JIS B 0190:2010 圧力容器の構造に関する共通用語 | ページ 3

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番号 用語 読み方 定義 対応英語(参考)
2157 クランプ clamp
胴側フランジとふた板とを連結するための部材。そ
の構造は,図1及び図2による。
図1−一体クランプ形
図2−分割クランプ形
2158 多層容器 たそうようき 2層以上で構成した胴をもつ圧力容器。 layered pressure
vessel,
layered vessel
c) 材料
番号 用語 読み方 定義 対応英語(参考)
3101 炭素鋼 たんそこう 鉄と炭素との合金で炭素含有量が通常0.02約 carbon steel
2 %の範囲の鋼。
なお,少量のけい素,マンガン,りん,硫黄など
を含むのが普通である。便宜上,炭素含有量又は硬
さ(強度も含まれる。)によって炭素鋼は更に次の
ように分類する場合がある(JIS G 0203参照)。
a) 炭素含有量による分類 低炭素鋼,中炭素鋼,
高炭素鋼
b) 硬さによる分類 極軟鋼,軟鋼,硬鋼

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番号 用語 読み方 定義 対応英語(参考)
3102 合金鋼 ごうきんこう alloy steel
鋼の性質を改善向上させるため,又は所定の性質を
もたせるために合金元素を1種又は2種以上含有さ
せた鋼。合金元素の含有率の基準はISO 4948-1と
若干異なるが,関税協力理事会(Customs
Co-operation Council)の分類では化学成分が次の数
値以上の鋼をいう。
合金 合金 合金
含有量 含有量 含有量
元素 元素 元素
Al 0.3 % Mn 1.65 % W 0.3 %
B 0.000 8 %Mo 0.08 % V 0.1 %
Cr 0.3 % Ni 0.3 % Zr 0.05 %
Co 0.3 % Nb 0.06 % その他 0.1 %
Cu 0.4 % Si 0.6 % S,P,C,N
Pb 0.4 % Ti 0.05 % を除く。
便宜上,合金元素含有率の多少によって,高合金鋼
又は低合金鋼ということもある(JIS G 0203参照)。
3103 キルド鋼 きるどこう killed steel
フェロシリコン,アルミニウムなどで十分に脱酸を
行った鋼。
鋼塊鋳造による場合は,鋼塊用鋳型(インゴット
ケース)内での凝固進行中に,一酸化炭素を発生せ
ずに静かに凝固し,比較的均質で偏析が少なく気泡
もないが,上部中心に収縮孔ができ,歩留まりはよ
くない。連続鋳造による鋼は,キルド鋼であり,鋼
塊鋳造による鋼に比べ均質で歩留まりもよい。キル
ド鋼は,更に結晶粒度又は脱酸剤によって次のよう
に分類する(JIS G 0203参照)。
a) 結晶粒度による分類
粗粒キルド鋼 : オーステナイト結晶粒度で粒度
番号5未満のキルド鋼
細粒キルド鋼 : オーステナイト結晶粒度で粒度
番号5以上のキルド鋼
b) 脱酸剤による分類
シリコンキルド鋼
アルミ(ニウム)キルド鋼
シリコンアルミ(ニウム)キルド鋼
3104 鋼材 こうざい steel products
圧延,鍛造,引抜き,鋳造などの各種の方法で所要
の形状に加工された鋼の総称。鋼塊は含まない(JIS
G 0203参照)。
3105 鋼板 こうはん steel plates,
平らに熱間圧延又は冷間圧延した鋼で,平板状に切
steel sheets
断した鋼材。鋼帯からの切板も含む。ただし,平鋼
は,含まない(JIS G 0203参照)。
3106 鋼管 こうかん steel tubes,
筒状に成形加工された鋼材。継目なしのものと,溶
steel pipes
接又は鍛接されたものとがある(JIS G 0203参照)。
3107 棒鋼 ぼうこう steel bars
棒状に熱間圧延又は鍛造した鋼で所定の長さに切
断した鋼材。断面の形状によって,丸鋼(円形),
角鋼(正方形),平鋼(長方形),六角鋼(六角形),
八角鋼(八角形),異形棒鋼(特殊形状)などがあ
る(JIS G 0203参照)。
3108 ちゅうてつひ
鋳鉄品(鉄鋳造 鉄を鋳型に鋳込んで所要形状にした製品。 iron castings
品) ん(てつちゅ
うぞうひん)

