JIS A 1441-2:2007 音響―音響インテンシティ法による建築物及び建築部材の空気音遮断性能の測定方法―第2部:現場における測定 | ページ 3

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6.5 受音側における平均ノーマル音響インテンシティレベルの測定

6.5.1  一般事項 音源の設置位置ごとに,建築部材から放射される平均音響インテンシティをスキャニン
グ法又は離散点法を用いて測定する。
6.5.2 測定面 受音側に測定対象試料を完全に取り囲む測定面を設定する。実際の測定のために,その面
は,更に小面積の部分測定面に分割する。
試料がニッシェ内に取り付けられている場合には,ニッシェ開口部の平面を測定面とする。この面では,
ニッシェの内側に比べて音場の一様性が高い。試料がニッシェ内に取り付けられていない場合又はニッシ
ェの深さが0.1 m以下の場合には,図1に示す箱状の測定面を設定する。小形建築部品を対象とする場合
には,この条件となるのが一般的である。隔壁のように,測定対象建築部材が完全にその受音室のある一
面となっている場合には,図2に示す測定面は,平面的に壁に平行にとる。
図 1 測定対象建築部材を取り囲む箱状の測定面(陰の部分)
1:受音室
2:8個の部分測定面に分割された測定面
3:測定対象の建築部材(濃い陰の部分)
備考 この例では,8個の部分測定面は同一である。部分測定面の
分割の方法は,測定者が決定する。
図 2 測定対象建築部材に平行な測定面及びその分割
小形建築部品の場合には,半球状,円筒状又は部分的に箱状の測定面を用いてもよい。
音響インテンシティの測定距離は,0.10.3 mとする。0.1 m未満の距離は,振動する部位の近接音場と
なっているので避ける。このような近接音場では,インテンシティの向きが頻繁に正負に変化しやすい。
箱状の測定面を用いる場合,0.3 mより長い測定距離は避ける。
図1に示すように,箱状の測定面の5面のうちの四つの側面は,測定対象部材の周囲と交差し,それら

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の幅は,測定面の前面と試料面との間の距離0.10.3 mとなる。これらの側面を完全にサンプリングした
場合,近接音場における放射の影響を含むことになる。これを避けるために,測定対象部材から放射され
る音響パワーが,測定空間に含まれる試料以外の面から放射される音響パワーに比べて十分に大きい場合
には,箱状の測定面の四つの側面の幅0.1 mの底部では,音響インテンシティのサンプリングを行わない。
試料以外の面からの放射は,不要な側路伝搬成分となり得る。その影響が大きい場合には,測定面代わり
に適用される測定面の輪郭面の適正は,附属書CのC.2によって決定してもよい。
測定面は,測定領域内に測定対象試料以外の吸音面(例えば,厚いパイルカーペット)が含まれないよ
うに設定する。これが不可能な場合には,測定対象試料以外の吸音面は,測定を行う各1/3オクターブバ
ンド周波数における吸音率が0.1未満の材料で覆う。このような処置をしないと,放射インテンシティの
過小評価及び音響インテンシティ準音響透過損失の過大評価となるおそれがある。
6.5.3 プローブの向き プローブは,常に測定面に対して垂直に保ち,測定対象建築部材から外向きに放
射されるノーマル音響インテンシティnIが,正の値として測定される方向に向ける。
6.5.4 測定面の適正 スキャニング法又は離散点法のいずれかの方法によって,全測定面上で時間的及び
空間的に平均したノーマル音響インテンシティレベル L並びに音圧レベル
nI Lを測定する。その結果から,
p
符号付き音圧−インテンシティ指標 FpIn を,1/3オクターブバンドの測定周波数帯域ごとに計算する。そ
の結果が次の条件を満たせば,測定音場の条件は十分と判断できる。
反射性試料の場合 : FpIn <pI0 −7又は吸音性試料の場合 : FpIn < 6 (15)
ただし,試料の吸音率が0.5を上回る周波数帯域については,吸音性とみなす。
備考 吸音性試料の代表例としては,表面があなあき板で吸音処理されたものが挙げられる。その他
のほとんどの試料は,反射性とみなしてよい。
ノーマル音響インテンシティの測定値が負となる場合,又は符号付き音圧−インテンシティ指標 FpIn が
式(15)を満足しない場合には,測定環境を改善する必要がある。その場合,まず測定距離を510 cm程度
大きくする。それでも上記の条件を満たさない場合には,受音室内に吸音材を追加する。
現場測定では,外来騒音源によって測定環境の許容条件が満たされなくなることがある。受音室内で側
路伝搬音を放射する面もその一つである。これについては,附属書Cに示す方法によって,適正な測定環
境となっているか否かを調べ,その影響が無視できない場合には,取り除くか又は覆わなければならない。
6.5.5 スキャニングによる場合の手順
6.5.5.1 一般事項 測定面は,一つ又は幾つかの部分測定面に分割する。それぞれの部分測定面における
スキャニングの時間は,その面の大きさに比例させる。スキャン速度は,一定に保つ。その速度は0.10.3
m/sとする。一つの部分測定面から他の部分測定面へ移るときには,測定をいったん中断する。それ以外
の場合には,測定は連続的に行う。

