JIS A 1412-2:1999 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第2部:熱流計法(HFM法)

JIS A 1412-2:1999 規格概要

この規格 A1412-2は、平板状の熱絶縁材の熱抵抗の定常状態における熱伝導率などの伝熱特性を熱流計法(HFM法)によって測定する方法について規定。

JISA1412-2 規格全文情報

規格番号
JIS A1412-2 
規格名称
熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第2部 : 熱流計法(HFM法)
規格名称英語訳
Test method for thermal resistance and related properties of thermal insulations -- Part 2:Heat flow meter apparatus
制定年月日
1999年4月20日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 8301:1991(MOD)
国際規格分類

ICS

91.100.60
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
建築 II-1(試験) 2021, 建築 II-2(試験) 2021
改訂:履歴
1999-04-20 制定日, 2006-11-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS A 1412-2:1999 PDF [32]
A 1412-2 : 1999

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。これによってJIS A 1412 : 1994は廃止され,JIS A 1412-1JIS A 1412-3に置き換えら
れる。
JIS A 1412-2には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定) 平板比較法
附属書B(規定) 保護熱板式熱流計法
附属書C(規定) 熱流計の校正及び装置の設計
附属書D(参考) 熱流計
JIS A 1412は,次に示す3部で構成される。
第1部 : 保護熱板法(GHP法)
第2部 : 熱流計法(HFM法)
第3部 : 円筒法

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS A 1412-2 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
A 1412-2 : 1999

熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部 : 熱流計法(HFM法)

Test method for thermal resistance and related properties of thermal insulations−Part 2 : Heat flow meter apparatus

序文 この規格は,1991年に第1版として発行されたISO 8301, Thermal insulation−Determination of
steady-state thermal resistance and related properties−Heat flow meter apparatusを元に作成した日本工業規格(日本産業規格)で
あり,附属書A,附属書Bを除いて,技術的内容を変更することなく作成している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 一般事項
1.1 適用範囲 この規格は,平板状の熱絶縁材の,定常状態における熱抵抗,熱伝導率などの伝熱特性
を熱流計法(HFM法)によって測定する方法について規定する。
この測定方法は,熱流計を介して,標準板と試験体の熱抵抗を比較して,熱抵抗,熱伝導率などの関連
伝熱特性を求めるので,平板法による二次測定法又は比較測定法である。
この方法は,1.7.2による厚さの範囲で,0.1m2・K/Wよりも大きい熱抵抗をもつ試験体に適用できる。
1.2 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成
する。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を
構成するものであって,その後の改正版・追補には,適用しない。発効年を付記していない引用規格は,
その最新版を適用する。
JIS A 1412-1 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第1部 : 保護熱板法(GHP法)
JIS C 1602 熱電対
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法
ISO 7345 : 1987 Thermal insulation−Physical quantities and definitions
ISO 9251 : 1987 Thermal insulation−Heat transfer conditions and properties of materials−Vocabulary
1.3 定義 この規格で用いる主な用語の定義を,次に示す。これらの用語の定義は,第1部によるほか
ISO 7345による。
a) 熱流(量) (Heat flow-rate) 圀
b) 熱流(量)密度 (Density of heat f1ow-rate) q [W/m2]
c) 熱抵抗 (Thermal resistance) R [m2・K/W]

