この規格ページの目次
5
A 1412-3 : 1999 (ISO 8497 : 1994)
6.2.1 理想的な材料及び試験条件の場合 熱伝導率が一定又は一次式で表される均一物質で,一様な温度
条件下で試験が行われたものに対しては,そのときの平均温度における一回の試験で,3.e)に示した式を
用いて熱伝導率を決定することが可能である。この熱伝導率を用いて,更に別の寸法や厚さ,別の温度差
の,同じ平均温度で使用されている,同材質の保温筒の熱流量及び伝熱特性を計算することも可能である。
6.2.2 理想的ではない材料及び試験条件の場合 実際多くの材料は,厳密にいって均一ではない。その熱
伝導率は温度の複雑な関数である。試験時に試験体の外表面温度は,対流及び放射伝熱によって一様では
ない。また,加熱管との間にすき間ができているかも知れない。こういったデータを,試験をしたときと
異なる寸法又は条件に拡張するには,常にこのような要素が現状に当てはまるかどうかを厳密に評価すべ
きである。
通常測定は,特定の製品又は材料を,少なくとも適用しようとする寸法に近い2種類のパイプサイズで
行う。こうして測定した熱伝導率の各値が許容範囲に入った場合は,その平均値は,同じ平均温度であれ
ば,その製品の違う範囲の寸法,違う条件の伝熱特性を計算するのに使用してもよい。もしも,測定され
た熱伝導率が許容範囲に入らない場合は,適当な傾向分析を使って,伝熱特性を求めようとしている寸法
に適した熱伝導率として妥当な値を決定する。この熱伝導率が大きくかけ離れている場合は,更に別の寸
法で追加測定する。他に取るべき手段の一つとして,管の寸法は異なるが同じ保温厚,同じ温度で測定し
た何点かの伝熱特性(例えば,線熱トランスファーレンス)を内挿することもできる。
6.3 知見 この規格に網羅されている広い範囲にわたる装置の型及び取扱いに関し,詳細を極めるのは
現実的ではないので,測定に際しては,熱測定に関する適当な予備知識をもっていなければならない。
6.4 取扱いの詳細 この規格を用いるものは,一般要件及び目的に合った装置を組立たり操作したりす
る人の助けになるよう,詳しい図面,取扱い説明書を用意しておかなければならない。
7. 装置
7.1 一般要件 測定装置は,加熱管,管及び周囲温度,並びに試験区間 (test section) のヒータが消費す
る平均電力を制御又は測定する装置から成る。線熱トランスファーレンスだけしか測定しない場合以外は,
保温筒外表面温度を測定する装置も含まれる。加熱管は,例えば,ヒータを通した別の管(電熱管 : heater
pipe)を中に入れるといった方法で,電気的に一様に加熱する。装置が大きくなると,内部にかくはん用
のファンを設けたり,熱媒となる液体を満たして,温度が一様になるようにする必要がある。試験区間の
両端部には,保護加熱管 (guard section) を別に設ける(7.3及び図1参照)か,端部保温材を取り付けた
上,与えられた熱量の補正をする(7.4及び図2参照)かして,管軸方向の熱流が最小になるようにする。
また,装置周辺の気温を制御できる恒温容器又は恒温室も必要である。
測定装置は,この規格に規定された原理及び制限に準じるが,個々の装置の構成及び操作のための細部
までをこの中には,規定しない。そのような指示は,各々の装置ごとに個別に用意すべきである。
7.2 寸法 加熱管の直径に関しては,限定はしないが,試験区間の長さは,全発生熱量が,加熱管両端
部の熱損失に比べて十分大きく,電力の測定精度が,希望する測定精度に見合うだけのものを確保する。
参考 外径が88.9mmの端部保護方式の装置(7.3参照)では,主加熱管部の長さは0.6m,試験体全
長は約1mあればよいことが分かる。端部校正方式又は端部計算(補正)方式(7.4参照)では,
同様の直径の場合,通常2m又はそれ以上が適している。このような長さは,すべての装置寸
法,試験条件を満足させるものではなく,適切な誤差解析によって所要長さを割り出す必要が
ある。
便宜上からは,試験装置を標準長さの保温筒がそっくり取り付けられるような作りにすべき
――――― [JIS A 1412-3 pdf 6] ―――――
6
A 1412-3 : 1999 (ISO 8497 : 1994)
であろう。
7.3 端部保護方式の装置 端部保護方式の装置(図1参照)は,試験区間(主加熱管)の両端部に,“ガ
ード”と呼ばれる独立した加熱管(保護加熱管)を配して,主加熱管端部に管軸方向の熱流が生じないよ
うにするとともに,温度を一様にして,主加熱管部においてはすべての熱流が半径方向になるようにする。
主加熱管部・保護加熱管部とも,ヒータは,長手方向に温度が一様になるように設計し,温度の不均一か
らくる余計な誤差が入り込まないようにする。必要があれば更に補助ヒータを,両端のガード部分の外側
に設ける。各保護加熱管部の長さ(二重のガードをしている場合は,両方合わせた長さ)は,主加熱管部
