JIS A 1412-2:1999 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第2部:熱流計法(HFM法) | ページ 2

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1.8.2 試験体の平均熱伝導率 試験体は,ISO 9251で定義されている均質又は多孔質性均質でなければ
ならない。多孔質性均質の試験体は,非均質な部分が試験体の厚さの1/10以下であることを目安とする。
多くの材料,製品及びシステムでは,実用上の代表的な温度差を用い,温度差のある範囲に対して熱抵
抗の近似的な関係を見極めることが望ましい。温度差に対する依存性は,ある範囲では直線的になる(第
1部 3.4.3参照)。
1.8.3 材料の熱伝導率(熱伝導比抵抗,トランスミッシビティ) その測定が材料,製品及びシステム全
体を代表するものであることを保証するため,適切なサンプリングを行わなければならない。
a) 試験体の厚さの影響 材料が薄く低密度であるほど,熱抵抗は伝導よりもほかの伝熱形態に依存し,
熱移動係数が,試験体の厚さに関係するようになる。このような材料に対しては,実際の使用条件で
熱抵抗を決める必要がある。
材料,製品及びシステムの熱移動係数が,厚さの増加に対して2%以上変化しない厚さにしなけれ
ばならない。
b) 材料の熱特性を求めるための最小厚さ すべての材料について,厚さによる依存性が起こる限界厚さ
があり,この厚さ以下では,試験体は特殊な伝熱特性を示すことがある。これは材料の特性とはいえ
ないので,この最小厚さを把握することが必要である(第1部 3.4.2)。
2. 測定装置
2.1 装置の種類 熱流計測定装置は,加熱板,熱流計,試験体及び冷却熱板によって構成される。一般
的な構成は,図1に示すとおりである。
a) 試験体1枚・非対称構成方式 熱流計が,加熱,冷却いずれかの熱板に密着して配置され,熱流計と
試験体をそれぞれ1枚ずつ用いて測定する。
b) 試験体1枚・対称構成方式 熱流計が加熱板と冷却熱板にそれぞれ密着して配置されており,熱流計
2枚,試験体1枚を用いて測定する。
c) 試験体2枚・対称構成方式 熱流計1枚,試験体2枚を用いて測定する。熱流計を中心において,試
験体2枚で熱流計を挟むように配置する。2枚の試験体は,同一の材料サンプルから切りとった実質
的に同じものとする。
d) 二重構成 試験体1枚・非対称構成方式二組を逆さにして重ねた構成で,中央の熱板を兼用する装置。
同時に試験体2枚を測定する。
e) 二段構成 試験体2枚・対称構成方式二組を2段に重ねた構成で,中央の熱板を兼用する装置。同時
に試験体4枚を測定する。
いずれの構成のものを使用しても,この規格で述べている諸制約内で使用するなら同等の測定結果
が得られるはずである。附属書Cに熱流計の特性について規定してある。

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図1 熱流計法の代表的構成
2.2 熱板 加熱板及び冷却熱板は,その各作用面の温度分布が等温になるように製作する。そのために
は,金属板の間に均一に熱を発生するように電熱線を配置したり,また,金属板の間に恒温液体を循環さ
せたり,両者を組み合わせる方法が考えられる。
液体加熱式の場合,金属板の設計には特別な注意が必要である。最悪条件の熱負荷を最初に決め,それ
から液体の流量を試験的に決める。また,液体通路は,往復を対にしたら(螺)旋状通路を用いた場合に
最もよい結果が得られる(図2参照)。

