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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
A.2.7.3.2 円すいころ軸受内輪内径面の熱亀裂
故障原因
− 軸に対する内輪のしめしろが失われ,摩擦によ
って高い熱が発生した。
− 軸と内輪との間がすきまばめで,潤滑条件が適
切でなかった。
対策
− 軸とのはめあいの推奨を,軸受製造業者に確認
する。
− 軸と軸受との間がすきまばめであるときの適切
な潤滑条件を確保する。
A.2.7.3.3 円すいころ軸受ころ大端面の熱亀裂
故障原因
− 不十分な潤滑条件下での内輪つば面との滑りに
よって,熱が発生した。
対策
− 潤滑状態の改善。
− 給油頻度を増やす。
A.3 その他の調査
軸受部品及び周辺の関係部品を,この規格の内容に基づいて目視調査を行っても,損傷又は故障の原因
及び可能な対策にたどり着かない場合は,軸受製造業者に相談するか,又は破損軸受の解析が可能な調査
機関に依頼して,運転状態の更なる解析の必要性及び関連性を相談することが望ましい。
例えば,異なる個体の軸受を,次のような手法を用いて更なる調査を行うことが可能である。
− 損傷若しくは故障につながる大きさ,配置又は表面性状の変化を見積もるための寸法測定。
− 適切な装置(光学顕微鏡又はその他の非破壊調査)を用いた金属部品の金属学的調査,又は破壊検査
を伴う金属学的解析。
− 有機部品及び/又は異物の物理的及び化学的調査。
− 全ての外観調査及び寸法調査は,破壊検査を行う以前に完了させる。
− 部品の様相及び/又は状態は,損傷によって変化して,当初の状況を確認できないことがある。この
ような場合には,更なる調査でも新たな事実を発見できない可能性がある。
――――― [JIS B 1562 pdf 51] ―――――
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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
A.4 損傷及び故障で使う用語の説明
A.4.1 一般
A.4.2A.4.69に,この規格で使用している用語の理解を深めるための説明を記載する。
なお,故障モードの名称の後の括弧内は,対応国際規格が採用する用語を示す。
注記 用語の掲載順は,対応国際規格に掲載されるアルファベット順である。
A.4.2 アブレシブ摩耗(abrasive wear)
適切でない潤滑及び異物(外部)の侵入によって,発生する累積的な材料の除去。表面は,荒れ及び摩
耗粉の生成によって,ある程度くすんでいる(5.2.2参照)。
A.4.3 凝着摩耗(adhesive wear)
固相溶接の進行による,一方の表面からもう一方の表面への材料の移転。摩耗粉は,一方の表面から除
去され,恒久的又は一時的に相手側の表面に固着する(5.2.3参照)。
A.4.4 バニッシング(burnishing)
塑性変形(A.4.44)の累積による粗さの凸部の平たん(坦)化によって,徐々に本来の表面粗さよりも
滑らかになる現象(5.1.3参照)。
A.4.5 異物(contaminant)
潤滑油若しくはグリース中,又は軸受内の空間に侵入した粒子又は水分(5.1.3参照)。
A.4.6 腐食(corrosion)
金属表面の化学反応によって生じる劣化(5.3参照)。
A.4.7 亀裂(crack)
完全には分離していない材料のひび割れ(5.6参照)。
A.4.8 クレータ(cratering)
接触表面の電流の通過による噴火口のようなくぼみ(5.4参照)。
A.4.9 クリープ(creep)
軌道輪の取付面に対する滑り運動。軌道輪がすきまばめで組み込まれ,軌道輪に対し回転荷重がかかる
ときに発生する(5.2.3参照)。
注記 クリープが生じた状態で軸受が回転すると,軸(又はハウジング)に対する内輪(又は外輪)
の回転速度に僅かの差が生じる。クリープが生じた状態では,必ずではないが,しばしば軌道
輪と相手側の部品との接触表面に滑りを伴う。
A.4.10 電流漏れによる電食(current leakage erosion)
しきい値を超えた電流が通過することによって生じる,接触表面の損傷(5.4.3参照)。
A.4.11 変色(discolouration)
熱又は化学反応によって生じる外観の変化(5.3.2,5.3.3.2及び5.3.3.3参照)。
A.4.12 電食(electrical erosion)
損傷を与えるような電流の通過による材料の欠落(5.4参照)。
A.4.13 過大電流による電食(excessive current erosion)
大きなクレータを軌道面に生じる過大電流による損傷で,局所的な異常発熱によって,潤滑剤の変色を
伴うことがある(5.4.2参照)。
A.4.14 擬似ブリネル圧痕(false brinelling)
回転停止状態の軸受軌道面で振動によって転動体が移動し,腐食(A.4.6)と局所的な摩耗(A.4.69)と
の組合せで生じる損傷。軸受軌道面と転動体との接触位置で,さび(A.4.49)の色をした外観が見られる
――――― [JIS B 1562 pdf 52] ―――――
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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
