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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
図31−円すいころの転動面の異物による圧痕
a) b) c)
図32−軌道面の異物による圧痕の拡大
5.6 亀裂及び破壊(cracking and fracture)
5.6.1 一般
亀裂は,局所的に材料が引張強さを超えることによって発生して,進展する。
破壊とは,亀裂が進展し,部品の断面を完全に貫通するか,又はその一部が完全に分離することをいう。
5.6.2 強制破壊(forced fracture)
強制破壊は,材料が引張強さを超えた応力集中によって生じる。例えば,衝撃からの局所的な過大応力
(図33参照)又は過度のしめしろによる過大なフープ応力によって生じる(図34参照)。
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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
図33−組込み時の衝撃荷重によって生じた円すいころ軸受内輪大つばの強制破壊
注記 破壊は,組込み時の過大しめしろによって発生した。例えば,テーパ穴
内径面に対して相手側のテーパ軸を押込みすぎたことが考えられる。
図34−自動調心ころ軸受内輪の強制破壊
5.6.3 疲労破壊(fatigue fracture)
曲げ,引張り又はねじり条件下で疲労限界応力を超える応力を繰り返し受けると,疲労による破壊が起
こる。応力が大きいところで亀裂が発生し,次第に部品断面に進展し,最後に強制破壊となる。疲労破壊
は,主に軌道輪及び保持器に生じる(図35及び図36参照)。
――――― [JIS B 1562 pdf 22] ―――――
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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
注記 破壊の起点は,右側軌道面の近傍,ビーチマーク(貝殻模様)の中央であり,そこから疲労によ
る亀裂が進展した(上部に見える外径面の損傷は二次的で,外輪が破損したときに生じた。)。
図35−カムローラ外輪の曲げによって生じた疲労破壊の破面
図36−スラスト針状ころ軸受保持器の柱に生じた疲労破壊
5.6.4 熱亀裂(thermal cracking, heat cracking)
熱亀裂は,滑り運動による高い摩擦熱に起因する。通常,亀裂は,滑り方向に直角に現れる(図37参照)。
一般的に,焼入れ鋼部品は,高い摩擦熱によって表面が局所的に再硬化し,高い引張残留応力を生じるこ
とによって,熱亀裂を発生しやすい。
図37−円すいころ軸受内輪小つばに生じた熱亀裂
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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
附属書A
(参考)
故障分析,損傷例,その他の調査及び使用する用語の説明
A.1 故障分析
A.1.1 一般
この附属書の目的は,軸受の損傷の原因を特定するための論理的な対象物の調査に役立てることにある。
最も可能性の高い原因及び故障モードを明確にすることは,長期的な予防保全の構築に有効である。
選定した対策は,特定した原因に対しての再発防止に役立てることが可能である。
全ての関係者による客観的な分析は,この附属書の有効な活用に必要不可欠である。
A.1.2 取外し前後の確認
A.1.2.1 留意点
軸受が故障したときは,原因診断を行う前に,可能な限りの証拠を集め,公平に調査する必要がある。
A.1.2.2 証拠の保存
− 軸受を使用している装置の使用者又は所有者は,調査に当たり可能な限り細かな証拠も見逃さないよ
うにする。
− 多角的な視点によって,論理的な調査手順を探る。
− 評価又は記録する前に,証拠を破棄したりきずをつけたりしない。
− 使用者及び関係者から可能な限り直近の運転履歴を収集する。
− 即時的な分析及び結論は,あくまでも暫定的なものとして扱う。
− 可能性のある分析結果を記録しておく。ただし,証拠を集めて分析するまでは保留しておく。
− 調査計画の立案及び合意の後に,軸受の調査のための装置の分解を開始する。
表A.1に調査計画立案時の手順を示す。
A.1.2.3 証拠の収集
− 全ての段階で次のことを行う。
