JIS A 3306:2020 建築構造物の設計の基本―構造物への地震作用 | ページ 5

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A 3306 : 2020
附属書B
(参考)
規準化設計用応答スペクトル
B.1 規準化設計用応答スペクトルの形状
規準化設計用応答スペクトルは,加速度応答スペクトルを設計用最大加速度で規準化したものと解釈す
ることが可能である。
これは,式(B.1)式(B.4)で表現される形状としてよいとされている。
T 0≦T kR=1+(kR0−1) T
kR=kR0 Ta≦T kR=kR0TTv
Tv≦T TvTd
kR=kR0 Td≦Tに対して (B.4)
T2
ここに, kR : 地震動加速度の代表値で規準化した設計用加速度応
答スペクトル値
kR0 : 短周期域における最大加速度応答の地震動加速度の
代表値に対する比
T : 構造物の基本固有周期
Ta,Tv及びTd : スペクトルの折れ曲がり点の周期(コーナー周期)
(図B.1)
kR0,Ta,Tv及びTdの値は,構造物の特性(例 減衰特性)に加え,地盤構成,地盤の非線形特性,主な
震源の地震マグニチュード及び近傍の活断層からの距離にも依存する。平均的な地盤に立地する減衰5 %
構造物に対しては,kR0は2から3程度の値としてよいとされている。

――――― [JIS A 3306 pdf 21] ―――――

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記号
kR 設計のためピーク地動加速度で規準化した設計用加速度応答スペクトル
kR0 ピーク地動加速度に対する最大加速度応答の比
T 構造物の基本固有周期
Ta, Tv, Td スペクトルのコーナー周期(スペクトルの折れ曲がり点の周期)
短周期構造物の設計用kR
長周期域の設計用kRの下限値
図B.1−規準化設計用応答スペクトル
B.2 規準化設計用応答スペクトルの特徴
式(B.2)によって,kRはTa≦T
幅は加速度振幅を円振動数ω で割ることで計算することが可能である。したがって,式(B.3)は,Tv
T
≦Tとなることを示す(変位一定域)。すなわち,Ta,Tv及びTdは,それぞれ応答加速度,応答速度及び応答
変位と密接な関係をもつ。
TaはTvの1/51/2に設定してよいとされており,水平動に対するTvは次のように設定することが可能
である。
− 堅固な地盤条件 0.3秒0.5秒
− 中間的な地盤条件 0.5秒0.8秒
− 緩く軟らかい地盤条件 0.8秒1.2秒
地盤構成の効果を考慮する場合には,浅い地盤だけでなく当該地周辺の深部地下構造も考慮することが
望ましい。
図B.1においてkRは,T=0での1から,T=TaでのkR0まで線形に増加する。しかしながら,図B.1の
点線で示したように0− この帯域における地震動特性には不確実性がある。
− この帯域では加速度強震計の感度が低いために,kRは見かけ上の値よりも大きい可能性がある。
− 短周期構造物の構造設計係数kDを危険側に推定している可能性がある。
長周期域における地震力を決めるときには,図B.1の水平鎖線のように下限値を設定することが望まし

――――― [JIS A 3306 pdf 22] ―――――

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いとされている。この値は,kR0の1/3から1/5としてよいとされている。長周期域では,応答変位は地動
最大変位の関数となる。非常に大きいマグニチュードの地震の断層近傍における地動変位には不確実性が
あるため,小地震動記録からの外挿によってこれを決める場合には(十分に)注意を払うことが望ましい。
構造物の基本固有周期Tは,(実測によって)補正された経験式,レイリー式による近似,又は固有値
式によって計算することができる。Tを推定する場合は,コンクリート部材のひび割れによる剛性低下を
考慮することが望ましい。