の両端において,試験装置・試験体合わせてその中を流れる管軸方向の熱流が,主加熱管部で測定される
発生熱量と比べて許容最小限になるよう,十分長いものとする。
参考1. 前記の保護加熱管部の妥当な長さを割り出すにはどのような方法があるか,また,希望する
精度で測定結果を得るためには,どの程度温度が一様になる必要があるかについては何も知
られていない。今後こういった解析がなされることが期待される。それまでは,現在検証さ
れているものとほぼ同じ比率で装置を設計し,両方のガードを含めて一様な温度になるよう
に図るべきである。
2. 外径88.9mmの装置で,一応均一で,それほど強い配向性もなく,また,厚さがその管径を
超えない試験体を試験する場合は,保護加熱管部の長さは200mmで十分だということが分か
っている。
それより厚いもの又は,管軸方向のコンダクタンスが高い試験体では,更に長い保護加熱
管部が必要となる。
主加熱管と保護加熱管との間に,また,二重の保護をとっている場合は,保護加熱管どう
しの間に,通常,構造上必要な細い支柱を除いて,4mm以下の切込み(ギャップ)を入れる。
中に入っている電熱管も同様である。このすき間には,管より熱伝導率の非常に小さい材料
を詰めておく。
各区間の間で対流及び放射による伝熱を防ぐため,すき間ごとに管内部に遮へい板を設け
る。各切込みを挟んで両側25mm以内の所に,示差熱電対を取り付け,各々の切込みを境に
して温度差が生じていないかを監視する。
――――― [JIS A 1412-3 pdf 7] ―――――
7
A 1412-3 : 1999 (ISO 8497 : 1994)
図1 端部保護方式の加熱管の構造
7.4 端部校正方式又は端部補正方式の装置 端部校正方式又は端部補正方式の装置(図2参照)は,試
験区間の両端に端部保温材を取付け,管軸方向の熱流を防ぐ。端部保温材からの熱損失の修正は,端部校
正方式では,同じ試験条件の下で直接校正を行い,端部補正方式では,試験体の寸法を基にした補正係数
から算出する。内部に通すヒータは,試験区間の長さ全体を均一な温度に加熱するように設計しなければ
ならない。もしも,補助ヒータを端部に取り付けてあるような場合は,そのヒータの出力も試験区間の熱
出力に加算する。
7.4.1 校正用端部保温材及び校正管 端部校正方式の装置では,校正に用いる端部保温材を試験体の両端
部と全く同じ寸法に作り,伝熱性能をほぼ等しくする。両端部保温材は,加熱管の直径に等しくし,少な
くとも,その直径の1/2以上の深さのくぼみを設ける。校正管は,この二つの端部保温材を合わせてでき
る空間の内面にすき間なく収まる長さに等しく作る。内部には試験に用いる加熱管の端部を模したヒータ
を設ける。その管の表面には,表面温度を測定する熱電対を,90°の間隔で4か所以上取り付ける。熱電
対の太さは,実測時のものと同様細いものとし,直径0.65mm以下とする。
7.4.2 端部補正方式の端部保温材 端部補正方式では,両端部保温材の外径は,試験体の外径と等しいか
大きくする(図2参照)。また,熱伝導率の小さな均一な材料で作り,管の端部が入るくぼみはあってもな
くてもよい[ただし,10.2.3.1 d)の制限あり。]。端部保温材は,第1部(保護熱板法)又は第2部(熱流計
法)によって,試験しようとしている温度範囲にわたる熱伝導率を測定する。試験体が配向性の強いもの
である場合,次に述べる方法とは別のやり方で補正する必要がある(10.2.3参照)。
7.5 加熱管表面温度の測定 加熱管の測定区間の表面温度は,最低4か所,長さ150mmに1か所の割合
で熱電対によって測定する。それらの配置は,長手方向には中央から等間隔に,円周方向には4590°の
間で1周を割り切れる等角度間隔でら(螺)旋状に配置する。
――――― [JIS A 1412-3 pdf 8] ―――――
8
A 1412-3 : 1999 (ISO 8497 : 1994)
7.6 温度センサ 温度センサには,JIS C 1602に規定する熱電対を用いる。普通は先端が裸で,素線は
絶縁被覆された熱電対が,温度測定に使用され,この規格でもすべてこれを採用している。こういった熱
電対は,個々に校正されたり,校正値付きの素線の同一巻線から作られる。素線の直径はできるだけ細い
ものとし,金属の表面を測定する場合は,直径0.65mm以下,非金属表面では,直径0.4mm以下を用いる。
シース熱電対,測温抵抗体又はその他の温度センサは,熱電対と同じ指示が得られるものであれば使用し
てもよい。平均温度は,各熱電対の指示値の平均をとるか,電気的に絶縁された内部抵抗の等しい熱電対
を並列に接続し,平均温度が得られるようにしたものの指示値を直接読み取る。端部保護方式で保護加熱
管部の温度差を測定するには,熱電対を直列につないで,熱電すい(サーモパイル)の形にして行う。
図2 端部校正方式及び端部補正方式の試験装置
7.7 温度測定装置 温度測定は,JIS Z 8704に基づく電気的方法による。
