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A 1412-3 : 1999 (ISO 8497 : 1994)
8.3 試験体の取付け方 試験の意図する目的を検討した上で,試験体に関する細目,加熱管への適用方
法を決める。試験体を加熱管に取り付ける方法としては,幾つかの考え方がある。継ぎ目にシール材など
を使う方法,外とう,被覆,帯,柔軟なさやなどによる方法もある。別に指定された又は決められた目的
がない場合,試験体は,現場で行われる通常の施工方法で加熱管に取り付け,仕上げ材,その他も通常の
ものを使用する(6.1.1参照)。
8.4 養生 試験体は,試験に先立って,乾燥,その他の方法で速やかに安定な状態にもっていく。ただ
し,試験体が変質してしまうような方法は避ける。材料に対する養生方法は,通常は試験体が変質又は劣
化しない限り,102120℃で恒量となるまで乾燥する。乾燥時の最高温度は,石こうについては40℃,発
泡プラスチックスでは5560℃が推奨される。さらに,低い温度の方が望ましい場合もある。
必要があれば,養生によって変化した質量を測定する。養生後の質量と密度も測定する。
8.5 寸法の測定 加熱管に試験体を取り付けた後,その形状を示すのに必要な外部寸法を,±0.5%以内
で測定する(試験前と試験後)。断面が円形のものは,周囲の長さを巻尺で測定し,円周率で除して直径
D2を出す。ノギスを使って直径を測る方法もあるが,この場合は何箇所も測定して,真円からの偏差値を
含む平均値を算出する。
試験区間の長さは,少なくとも四つに等分割し,各分割の中央の寸法を測定する。この場合,凹凸がな
いかを調べ,その部分は避けて測定し,凹凸部分の測定は別に行い,記録する。保護加熱管方式では,保
護加熱管部の長さも測定し,記録する。
全長にわたって一様な断面形状であると称する試験体でも,試験区間の平均値に対して5%以上寸法が
異なる箇所があるようなものは採用しない。
備考 その他の寸法,例えば,内径,厚さなどの測定は,その製品に適用できる試験規格が必要であ
る。それらの測定は,直接その試験規格に従って実施しなければならない。
8.6 試験体の表面温度測定 外表面温度の平均値T2を測定するための熱電対を,試験体の表面に次の要
領で張り付ける。
8.6.1 温度測定位置 試験区間の長さを最小限4等分し,各々の長手方向の中央に表面熱電対を張り付け
る。大きな装置では,熱電対の数も多くなる。円周方向に対しては,熱電対をら(螺)旋状に,4590度
の範囲で割り切れる数を,等間隔に配置する。試験体の継ぎ目,その他の不規則な部分では,その両側の
試験体の厚さに等しい距離に,上で規定の熱電対の幾つかを配置する。これによって表面温度測定箇所の
追加が必要な場合は,熱電対を追加する。ただし,このような場合は,個々の温度測定位置と結果を報告
する(13.6参照)。
8.6.2 温度計の取付け 熱電対は,測温接点及びそれに続く所要長さの線を,表面と熱的によく接触する
ように張り付ける。ただし,それによってその付近の表面の放射率が変らないようにしなければならない。
8.6.2.1 非金属表面 非金属表面では,熱電対線を少なくとも100mmはその表面に沿ってはわせる。確
実な張り付け方の一つとして,試験体表面にあらかじめテープを張り付け又は巻き付けておき,その上に
熱電対を張り付けるという方法がある。表面は滑らかではあるが温度は均一でないような場合,小さな(約
20mm角)金属はく(箔)を熱電対の上からテープに張り付ける。この場合は,金属はく(箔)の表面が
試験体の表面と同じ放射率になるように,塗料を塗っておく。
8.6.2.2 金属表面 金属表面の場合は,熱電対線を最低10mm以上表面にはわせて張り付ける。測温接点
は,かしめ,溶接,はんだ付,ろう付又は表面と同じ放射率の金属テープを使って取り付ける。スポット
溶接を特に推奨する。表面と同じく放射率が小さく薄い金属の帯を表面に溶接し,線を表面にしっかり固
定する。
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8.7 コンダクタンスの高い試験体 管軸方向に高いコンダクタンスをもつ金属保温材のような試験体
(このような試験体は,端部保護方式で測定する。)には,軸方向に流れる熱量を計算する必要があるため,
