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6.1.3 コリオリセンサ 製品化されたコリオリメータでは,慣性力は,連続的回転運動ではなく,むしろ
チューブの振動によって発生させている。
チューブを一定の振動に保つのに要する最小の駆動力は,振動の周波数が液の充満した管の固有振動数
かそれに近い値のときに生じる。
ほとんどのメータにおいて,振動管は2点で固定され,これら2点間の中間の位置で振動されている。
コリオリメータは,直線又はループ状の単一管若しくは2本の平行管をもつものが多い。
流れがないとき,二つの検出点における相対変位は,一致しているが,流れがあるときはコリオリ力が
振動管に作用し,検出点間の位相差として観測され得る小さな変位(たわみ)又はねじれを生じる。
コリオリ力(及びこれによる管の変形)は,軸方向運動と強制振動の両方があるときにだけ存在する。
強制振動があり流れがないか又は振動がなくて流れがあるときには,たわみは生じず,メータは,出力を
出さないことになる。
検出器の流れ校正係数は,製造及び校正の間に決められる。これらの値は,各検出器に対し固有のもの
であり,通常,校正証明書及び/又は検出器きょう体に付けた銘板上に記録される。
6.1.4 温度センサ 温度センサは,流体温度による振動管の弾性係数の変化を補正するために,振動管の
温度を測定する。
6.1.5 コリオリ変換器 コリオリメータは,駆動エネルギーを供給するため及び連続信号を処理するため
の変換器を必要とする。流量検出器の校正係数を入力することによって,変換器を流量検出器に合わせる
ことが必要である。
質量流量は,通常,総質量を得るために,変換器内において時間で積分される。
変換器は,付加的諸量を求めるために,アプリケーションソフトを搭載する場合もあるが,更なる設定
を必要とする。密度又は体積を計測する場合には,出力要件からソフトウエアにほかの係数を入力するこ
とが必要である。すべての出力は,通常,個別に単位化される。
6.2 精度
精度は,期待される誤差限界を量で表す手段として用いられ,通常,読み値のパーセントと
して表される。質量流量計測に対して精度という用語は直線性,繰返し性,ヒステリシス及びゼロ安定性
を含んでいる。
直線性,繰返し性及びヒステリシスは組み合わせて,読み値のパーセントとして表現される。ゼロ安定
性は,単独のパラメータで単位時間当たりの質量として与えられる。完全な精度値を決定するためには,
ゼロ安定性を具体的な流量での読み値に対するパーセントとして計算し,直線性,繰返し性及びヒステリ
シスの組合せ結果にこの値を加えることが必要である。
繰返し性は,しばしば別のパラメータとして与えられるが,読み値のパーセントとして表され,精度と
同様な方法で計算される。
精度及び繰返し性は,通常,製造業者によって指定される基準条件に対して記述される。これらの基準
条件は,温度,圧力,密度範囲及び流量範囲を含まなくてはならない。
6.3 質量流量計測に影響する因子
6.3.1 一般 詳細については,附属書Cを参照する。
6.3.2 密度及び粘度 密度及び粘度は,通常,質量流量の計測には,影響が少ない。したがって,補正は,
通常不要であるが,ある種の構造のもの及び特殊寸法のメータでは,密度の変化が流量ゼロ時のメータ出
力におけるオフセット及び/又はメータ校正係数の変化を引起すことがある。このオフセットは,計測条
件下でゼロ調整(5.4参照)を実施することによって減じられる。粘度影響については,4.4.8を参照する。
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6.3.3 多相流 混合液体,液体中に均一な固体の混ざった混合液又は低率の気体が均一に混ざった混合液
は,問題なく計測できる場合が多い。不均一混合物を含む多相流の用途では計測誤差が大きくなり,使用
できない場合がある。気泡又は凝縮物が,メータにたまらないように注意するのが望ましい。このような
状況下のゼロ調整手順は,特に注意することが望ましい(6.4参照)。
6.3.4 温度 温度変化は,センサの流れ校正係数に影響し補正が必要である。この影響に対する補正は,
通常,変換器によって行われるが,振動管と周囲との間に大きな温度差がある場合には,温度補正に誤差
が発生することがある。断熱材はこの影響を最小にできる。温度変化は流量ゼロ時のメータ出力のオフセ
ットを引起すことがある。したがって,プロセス温度で,メータのゼロを確認する必要がある(6.4参照)。