ことがある(5.3.3.3参照)。
A.4.15 疲労(fatigue)
転動体と軌道面との接触による繰返し応力によって生じる材料組織の変化(5.1参照)。
A.4.16 疲労破壊(fatigue fracture)
繰返し疲労限界応力を超えることで生じる破壊(A.4.20)で,曲げのかかる条件下,又ははめあい面の
過大しめしろによって発生することがある。亀裂(A.4.7)は,応力によって発生し,断面の一部で段階的
に進展して,最終的には完全な破壊に至る。疲労破壊は,主に軌道輪及び保持器に発生する(5.6.3参照)。
A.4.17 フレーキング(flaking)
スポーリング(A.4.58)を参照。
注記 対応国際規格では,スポーリング(A.4.58)という用語の使用が望ましいとしているが,国内
では,フレーキングの方が一般的に用いられているのが実情である。
A.4.18 フルーチング(fluting)
狭い等間隔の溝(5.3.3.3,5.4.3及び5.5.2参照)。
A.4.19 強制破壊(forced fracture)
局所的な過大荷重によって,材料の引張強度を超える応力集中が原因で発生する破壊(5.6.2参照)。
例1 組込み時の衝撃又は過大応力。
例2 はめあい面の過大しめしろ,又は軸の曲げ。後者の場合,過大なフープ応力が発生。
A.4.20 破壊(fracture)
亀裂(A.4.7)が進展し,完全に分離する現象(5.6参照)。
A.4.21 フレッチング(fretting corrosion)
はめあい面の摩擦接触条件下での微小運動(滑り)によって発生する化学反応。表面及び凹凸部の酸化
(A.4.39)として,粉末状のさび(A.4.49)及び/又は材料の摩滅(片方又は両方)で,目視で確認が可能
である。表面は,鏡面状又は変色(暗赤色など)を呈する(5.3.3.2参照)。
注記 対応国際規格では,フレッチングを,化学反応と定義しているが,“JIS B 0104”では“接触す
る2面間が,相対的な繰返し微小滑りを生じて摩耗する現象。”としている。
A.4.22 フレッチングさび(fretting rust)
フレッチングで発生するさび(A.4.49)(5.3.3.2参照)。
A.4.23 摩擦腐食(frictional corrosion)
摩擦及び荷重がかかる条件下で,はめあい面の微小運動で生じる化学反応(5.3.3参照)。
A.4.24 フロスティング(frosting)
凝着摩耗(A.4.3)の特殊形態で,転動体によって軸受軌道面を細長く引きがしたような状態。
注記 フロスティングの領域は,一方向には滑らかであるが,他の方向には粗くなっている。
A.4.25 ゴーリング(galling)
表面凹凸形状の間の大きな摩擦引張力によって,部品表面の材料が一方の接触表面から他方の接触表面
に微視的な小片で移動し,又はそれが再び元の表面に戻ること。スキッディング(A.4.54)及びスミアリ
ング(A.4.55)を参照(5.2.3参照)。
注記 ゴーリングは,アブレシブ摩耗の一種の形態である。
A.4.26 グレージング(glazing)
当初の表面仕上げの状態が塑性変形で平滑化された表面。バニッシング(A.4.4)を参照。
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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
A.4.27 灰色に変色(グレーステイニング)(grey stain)
灰色に変色し,くすんだ外観。微小スポーリング(フレーキング)(A.4.35)を参照(5.1.3参照)。
A.4.28 硬い異物(hard particle)
アブレシブ摩耗の原因となる砂粒など[例 と(砥)粒](5.2.2及び5.5.3参照)。
A.4.29 熱亀裂(heat cracking)
熱亀裂(A.4.62)を参照(5.2.3及び5.6.4参照)。
A.4.30 ヘルツ理論(Hertzian theory)
2物体間の接触及びその材料の弾性変形によって発生する接触応力に関する理論(5.1.2参照)。
A.4.31 フープ応力(hoop stress)
軸受軌道輪の円周(接線)方向の応力(5.6.2参照)。
A.4.32 非金属介在物(inclusion)
材料組織中に含まれる有害な非金属物質(5.1.2参照)。
A.4.33 圧痕(indentation)
硬く鋭利なエッジ部が軸受の表面に押し付けられるか,又は異物(A.4.5)が軸受の表面にかみ込まれる
ことで生じる接触表面の塑性的なくぼみ(点,線又は面)(5.5.3参照)。
A.4.34 微小亀裂(microcrack)
繰返し応力がかかって,材料の可塑性が限界に達したときに生じる亀裂。大きく痛めつけられた表面に
は微小亀裂が多数密集する(5.1.2及び5.1.3参照)。
A.4.35 微小スポーリング(フレーキング)(microspalling)
表面の凹凸の接触で生じる浅いスポーリング(フレーキング)。スポーリング(A.4.58)を参照(5.1.3
参照)。
A.4.36 湿分腐食(moisture corrosion)
金属表面の湿気による化学反応で生じる腐食。鋼が水,酸などの湿気に触れた場合,表面が酸化(A.4.39)
し,進行すると,腐食穴(点食)及びスポーリング(A.4.58)に至る(5.3.2参照)。
