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B 8223 : 2021
3.2.2.6
産業用貫流ボイラ
主に製造業及び自家発電用に供給する蒸気を発生させる貫流ボイラ
3.2.2.7
廃熱ボイラ
炉,その他の排ガスの余熱を回収して蒸気を発生させるボイラ
注釈1 清掃工場などの廃熱ボイラの水質管理は,産業用水管ボイラの水質管理に準じる。
3.2.2.8
排熱回収ボイラ
ガスタービンの排気及びプロセスガスからの熱を回収して蒸気を発生させるボイラ
3.2.3 電力事業用ボイラ
3.2.3.1
電力事業用ボイラ
主に発電用蒸気タービン及び発電所施設に発生蒸気を供給するボイラ
注釈1 一般的な常用使用圧力15 MPaを超える電力事業用循環ボイラ,電力事業用排熱回収ボイラ及
び電力事業用貫流ボイラを,電力事業用ボイラと総称する。
3.2.3.2
電力事業用循環ボイラ
主に発電用蒸気タービン及び発電所施設に発生蒸気を供給する循環ボイラ
注釈1 電力事業用水管ボイラともいう。
3.2.3.3
電力事業用排熱回収ボイラ
主に発電用蒸気タービン及び発電所施設に発生蒸気を供給する排熱回収ボイラ
注釈1 発電用ガスタービンの排熱を回収ボイラの熱源とし,複数圧ドラムと多数の加熱水管とで構成
される。
3.2.3.4
電力事業用貫流ボイラ
主に発電用蒸気タービン及び発電所施設に発生蒸気を供給する貫流ボイラ
3.3 船用ボイラの用語
3.3.1
船用主ボイラ
主機関を駆動させるために必要な蒸気を作るボイラ
注釈1 蒸気タービン船に搭載する。
3.3.2
船用補助ボイラ
主機関駆動以外の補機の駆動,油タンク加熱,船内空調設備などに必要な蒸気を作るボイラ
注釈1 ディーゼル船に搭載する。
――――― [JIS B 8223 pdf 6] ―――――
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3.3.3
造水器
船内で使用する蒸留水を海水から作成する装置
3.4 用水の種類の用語
3.4.1
原水
水道水,工業用水,地下水,河川水,湖沼水などの,まだ給水処理をしていない水
3.4.2
補給水
ボイラへ補給する水
注釈1 軟化水,イオン交換水,蒸留水などがある。
3.4.3
軟化水
原水を,陽イオン交換樹脂を充した軟化装置で処理した硬度CaCO3: 1 mg/L以下の水
3.4.4
イオン交換水
原水を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを用いたイオン交換装置で精製した水
3.4.5
復水
ボイラから発生した蒸気の使用箇所(蒸気タービンなど)以降の冷却系統で凝縮しサイクル内に戻る水
3.4.6
給水
給水ポンプによってボイラ入口[エコノマイザ(節炭器)がある場合は,エコノマイザ入口]に供給さ
れる復水と補給水との混合水
3.4.7
ボイラ水
ボイラの内部で濃縮された水
注釈1 一般には,ドラム内の水とする。
3.4.8
過熱低減器スプレー水
蒸気の過熱を抑制·防止するために注入する冷却用の水
注釈1 ボイラの給水を利用する場合が多い。
3.5 ボイラの水処理方式の種類の用語
3.5.1
アルカリ処理
ボイラ水のpHを,主として水酸化ナトリウムで調節し,りん酸イオンの濃度を,りん酸塩(主として
ナトリウム塩)で調節する処理方法
――――― [JIS B 8223 pdf 7] ―――――
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注釈1 りん酸塩には,通常,りん酸三ナトリウムを使用する。
3.5.2
りん酸塩処理
ボイラ水のpH及びりん酸イオンの濃度を,りん酸ナトリウム塩で調節する処理方法
注釈1 りん酸ナトリウム塩の調節は,りん酸三ナトリウムとりん酸二水素ナトリウムとを混合し,通
常,Na/PO4モル比が2.62.8になるよう調節する。
3.5.3
揮発性物質処理
給水だけ又は給水及びボイラ水のpHの調節に揮発性のアンモニア又はアミンを用い,溶存酸素の除去
には脱気器及び揮発性のヒドラジンなどの脱酸素剤,又は脱気器だけを用いて処理する方法
注釈1 ヒドラジンなどの脱酸素剤の使用の有無,又は酸化還元雰囲気の程度によって,還元形,低酸
化形及び酸化形の3種類の処理方法が採用されている。
3.5.4
酸素処理
高純度水中に,酸素及びアンモニアなどのアルカリ薬品を添加し,腐食抑制を図る水処理方法
注釈1 酸素処理(OT: Oxygenated Treatment)は,複合水処理(CWT: Combined Water Treatment)と呼ぶ