6.3.5 圧力 圧力が,質量流量の計測上に及ぼす影響は少ないので,通常補正は不要であるが,ある種の
構造のもの及び特殊寸法のものにおいて,圧力変化が,流れ校正係数に影響を与える可能性のある場合に
は,補正が必要である。圧力変化は,流量ゼロ時のメータ出力のオフセットを引起すこともある。この影
響は,プロセス圧力でゼロ調整(5.4参照)を実施することによって減じられる。
6.3.6 設置 周囲の配管工事によってセンサに生じる応力は,流量ゼロ時のメータ出力のオフセットを引
き起こすことがある。このオフセットは,メータを最初に設置したとき又は設置を変更したときに,確認
することが望ましい。もしオフセットが許容できないならば,別途ゼロ調整(6.4参照)を実施する。
6.4 ゼロ調整
メータの設置が一度完結したならば,6.3に規定する影響をなくすためにゼロ調整が通常
必要である。流量ゼロを確認し調整するために,メータはプロセス流体で充満され,流れが停止されなく
てはならない。メータのゼロを最初に確認し,もしオフセットが許容できない場合には,再度調整するこ
とを推奨する。ゼロ調整は,プロセス条件下の温度,圧力及び密度で実施すること並びに流体が静止して
おり,気泡又は多くのたい(堆)積物がないことが不可欠である。ゼロ調整は,通常,変換器のゼロボタ
ンを押すか又は遠隔操作によって行う。
ゼロ調整の良否は,流量ゼロ時のメータ出力を観測することによって調べることができるが,出力を見
る前に変換器の小流量カットオフ設定をゼロにセットするか又は小流量カットオフ設定によって影響され
ない出力を使用することが大切である。双方向計測の場合には,ゼロ調整が適切ならば,双方向計測機能
を可動状態にしてもよい。メータのゼロは,定期的に確認することが望ましい。
備考 小流量カットオフは,流量があらかじめセットした値以下になると,メータ出力を流量ゼロの
状態にする変換器の機能のことをいう。
6.5 質量流量の校正
すべてのコリオリメータは,製造業者によってトレーサブルな標準で校正され,
メータに対する校正証明書が提出できることが望ましい。この手順で決定した校正係数は,検出器銘板上
に記録されることが望ましい。
コリオリメータの校正は,他の流量計の校正と類似している。校正は,被試験メータよりよい不確かさ
をもち,好ましくは,少なくとも三倍以上よい不確かさをもつトレーサブルな標準に対し,メータの出力
を比較することで行われる。
コリオリメータは,質量流計測装置で,質量又はひょう(秤)量標準によって校正する方が好ましい。
密度測定と組み合わされた体積標準による校正は,質量又はひょう(秤)量標準が利用できない場合には,
特に現地で校正するときに使用してもよい。この方法によって起こる誤差は,注意深く見積もらなくては
ならない。コリオリメータがマスターメータとして使用される場合には,相互干渉を避けるよう注意しな
ければならない(4.3.11参照)。
校正は,できれば実際に使用する条件に近い状態で実施されることが望ましい。校正の開始に先立って,
メータのゼロを確認する(6.4参照)。コリオリメータは,校正試験装置でゼロ調整を行い,最終設置場所
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で再びゼロ調整をする必要がある。詳細な校正方法,校正頻度,推奨手順,校正水準及び校正曲線の例は,
附属書Aを参照する。
6.61) 保守点検及び保管
6.6.1 保守・点検 コリオリメータは通常,定期的な点検を必要としないが,付着性の強い液体,摩耗さ
せるおそれのある粒子の混入した液体など,特別な測定液体の場合は,必要に応じ,点検又は洗浄を行う。
また,流量検出器又は変換器を交換する必要が生じたときは,流量検出器の校正を行ったうえで使用する。
6.6.2 保管 保管は,製造業者の指定に従う。特に一度使用した流量検出器を保管する場合には,流入口,
流出口及び振動管内を十分洗浄しておく。
なお,洗浄に当たっては,コリオリメータを損傷しないように注意する。
7. 流量計測条件下での密度計測
7.1 一般
コリオリメータは,流量計測と同時に配管内で直接の密度計測とができる。この箇条では,
密度と相対密度との計測が,どのように流量計測と同時に行われるかを概説する。また,密度校正に対す
る推奨にも触れる。基準密度と濃度のような密度基準による推論計測は,9.による。
7.2 作動原理