――――― [JIS A 1412-2 pdf 2] ―――――

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A 1412-2 : 1999
d) 熱コンダクタンス (Thermal conductance) 圀一 m2・K) ]
e) 熱伝導率 (Thermal conductivity) 圀一 m・K) ]
f) 熱伝導比抵抗 (Thermal resistivity) r [m・K/W]
g) 試験体の平均熱伝導率 (Mean thermal conductivity of a specimen)
h) 試験体の熱移動係数 (transfer factor of a specimen)
i) 材料のサーマルトランスミッシビティ (thermal transmissivity of a material)
j) 伝熱特性 (heat transfer property)
k) 熱絶縁材 (thermal insulation)
l) 試料 (sample)
m) 試験体 (specimen)
n) 試験体平均温度 (mean temperature)
o) 試験体温度差 (temperature difference)
これらのほかに,この規格で用いる用語の定義は,次による。
測定装置の校正,測定方法の評価又は材料に特性値を付与す
p) 標準物質 (standard reference materials)
ることに用いるために,一つ以上の特性値が適切に確定されている十分に均一な材料。この規格では,
公的試験機関 (recognized standard laboratorv) においてJIS A 1412-1に定める保護熱板法測定装置を用
いて熱抵抗又は熱コンダクタンス若しくは熱伝導率を測定して値が付与された平板材料で,通常,標
準板という。
熱流計を校正するために保護熱板法で検定された材料。
q) 校正用標準板 (calibration standard specimen)
平板比較法において,試験体と比較して試験体の伝
r) 比較用標準板 (standard specimen for comparison)
熱特性を求めるために用いる材料。公的試験機関で検定されたもの,又は校正用標準板と同等のもの
が望ましい。
参考 原国際規格では,この定義にあるように,測定する試験体の状態によって伝熱用語を区別して
いる。これまでも均一でない材料の熱伝導率については,“見掛けの熱伝導率”,“等価熱伝導
率”,“有効熱伝導率”などのように表現しているが,熱移動係数,サーマルトランスミッシビ
ティなどの用語は,これらと同義語であり,複合材料の伝熱特性を論理的に説明するための用
語であって,一般的には使用されていない。一般の熱絶縁材のように組成構造がほぼ均一とみ
なせる材料については,混乱が生じない範囲で単に“熱伝導率”と表示してよいものとする。
1.4 記号及び単位
A 伝熱面積(等温状態の定められた測定領域の面積) m2
d 試験体の厚さ m
dm 2枚一組の試験体の平均厚さ m
e 熱流計の出力 mV
f 熱流計の感度係数 W/ (mV・m2)
q 熱流密度 W/m2
r 熱伝導比抵抗 m・K/W
R 熱抵抗 m2・K/W
熱移動係数 W/ (m・K)
T1 試験体の高温側表面温度 K
T2 試験体の低温側表面温度 K

――――― [JIS A 1412-2 pdf 3] ―――――

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A 1412-2 : 1999
Ta 試験体表面の雰囲気温度 K
Te 試験体端面の温度 K
Tm 試験体の平均温度 通常 (T1+T2) /2 K
V 体積 m3
厚さの増分 m
刀 熱抵抗の増分 m2・K/W
試験体の温度差 通常 (T1−T2) K
熱伝導率 W/ (m・K)
サーマルトランスミッシビテイ W/ (m・K)
熱コンダクタンス W/ (m2・K)
参考 温度差を除いて温度は,セルシウス単位 (℃) を使用してもよい。そのときは,記号として
使用する。
1.5 校正 熱流計法測定装置の校正は非常に重要である。熱抵抗を異にする各種の試験体に対して,こ
の装置が適正な性能を発揮できるようにするためには,この装置で測定するべき材料の伝熱特性と類似す
る材料で校正することが必要である。校正するための材料を校正用標準板と呼び,保護熱板法による絶対
法で検定したものである(附属書C1.参照)。
a) 試験装置は,校正用標準板を使用して,実際の試験の前後の各24時間以内に校正を行う。校正用標準
板の安定性は材料の種類によるが,少なくとも5年間隔以内で確認することを勧める。試験体の測定
及び装置の校正は,ともに高温側と低温側の温度を校正用標準板を校正した場合と大体同一の条件で
行う。
b) 熱流計の短期的及び長期的な安定性がともに,読取り値の±1%より良好なことが認められる場合には,
熱流計法装置の校正の頻度は15日ごと又は30日ごとに1回程度に減少させてもよい。
なお,試験後に校正を行って,校正結果がその前の結果と比較して,1%以内であることを確認する
こと。このとき前後2回の校正結果の平均値を感度係数として測定結果を求める。
校正における変化が±1%を超える場合には,前項a)の試験を繰り返す。
c) この装置は,校正の行われた温度以外では使用するべきではない。校正曲線(附属書C1.参照)は検
証されている温度範囲だけで使用する。
1.6 原理 熱流計法測定装置は,試験体と熱流計を重ね,加熱板と冷却熱板で所定の平均温度と温度差
を与え定常状態とし,熱流計と試験体の同一の伝熱領域を同時に一次元で定密度の熱流が通過するように
したもので,熱流計を介して試験体の熱抵抗と標準板の熱抵抗を比較する方法である。
伝熱領域における熱流密度が一定で,温度差 獗 Tmが安定している場合に測定される標準板
の熱流 体の熱流 湫 と,標準板の熱抵抗RSと試験体の熱抵抗Ruの比との関係は次のようにな
り,Ruを求めることができる。
Ru S
RS u
規定された諸条件が満たされ,試験体の厚さが明らかであれば試験体の熱伝導率を求めることができる。
この方法の適用できる範囲は,使用する装置が試験体内にどの程度一定で一次元の熱流密度を形成でき
るか,又は温度,厚さ,熱流計の起電力などを,どの程度正確に測定できるかにかかっている。また,試
験体の平滑・平行度も関係する。
現実には,試験体及び熱流計の全面積にわたって理想的な一次元の熱流密度を得ることは困難であり,

