JIS B 0955-1:2020 工作機械―環境評価―第1部:エネルギー効率の高い工作機械の設計手法 | ページ 3

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B 0955-1 : 2020 (ISO 14955-1 : 2017)
特定できるものでなければならない。工作機械の機能記述は,一般的なものであって工作機械の設計とは
関係がなく,かつ,実行される機械加工プロセスとも関係がない。一般化した工作機械の機能を用いる手
法は,6.3に示すように工作機械の関連するエネルギーフローを特定するための一般的な方法である。
具体的な工作機械について,工作機械の機能を工作機械の構成要素に対応付けなければならない。この
割当ては,工作機械ごとに固有のものであり,工作機械に供給される総エネルギーから工作機械の機能及
び工作機械の構成要素レベルへの割当てに対応している。この手順は,6.3の例に示すが,エネルギーに
関連する工作機械の構成要素を特定することになる(6.4参照)。
このための重要なパラメータは,工作機械の運転状態及び運転の持続時間,機械加工された部品の精度
並びに工作機械の生産性(例えば,時間当たりの工作物数)である。工作機械を比較する場合は,これら
のパラメータを明確に定義しなければならない。
エネルギーの代わりに電力の測定を行うことがある。その場合には,運転状態及びその運転時間を考慮
しなければならない。
工作機械の中には,圧縮空気,油圧作動油及び/又は潤滑油供給用として内部にコンプレッサを備えて
いるものがある。それ以外の工作機械では,集中型の供給ユニットを使用してそれらを供給しているもの
がある。内部のコンプレッサを使用している工作機械と集中供給ユニットを使用しているものとを比較す
る場合に,両方の工作機械についてどのような比較も全ての供給を含む同じ基準で行わなければならない。
この目的のために,システム境界(6.2参照)を定義しなければならない。

6.2 システム境界

  工作機械の環境影響の評価は,工作機械を調べるだけである。その工作機械で加工された製品の環境影
響は考慮しない(箇条4も参照)。
この規格は,使用段階にある工作機械のエネルギー効率を取り上げている。
使用段階にある工作機械のエネルギー効率を扱うために,機械加工が可能なシステムを考慮するように
システム境界を定義しなければならない(図3参照)。合理的な労力でエネルギーフローを測定できるよ
うにシステム境界を選ぶ。
工作機械及び周辺機器は,システム境界内にある。一般に電気エネルギー及び圧縮空気は,システムに
関連する入力エネルギーであり,空気交換は,システムに関連する入力及び/又は出力である。液体を用
いた熱交換器を適用する場合,熱交換は,システムに関連するエネルギー入力及び/又は出力になり得る。
システム境界内にミスト除去システムがない場合は,汚染された空気のいかなる処理にも,関連する場合
は,考慮しなければならないエネルギーを必要とすることになり得る。集中給油装置を適用する場合は,
冷却及び/又はろ過された潤滑油は,システムへの入力になり,汚染された高温の潤滑油は,出力となる。
関係する場合は,潤滑油の処理に使用するエネルギーも考慮しなければならない。システム境界を横切る
関連するエネルギーフローがない場合は,入力として素材部品,新しい工具,新しい潤滑油及び補助剤,
出力として加工された部品,使用済みの工具,切りくず,及びその他側面を考慮してはならない。

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B 0955-1 : 2020 (ISO 14955-1 : 2017)
空気入換え
電気エネルギー
a)
熱交換a)
圧縮空気
工作機械 汚染された空気b)
b)
冷却又はろ過
された潤滑油c) c)
周辺機器A 周辺機器B 汚染された
汚染された熱い
潤滑油c)
高温の潤滑油c)
システム境界
注a) 液相熱交換器をもつ場合に適用
b) 内部ミストフィルタなしの場合に適用
c) 集中潤滑装置だけの場合に適用
図3−工作機械のエネルギーフローに関係するシステム境界