軸方向の温度差を測定するための熱電対を取り付ける。これらの熱電対は,試験体の上下ともに,主加熱
管と保護加熱管の境から45mm程度,左右等しい距離の位置にそれぞれ取り付ける。
9. 試験方法
9.1 寸法の測定 試験区間の長さL,試験体の外周,その他試験体の形状を表すのに必要な,又は要求
のある寸法を測定する。通常,この規格の中で使用する寸法は,室温1035℃において測定した値である。
使用温度における寸法を基にした物性が必要な場合は,室温で測定した寸法を,あらかじめ測定しておい
た熱膨張係数を使って計算で求めるか,直接使用温度において実測する。使用温度における寸法を基にし
た物性も大きな差はない。
9.1.1 試験区間の長さ 端部保護方式では,試験区間の長さLは,主加熱管両端にある保護加熱管との間
の切込みの中心線から中心線までを用いる。端部校正方式又は端部補正方式では,両側の端部保温材の間
の長さを試験区間の長さとして用いる。
9.1.2 直径 試験体の外側の寸法は,8.5で規定の方法で測定する。
9.2 外部要件 所定の周囲温度の変動が,試験続行中は,±1℃又は加熱管表面の温度と周囲温度との温
度差 (T0−Ta) の±1%の,どちらか大きい方の値以上にならないように調節された恒温室又は恒温容器の
中に試験装置を入れて行う。温度を均一にするためにかくはんする必要がある場合,また,試験条件の中
に気流の影響が含まれる場合を除いて,基本的には静止空気(又は他のガス)の中で試験する。強制対流
が存在する場合は,その強さと方向を測定して報告する。
9.3 加熱管の温度 加熱管(端部保護方式では主加熱管)の温度を希望する値に合わせる。ある温度範
囲にわたって材料を評価したい場合は,その範囲をほぼ等分割にした点の少なくとも34点の温度で測定
をする。例えば,品質管理,受入れ検査などで1点の温度のデータだけでよい場合は,その点の温度で試
験をしてもよいし,その点の前後で測定して,内挿してもよい。
備考 通常,試験は,試験体の外表面を常温にさらした状態で行われる。この場合,加熱管の温度と,
それに対応した平均温度が上がるに従って温度差が大きくなるという,実際の使用条件の大多
数の例を再現することになろう。別の使用条件を再現したい場合,又は小さい温度差をとりた
い場合は,周囲温度を変えたり,温度制御用の外とうを取り付けたり,又はその上に断熱材を
追加して表面温度を上げることによって,外表面温度を高くしたり低くしたりすればよい。こ
の種の試験条件は,報告書に記載しなければならない。
9.4 温度補償方法 端部保護方式を用いる場合は,各保護加熱管の温度を,主加熱管と保護加熱管の温
度差が(加熱管の表面で測定して)切込みの両側でゼロになるか,測定時の放散熱量が1%以下の誤差に
収まるような小さな値に調節する。それには次のようなテストを行う。すなわち,主加熱管の温度を一定
に保ち,保護加熱管の温度を主加熱管よりわずかだけ高くしたり低くしたりしてみる。その結果得られた
温度の不一致と熱損失の関係から,内挿によって,一致した場合の熱損失と,1%の誤差に対応する最大許
容温度差の基準を導き出すことができる。しばしば用いられる一つの基準として,主加熱管と保護加熱管
の温度差が試験体の温度降下 (T2−T0) の0.5%より大きくないことというのがあるが,これは,すべての
条件に適用できるものではない。
理想的には,切込みの所で,主加熱管部と保護加熱管部との温度こう配が,表面の加熱管,中を通って
いる電熱管,その他内部の支持材にいたるまで,すべてがゼロになり,管内を軸方向に流れるすべての熱
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流がなくなる。しかし,物によっては,外側と内側の両方同時に平衡させることは不可能であって,その
場合は,内部に生じる管軸方向の熱流を補正する必要がある。外側の加熱管だけに支持部の熱橋がある場
合は,加熱管表面の温度平衡をとるだけで十分で,補正の必要はない。内部にも熱橋がある装置では,7.3
に規定の内部熱電対の値を使って,熱橋の寸法及び物性値から内部の管軸方向熱流を算出し,主加熱管に
印加されている電力に加算又は減算する必要がある。
9.5 測定
9.5.1 必要なデータ 定常状態に達した後,30分間隔で測定する。
a) 加熱管の試験区間の平均温度T0。