A.4.37 きず(nick)
接触表面に硬く鋭利な物体を押し付ける(静的又は衝撃)ことで発生する塑性くぼみ(5.5.2参照)。
A.4.38 過大荷重による塑性変形(ブリネル圧痕)(overload deformation)
過大静的荷重又は衝撃荷重によって,転動体ピッチ間隔にて軸受軌道面に浅いくぼみ又は溝として形成
される塑性変形。過大荷重は,過大予圧又は不適切な取扱いによっても発生する(5.5.2参照)。
A.4.39 酸化(oxidation)
物質と酸素との結合(5.3.2,5.3.3.1及び5.3.3.2参照)。
A.4.40 異物摩耗(particle wear)
アブレシブ摩耗(A.4.2)及び三元摩耗(A.4.63)を参照。
A.4.41 転走跡(path pattern)
転動体と軌道面とのように,軸受部品同士が接触することで軸受の一部に生じる痕跡で,進展すると着
色することもある(A.1.3参照)。
A.4.42 ピーリング(peeling)
転がり疲労が誘発する著しく進展した損傷で,金属面が薄く皮をいたように見える現象(5.1.3参照)。
注記 ピーリングは,大きな表面の微小スポーリング(フレーキング)(A.4.35)を表す用語として使
うことがある。
――――― [JIS B 1562 pdf 54] ―――――
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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
A.4.43 ピッチング(pitting)
材料の欠落によって表面に生じるくぼみ。
注記 一般的に,この用語は疲労(A.4.15)を表す用語としては使わない。
A.4.44 塑性変形(plastic deformation)
材料の降伏点を超えると発生する永久変形(5.5参照)。
A.4.45 プラウイング(ploughing)
2表面間の運動で,柔らかい方に生じる塑性変形(A.4.44)によって,溝を形成するもの(5.2.2参照)。
A.4.46 ポリッシング(polishing)
平滑化(A.4.56)の一種で,当初の転がり軸受の表面よりも鏡面状の外観を呈するもの(5.2.2参照)。
A.4.47 転がり接触疲労(rolling contact fatigue)
2固体表面の間の転がり接触による繰返し応力で生じる故障(5.1参照)。
A.4.48 なじみ運転(running-in)
使用の初期段階において,機械部品の互いに接触する表面の粗さが滑らかになり,その表面の間に十分
な潤滑剤が入り込んで潤滑状態が改善される過程(5.2.2参照)。
A.4.49 さび(rust)
鉄又は鉄を含む材料に,水又は湿潤環境下において比較的低い温度での酸化(A.4.39)で生じる,粉末
状又はうろこ状の赤茶色又は赤黄色を呈する水和酸化第二鉄及び水和水酸化鉄(5.3.2,5.3.3.1及び5.3.3.2
参照)。
A.4.50 スコーリング(scoring)
表面の著しいスクラッチング(A.4.51)及びプラウイング(A.4.45)(5.2.3参照)。
注記 米国では,この用語はスミアリング(A.4.55)を表す用語としても用いられる。
A.4.51 スクラッチング(scratching)
鋭利な角,荒れ又は硬い異物が原因で,鋭利なエッジ部,荒れた面,一表面に埋没又は二表面の間に入
った硬い異物によって形成される細かい溝。スコーリング(A.4.50)を参照(5.2.3参照)。
A.4.52 スカッフィング(scuffing)
局所的な表面の溶融を伴わずに,滑り接触表面の間での固相溶着によって生じる凝着摩耗(A.4.3)又は
局所的な損傷の一種(5.2.3参照)。
A.4.53 焼付き(seizing)
接触表面の適切でない潤滑,重荷重及び昇温で発生する過大なスミアリング(A.4.55)で,回転速度及
び運転温度によっては,材料の軟化,再焼入れ,亀裂,及び著しい場合には軸受全体の破損を招くことが
ある(5.2.3参照)。
A.4.54 スキッディング(skidding)
高速での滑り及び急速な荷重変動下での表面の不連続な潤滑油膜切れによって生じる,銀色に曇った外
観の表面損傷(5.2.3参照)。
A.4.55 スミアリング(smearing)
表面からの材料の機械的な除去による凝着摩耗(A.4.3)の一種で,通常,塑性せん断変形を伴い,材料
の再付着によって,一方又は両方の表面に薄片を形成する(5.2.3参照)。
A.4.56 平滑化(smoothing)
バニッシング(A.4.4)及びグレージング(A.4.26)を参照。
――――― [JIS B 1562 pdf 55] ―――――
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JIS B 1562:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 15243:2017(IDT)
JIS B 1562:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.100 : 軸受 > 21.100.20 : 転がり軸受
JIS B 1562:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0104:1991
- 転がり軸受用語