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備考 測定されたインテンシティはそれぞれ LnI 1 及び LnI 2 とする。
図 3 方向が互いに90°異なる第一及び第二スキャニングのスキャニングパターン
測定面又は部分測定面におけるスキャニングは,図3に示すように,互いに平行で端部で折り返す経路
上で行う。スキャニング線の密度は,音の放射の均一性を考慮して決める。部分的な音漏れがあるような
場合には,一般に音場の不均一性が高いので,スキャン経路の間隔を密にする必要がある。通常,スキャ
dと同じ程度とする。
ン線の間隔は,測定距離M
測定面が図1のような箱状の場合,又は室の縁辺部若しくは入り隅に設置された小形建築部品の測定の
場合などのように部分的に箱状となる場合には,試料が取り付けられている隔壁と箱状の測定面との交差
部に近い領域に,特に注意する必要がある。各々の箱状の測定面の側面は,計算手順において,一つの部
分測定面になると考えられる。
6.5.5.2 スキャニングの繰返し精度の確認 測定面全体にわたる平均インテンシティを計算する前に,そ
れぞれの部分測定面におけるスキャニングによるインテンシティ測定の繰返し精度を確認する必要がある。
6.4によって受音室の条件を確認した後,図3に示すような二通りのスキャニングを行う。その結果とし
て LnI 1 及び LnI 2 の測定値を記録する。測定したすべての1/3オクターブバンドについて,式(16)の条件が
満たされている場合,式(17)によって2回のスキャニングの結果の算術平均値を求める。
LIn 1 LIn 2 0.1 (16)
1
LInij LIn 1LIn 2 (17)
2
ここに,添え字iは部分測定面の番号,jは音源の設置位置の番号を示す。
式(16)の条件を満足しなかった場合,再度2回のスキャニングを繰り返し,その結果について式(16)の条
件を調べる。この条件が満たされない場合には,スキャン線の密度,測定面又は測定環境を変え,条件が
満たされるまでその手順を繰り返す。それでも条件が満たされない場合には,この方法による場合に必要
な条件からの偏差を明記した上で,測定結果を試験報告書に記載する。
参考 原国際規格では,式(15)を基準としているが,式(16)を基準とするのが正しいので改めた。
6.5.6 離散点による場合の手順 スキャニングによる方法の代わりに,6.5.2に規定した測定面上に設定
した固定点で測定する方法をとってもよい。その場合,固定測定点の間隔は,測定面と試料との間隔 dと
M
同程度とする。試料に大きな音漏れの箇所がある場合又は音響パワー流が不均一になっている場合には,
測定距離は一定に保ったままで測定グリッドをより密にする。その測定は,JIS Z 8736-1に規定されてい
る実用級(グレード2)の手順に従う。また,JIS Z 8736-1の附属書Bによって,測定点の配置の適正さ
を確認する。それぞれの測定点において,最低10秒間の測定を行う。

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6.6 複数の分割面と音源位置との組合せ

 それぞれの部分測定面に対して,6.5.5又は6.5.6に規定した手
順によって測定を行う。
測定面をM個の部分測定面(それぞれの面積は SM)に分割し,かつ,音源設置位置の数がNである場
i
合,次の式によって,その測定面の平均音響インテンシティnIを計算する。
N M
I0 1 1.0Lnij
In SMi 10 sgn I n ij (18)
N SM
j1 i1
ここに, j : 音源設置位置を表す指標
i : 部分測定面を表す指標
sgn : ある部分測定面の音響インテンシティが測定領域の方に向
く場合,( In)は−1,逆の場合は1をとる
ij
SM : 次の式で与えられる測定面全体の面積 (m2)
M
SM SMi (19)
i
式(18)によって計算されるnIが負となる場合,測定面を通る平均インテンシティ流が測定対象試料の方
向へ向いていることになる。このような場合には,音響透過損失は定義できず,この方法による測定は不
可能である。
備考 受音室が残響過多である場合,又は測定領域の外部に側路伝搬面音を放射する面などの外来騒
音源がある場合に,負のインテンシティが生じる可能性がある。これを補正するための手続き
は,6.5.4及び附属書Cによる。
測定面上の平均値を表すノーマル音響インテンシティレベル Lは,次の式によって計算する。
nI
In
I
Ln 10 log10 (20)
I0
Iは,式(18)によって計算される測定面上の平均値である。
ここに,ノーマル音響インテンシティn
同様に,次の式によって測定面上の符号付き音圧−インテンシティ指標を計算する。
N M
1 1
FpI 10 log 10 SMi 10 1.0LpijLIn (21)
n N SM
j 1 i 1
ここに, L : pijj番目の音源設置位置に対するi番目の部分測定面上の平均
音圧レベル (dB)
音源室及び受音室を隔てる建築部材については,式(18)によって計算された測定面上のインテンシティ
の符号が正で,かつ,6.5.4の規定が満足されれば,インテンシティ準音響透過損失が式(10)によって与え
られる。