コリオリメータは,通常,固有振動数又は共振周波数で運転される。共振系に関して,
この周波数と移動質量との間には,非常に密接な関係がある。共振系として見たコリオリメータの固有周
波数は,次の式でよく近似することができる。
1 C
fR= (4)
2 m
m=mT+mF (5)
mF=ρF×VF (6)
ここに, fR : 共振又は固有周波数
C : 振動管の機械的剛性又はばね定数
m : 全体の振動質量
mT : 振動管の質量
mF : 振動管内の流体の振動質量
VF : 振動管内の流体体積
ρF : 流体の密度
機械的剛性又は振動管のばね定数は,メータの構造及び振動管材料のヤング率に依存する。式 (4),式 (5)
及び式 (6) から,ρFは,次の式によって決定することができる。
C mT
ρF= − (7)
VF 2(πfR)
2 VF
簡略化すると式 (7) は,
K2
ρF=K+
1 2
(pdf 一覧ページ番号 )
fR
となる。
K1及びK2は,密度計測に対する係数で,校正中に決定される。
周波数は,振動管の振動の周期Tfを計測することによって又はタイムウインド(ゲート)tWの間に振動
回数NCを計数することによって,測定することができる。
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1 NC
f=
R 又は f=
R (9)
Tf tW
K1とK2とは,温度に依存するので,内蔵の温度計測システムで自動的に補正されることが望ましい[圧
力依存性がある場合もある(7.5.3参照)]。
7.3 相対密度
(1) プロセス条件下の流体密度を基準条件下での純粋な水の密度によって除すと,プロセス条件下の相対密度dが次の式によって求められる。ρF
d= (10)
ρWO
ここに, ρF : 流量計測下の流体密度
ρWO : 基準条件下の水の密度
注(1) 比重量ともいう。
7.4 精度
精度という用語は,予想される誤差限界を量的に表す手段として製造業者及び使用者によっ
てしばしば使われる。密度に関する精度という用語は,直線性,繰返し性及びヒステリシスを組み合わせ
た結果を含んでいる。密度の精度は,単位体積当たりの質量の絶対値(例えば,g/cm3又はkg/m3。)とし
て表す。
精度及び繰返し性は,通常,製造業者によって規定される基準条件に対して規定する。これらの基準条
件は,温度,圧力,密度範囲及び流量範囲を含んでいることが望ましい。適切に設置されている場合には,
メータは,この精度限界内で密度を計測しなければならない。
7.5 密度計測に影響する因子
7.5.1 一般 詳細については,附属書Cも参照する。
密度の計測は,プロセス条件の変化によって影響されることがある。この影響をもつ用途において製造
業者は,この影響を量で表したり,また,メータの性能上に影響を与えるものについて指針を与えるのが
望ましい。例えば,温度影響は1 ℃当たりの密度変化として表すことができる。
7.5.2 温度 温度変化は,センサの密度校正係数に影響することがある。したがって,この変化に対する
補正が必要で,変換器によって自動的に実施されるが,密度の非線形性によって,影響を完全に取り除く
ことができない場合がある。精密な用途でこの影響を少なくするためには,運転温度での校正が必要とい
える。振動管と周囲温度間との大きな温度差がある場合には,温度補正に誤差を生じることがある。断熱
材を使用することによってこの影響を最小にできる。
備考 ある種の用途,例えば,極低温液体に関しては,密度計測に瞬間的に影響するプロセス温度の
ステップ変化(熱衝撃)に起因する過渡的温度影響があり得るので,これもまた考慮する必要
がある。
7.5.3 圧力 圧力は,通常密度への影響が少なく,本来なら補正は必要ない。ただし,ある種の構造及び
圧力変化が特殊寸法のメータでは,密度校正係数に影響することもある。この場合には,補正が必要であ
り,プロセス圧力での校正を実施する必要がある。
7.5.4 多相流 混合液体,液体中に均一な固体の混ざった混合液又は低率の気体が均一に混ざった混合液
は,問題なく計測できる場合が多い。ある環境では(特に液体中に気泡のある場合には),誤差を増加させ,
使用できない場合がある。密度計測に影響しない許容できる気泡又は沈殿した固体の度合は,その分布と
搬送液体との結合に依存するものと思われる。例えば,水中の大きな空気だまりは,高粘度液体に均一に
分布する気泡よりも問題になる。多相系の密度計測に関しコリオリメータが適するかどうかは,使用目的