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測定装置での加熱板及び冷却熱板の作用面の温度の均一性は,熱流計によっては表面の温度差に敏感だ
から保護熱板法装置の場合よりもむしろ厳密にしなくてはならない。
加熱板及び冷却熱板の作用面は,熱伝導率の大きな金属で,真の平面に対して0.025%以内の平滑度で仕
上げる。
加熱板及び冷却熱板の試験体と接触する面の全半球放射率は,使用温度において0.8以上にする。各作
用面上の温度の均一性は試験体温度差の1%以内にする。加熱板と冷却熱板とは同一のものでよい。
更に,熱流計を加熱板又は冷却熱板に密着させ,測定される熱流量の誤差が,0.5%以内になるように,
表面に沿った温度差を小さくする。
試験中の作用面の温度及び試験体と接触している熱流計表面の温度の変化は,試験体温度差の0.5%以上
の変動又は変化がないようにする。更に,熱流計表面の試験中の温度変動(時間の関数として)は,熱流
計出力に2%以上の変動を与えないようにする(附属書C参照)。
図2 加熱板及び冷却熱板の液体流路のパターン例
2.3 熱流計
2.3.1 一般事項 熱流計は,熱的に安定した熱抵抗をもつ薄い平板材料でできており,試験体と熱流計自
身を断面方向に流れる熱流によって,熱流計の両面に発生する温度差による起電力を測定し,試験体を通
過する熱流量密度を求める計器である。熱流計の幾つかの種類について,2.3.6に示す。
最も一般的には,熱流計は均質なコア,熱流検出センサ及び表面温度検出センサで構成されている。熱
流計の試験体と接触する面の全半球放射率は,使用温度において0.8以上にする。
2.3.2 コア コアは適当な非吸湿性の材料で作られ,十分な均質性と等方性及び十分な平行面をもち,面
に垂直で均一な熱流が得られるように製作する。コア材料は,温度及び湿度の使用条件,保管条件下で,
また,通常の取扱いによって著しい変化を生じないものとする。また,熱的に均一なものであって長期間
にわたって安定し,圧縮率の小さい硬質材料とする。
参考 熱流計用として使用できる幾つかの材料として,コルクの複合材,硬質ゴム系プラスチック,
セラミックスとフェノール樹脂のラミネート材,エポキシ樹脂,シリコーン含浸ガラスファイ
バークロスなどがある。
2.3.3 サーモパイル(熱電すい) コア材断面の温度差による熱起電力をサーモパイルで測定する(附属
書C参照)。その幾つかの種類を図3に示す。サーモパイルの熱起電力eと,熱流密度qとの関係を,感
度係数と呼ばれるパラメータfを用いて,次の式で表す。
q=f・e
パラメータfは,厳密には一定の値ではなくて温度又は熱流密度自身に関係する。
サーモパイルに使用する導体は,サーモパイルの素線による伝熱の影響を避けるために,線径0.2mmよ
りも細く,熱伝導率の小さな材料で,その上,熱起電力が大きいことが望ましい。

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熱流計測領域は,等温面であることが前提であるので,熱流は計測領域面に垂直となる。この前提が得
られないのは,熱流計の面に平行な熱流成分が存在することになる。この成分に対する感度はサーモパイ
ルの接点の配置に関係する。図3b), c)に示す接点は,面に沿って存在する温度差に対しては感知しないが,
図3 a)に示す接点の場合には面に垂直及び平行に存在する温度差に対して感知する。したがって,できる
限りこのような設計は避けるべきである。熱流検出センサの出力用のリード線を伝わる熱流の影響にも注
意が必要である。
熱流計の出力が0.2mV以下の場合には,リード線又は測定回路及び熱流計自身の中で発生する外的な熱
起電力の影響を防ぐために特別な技術を用する。その影響は,熱流量を変え,しかも,前半と後半とでは
熱流の方向を逆になるように測定して,測定点をプロットした線が0と交わる位置を調べることによって
知ることができる。
熱流計内において熱抵抗の均一性を確実にするためには,熱流検出センサは,次のいずれかによる。
a) 熱流計の計測領域内で均一に分散配置し,全表面積の10%以上40%以下の面積とする。
b) 全表面積の10%以上の領域内に集中配置し,それらの領域は,熱流計中心の40%以内になるようにす
る。
図3 サーモパイルの結線
2.3.4 表面シート 校正値に影響を与えるようなダメージが熱流検出センサに加えられるのを防止する
目的で,熱流計の両面を薄い層でカバーする。この際,その厚みは,熱流検出センサのワイヤを熱的な障
害から保護する厚さをもつ材料とする。適切に設計された熱流計の感度は,試験体の熱コンダクタンスと
広い範囲にわたって無関係であるべきである。表面シートもまた温度変動を減衰させるようなものを選ん
だ方がよい。表面シートとしてはコア材料と類似のものを使用し,接着フィルムや溶剤のような化学的な
方法,又はほかの適当な技術によってコア材にしっかりと接着させる。熱流計の計測領域は,熱板面に密
着するように,0.025%以内の平滑さに仕上げる。