――――― [JIS A 1412-2 pdf 4] ―――――

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A 1412-2 : 1999
次のような事項について留意する必要がある。
a) 試験体及び熱流計の周辺部での熱移動。
b) 標準板と試験体の形状(特に厚さ)及び熱特性の相違。
c) 保護熱板法測定装置で標準板の熱抵抗を求めた場合と,その標準板を用いて熱流計法測定装置を校正
する場合の熱的境界条件の相違。
備考1. 熱流計を使用しないで,標準板と試験体を直接重ねて測定することによって,上の関係式と
同様に熱抵抗の比を得ることができる。 田 熱流計法では標準板及び試験体を別々に
測定したときの熱流計の起電力出力であり,比較法では標準板と試験体を重ねて測定したと
きの,それぞれの温度差に置き換えることになる。これは従来の平板比較法であり,国内で
は現在も利用されているので,附属書Aとして取り扱うことにした。
2. 国内では,従来から厚物の試験体を対象として,一次元熱流を一層厳密に実現するために,
保護熱板を備えた熱流計法である保護熱板式熱流計法を採用している。この方式も広く利用
されているので,熱流法に含めて附属書Bとして取り扱うことにした。
1.7 試験体の厚さに関する制約
1.7.1 一般事項 試験体と熱流計,更に緩衝材を使用する場合には,その厚さを加えた総合的な厚さは,
冷却熱板と加熱板の距離に等しいが,その厚さは熱流測定の際の端面熱損失の影響を抑えるために一定の
制約が必要となる。限界寸法は,端面熱損失,端面断熱,試験体の周辺の雰囲気温度などによって左右さ
れる。
1.7.2 試験体の最大厚さ(加熱板と冷却熱板との間の最大間隔) 試験中の加熱板と冷却熱板の間の距離
として許容される最大寸法Dtは,熱流計全体の辺の長さL,熱流計測定領域の辺の長さLm,非測定領域の
幅 (L−Lm) ,熱流計の構造,試験体の特質に関係する。試験体の最大許容厚さの指針は,第1部(保護熱
板法)の解析式を代用する。
熱流計法の試験体1枚対称構成方式の場合においては,試験体2枚対称構成方式の場合に比較して試験
体厚さの最大寸法は50%増しにできる。試験体の厚さが装置の限界を超える場合においては,更に大きい
熱板をもつ装置を使用するが,保護熱板法を使用することが望ましい。
1.7.3 最小厚さ 試験体の最小厚さは,1.7.4に示す接触抵抗によって制約を受ける。また,熱伝導率(サ
ーマルトランスミッシビティ,熱移動係数)を求める場合は,厚さ測定器の精度によって制約される。
1.7.4 接触抵抗 硬質で熱コンダクタンスが大きい試験体(例えば,硬すぎて加熱板及び冷却熱板に対し
て形がなじまない場合)を試験するとき,試験体及び装置の表面がわずかに不均一であっても,試験体と
加熱板,冷却熱板,熱流計の間の接触抵抗の分布が不均一になる。このため,熱流分布も不均一になり,
試験体内の温度場(サーマルフィールド)にゆがみを生じ,特別な技術なしでは正確な表面温度の測定が
困難になる。
1.8 試験体による制約
1.8.1 熱抵抗,熱コンダクタンス又は熱移動係数
a) 試験体の均質性の影響 熱抵抗又は熱コンダクタンスを測定するとき,均質でない試験体の場合には,
試験体内部又は測定領域表面において定密度一次元の熱流密度は得られず,試験体内の温度場(サー
マルフィールド)にゆがみを生じ誤差を引き起こす懸念がある。非均質性による誤差の評価を試みる
ことを勧める(第1部 3.4.1参照)。
b) 温度差の影響 適用する温度差を定め,測定したときの温度差を報告値に記載する。熱抵抗及び熱コ
ンダクタンスは,試験体温度差の関数になることがある。

――――― [JIS A 1412-2 pdf 5] ―――――

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  • ISO 8301:1991(MOD)

JIS A 1412-2:1999の国際規格 ICS 分類一覧

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