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番号 用語 読み方 定義 対応英語(参考)
3109 鋳鋼品 ちゅうこうひ 鋼を鋳型に鋳込んで所要形状にした製品。 steel castings
ん 鋳型としては,砂型,金型,耐火粘土製のもの,黒
鉛製のものなどがある(JIS G 0203参照)。
3110 鍛鋼品 たんこうひん steel forgings
適切な鍛錬成形比を与えるように鋼塊又は鋼片を
鍛錬成形し,通常,所定の機械的性質を与えるため
に熱処理を施したもの(JIS G 0203参照)。
3111 中空鍛造品 ちゅうくうた hollowed forgings
鋼塊から心金を用いてせん孔若しくは押し抜きし
んぞうひん た素材,又は中空鋼塊を用いて中空鍛錬若しくは穴
ひろげ鍛錬によって中空の形状に鍛錬成形した鍛
造品(JIS G 0203参照)。
3112 高張力鋼 こうちょうり high strength steels
建築,橋,船舶,車両,自動車その他の構造物用及
ょくこう び圧力容器用として,通常,引張強さ490 N/mm2
以上で溶接性,切欠きじん性及び加工性も重視して
製造した鋼材。冷延鋼板では引張強さ340 N/mm2
以上を高張力鋼という(JIS G 0203参照)。
3113 ステンレス鋼 すてんれすこ stainless steels
クロム含有率を10.5 %以上,炭素含有率を1.2 %以
う 下とし,耐食性を向上させた合金鋼。常温における
組織によってマルテンサイト系,フェライト系,オ
ーステナイト系,オーステナイト・フェライト系,
析出硬化系の5種類に分類する(JIS G 0203参照)。
3114 マルテンサイ まるてんさい martensitic stainless
フェライト系ステンレス鋼の炭素含有量を高め,熱
ト系ステン とけいすて 処理によってマルテンサイト組織とすることによsteels
レス鋼 んれすこう って硬化することのできるステンレス鋼。SUS 410
がその代表的なものである(JIS G 0203参照)。
3115 フェライト系 ふぇらいとけ ferritic stainless steels
クロムを10.5 %以上含有し,常温でフェライト組
ステンレス いすてんれ 織を示すステンレス鋼。SUS 430がその代表的なも
鋼 すこう のである(JIS G 0203参照)。
3116 オーステナイ おーすてない austenitic stainless
常温においてもオーステナイト組織を示すステン
ト系ステン とけいすて steels
レス鋼。SUS 304がその代表的なものである(JIS G
レス鋼 んれすこう 0203参照)。
3117 オーステナイ おーすてない austenitic-ferritic
常温でオーステナイト組織とフェライト組織が混
ト・フェライ と・ふぇらい在するステンレス鋼。二相ステンレス鋼(duplexstainless steels
ト系ステン とけいすて stainless steels)ともいう(JIS G 0203参照)。
レス鋼 んれすこう
3118 析出硬化系ス せきしゅつこ precipitation
アルミニウム,銅などの元素を少量添加し,熱処理
テンレス鋼 うかけいす によってこれらの元素の化合物などを析出させてhardening stainless
てんれすこ steels
硬化する性質をもたせたステンレス鋼(JIS G 0203
う 参照)。
3119 耐熱鋼 たいねつこう heat resisting steels
高温における各種環境で耐酸化性,耐高温腐食性又
は高温強度を保持する合金鋼。数%以上のクロムの
ほか,ニッケル,コバルト,タングステン,及び/
又はその他の合金元素を含むことが多い。
主としてその組織によってマルテンサイト系,フ
ェライト系,オーステナイト系及び析出硬化系の四
つに分類する(JIS G 0203参照)。

