JIS A 3306:2020 建築構造物の設計の基本―構造物への地震作用 | ページ 7

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されている。)
kR,z : 応答倍率(2.5としてよいとされている。)
FGe : 有効な重力による荷重
水平成分と組み合わせる場合には,鉛直成分には係数λを乗じ,その値は経験的に0.20.4としてよい
とされている。
鉛直成分の影響が特に重要な場合には,より精度の高い動的解析を実行して鉛直成分を評価してよいと
されている。このような場合として,次が挙げられるが,これらに限定されるものではない。
a) 非常に長い内のり(法)スパンをもつ水平構造要素及び長い片持ちはり(梁)要素。
b) 大きなアーチ力が作用する構造。
c) 大きなせん断力を受けるコンクリート造の柱及び耐震壁,特に打ち継ぎ面。
d) 免震システムのアイソレータ。

――――― [JIS A 3306 pdf 31] ―――――

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附属書F
(参考)
ねじ(捩)りモーメント
構造物のレベルiのねじ(捩)りモーメントMiは,通常は図F.1に模式的に示すように直交するx軸−y
軸それぞれの方向について計算するが,式(F.1)によって求めてよいとされている。
Mi=Viei (F.1)
ここに, Vi : レベルiでの地震層せん断力[式(F.2)参照]
n
Vi Fj (F.2)
j i
ここに, Fj : レベルjの地震力
n : 基部より上のレベル数
ei : 対象としている構造要素について,次の二つのうちの最も不
利な方の偏心距離。
− 重心(質量中心)と剛心との間の偏心距離に並進とねじ
(捩)れ振動との連成を表す動的増幅係数を乗じ,さら
に,レベルiの付随的な偏心を加えた偏心距離
− 重心と剛心との間の偏心距離から付随的な偏心を差し引
いた偏心距離
記号
1 耐震壁
2 柱
G 重心
R 剛心
偏心距離
ex, ey
図F.1−重心G及び剛心R並びに偏心距離ex及びey
等価静的解析において,ねじ(捩)りは,動的応答効果を考慮するために,増幅させる必要がある。動
的増幅係数は,国内の基準又は国内のほかの規格などによって定められるであろう。例えば,この値は1
2としてよいとされている。
付随的な偏心距離は,見積もった偏心距離の不確かさ及び地震動の回転成分の影響を補するもので,

――――― [JIS A 3306 pdf 32] ―――――

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作用力に直交する方向の構造物の寸法の0.05倍は下回らないとみなされる。
構造要素の強度及びじん(靱)性は,ねじ(捩)りモーメントが付加的な地震作用を構造要素に与える
ことを考慮して,適切に設定されることが望ましい。

――――― [JIS A 3306 pdf 33] ―――――

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附属書G
(参考)
減衰定数
構造物の減衰は,次のように分類している。
− 構造要素(部材及び接合部)の内部減衰
− 履歴現象に由来する復元力-変形関係
− 非構造要素による減衰
− 上部構造の振動に由来する地盤へのエネルギー逸散による減衰
一般に,動的解析においては,履歴減衰を除いたこれらの種類の減衰を粘性減衰によって表現する。等
価線形モデルの場合には,履歴減衰も粘性減衰の一部として取り扱ってよいとされている。そうでない場
合は,弾塑性復元力特性としてモデル化することが望ましい。後者を選んだ場合,応答時刻歴解析におい
て,より洗練された結果が得られるが,より多くの計算手間が必要となる。
設計用地震力の大きさは,減衰定数の値に大きく影響される。残念なことに,減衰の性質について多く
の未知な事柄があり,結果として,減衰定数についての大きな不確実性をもたらすこととなる。
減衰の値は,実際の構造物又は実物大の構造物模型における,振動実験,振動台実験及び地震観測に基
づいて評価することが望ましい。実験における部材変形の範囲は,計算によって予測される変形に近いこ
とがよいとされている。このデータが入手できない場合は,同じような条件の類似の構造物の結果を活用
することが望ましい。
減衰の評価方法は,構造物の減衰を総和した形で直接的に評価するのが適切である。構造物の部分実験
から求めた減衰の値を合計する形で全体の減衰を評価する場合には,注意深い検討が必要となる。
減衰の推奨値が,規定及び同様の基準に記載されている場合であっても,実測値が得られているときに
は考慮に入れる。
被覆のない溶接構造物のような,摩擦によるエネルギー消費源が乏しい構造物については,小さな減衰
を採る必要がある。一方,摩擦(によるエネルギー消費)源が豊富な構造物,例えば,木材で被覆した建
物については,減衰を増してもよいとされている。減衰定数は,構造物種別ばかりでなく構造物の形態に
よって影響を受けることに留意することが望ましい。
臨界減衰に対する割合(減衰定数)は,材料,構造物タイプ,接合部及び生じる変形の相対的な大きさ
によって,0.01と0.10との間に設定することが多い。この値は振動数が増すとともに増加するが,大きな
変動がある。
減衰定数0.01は耐風設計において頻繁に採用される。人が通行する床及び歩道橋の評価の場合でも,同
様な値が採られることがある。
地震作用を評価するときに,より大きな変形までを評価する場合には,より大きな減衰定数を採用して
もよいとされている。設計目的のためには,通常の鋼構造,コンクリート構造又は組積造の基本モードに
対する減衰定数は,建造物種別及び構造物が受ける応力レベルを予測させる地震動の強さに応じて,0.02
0.05の範囲の値を採用している。
構造物のモデル化の場合は,古典的な減衰マトリクスの一つにレイリー減衰があり,その減衰マトリク
ス[C]は式(G.1)のように表現している。
[C]=α0[M]+α1[K] (G.1)