に依存する。よく検討し,製造業者にも相談して,より適切なメータの選定を行うことが望ましい。
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7.5.5 流れ 密度校正は,通常静的な状態で,すなわち,何も流動のない状態で実施される。しかし,流
れているときの運転では,水圧による外乱が,密度計測に影響する場合がある。このような影響を起こし
そうな流体速度は,検出器の大きさと幾何学形状とによって変化する。流れが影響を及ぼす流速での精密
な密度計測においては,流動状態での密度校正を実施することが望ましい。ある製造業者は,密度計測上
の流れ影響に対して自動補正を行っている。
7.5.6 腐食,壊食及び被覆物 腐食及び壊食は,計測管の質量を減少させ,反対に付着物は,管の質量を
増やすことになる。これらの影響は,両方とも密度計測に誤差を引起す。このような影響が起こる可能性
のある用途では,適切な材料の選定と最も適切なメータサイズ(速度の制限)の選定,そして必要な場合
には,定期的に洗浄を行うことが必要である。逆に,密度計測の状態を見ながら,計測管内の過度な腐食
若しくは壊食の発生又は付着物の生成を診断することが可能である。
7.5.7 設置 一般的に設置上の応力は,密度計測には影響しないが,ある種の流量検出器構造では,姿勢
についてわずかな影響がある場合がある。精密な密度計測の用途では,最終的に設置する姿勢でメータを
校正するか又は別法として現地調整を実施することが必要である(7.6.3参照)。
7.6 校正及び調整
7.6.1 一般 コリオリメータは,製造中に及び/又は現地調整によって校正することができる。単相で清
浄な液体だけを校正又は調整用に使用するのが望ましい。計測管は,清浄で,付着物又はたい(堆)積物
がなく,また,校正直前には,水洗されるのが望ましい。この要件から外れると有意な計測誤差が生じる
ことがある。
7.6.2 製造業者の校正 コリオリメータでは,密度は,通常,空気及び水を基準流体として製造業者によ
って校正される。この手順によって決定された密度校正係数は,通常センサ銘板上に記録される。精密な
密度計測が必要な場合には,最終的な使用条件に類似した密度,温度及び圧力の複数の流体を用いた特別
な校正が必要である。このような状況では,メータに対する密度校正証明書が要求に応じて入手できるの
が望ましい。
7.6.3 現地調整 現地調整の利点は,使用者によって計測管にプロセス流体を入れて,実行できることで
ある。コリオリメータによる密度計測が,調整前から安定を保っていることが必す(須)である。使用者
は,メータ内の流体密度がどの位の値かを知っている必要がある。変換器は,メータを一つ以上の液体で
充満して現地調整することができる機能を備えているのが望ましい。
現地調整は,例えば,メータの取付姿勢のように設置上の影響がなくなるようにすることが推奨される。
現地調整を実施するのに必要な手順は,取扱説明書に詳細に記載されているのが望ましい。
備考 コリオリメータによる密度計測は,システムの安定性の指標としてよく用いられ,使用できる
用途及び設置上の問題点を診断する助けとなることがある。
8. 計測条件下の体積流量計測
8.1 一般
コリオリメータは,直接に流体の質量流量及び密度を計測する。したがって,必要に応じて
この両方が使われたり,一つが使われたりするが,このコリオリメータの利点が非常に生かされる用途の
一つに,この二つの量を用いた体積流量の計測がある。
8.2 体積計算
密度は単位体積当たりの質量として定義され,したがって,体積は次のように質量及び
密度から算出する。
m
V= (11)
ρ
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JIS B 7555:2003の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10790:1999(MOD)
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- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.120 : 流量の測定 > 17.120.10 : 閉水路における流れ
JIS B 7555:2003の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8103:2019
- 計測用語