含される(7.4.4)。
7.4.2 粒径
粒径は,校正エアロゾルを供給するDEMCによって決定される。粒径及びその不確かさはISO 15900に
従って決定しなければならない。
校正エアロゾルに多くの多価帯電粒子が含まれる場合,DEMCに設定した粒径よりも大きな粒子が多く
含まれている。附属書Dに規定した手順に沿って決定した割合pは,校正証明書に記載しなければならな
い。割合の決定を行わなかった場合は,使用した校正設備について予期される,多価帯電粒子の影響の度
合いを記載する。
7.4.3 検出効率
検出効率の測定結果に対する不確かさは,主に次の要素によって決定される。
− 参照CPCの検出効率(校正証明書に記載されている値)
− 多価帯電補正
− 参照CPC及び被験CPCに供給される粒子濃度の違い(分流器の偏り補正係数)
− 参照CPCの入口流量測定の精度及び変動
− 検出効率測定の繰返し性

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− 粒径の違いがCPCの検出効率に大きく影響する場合,粒径の不確かさ
5.4.6 c)で示したように,参照CPCは,校正がなされた濃度の範囲が記載された,有効期限内の校正証明
書をもたなければならない。
注記 JIS Q 17025の5.10.4.4では,“顧客との合意がある場合を除き,校正証明書は校正周期に関す
る推奨を含んではならない。”とされている。参照装置の校正証明書に有効期限が記載されてい
ない場合は,校正を実施する者が設定した校正期限に基づいて参照装置の有効性を判定するこ
とが望ましい。
校正証明書は,参照CPCによる濃度測定の不確かさを与える。後述の合成不確かさの計算では標準不確
かさ(k=1)を用いるが,校正証明書に記載された不確かさはしばしば拡張不確かさ(k=2,約95 %の信
頼水準に相当)として表現されているので,注意が必要である。
検出効率がプラトー領域にある場合,多価帯電補正は必要なく,そのため,この要素に対する不確かさ
はゼロである。プラトー領域から外れた,より複雑な場合については,この規格では取り扱わない。
偏り補正要素β及びその不確かさの計算手順を,附属書Gに記載している。
参照CPCの入口流量が,被験CPCを校正するときと参照CPCが校正されたときとで異なる場合,その
差に比例した影響が検出効率の決定において生じる。7.2.7 b)に記載しているように,参照CPC流量は校
正済の流量計を用いて各手順ごとに計測し,規定された許容範囲内になければならない。参照CPC流量に
伴う不確かさは,この許容範囲によって決められる。流量がずれていた場合,補正を行って不確かさを小
さくすることもできるが,この規格では扱わない。
7.3.5 c)で示された5回の繰返し測定から,検出効率測定の短期間での繰返し性を推定することができる。
繰返し測定の標準偏差は,後述の不確かさの計算に含まれる。5回の繰返し測定から求めた不確かさは測
定ごとに異なる値になり,その測定にだけ適用できる。
粒径の不確かさが検出効率の不確かさに重大な影響を与える場合については,附属書Mに手引を記載す
る。
検出効率の不確かさの計算を表5に示す。
表5−参照CPCを用いた校正における相対不確かさの要素
要素 記号 参照 補足
参照CPCの検出効率 ur(RCPC) 参照CPCの校正証明書から引用 参照CPCの読み取り値に対
する%として表記する。
分流器の偏り補正係数 ur(β) 式(G.9) %として表記する。
(流量が等しくない場合は附属書Gを参照) ur(β)=100 u(β)/β
参照CPC流量の偏差 7.2.7 b)
ur(qCPC,ref) %として表記する。
繰返し性 7.3.5 c)
ur(ηrep) %として表記する。
ur(ηrep)=100 σ(ηrep)/ηCPC
全ての要素は,標準偏差に基づく相対標準不確かさとして表される。
相対合成標準不確かさは,式(17)で与えられる。
uc,r η ur2 RCPC ur2 β ur2 (ηrep )
ur2 qCPC,ref (17)
相対拡張不確かさUr(η)は,相対合成標準不確かさに包含係数kを乗じ,Ur(η)=k uc,r(η)として求める。通
常,k=2を使用する。