――――― [JIS A 3306 pdf 23] ―――――

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附属書C
(参考)
等価静的解析に用いる地震力分布パラメータ
等価静的解析に用いる,基部より上の地震力分布パラメータの一般的な特徴は,次のとおりである。
a) 例えば,周期0.05秒に満たない極めて剛な構造物では,頂部から基部まで全体が地動と同じように運
動する。この場合,地震力の分布は一様で地震層せん断力は頂部から基部にかけて直線的に増加する。
これを,地震力一様分布と呼んでいる(図C.1の実線参照)。図C.1において,縦座標は高さの代わり
に規準化重量αi[式(C.5)参照]を用いている。
b) 低層建築物では,地震力の分布は逆三角に近似する。この場合,地震層せん断力の分布は基部を頂点
とする放物線と仮定している。これを,地震力逆三角形分布と呼んでいる(図C.1の破線参照)。
c) 高層建築物では,高次モードの影響によって上部の地震力が大きくなる。建築物を基部固定の均一せ
ん断弾性体とし,外乱としてホワイトノイズを受けると仮定した場合,地震層せん断力の分布は上に
凸の放物線となる(図C.1の点線参照)。この分布を,ホワイトノイズを受けるせん断型構造物の分布
又は層せん断力の分布が αに比例するので“
i α分布”と呼ぶこともある。
i
記号
αi 規準化重量
kF,i 地震力分布係数
kV,i 地震層せん断力分布係数
Vi/V1 規準化地震層せん断力
式(C.1)でν=0,又は式(C.4)でk1=0かつk2=0
式(C.1)でν=1,又は式(C.4)でk1=1かつk2=0
式(C.4)でk1=0かつk2=1
式(C.1)でν=2
図C.1−地震力分布パラメータ
上記の地震力分布パラメータの特徴を考慮すると,参考として地震力分布係数kF,iは次のように定めて
もよい。
FG ,ihvi
k,Fi n
(C.1)
vj
FG , jh
j 1

――――― [JIS A 3306 pdf 24] ―――――

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ここに, FG,i : 想定される変動積載荷重(全積載荷重の0.20.3)を含む構造
物のレベルiの重力による荷重
hi : 基部からレベルiまでの高さ
n : 基部から上のレベル数
参考として,指数vは,次のように定めてもよい(ここで,Tは,構造物の基本固有周期である。)。
− 低層建築物(5階建以下の建築物),又はT≦0.5秒の構造物 ν=01
− 中層建築物,又は0.5秒− 高層建築物(高さ50 m又は15階建を超える建築物),又はT>1.5秒の構造物 ν=2
式(C.1)で与えられる地震力分布パラメータを,ν=0に対しては図C.1の実線,ν=1に対しては図C.1
の破線,ν=2に対しては図C.1の一点鎖線で示している。
式(C.1)は,ν=2(図C.1の一点鎖線参照)としても,高層建築物に対しては適切な分布を与えない。こ
のため,高層建築物に対する地震力分布係数kF,iは次のように定めてもよい。
kF,n=ρ (C.2)
FG ,ihi
k,Fi 1( ρ) n (C.3)
FG , jhi
j 1
ここに, ρ : 頂部に集中荷重を与える係数(およそρ=0.1)
式(C.2)及び式(C.3)が常に適切な分布を与えるわけではなく,頂部の集中荷重はセットバックのある建築
物に対しては実際的ではないため,次のように導く他の分布を用いるのが望ましいとされている。
図C.1の右に示されている4種の規準化地震層せん断力の3種は,この附属書の最初に記載したa),b)
及びc)に対応し,それぞれ“a”,“b”,“c”で示す。(レベルiの地震層せん断力をベースシヤで除した)
規準化地震層せん断力Vi/V1は次のように与えている。
− 地震力一様分布(図C.1の実線“a”参照) Vi/V1=αi
− 地震力逆三角形分布(図C.1の破線“b”参照) Vi/V1=1−(1−αi)2=2αi+α12
− α分布(図C.1の点線“c”参照) Vi/V1= αi
“b”と“a”との差d1はd1=αi−αi2で与えられ,“c”と“a”との差d2はd2=
α−αiで与えられる。し
i
たがって,係数k1とk2とを調整することによって種々の規準化地震層せん断力の分布を次のように表現し
ている。
Vi/V1=αi+k1d1+k2d2=αi+k1(αi−α12)+k2(
α−αi)
i
上式をαiで除すと,レベルiの地震層せん断力係数をベースシヤ係数で規準化した,地震層せん断力分
布係数kV,iは次のようになる。
1
kV,i=1+k1(1−αi)+k2 1 (C.4)
αi
ここに, k1及びk2 : 01の間の値となる係数(主として構造物の高さ,又は
構造物の基本固有周期から定まる。)
αiは,次の式で与えられる規準化重量である。

――――― [JIS A 3306 pdf 25] ―――――

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JIS A 3306:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3010:2017(MOD)

JIS A 3306:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 3306:2020の関連規格と引用規格一覧