こともある。また,高純度水中に,酸素だけを添加する水処理方法は,中性水処理(NWT: Neutral
Water Treatment)と呼ばれ,アルカリ薬品が使用できないなどの特殊な条件下だけで使用する。
3.5.5
低濃度水酸化ナトリウム処理
ボイラ水のpHを微量の水酸化ナトリウムで調節する処理方法
3.6 ボイラの腐食事象の用語
3.6.1
アンモニアアタック
銅合金が,アンモニアと酸素とを含んだ凝縮水にさら(曝)されることによって生じる溝状又はピンホ
ール形状の腐食
注釈1 アンモニアアタックは,銅合金製復水器のエアークーリングゾーンのバッフル近傍部などで生
じる。
3.6.2
キャリオーバ
ボイラから蒸気が発生する過程で,ボイラ水中の溶解性物質及び懸濁固体物質が蒸気中に混入する現象
注釈1 キャリオーバには,機械的キャリオーバと化学的キャリオーバとがある。
注釈2 機械的キャリオーバは,蒸気中に同伴するボイラ水滴の飛まつ(沫)によるもので,主にホー
ミング及びプライミングによって発生する。化学的キャリオーバは,ボイラ水中の成分固有の
揮発性によって,ボイラ水中の成分の一部が蒸気中へ同伴することによる。
3.6.3
流れ加速型腐食,FAC(Flow Accelerated Corrosion)
――――― [JIS B 8223 pdf 8] ―――――
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金属材料表面の保護性皮膜(マグネタイトなど)が,水管の流れの乱れによって溶解反応が加速され,
その結果,母材が減肉する現象
3.6.4
ハイドアウト
ボイラ水中のりん酸塩が,高負荷時には管壁に析出し注入濃度より減少し,一方,低負荷時には管壁に
析出したりん酸塩が再溶解し,ボイラ水中のりん酸塩濃度が上昇する現象
注釈1 りん酸塩処理のNa/PO4のモル比にも依存するが,高負荷時には,りん酸塩が析出し液相中に遊
離アルカリが生じ水冷管の伝熱面の水質がアルカリ性となる。一方,低負荷時には,りん酸塩
が再溶解しボイラ水のpHが低下する。前者のりん酸塩の析出をハイドアウト,後者のりん酸
塩の再溶解をハイドアウトリターンと呼ぶ場合もある。
3.6.5
ボイラスケール
ボイラ管の内壁に生成した腐食性酸化物に加え,給水系及び復水系から搬入したカルシウムなどの不純
物,金属イオン及び金属酸化物などの析出物を加えたもの
3.6.6
ホーミング
ボイラ水中に油脂類などの有機物,全蒸発残留物などが混入することによって,ボイラ水が発泡し,蒸
気ドラム内に泡まつ(沫)及びボイラ水滴の飛まつ(沫)が生成する現象
3.6.7
プライミング
蒸気消費量の急増などによって,ボイラ圧力が急激に低下した場合に,ボイラ水中で多量の蒸気泡が発
生するとともにボイラの水位が上昇する現象
4 給水及びボイラ水の水質に関する一般事項
4.1 給水の水質
給水の水質に関する一般事項は,次による。
a) 系統を構成する炭素鋼の腐食防止の観点から(B.7参照),溶存酸素は500 μg/L以下に保つことが望ま
しい。溶存酸素を低減する手段としては,脱気器又は膜式脱気装置を設置する,給水タンクなどの開
放部において給水温度を上昇させるなどがある。
b) 油脂類(JIS B 8224のヘキサン抽出物質を参照)は,ボイラ水のホーミング及びスケール付着を防止
するために,ボイラに油脂類が混入しないように留意するという観点から,油脂類の濃度を低く保つ
ことが望ましい。
c) 給水配管又はドレン回収配管(復水配管)に亜鉛めっき鋼管(通称 : 白ガス管)を使用した場合,亜
鉛が溶出し給水中に含まれることがある。通常,亜鉛は,鉄に対し犠牲電極及び沈殿皮膜となり,防
食作用を示すが,ボイラ内では亜鉛系スケールの原因となるため,亜鉛濃度を低く保つことが望まし
い。
d) 給水の水質管理項目については,附属書Bを参照。
4.2 ボイラ水の水質
――――― [JIS B 8223 pdf 9] ―――――
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ボイラ水の水質に関する一般事項は,次による。
a) 亜硫酸塩を脱酸素剤として使用する場合において,ボイラ水の脱酸素処理が不十分な場合(亜硫酸イ
オンが残留しない場合)は,反応生成物として生じる硫酸イオンが溶存酸素による炭素鋼の腐食を加
速するため亜硫酸イオン濃度の下限を設定する。亜硫酸イオン濃度の下限は,常用使用圧力2 MPa以
下の場合は10 mg/L,常用使用圧力2 MPaを超え5 MPa以下の場合は5 mg/Lとする。