6.7 暗騒音

 測定面上の音圧レベル,音響インテンシティレベルともに,暗騒音によるレベルに比べて
少なくとも10 dB大きくなければならない。これらの条件は,次の手順によって調べる。音場指標 FpIn に
関する条件が満たされている場合(6.5.4参照),音源のレベルを10 dB下げてみて,FpIn の変化が1 dBよ
り小さければ,条件は満たされている。
備考 インテンシティの測定では,暗騒音の影響をその音圧レベルによって補正することができない
ため,暗騒音のレベルに関する条件は,JIS A 1417に規定する条件より厳しい。

6.8 測定周波数範囲

 音圧レベル及び音響インテンシティレベルの測定は,次の中心周波数の1/3オクタ
ーブ周波数帯域について行う。

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100 Hz,125 Hz,160 Hz,200 Hz,250 Hz,315 Hz,400 Hz,500 Hz,630 Hz,800 Hz,1 000 Hz,1 250 Hz,
1 600 Hz,2 000 Hz,2 500 Hz及び3 150 Hz
低周波数帯域の測定が必要な場合には,次の中心周波数の1/3オクターブ周波数帯域について測定を追
加する。
50 Hz,63 Hz及び80 Hz
高周波数帯域の測定が必要な場合には,次の中心周波数の1/3オクターブ周波数帯域について測定を追
加する。
4 000 Hz及び5 000 Hz
オクターブ帯域の値が必要な場合は,JIS A 1417に規定する手順に従って,1/3オクターブ帯域の値から
計算する。
6.9 RI R,I
所要測定量 M , RF,
I j D,
In DI ne 及び FpIn から,それぞれに関連する量を計算する。
R
音源室と受音室との間に共通する面がない特別な場合には,I 及び
RFは定義できないので,それぞれ
I j
DI ne 及び Dに置きかえる。
In

7. 測定結果の表示

 遮音性能(例えば,I R    ,I
RF,j D,
In DI ne など)及びそのデータを査定する音場
指標(符号付き音圧−インテンシティ指標)FpIn は,すべての周波数帯域にわたって小数点第一位までの
数値及び図で表す。図示する場合,横軸はオクターブの幅が15 mm(1/3オクターブの幅が5 mm),また,
縦軸は10 dBが20 mmとなるようにとる。

8. 試験報告書

 試験報告書には,次の事項を記載する。
a) 測定機関の名称
b) 測定機関の所在地
c) 依頼者の名称
d) 測定実施年月日
e) この規格によったこと及び満足できなかった条件
f) 測定試料の設置状況,すき間処理,面密度など
g) 測定に用いた試験室の容積及び諸元
h) 測定対象部材の音源室及び受音室に共通する面積が10 m2以下の場合は,その旨を表すための記号(<10
m2)を付した試料の面積S及び測定面の面積 S。
M
i) 測定面上平均ノーマル音響インテンシティ[式(18)で定義している]の符号が正となっているすべて
の1/3オクターブバンドについて,遮音性能を表す値(IR RF
,Ij , DI ne など)を示す。調整した値
も報告する場合は,KCの値も示す。
j) すべての1/3オクターブバンドにわたって測定面上の平均ノーマル音響インテンシティ[式(18)で定義
している]の符号が正の場合にだけ,重み付きインテンシティ音響透過損失を示す。
k) 符号付き音圧−インテンシティ指標 FpIn 及び音圧−残留インテンシティ指数 pI0 の周波数特性。
l) 試料表面から測定面までの距離,測定面の形及び面積,部分測定面の詳細,また,スキャニング法に
よる場合にはスキャン線の密度,離散点法による場合には離散測定点の測定グリッド。
m) プローブ(マイクロホンの口径,マイクロホン間隔)を含む測定装置に関する説明
備考 重み付きインテンシティ音響透過損失の評価方法は,JIS A 1419-1を参照。

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JIS A 1441-2:2007の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15186-2:2003(MOD)

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