――――― [JIS A 3306 pdf 34] ―――――

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ここに, [M] : 質量マトリクス
[K] : 剛性マトリクス
α0及びα1 : 異なる二つのモードに対する減衰定数によって決定さ
れる係数
上の減衰マトリクスは,係数α0及びα1を決めるために考える二つのモード以外のモードについては,
適切な減衰定数を与えないかもしれない。そのような場合には,複数のモードについて個々に指定するこ
とができる他の減衰マトリクスを採用してよいとされている。
構造物の非線形挙動におけるエネルギー逸散(エネルギー消費)及び構造設計係数は,附属書Dで幾つ
かのパラメータと関連して記載している。そこでは,分類された地盤条件での規準化設計用応答スペクト
ルを詳細に説明している。耐力スペクトル法の原理も,附属書Iに記載されている。双方の附属書では,
それらの幾つかの部分は,構造物の減衰又は減衰定数に密接に関係している。必要な場合には,関係する
部分を引用することが望ましいとされている。
粘性減衰が構造物全体の応答に及ぼす効果は,履歴減衰の増加とともに大きな影響を与えなくなる。0.05
と異なる減衰定数に対して,加速度ピークの増減量を得る幾つかの式がある。例えば,kR0に次の式を乗じ
る場合がある。
5.1
kζ (G.2)
1 10ζ
又は
1.0
kζ (G.3)
.005 ζ
ここに, ζ : 線形系における構造物の減衰定数
kζは,0.55より小さくしないことが推奨されている。
大部分の耐震規準では0.05の一定減衰定数について記載しているが,減衰定数は構造材料,建造システ
ム及び地震時の挙動によって変化する。SLSについて,減衰定数の例としては,次のものがある。
鉄筋コンクリート構造 0.04
補強組積造 0.04
プレストレストコンクリート構造 0.03
溶接又はボルト(プレストレス導入)接合の鋼構造 0.03
ボルト(プレストレス導入なし)接合の鋼構造 0.05
構造物の非線形挙動が著しく,履歴減衰がより大きくなる場合は,これらの効果は式(G.2)又は式(G.3)に
含まれるであろう。または,kD(附属書D参照)の適切な値を選ぶことが望ましい。
構造物の非線形挙動があまり著しくない場合は,減衰定数は次の値としてもよいとされている。
鉄筋コンクリート構造 0.07
補強組積造 0.07
プレストレストコンクリート構造 0.05
溶接又はボルト(プレストレス導入)接合の鋼構造 0.04
ボルト(プレストレス導入なし)接合の鋼構造 0.07

――――― [JIS A 3306 pdf 35] ―――――

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JIS A 3306:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3010:2017(MOD)

JIS A 3306:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 3306:2020の関連規格と引用規格一覧