6.3 一般化した工作機械の機能

6.3.1  一般
工作機械には,様々な種類,形態及び大きさがあるため,工作機械を機能に基づいて記述する(図4参
照)。この機能は,異なる構成要素で実現され得る。このため,工作機械の環境影響及びその経時変化を評
価するためには,様々な工作機械に適用できる一般化した手順が可能になる。
工作機械は,図4に示すように,使用段階におけるエネルギー効率に関連する次の機能に基づいて記述
するのが望ましい。
− 工作機械の運転(機械加工プロセス,運動及び制御)
− プロセス調整
− 工作物ハンドリング
− 工具ハンドリング又は金型交換
− 再生利用可能物及び廃棄物の処理
− 工作機械の冷却・加熱
これらの一般化した機能は,実行する機械加工プロセス及び/又は工作機械の設計とは無関係に,一般
化した視点で大多数の工作機械を包含する。

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工作 機械の運転
(機械加工プロセス,運動及び制御)
プロセス調整


機 工作物ハンドリング


主 工具ハンドリング又は
な 金型交換


再生利用可能物及び廃棄物の処理
工作機械の冷却・加熱
図4−工作機械及び機械加工プロセスに依存しない機能レベルで
エネルギー効率に関係する工作機械の一般化した機能
注記 この機能記述は,使用段階における工作機械のエネルギー効率に関して分析及び問題解決を促
進するための提案である。
6.3.2 工作機械の運転(機械加工プロセス,運動及び制御)
“工作機械の運転”は,工作機械の目標機能の総称であり,例えば,供給される全てのエネルギーは,
基本的な機械加工プロセスを実行するために必要である。
6.3.2.1 機械加工プロセス
“機械加工プロセス”は,機械加工を実現するものの総称であり,例えば,切削速度,放電プロセス,
レーザ切断機のレーザ光線,加工力,プレスの作業時ストロークなどである。
“機械加工プロセス”機能の代表的な構成要素は,旋盤の主軸,マシニングセンタの工具主軸,放電加
工機のジェネレータ及びプレスのスライドである。
6.3.2.2 機械加工運動
“機械加工運動”は,機械加工プロセス(6.3.2.1参照)以外の機械加工中に必要な運動の総称である。
“機械加工運動”の例には,旋盤の送り運動,回転テーブルの位置決め運動,レーザ切断機の送り運動,
プレスの開閉運動などがある。
“機械加工運動”機能の代表的な構成要素は,マシニングセンタの駆動及び電源系統を含む直進軸及び
回転軸,転がり案内及び滑り案内,ボールねじ,軸受,歯車,継手,ベルト,プーリ,軸のクランプ機構
などである。
6.3.2.3 機械制御
“機械制御”は,機械の制御を総称したものであり,通常,自動シーケンス制御,監視システム及び測
定システム用の数値制御を含む。また,“機械制御”は,非機械加工機能,例えば,工具ハンドリングに寄
与してもよい。
“機械制御”機能の代表的な構成要素は,数値制御システム,PLC,ディスプレイ,センサ,デコーダ
及びエンコーダ,作業空間の照明,周波数コンバータ,変圧器,リレー及びタッチプローブである。
6.3.3 プロセス調整
“プロセス調整”は,作業空間,工具,取付具及び/又は工作物の温度,及びその他の関連する条件を