− 写真及び/又はスケッチを取得する。
− 各部品及び軸受の状況,及び位置を記録する。
− 関係する部品はまとめて保管する。
− 可能であれば,清浄な樹脂製の容器にラベルを貼り,マークを付けて保管する。
− 次のことを行う前に,組込み完成品又は部品の状態での全ての証拠を集める。
− 再現が困難又は不可能な分解
− 潤滑剤及び異物の洗浄
− 軌道輪などの円環状部品の分離切断
− 軸受の状況にはその損傷の証拠が含まれているため,次のことに留意する。
− 取り外すときは,継続運転が不能になる可能性を考慮する。
− 一度だけの破損ではない可能性を考慮する。
− 破損の起因を含んでいる場合も,含んでいない場合もある。
− 他の部品が有力な証拠となることがある。
− 平行して,他の部品の調査も可能な限り行う。
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B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
− 設計,システム,保全及び運転履歴の全ての情報を記録する。
− 軸受の呼び番号及び製造業者を記録する。
− 現品から目視又は推定から判断が可能かを確認する。
− 可能であれば,製造業者の仕様を確認する。
− 軸受が不適切でないかの確認。
− 保全又は故障のときに,正規と異なる不適切な軸受に交換した可能性。
− 同等である保証がない可能性。
− 装置の製造業者の仕様を満足しないものである可能性。
注記 潤滑剤及び異物についても,金属製,樹脂製又はゴム製の部品と同じように重要であることを
考慮する。
A.1.2.4 証拠の分析
損傷の発生から発見までの時間によって,装置を分解点検するときの軸受の損傷の進行が異なる点に留
意することが重要である。
損傷の発見が発生から遅れると,根本原因を究明する手がかりが失われたり,隠れたり,摩滅したりす
ることがあり,その結果,損傷又は故障の真因究明が困難になることがある。
可能性の高い故障過程の解明には,軸受及びその周辺部品から得られる全ての情報を観察し,解析する
ことが非常に重要である。
例えば,進展したスポーリング(フレーキング)は,潤滑油中の異物によって生じたきずから起きた表
面スポーリング(フレーキング)だけでなく,軸受組込み時の圧痕のような塑性変形,腐食,過大電流に
よる電食などで生じた表面損傷が起点であることも考えられる。
このように,スポーリング(フレーキング)以外にも軸受のその他の箇所に発生している初期の損傷が
認められた場合には,相互に関係するこれら全ての現象から損傷及び発生原因を,次のようにして解明す
ることが可能となる。
− 合意した体系立った調査計画を完成させる。
− 全ての証拠に判定基準を適用する。
− 前もって結論付けを行わない。
− 明確な証拠は,直ちに分類する。
− この規格の事例に当てはめても明確でない証拠は,可能性があるものとして区分しておく。
− 評価した証拠は,妥当な故障過程の仮説を組み立てるのに役立つ。
− 推定原因は,証拠に基づいて試験及び評価することが可能である。
− 故障過程の仮説を立てる。
− 妥当な結果が得られるまで仮説の検証を繰り返す。
− 明らかに関係がないと考えられる要因は,除外することが可能である。
− 疑わしい証拠を列挙し,無関係である可能性があるものとして区分する。
− 上記の手順を守らず,無理に証拠を仮説に当てはめないように注意しなければならない。
− 損傷原因が特定できない場合は,A.3に記載するように軸受製造業者に相談するか,又は破損軸受の
解析が可能な調査機関に依頼する。
表A.1に,理にかなった仮説を立てるための手順を示す。
外観上の特徴を整理した上で,次の手順で軸受の状態を整理分類することで,妥当な故障過程の仮説を
立てることが可能である。
――――― [JIS B 1562 pdf 25] ―――――
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JIS B 1562:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 15243:2017(IDT)
JIS B 1562:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.100 : 軸受 > 21.100.20 : 転がり軸受
JIS B 1562:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0104:1991
- 転がり軸受用語