JIS B 0160:2015 歯車―歯面の摩耗及び損傷―用語 | ページ 18

84
B 0160 : 2015
2.8.4
疲労折損(fatigue breakage)
荷重の繰返しとともに疲労亀裂が進展し,歯が折損する破壊形態である。破壊面は,疲労破面と最終破
断面との二つの異なった領域からなる。
疲労破面の領域には巨視的な塑性変形の徴候がなく,見た目に滑らかで光沢がなく,休止線による貝殻
模様がしばしば観察される。最終破断面は,過負荷折損によって生じた破面になる。
疲労折損は,亀裂の発生場所又は発生原因によって次のように細分化される。
− 歯元曲げ疲労折損
− 表面疲労起点折損
− 材料欠陥起点折損
− 歯底・リム折損
− キャップオフ損傷
− チッピング起点折損
− 端部折損
− じん(靱)性不足部折損
− 過大な残留応力に起因する折損

――――― [JIS B 0160 pdf 86] ―――――

                                                                                             85
B 0160 : 2015
2.8.4.1
歯元曲げ疲労折損(breakage due to tooth bending fatigue)
歯元すみ肉部に材料の疲労限度以上の応力が,繰り返し加わった結果起きる損傷。
普通,作用歯面側の歯元すみ肉部(引張り側)に発生した亀裂が反作用歯面の歯元すみ肉部へ向かって
進展し,破壊に至る。破面は比較的滑らかで,亀裂の起点が認められ,その周りに亀裂の進展が一時的に
停留したことを示すビーチマーク(貝殻模様)の見られることが多い。
a)
b)
図71−歯元曲げ疲労折損の例1 [1]
図71 a) は,はすば小歯車の2枚の歯に生じた疲労破壊で,折損して脱落した部分を真上から見たもの
である。破面は滑らかであり,ビーチマーク(貝殻模様)のへん(扁)平なだ(楕)円部が亀裂の主要な
進展部で,そのへそのような部分が亀裂発生の基点である。歯面のほとんどの領域が疲労破面で占められ
ていることから,発生応力は疲労強度を僅かに超す程度と推定される。
図71 b) は,歯の形状に対し亀裂の進展経路が分かるように軸方向から見たもので,歯元の最大曲げ応

――――― [JIS B 0160 pdf 87] ―――――

86
B 0160 : 2015
力の発生位置付近から亀裂が発生している。
なお,荷重は左側歯面にかかる。
a)
b)
図72−歯元曲げ疲労折損の例2
図72 a) は隣り合う2枚の歯が疲労折損した破断面で,図72 b) はそのスケッチ図である。下側の歯を
見ると,亀裂の発生点が作用歯面上に幾つかあり,そのうちの一つが大きく成長し,ビーチマーク(貝殻
模様)として亀裂の広がる経緯が現れている。また,最終破断領域の表面は荒々しく,ほかの疲労破断面
が滑らかなのと異なった様相を呈する。図のように複数の歯が折れた場合,疲労破断面の領域が大きい方

――――― [JIS B 0160 pdf 88] ―――――

                                                                                             87
B 0160 : 2015
が先に折損した歯であり,その歯の最終破断面の領域が大きいほど,その歯にかかった荷重が歯の強度を
大きく超していることを示す。この図では,最終破断領域の面積が小さいことから,歯元に作用する曲げ
応力が材料強度より僅かに大きかったことを示している。

――――― [JIS B 0160 pdf 89] ―――――

88
B 0160 : 2015
2.8.4.2
表面疲労起点折損(breakage from surface fatigue)
表面疲労亀裂の一部が内部に進展して生じる歯の折損。
ピッチング及びスポーリングによって歯面に生じた大きなピットから亀裂が進展し,歯の折損に至る場
合と,ピットが密集し,歯形が崩れることによって動的荷重が増加して,歯の内部へ向かった亀裂が進展
し,歯の折損に至る場合とがある。歯車材料の衝撃値が低い場合,又は表面硬化歯車に生じやすい。
a)
b)
図73−表面疲労起点折損の例
図73 a) は,スポーリングを起点とした亀裂によって折損した歯である。上半分の黒い部分が作用歯面
の歯先側で,下半分の明るいところが破断面である。図73 b) は,損傷状況を示した図73 a) の模式図で

――――― [JIS B 0160 pdf 90] ―――――

次のページ PDF 91

JIS B 0160:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10825:1995(MOD)

JIS B 0160:2015の国際規格 ICS 分類一覧