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2.3.5 表面温度センサ 熱流計の試験体側の平均温度を測定するために適切な温度センサを用いる。例え
ば,サーモパイルの接点が配置されている領域の熱流計の表面温度を平均化するために,表面シートに
80 騰 着したものを使用することがある。このはくは,熱流計の厚さに大体等しい
距離だけこの領域よりも拡張するようにする。このはくは,銅−コンスタンタン熱電対回路の一部として
使用することができ,更には,それに白金抵抗センサを取り付けるようにすることも可能である。この目
的に熱電対が使用される場合には,直径0.2mm又はそれ以下の銅・コンスタンタン線をコアに取り付ける
前に表面シートを通す。コンスタンタン線は,はくの中心にはんだ付けするが,(+)のリード線の方は,
はくの周辺近くにはんだ付けする。余分のはんだは取り除く。表面シートは突起物を取り除くためにサン
ドペーパで研磨する。金属はくでカバーされていない熱流計表面は,平滑な表面が得られるように厚さ
80 属製のシートによってマスクする。熱電対線については2.5.1.3に準拠する。
2.3.6 熱流計の種類 熱流計には,幾つかの種類がある。この試験方法の中で扱う熱流計は“こう配形”
と呼ばれている。板状の材料からなり,それにかかる温度こう配を通常熱電対を用いて測定する。
こう配形熱流計は,一般的な構造のもの2種類が実際に使用されている。それらは,高熱抵抗形のもの
と低熱抵抗形のものである。
高熱抵抗形のものは,コルクのように熱抵抗の大きな板状の材料からなり,それに少数の熱電対を巻き
付け,温度差を測定するようになっている。各面は仕上げ材で仕上げられ,更に各面には一組の温度セン
サと1個のセンサと均熱板が置かれ,全体を組み合わせたものの両表面は通気性の低い膜でカバーされる。
この熱流計の特徴は,大きな温度降下が生じ,少数の熱電対で十分な感度が得られ,製作が容易で,感度
が試験体の性質によってあまり変化しないことである。
低熱抵抗のものは,エポキシ樹脂又はシリコーン含浸のガラスファイバークロスのような比較的熱抵抗
の低い材料で作られる薄い平板材料を使用し,その周りに非常に感度の高い熱電対を巻き付けて小さな温
度差を測定するようにしたものである。やはり各表面は仕上げ材で仕上げられる。多くの場合に,この材
料は単に絶縁フィルムと金属とからなるものである。この熱流計の特徴は,温度降下は小さいが十分な高
い感度をもっていることである。
2.4 端面断熱及び端面熱損失
2.4.1 一般事項 熱流計法測定装置の周辺部からの熱損失は,端面断熱を施すか,又は周りの空気の温度
を制御することによって,また,これらを併用することによって制限する。
周囲の温度を試験体の平均温度に等しく保つようにするために,組立られた装置を恒温容器中に収容す
る。
2.4.2 装置構成による影響 3種類の装置構成(2.1参照)に応じて,それぞれの端面熱損失の状態は異
なり,熱損失を最小にするための手段も異なる。
a) 試験体1枚非対称構成方式の場合には,試験体の端面熱損失に関する対処法は保護熱板法装置の場合
と同じである。この場合には,試験体の接している面の温度が不均一であると,そのための誤差が付
け加わることになり,熱流計法装置では,保護熱板法装置の場合よりもその端面熱損失の影響は重大
となる。
b) 試験体2枚対称構成方式の場合には,周辺から流れ込む熱流は,金属熱板から直接供給されるという
よりも,2枚の試験体を介して供給されるので,熱流計における端面熱損失誤差に敏感である。これ
らの熱板の作用面は等温面に近いが,熱流計の表面温度は均一というわけではない。熱流計がその主
要面に沿って存在する温度差の影響を敏感に受ける場合には,端面熱損失は重大な誤差を引き起こす
ことがある。そのようになるのを防ぐためには,平均試験温度に保たれる恒温容器が必要となる。試

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  • ISO 8301:1991(MOD)

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