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番号 用語 読み方 定義 対応英語(参考)
3120 クラッド鋼板 くらっどこう clad steels
主に耐摩耗性又は耐化学腐食性のある鋼又は合金
及び鋼帯 はんおよび を,低炭素鋼,低合金鋼などの母材と張り合わせた
こうたい 鋼板及び鋼帯。通常は圧延又は爆着で製造する。と
きには,溶接プロセスなどその他の方法を用いる場
合がある。
なお,母材の片面に合わせ材を張り合わせたもの
を片面クラッド鋼,両面に合わせ材を張り合わせた
ものを両面クラッド鋼という(JIS G 0203参照)。
3121 溶鋼分析値 ようこうぶん heat analysis,
溶鋼がとりべから鋳型に注入され,凝固するまでの
(とりべ分析 せきち cast analysis,
一連の過程において採取した分析試料について行
値) (とりべぶんせ った分析値。 ladle analysis
きち) 溶鋼を代表する化学成分を示し,鋼材の化学成分
は,通常,溶鋼分析値[又はとりべ分析値a)]で表
す(JIS G 0203参照)。
注a) とりべ分析値は,できるだけ用いないのが望
ましい。
3122 製品分析値 せいひんぶん product analysis,
鋼材から採取した分析試料について行った分析値
せきち (JIS G 0203参照)。 check analysis
3123 ぜい性 ぜいせい 硬くてもろく,変形能の小さい性質。 brittleness
通常,シャルピー衝撃試験における吸収エネルギ
ーの大小,破面及び変形の状況によって比較する
(JIS G 0203参照)。
3124 じん性 じんせい toughness,
粘り強くて,衝撃破壊又はぜい性破壊を起こしにく
いかどうかを表す尺度。 (notch toughness)
注記1 じん性は,平滑材の応力−ひずみ曲線の下
側の面積に比例する,材料を破断するため
に必要なエネルギーとして評価すること
が多い。
注記2 切欠きが存在する場合の材料の粘り強さ,
ぜい性破壊を起こしにくいかどうかの程
度を,慣用として単に“じん性”と呼ぶこ
とがあるが,これは厳密には“切欠きじん
性”である。シャルピー吸収エネルギーの
大小や遷移温度の高低などで評価するこ
とが多い。
3125 破壊じん性 はかいじんせ fracture toughness
破壊力学で用いる,材料のぜい性破壊に対する抵抗
い を表す尺度。その数値を破壊じん性値という。
破壊じん性としては次に示すものが用いられて
いる。
Kc : 線形弾性破壊じん性。単に破壊じん性という
こともある。
K1C : 平面ひずみ破壊じん性
限界COD(き裂開口変位)
Jc : J積分基準による破壊じん性
(JIS G 0202参照)
3126 耐クリープ性 たいくりーぷ creep resistance
高温において一定の応力のもとでひずみが時間と
せい ともに増加する現象を高温クリープといい,これに
耐える性質(JIS G 0203参照)。

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B 0190 : 2010
番号 用語 読み方 定義 対応英語(参考)
3127 鍛練成形比 たんれんせい forging ratio
鍛錬作業による変形の大きさの度合。一般には,鍛
けいひ 造前の断面積と鍛造終了後の断面積との比に,作業
種類記号を添えて表す(JIS G 0203参照)。
3128 変態点, へんたいてん, critical points,
相変化の起こる温度で,変態が温度範囲にわたって
変態温度 へんたいおん transforamation
起こるときは,変態が開始し,終了する温度(JIS G
ど 0201参照)。 temperature
注記 鋼については,例えば,次のような変態温度
がある。
AC1 : 加熱時,オーステナイトが生成し始め
る温度
AC3 : 加熱時,フェライトがオーステナイト
への変態を完了する温度
3129 結晶粒度 けっしょうり grain size
顕微鏡観察断面に現出した結晶粒の大きさ(JIS G
ゅうど 0201参照)。
注記 一般に,これを比較法又は切断法によって求
めた(面積測定から求めた)粒度番号で表す。
オーステナイト結晶粒度及びフェライト
結晶粒度の試験方法はJIS G 0551による。
3130 焼ならし やきならし normalizing
オーステナイト化後空冷する熱処理(JIS G 0201参
照)。
注記 その目的は,前加工の影響を除去し,結晶核
を微細化して,機械的性質を改善することで
ある。鉄鋼の焼ならし加工は,JIS B 6911に
規定している。
3131 焼なまし やきなまし annealing
適切な温度に加熱及び均熱した後,室温に戻ったと
きに,平衡に近い状態の組織になるような条件で冷
却を行う熱処理(JIS G 0201参照)。
注記 この定義は,一般的であるので,処理の目的
を規定する表現を使用することを推奨する
(光輝焼なまし,完全焼なまし,軟化焼なま
し,変態域焼なまし,等温焼なまし及び変態
点下焼なまし)。
3132 焼入れ やきいれ 鉄鋼製品を静止空気中より迅速に冷却する操作quenching
(JIS G 0201参照)。
注記 冷却条件を規定する用語の使用を推奨する。
例えば,衝風冷却,水焼入れ,階段焼入れな
ど。
3133 焼戻し やきもどし tempering
一般に焼入硬化後,又は所要の性質を得るための熱
処理後に特定の温度(AC1未満)で,1回以上の回
数均熱した後,適切な速度で冷却することからなる
熱処理(JIS G 0201参照)。
注記 焼戻しは,一般に硬さの低下をもたらす。し
かし,硬度上昇を起こす場合もある(二次硬
化参照)。
3134 時効 じこう ageing
急冷,冷間加工などの後,時間の経過に伴い鋼の性
質(例えば,硬さなど)が変化する現象(JIS G 0201
参照)。
注記 時効硬化を目的として行う操作の定義で用
いることもある。

――――― [JIS B 0190 pdf 15] ―――――

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JIS B 0190:2010の国際規格 ICS 分類一覧