b) 保護加熱管の温度平衡(端部保護方式だけ)。
c) 試験体表面の平均温度T2(この値は,線熱トランスファーレンスだけ測定する場合は不要)。
d) 平均外気温度Ta及び強制対流の場合は,その流速。
e) 試験区間のヒータに与えている平均電力(一定電力を印加している場合は,電力又は電圧と電流の積,
又は積算電力を測定周期で除した値。)。
9.5.2 管軸方向の熱流
9.5.2.1 装置内部について 内部の電熱管又は支持材の管軸方向の温度こう配を,主加熱管と保護加熱管
の境界で測定する(7.3及び7.4参照)。
9.5.2.2 試験体内部について 管軸方向に高コンダクタンスの部分がある試験体では,8.7に規定する熱
電対で軸方向の温度こう配を測定する。この温度こう配の平均値,距離及びコンダクタンスから,軸方向
の伝熱成分を計算する。試験体の両端に生じる軸方向の熱流が,試験区間に与える平均熱量の1%を超え
るような場合は,その試験は無効とする。
9.5.3 測定間隔及び安定性 最低30分は間隔を開けて3回データを取り,各回の平均電力と平均温度差
が,3回の平均値から1%以上変化せず,また,その変化の方向が一様でなくなるまで試験を継続する。こ
れは最低基準で,必要があれば判定基準を更に厳しくする。
10. 端部の補正 端部校正方式及び端部補正方式では,端部保温材からの熱損失を補正する。端部保護方
式では,その必要がない。
10.1 端部校正方式
10.1.1 温度範囲 端部校正方式では,全試験温度範囲にわたって,端部校正装置による端部保温材の校正
が必要である。簡単な方法として,加熱管の試験温度範囲内で等間隔に3点以上校正し,外気温度差に対
する消費電力をプロットするというやり方がある。周囲の気温を変えて何本か校正曲線を求める。試験条
件が常に一定の場合は,周囲温度を等しくして,校正管の温度を目標値からわずかに上下に動かして校正
した2点の内挿値を使用するのが便利である。
10.1.2 校正装置の組立 校正管に端部保温材を取り付け,合せ目をグラスファイバ,その他適当なシール
材でシールする。ヒータ及び熱電対のリード線をつなぐ。
10.1.3 校正方法 所定の温度になるように,ヒータ電力を調節する。定常状態に達してから,校正管温度,
周囲温度及びヒータ印加電力を,最低30分間隔で測定する。連続して3回測定した平均電力と平均周囲温
度差が,いずれも3回の平均値から1%以上変動しなくなり,変化の方向も一様でなくなるまで測定を続
ける。必要があれば,定常状態の判定基準を更に厳しくする。
10.2 端部補正方式
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10.2.1 計算方法 端部補正方式では,端部に生じる管軸方向の熱流を,計算によって補正する。精度的に
満足のゆく方法であれば,どのようなやり方を用いてもよい。
10.2.2 van Rinsumの方法
10.2.2.1 概要 端部に生じる管軸方向の熱損失は,加熱管表面温度が両端に向かって下がっていくためで
あり,管(及び内部ヒータ)及び試験体の熱伝導率の関数である。もし,この温度降下が測定され,加熱
管及びヒータの熱伝導率が分かれば,試験体の熱伝導率は,通過熱量を測定することによって算出できる。
van Rinsum [4] の方法では,加熱管中央表面の温度を計算で補正している。この補正された加熱管表面温
度を,標準の熱伝導率の式(3.5参照)に代入する。やり方は,次のとおりである。
10.2.2.2 測定法 加熱管の中央部では,周囲を均等割にして,上下左右4か所に熱電対を取り付ける。同
様に,中央から距離Xだけ離れた両側に,4か所ずつ熱電対を取り付ける。距離Xは,200mmより大きく
とる。これらの熱電対は,7.5で規定の方法で取り付ける。各組の4か所の平均温度を求める。
10.2.2.3 計算方法 熱伝導率の近似値 は,次の式から算出する。
Φln(D2 / D0 )
' (10)
2 L(T0m T2 )
ここに, T0mは加熱管中央における4か所の熱電対の平均温度を表し,その他
の記号は,4.に従う。
補正係数cは,次の式から求める。
2 '
c (11)
( A1
1 A2 2) D2 / D0 )
ln(
ここに, A1及び それぞれ加熱管の断面積及び熱伝導率
A2及び それぞれ電熱管の断面積及び熱伝導率
