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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
図20−自動調心玉軸受外輪軌道面の擬似ブリネル圧痕
5.4 電食(electrical erosion)
5.4.1 一般
電食とは,電流が引き起こす局所的な微小組織変化及び接触表面から材料が欠落することをいう。
5.4.2 過大電流による電食(excessive current erosion)
しきい値を超えた電圧が軌道輪と転動体との間で発生すると,一つの軌道輪から他の軌道輪に転動体及
び潤滑油膜を通して電流が通過する。軌道面と転動体との接触域では集中放電が起こり,短時間で局所的
に熱せられ,接触域が互いに溶融する。
この損傷は,直径500 μmまでの連なったクレータ状のくぼみを呈し(図21及び図22参照),転動体及
び軌道面の両方の接触域で,回転方向に数珠(じゅず)状の列になる(図21参照)。
図21−自動調心ころ軸受ころの過大電流の通過によるクレータ
――――― [JIS B 1562 pdf 16] ―――――
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図22−図21の拡大(クレータ及び溶融物が見られる)
5.4.3 電流漏れによる電食(current leakage erosion)
静電気又は誘導電流の漏れによる損傷が継続して起きた場合,電食の形態は,5.4.2と異なる外観を呈す
る。基本的に表面の損傷は,接近したマイクロメートル単位の非常に小さく浅いクレータ状となり,電流
の強さが比較的弱い場合でも起こる。玉軸受の場合は接触だ(楕)円内で,ころ軸受の場合は線状に,フ
ルーチング(ウォッシュボーディング)が発生する(図23図25参照)。フルーチングは,ころと軌道面
との接触表面に見られ,等間隔になっているが,玉の表面は黒く変色しているだけである。外観では玉の
表面は淡灰色から黒に変色している(図24参照)が,微視的な調査では,クレータが認められることが
ある。
また,潤滑剤も電流の通過によって劣化し,劣化したグリースは黒く変色し,硬くなる。
図23−円すいころ軸受内輪軌道面の電流漏れによるフルーチング
――――― [JIS B 1562 pdf 17] ―――――
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図24−深溝玉軸受内輪軌道面のフルーチング及び黒く変色した玉
図25−深溝玉軸受外輪軌道面のフルーチング
5.5 塑性変形(plastic deformation)
5.5.1 一般
材料が降伏点を超えた場合,必ず塑性変形が生じる。典型的なものとして,次の二つの降伏が生じる。
− 転動体と軌道面との接触荷重による,接触域に生じる広範囲な降伏。
− 転動体と軌道面との間への異物のかみ込みによる,接触域に生じる微小範囲の降伏。
5.5.2 過大荷重による塑性変形(ブリネル圧痕)(overload deformation)
過大荷重による塑性変形は,一般的に軸受が静止している状態で発生し,回転している状態で発生する
ことはまれ(稀)である。静止している軸受に過大な静荷重又は衝撃荷重がかかり,転動体と軌道面との
接触部に塑性変形が生じる(ブリネル圧痕)。すなわち,転動体の間隔で,浅いくぼみ又は溝を軌道面に形
成する(図26及び図27参照)。
過大荷重による塑性変形は,くぼみ又は溝の底面に,表面仕上げ又は加工痕が認められるかどうかで,
擬似ブリネル圧痕又は電食と識別することが可能である。さらに,過大荷重による塑性変形は,過大予圧
又は組込み時の不適切な取扱いによっても生じる(図26参照)。
不適切な取扱いによって,例えば,シールド板,間座,保持器などの軸受部品に過大荷重がかかり,変
形が起こることもある(図28参照)。軌道面及び転動体には硬い鋭利な物体又は不適切な組込みによって,
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きず及びくぼみが生じることがある(図29参照)。
回転中の軸受での過大荷重による塑性変形は,過大荷重の種類によって,次のような異なる外観状態を
示す。
− 瞬間的に過大荷重がかかる場合には,フルーチング(ウォッシュボーディング)を呈するが,引き伸
ばされて非対称な痕跡になることがある。
− 瞬間的に過大荷重がかかる場合には,転動体の間隔でのくぼみを生じることがある。
− 持続的に過大荷重がかかる場合には,軌道面の過大荷重がかかる箇所の円周方向全体にわたって,圧
延及び塑性変形を起こすことがある。
注記 軸方向荷重が転動体を通じて加わった状態。
図26−アンギュラ玉軸受の静止した内輪軌道面の塑性変形
図27−アンギュラ玉軸受の内輪軌道面の衝撃荷重による塑性変形が原因のスポーリング
――――― [JIS B 1562 pdf 19] ―――――
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図28−不適切な取扱いでの衝撃荷重によるアンギュラ玉軸受保持器の変形
図29−組込みの不備による円筒ころ軸受内輪軌道面のきず
5.5.3 異物による圧痕(indentations from particles)
異物をかみ込むと,軌道輪及び転動体に圧痕が生じる(図30及び図31参照)。その大きさ及び形状は,
異物の種類によって,次のように異なる(図32参照)。
a) 柔らかい異物(例 繊維,ゴム,プラスチック及び木片)[図32 a) 参照]
b) 焼入鋼の異物(例 歯車及び軸受から発生するもの)[図32 b) 参照]
c) 硬い鉱物の異物(例 潤滑油中のシリカの砂粒)[図32 c) 参照]
図30−円すいころ軸受内輪軌道面の異物による圧痕
――――― [JIS B 1562 pdf 20] ―――――
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JIS B 1562:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 15243:2017(IDT)
JIS B 1562:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.100 : 軸受 > 21.100.20 : 転がり軸受
JIS B 1562:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0104:1991
- 転がり軸受用語