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2.8.1.2
延性破壊(ductile fracture)
破断面は塑性変形を伴い,光沢はなく,線条痕をもつことが多い破壊。
破断面の方向は,主応力方向に平行かある程度の傾きをもつ。
なお,これは破断面全体が塑性変形をするという意味ではなく,ある程度の領域を延性破壊面で占めて
いるという意味である。
a)
b)
図67−延性破壊の例 [1]
図67 a) では4枚の歯が折損しており,そのスケッチが図67 b) である。一番下の歯は疲労折損[図67 b)
の3部]しており,この歯が折損したためにその上の歯に大きな荷重がかかり,2枚の歯が過負荷折損し
――――― [JIS B 0160 pdf 81] ―――――
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た。一番上の歯は折れた歯によって打ちきずが生じている。図67 b) の1部が延性破面で,凹凸が少なく,
滑らかになっている。2部はぜい(脆)性破壊面で,破断面がざらざらになっている。
――――― [JIS B 0160 pdf 82] ―――――
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2.8.1.3
半ぜい性破壊(semi-brittle fracture)
塑性変形がほとんど見られず,破断面にはシェブロンパターン又はヘリングボーン模様を残す破壊。
この模様が現れるのは,ぜい(脆)性と延性との破壊が交互に生じるときで,歯厚が歯幅に比して小さ
いときに起きやすい。
なお,ヘリングボーン模様の頂部は,常に破壊の発生した方向を向いている。
図68−半ぜい性破壊の例
図68は,歯元で破断した1枚の歯の破断面を真上から見たものであり,歯の両端は写っていない。図の
歯厚の中心部,歯幅の右方にヘリングボーンが見られる。極めて高い荷重を受け,少ない繰返し数で破断
している。
――――― [JIS B 0160 pdf 83] ―――――
82
B 0160 : 2015
2.8.2
せん断折損(tooth shear)
歯面に作用するせん断力によって起こる歯の折損破壊。
せん断折損したときの歯の破断面は,機械で切断加工された表面と似ている。一般に,歯のせん断はた
った1回の負荷で起きる。この損傷形態は,比較的低い強度の歯車がそれより強い材料の歯車とかみ合う
場合に限定される。
a)
b)
図69−せん断折損の例 [1]
図69 a) はウォームホイールを横から見たもので,全ての歯がせん断されてなくなっている。歯のせん
断された面を真上から観察したのが図69 b) である。このウォームホイールはりん青銅製であるが,大き
な引け巣が多くあり(中央の歯3枚の下端,その左の歯の右端にある黒い領域),強度が低下し,かみ合う
相手の鋼製ウォームによってせん断された。
――――― [JIS B 0160 pdf 84] ―――――
83
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2.8.3
塑性流動破断(breakage after plastic deformation, smeared fracture)
歯が焼付いたり,大変形した後折損に至る破損形態。
通常,歯が作用荷重を支えられなく,全ての歯が損傷してしまう。この損傷が起きる経過として,熱間
及び冷間の2通りある。熱間は,運転中に主として油切れなど歯面の潤滑が十分に行われなくなり,熱に
よって歯面温度が異常に上昇し,材料強度の低下又は塑性流動の発生で,歯のかみ合い状態を悪化させ,
折損に至る。冷間は,歯面温度がさほど上がらなくとも,発生応力が材料の降伏応力を超すために歯の塑
性変形が起こり,負荷が小さくとも,かみ合いがうまくいかなくなったときに,折損する。
図70−塑性流動破断の例
図70は,冷間塑性流動によって軟鋼製小歯車が破壊された例である。
――――― [JIS B 0160 pdf 85] ―――――
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JIS B 0160:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10825:1995(MOD)
JIS B 0160:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.200 : 歯車
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.21 : 機械的システム及び構成要素(用語集)