亜硫酸イオン濃度の上限は設定しないが,脱気器が付いていない場合は50 mg/L以下,脱気器が付
いており常用使用圧力2 MPa以下の場合は20 mg/L以下,脱気器が付いており常用使用圧力2 MPaを
超え5 MPa以下の場合は10 mg/L以下を目安とする。また,高温下では亜硫酸塩の熱分解による二酸
化硫黄(SO2),硫化水素(H2S)などの発生による蒸気系統及びボイラ内の腐食を助長する可能性があ
るため,亜硫酸塩の使用には注意する。具体的な亜硫酸塩の添加量についてはB.9を参照。
b) ヒドラジンを脱酸素剤として使用し,ボイラ水の残留ヒドラジン濃度を基にヒドラジン注入量を管理
する場合は,ヒドラジン濃度の上限は設定しないが,ヒドラジンの自己分解によって生成するアンモ
ニアによる銅合金材の腐食の可能性,及びヒドラジンの有害性を考慮し,なるべく低濃度に維持する
ことが望ましい。特に,食品加工,室内加湿など人体が直接摂取するか又は触れる用途に蒸気を使用
する場合には,蒸気中にヒドラジンが検出されない範囲でボイラ水の残留ヒドラジン濃度を厳密に管
理する必要があり,管理が困難な場合は,ヒドラジン以外の脱酸素剤を使用する(B.8参照)。
c) 原水又は軟化水を補給水とする場合は,ボイラ水中のシリカの濃度が高くなるため,シリカの含有率
の高いスケールが生成する傾向にある。ボイラ内でのシリカによるスケール化を防止するためには,
硬度成分を共存させないようにするとともに,ボイラ水中のシリカの濃度を制限し,ボイラ水の酸消
費量(pH 8.3)を,この値の上限値に1/1.7を乗じた値[シリカをメタけい酸イオンの形態にするため
に必要な酸消費量(pH 8.3)対応量]を超えないようにブローによって管理する(B.14参照)。シリカ
を高濃度で維持する場合には,シリカの析出を防止する酸消費量(pH 8.3)を維持し,硬度成分流入に
よるけい酸塩スケールに注意する。給水中のシリカ濃度が高い場合には,ボイラ水のpHが上がりに
くくなるため,ブローの調整,清缶剤の使用,又はシリカを除去する能力がある水処理装置など(例
えば,逆浸透膜装置など)の併用を行う。タービンに送気する場合には,タービンでのシリカスケー
ルによるタービン効率低下を防ぐために,シリカ濃度を低く保つことが望ましい。
d) 硫酸イオンは腐食促進作用があるため,なるべく低濃度に維持することが望ましい。
e) ボイラ水中の鉄,銅及び亜鉛は,スケールの付着,ボイラ内でのスラッジの堆積,伝熱面の汚染及び
酸素濃淡電池による二次腐食を防止する目的で,低く保つことが望ましい。
f) ボイラ水の水質管理項目については,附属書Bを参照。
4.3 揮発性物質処理の水質
揮発性物質処理では,ヒドラジンなどの脱酸素剤の使用の有無,酸化還元雰囲気の程度によって次の3
種類の処理方法を適用する。
a) 揮発性物質処理(還元形)[AVT(R): All-volatile Treatment (Reducing)] ヒドラジンなどの脱酸素剤を
添加し,積極的に還元雰囲気とする給水及びボイラ水処理。
b) 揮発性物質処理(低酸化形)[AVT(LO): All-volatile Treatment (Low Oxidizing)] ヒドラジンなどの脱
酸素剤が無添加の給水及びボイラ水処理で,溶存酸素濃度7 g/L以下のもの。
c) 揮発性物質処理(酸化形)[AVT(O): All-volatile Treatment (Oxidizing)] ヒドラジンなどの脱酸素剤が
無添加の給水及びボイラ水処理で,溶存酸素濃度7 g/Lを超え20 g/L以下のもの。設定根拠の詳細
は,附属書Aを参照。
4.4 蒸気の質
――――― [JIS B 8223 pdf 10] ―――――
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JIS B 8223:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.060 : バーナ.ボイラ > 27.060.30 : ボイラ及び熱交換器
JIS B 8223:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0126:2018
- 火力発電用語―ボイラ及び附属装置
- JISB0127:2012
- 火力発電用語―蒸気タービン及び附属装置並びに地熱発電設備
- JISB8224:2016
- ボイラの給水及びボイラ水―試験方法
- JISK0410-3-7:2000
- 水質―サンプリング―第7部:ボイラ施設の水及び蒸気のサンプリングの指針
- JISK0556:1995
- 超純水中の陰イオン試験方法