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制限値内に保つために行う,機械加工プロセスに関連する全ての冷却,加熱及びその他の調整を含めた総
称である。プロセス調整は,一定の機械加工プロセスを達成するための付加価値機能(例えば,研削液,
プレス用金型潤滑)とみなしてもよい。
注記 プロセス調整は,工作機械の冷却・加熱と組み合わせることがある(6.3.8参照)。
“プロセス調整”機能の代表的な工作機械の構成要素は,プロセス冷却油,切削・成形液冷却器,及び
金型潤滑液冷却器に関係する冷却ポンプである。
6.3.4 工作物ハンドリング
“工作物ハンドリング”は,工作物交換,工作物把持,工作物クランプ,工作物リフト,素材の送り込
み及び工作機械上での工作物の測定の総称である。
“工作物ハンドリング”機能の代表的な工作機械の構成要素は,パレットチェンジャ,工作物ハンドリ
ングロボット,油圧クランプ装置及びエアチャックである。成形加工機械においては,ディスタッカ,セ
ンタリングステーション,金型内の工作物リフタ,工作物エゼクタ,工作物ハンドリング装置(例えば,
ロボット,グリッパー棒搬送システム)及びスタッカである。
6.3.5 工具ハンドリング
“工具ハンドリング”は,工具交換,工具把持,工具クランプ,工具格納及び機上計測工具を総称した
ものである。
“工具ハンドリング”機能の代表的な工作機械の構成要素は,旋盤のタレット,油圧クランプ装置,空
気チャック,工具交換装置,工具マガジン及び工具ホルダを清浄にするための圧縮空気である。
6.3.6 金型交換
“金型交換”は,金型,及び工作機械の相互接続点から又はその接続点までの自動ツーリング搬送,金
型クランプ,金型格納,自動システム用のツーリングの準備,液圧成形工程における部分成形に必要な又
はリフタのような補助金型機能に必要なエネルギーの供給及び遮断,金型用潤滑油の供給及び遮断までを
含み総称したものである。
“金型交換”機能の代表的な工作機械の構成要素は,移動ボルスタ及び金型カート,金型プッシャ及び
プラー,金型クランプ(油圧,電気,電気油圧,油空圧又は磁気),手動で操作するモノカップリング,及
び自動で操作するマルチカップリング及び/又は給電用プラグを備えた自動ドッキングシステムである。
6.3.7 再生利用可能物及び廃棄物の処理
“再生利用可能物及び廃棄物の処理”は,切りくず又はスクラップの処理,分離及びフィルタリングを
含む切削油剤の処理,ほこり及び煙の処理,及び汚れの処理を総称したものである。
“再生利用可能物及び廃棄物の処理”機能の工作機械の代表的な構成要素は,チップコンベア又はスク
ラップコンベア,フィルタシステム,排気システム,及び切りくず輸送用の圧縮空気を備えたシステムで
ある。
6.3.8 工作機械の冷却・加熱
“工作機械の冷却・加熱”は,機械加工プロセスとは独立した全ての冷却・加熱である。“工作機械の冷
却・加熱”は,機械加工プロセス自体に価値を加えない。“工作機械の冷却・加熱”は,工作機械の構成要
素に損傷又は変形を生じさせないように温度を制限内に保つために適用する。例えば,“制御盤の温度を運
転制限内に保つ”,“高速スピンドルの温度を安全限度内に保つ”,“工作機械の構造に影響を及ぼすいかな
る熱変形をも防ぐために工作機械の温度を制限内に保つ”,及び“油温を運転制限値内に保つ”機能である。
“工作機械の冷却・加熱”機能の代表的な工作機械の構成要素は,ファン,制御盤用冷却システム,水
冷装置,冷却ポンプ及び案内面の冷却・加熱である。

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6.3.9 副機能
関係するエネルギーフローを検出するために一般化した機能を副機能に分割することができる。図5は,
可能な副機能への分割例を示す。
注記 一般化した機能は,第1レベル機能(図4参照),第2レベル機能,第3レベル機能などと呼ぶ
ことがある(図5参照)。
一般化した
工作機械の機能 副機能
(第1レベル機能) (第2レベル機能)
工作機械の運転 機械加工プロセス
(機械加工プロセス,運動 運動
及び制御)
制御
プロセス冷却・加熱
プロセス調整 その他,調整
工作物ハンドリング
工具交換
工具ハンドリン 工具格納
グ又は金型交換
再生利用可能物及び
廃棄物の処理
工作機械の冷却
工作機械の
工作機械の加熱
冷却・加熱
図5−エネルギー効率に関する一般化した工作機械の機能及び副機能の例
(第1レベル機能及び第2レベル機能)
6.3.10 工作機械の機能及び工作機械の構成要素
工作機械の構成要素には,複数の機能を満たすものがある。例えば,冷却液システムを機械冷却(6.3.8
参照)にも使用し,かつ,プロセス調整(6.3.3参照)にも使用する。この工作機械の構成要素に供給され
るエネルギーは,一般化した工作機械の様々な機能又は副機能に割り当てることができる。図6に金属切
削工作機械への対応付けの例を示す。金属塑性加工機械でも同様の対応付けを行うことが可能である。そ
のような対応付けについては,工作機械及び/又は特定の試験サイクルの運転状態を考慮しなければなら
ない。
幾つかの運転状態ではエネルギーの重要な交換は,例えば,暖機運転中においては,それらの運転状態
で定められた時間を必要とする。

――――― [JIS B 0955-1 pdf 15] ―――――

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