である。加熱管中央の平均温度の補正項 次の式によって求める。
T0m T0x
T0m (12)
cosh( Xc)
ここに, T0xは,加熱管の中央から両側に距離Xだけ離れたところにある,8
か所の熱電対の平均温度である。補正された熱伝導率 次の式か
ら算出する。
Φln(D2 / D0 )
(pdf 一覧ページ番号 )
2 L(T0m T0m T2 )
10.2.3 抜山の方法
10.2.3.1 概要 端部保温材によって熱損失が増加するのを,試験区間がそれだけ長くなったものと等価と
考える。抜山の方法は,試験区間の長さに補正項を加えて行う。すなわち,3.e)の熱伝導率を求める式に,
補正された試験区間の長さを代入する。それには,次のような条件を満たす必要がある。
a) 端部保温材及び試験体は,均一で配向性のないものでなければならない。
b) 端部保温材は,試験体と等しい熱伝導率の材料でなければならない。
c) 端部保温材の外径は,試験体の外径と等しくする。
d) 加熱管は試験体と長さが等しく,長手方向の温度が均一でなければならない。
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図3 “抜山の方法”における補正係数
10.2.3.2 計算方法 熱伝導率は,次の式から算出する。
Φln(D2 / D0 )
(pdf 一覧ページ番号 )
2 (L nD0 )(T0 T2 )
補正係数nは,該当する直径の比 (D2/D0) 及び端部保温材の厚さSと加熱管外径の比 (S/D0) を用いて,
図3から求める。
10.2.4 有限差分法 もう一つの方法に,使用されている端部保温材と同じロットの平板の材料で測定した
熱定数,又は同等以上の精度をもつ別の方法で得た値を使用して,有限差分解析をするやり方がある。熱
定数の測定は,JIS A 1412-1又はJIS A 1412-2のどちらかを用い,配向性のある材料では,必要なすべて
の方向(通常は管軸方向と半径方向)の定数が必要となる。
11. 計算 所定の熱定数を,9.5.3の3点又はそれ以上の測定値から算出し,13.9に従ってそれらの平均値
を報告する。計算は,3.の式を用いるか,10.2の適当な式を用いて,端部補正をして求める。必要があれ
ば,加熱管内部の支持材の温度こう配,寸法及び熱定数から,管軸方向の熱損失を計算して補正する(9.4
参照)。端部校正方式では,10.1に従って,端部の校正をする。
12. 試験の確度及び精度
12.1 算定法 試験の確度及び精度は,試験装置とその操作,試験体の性質と試験条件に左右される。し
たがって,すべての試験に当てはまる定量的な記述はできない。特定の試験条件に対しては,伝熱特性を
計算するのに必要な個々の項目に含まれる誤差要因を算定することが可能であり,誤差論を統計的に拡張
し,個々の誤差を組み合わせて,最終結果の不確実性を求めることはできる。
12.2 試験機関の間の比較 試験機関の間で比較測定をすることによって,この方法の確度を評価するこ
とができる。
参考 九つの試験機関が参加して行われた比較測定(附属書A [5] )では,同じ試験体を使った測定
――――― [JIS A 1412-3 pdf 15] ―――――
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JIS A 1412-3:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8497:1994(MOD)
JIS A 1412-3:1999の国際規格 ICS 分類一覧
JIS A 1412-3:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA1412-1:2016
- 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第1部:保護熱板法(GHP法)
- JISA1412-2:1999
- 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第2部:熱流計法(HFM法)
- JISC1602:2015
- 熱電対
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8704:1993
- 温度測定方法―電気的方法