温度測定装置には,普通,直流電位差計又は直読式微電圧計が使われるが,温度差の測定誤差が十分許
容値以内に入る精度をもつものとする。
参考 温度差の測定誤差は,3.で述べた式による計算結果と同じ割合の誤差を生じる。したがって,
――――― [JIS A 1412-3 pdf 9] ―――――
9
A 1412-3 : 1999 (ISO 8497 : 1994)
個々の温度差と許容誤差に対して,温度測定の精度がどれだけ必要か,誤差解析(12.1参照)
によって確認しておく必要がある。極端な例として,20K程度の小さな温度差を測定する場合
を考えてみる。温度差の測定誤差の許容限界を1%とすると,0.2K以内の温度差が検出できな
ければならない。温度を単独で測定し,その誤差が不規則な場合,個々の温度測定誤差は0.14K
以下でなければならない(個々の測定に含まれる固有の偏差値は,温度差の測定では相殺され
る。)。温度差が大きい方が,測定精度が緩くてすむのは明かである。
7.8 電源 試験区間のヒータ電源は,直流でも交流でもよいが,電圧を細かく調節できるものを用いる。
保護加熱管部用の電源については,自動制御装置を使用しないときは,調節が可能なものとする。
7.9 電力測定装置 電力測定装置は,試験区間のヒータの平均電力を,±0.5%の精度で測定できるもの
を用いる。
入力電力が一定の場合は,校正された電力計か,電圧及び電流(標準抵抗を使って)を測定するための,
電圧測定装置でよい。入力電力が一定しなかったり波があるような場合は,積算電力計のような積分型の
計器を用いる。
ここでの測定値は,試験区間内の消費電力だけが得られるようにする。導線からの熱損失,電圧降下用
抵抗又は電力計の校正値による修正といった補正を行う。
7.10 周囲の設定及び測定 恒温容器又は恒温室を用意する。それは,加熱管と試験体周囲温度との温度
差が200Kまでは±1K,200Kを超える場合は±2K以内の精度で,希望する温度に保てるものとする。そ
の恒温容器又は恒温室は,常温から上下に,任意の希望する温度に保てるよう設計されていてもよい。試
験装置は,基本的には静止した空気中に置かれ,加熱された試験体の周りの自然対流を乱すようなものが
近くにあってはならない。試験体周囲の壁,物体表面の半球放射率は,少なくとも0.85以上で,周囲の気
温とほぼ等しくなければならない。必要に応じ,空気以外のガスを満たしてもよく,希望する角度及び速
度の強制対流によって,風の影響を模擬してもよい。
気温を測定するセンサは,直接,加熱管その他の熱源からの影響を受けないようにし,設置する。どこ
に設置するのが妥当かは,実験によって決定し,必要があれば,放射遮へいを施す。ただし,試験装置の
真上に置いてはならない。
7.11 被覆又は追加保温 温度調節用に適当な被覆を取り付けることによって,試験体外表面を周囲とは
違った温度で試験しているように見せ掛けることができる。試験体の表面温度を高める別の方法として,
その上に更に断熱材を巻き付けるというやり方もある。いずれの場合も,8.6に規定の試験体外表面温度測
定用熱電対は,被覆又は追加断熱に先立って取り付けておく必要がある。被覆又は追加断熱材の内表面(試
験体に面した)の放射率は,0.8以上あり,試験体内部の放射伝熱をわずかでも落とすようなことのないよ
うにする。この場合は,線熱トランスファーレンスの測定はできない。
8. 試験体
8.1 一般的要件 5.1及び6.1を参照のこと。
8.2 試験体の採り方 試験結果が,ある型の製品,ある特定のロット又はある材料(均一な材料の場合)
の代表値を示すように求められる場合は,それに合った試験体の採り方をするべきである。そうでない場
合,試験結果は単にその試験体の特性を与えるに過ぎない。
――――― [JIS A 1412-3 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS A 1412-3:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8497:1994(MOD)
JIS A 1412-3:1999の国際規格 ICS 分類一覧
JIS A 1412-3:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA1412-1:2016
- 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第1部:保護熱板法(GHP法)
- JISA1412-2:1999
- 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第2部:熱流計法(HFM法)
- JISC1602:2015
- 熱電対
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8704:1993
- 温度測定方法―電気的方法