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7.4.4 粒子数濃度
CPC校正証明書に記載する粒子数濃度は,例えば,装置の測定方式が変わる場合など,CPCの応答に非
線形性が予想されるときに特に重要な情報を与える。校正証明書に記載する濃度は,流量補正を行った後
の,参照CPCによって測定した濃度の算術平均とする。粒子数濃度に対しては不確かさを評価する必要は
ない。粒子数濃度の不確かさには,分流器の偏り補正係数以外の全ての要素の不確かさが含まれ,そのた
め検出効率の不確かさより若干小さい。
校正後の被験CPCを使った測定に対する不確かさの評価はより複雑である(附属書N参照)。

8 校正結果の報告

  被験CPCの校正報告には,次の情報を含める。
a) 被験CPCに関する説明 製造業者,型式,製造番号,及び内部の操作パラメータ設定
b) 参照装置に関する説明(FCAE又はCPC) 製造業者,型式,製造番号,内部の操作パラメータ設定,
校正証明書の情報及び有効期限
c) エアロゾル発生に関する説明 粒子性状,気体組成,発生方法,その他全ての関連パラメータ
d) 参照装置の測定結果に対して行った補正(例えば,測定された流量が証明書に記載された流量と異な
った場合)
e) 校正時の被験CPCの流量及びその不確かさ
f) 使用した流量計に関する説明,及び最終校正日
g) 校正時の測定室の温度及び気圧
h) 校正エアロゾルのライン圧
i) 被験CPCに対するゼロ確認の結果
j) 校正エアロゾルの極性,及び校正エアロゾル中の2価・3価帯電粒子の割合の測定結果
k) 検出効率の計算に使用した方法の説明(この規格の細分箇条を参照してよい。)
l) 校正結果 粒径及びその不確かさ,粒子数濃度,並びに検出効率及びその不確かさ
m) 校正証明書の推奨有効期限
注記 JIS Q 17025の5.10.4(校正証明書)では,“顧客との合意がある場合を除き,校正証明書は
校正周期に関する推奨を含んではならない。”とされている。
n) その他の関連情報
校正証明書の推奨書式を附属書Cに記載する。

――――― [JIS Z 8850 pdf 43] ―――――

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附属書A
(参考)
CPCの性能特性
A.1 一般
この規格の箇条6及び箇条7では,一つ以上の異なる粒径,複数の粒子数濃度で,被験CPCの検出効率
を決定する方法を規定した。この附属書では,A.2においてCPCの性能を記述する主要な特性について解
説し,更にA.3では,異なる濃度又は粒径にて得られた検出効率から,CPCを特徴付ける幾つかのパラメー
タ(プラトー領域での傾き,及び最小可測粒径)を得る方法を説明する。ここに記載する情報はあくまでも
参考のためであり,データの適切な評価は場合によって異なるため,取得したデータの使いみちは,ユー
ザだけが決められるものである。
A.2 CPCの主な性能特性
図A.1は,実際の濃度とCPCで計測した濃度との代表的な関係を示す。グラフ中央付近の濃度範囲にお
いて,両者は非常によい線形の関係となる。これは,検出効率が一定であることを意味する。濃度が低い
ところでは粒子の計測値がばらつく。最小可測濃度では,CPCは僅かな漏れ又は光学系の汚染によって起
こる偽計数のため,実際の濃度より大きな値を示す。比較的大きな漏れ又は均一核生成が起きている場合
は,高い偽計数を示す。一方,高濃度では,同時通過補正ができないか,又はその機能がオフならば,同
時通過損失によって実際の濃度より小さな値を示す。適切に同時通過損失補正を行えば,線形直線部分を
より高濃度にまで広げることが可能である。
注記1 この関係は,粒径と粒子性状とによって異なる。

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100 000
c 3
m-)
被験 CPCによって計測された濃度(
10 000
1 000
100
10
1
1 10 100 1 000 10 000 100 000
実際の濃度(cm-3)
1 縦軸=横軸(1:1)の直線
図A.1−実際の濃度と単一粒子計数モードでのCPC計測濃度との関係 :
ある粒径及び粒子性状における偽計数及び同時通過損失の例示
図A.2に,CPCの検出効率の典型的な粒径依存性を示す。検出効率は,大きな粒径で比較的一定(プラ
トー効率)になる。小さな粒径では粒子に蒸気が凝縮できないため,検出効率はゼロに向かって減少する。
プラトー効率は,通常100 %に近い。検出効率がプラトー効率の50 %になる粒径は,最小可測粒径又はカ
ットオフ径と呼ばれる。参照CPCのプラトー効率下限粒径dmin,ref(3.21)も図に示す。
注記2 粒径依存性は,粒子濃度及び粒子性状によって異なる。

――――― [JIS Z 8850 pdf 45] ―――――

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