JIS B 8672-1:2011 空気圧―試験による機器の信頼性評価―第1部:通則 | ページ 2

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ここで該当故障とは,機器が次の状態に至った場合をいう。
− 所定の特性パラメータの値が,所定のしきい値を超えた場合。
− 完全故障(破裂,疲労,機能故障など)が起こった場合。
この規格が対象とする機器の作動条件,特性パラメータ及びそのしきい値は,対応する各部で規定して
いる。信頼度は,試験結果から母集団の寿命分布を推定することによって決定する。寿命分布を表すため,
一般には種々の異なる分布関数が用いられている。
なお,母集団の寿命分布がほぼ分かっているときは,数個の製品からなる標本について,所要の寿命よ
り長めの試験を行うことによって,機器の信頼度を実証することができる。具体的な方法については,附
属書Cに示す。

6 試験の実施方法

6.1   加速寿命試験
信頼性試験を実施する際の大きな問題点の一つに,しきい値に到達するまでの試験時間の長さが挙げら
れる。試験時間を妥当な長さにするためには,機器を定格値よりも過酷な環境条件にさらす加速試験が必
要となる場合がある。試験の加速係数の決定に当たっては,故障モード又は故障メカニズムが変化しない
か,又はそれらが加速しないときの試験から予測されるものと異ならないことが条件である。
6.2 試験装置及び特性パラメータの測定
二つの重要な要素として,試験装置及び機器の特性パラメータの測定がある。試験装置は,計画された
環境条件で確実に動作するよう設計する必要がある。その構造などによって,試験結果に影響があっては
ならない。試験装置の評価及び試験期間中の保守は重要である。正確,かつ,再現性のある試験結果を得
るためには,特性パラメータの測定精度及び試験中のパラメータの監視精度は,指定された公差内でなけ
ればならない。
6.3 試験計画
指定された条件で,機器の信頼度を的確に評価した結果を得るためには,適切な試験計画を立てること
が望ましい。製造業者と使用者とがこの規格(全ての部を含む。)を適用することに同意した場合は,試験
計画の目標及び目的を明確に定めなければならない。

7 統計的解析

  信頼度を評価するためには,得られた試験データを用いて母集団の寿命分布の母数を推定する必要があ
る。そのとき,最も一般的に用いられる方法の一つとしてワイブル解析がある。この規格では,試験結果
の比較を可能にするため,信頼性データの解析は,ワイブル解析によるものとする4)。
ワイブル解析の実施例を附属書A及び附属書Bに,また,数学的な基礎について附属書JAにそれぞれ
示す。
注4) 実施に当たっては市販品を含む適切なソフトウェアを使用することができる。

8 試験条件

8.1   一般事項
試験は,対象とする特性パラメータ,各特性パラメータに対するしきい値などに関し,この規格の各部
で機器ごとに規定した内容に準拠して行わなければならない。

――――― [JIS B 8672-1 pdf 6] ―――――

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8.2 試験中における標本の修理
信頼性試験中は,標本の修理(部品の交換,再組み付けなど)は行ってはならない。
8.3 試験環境
この規格の各箇条で指定されている場合,又は製造業者と使用者との間で合意した場合を除き,全ての
試験は表2の環境条件において実施しなければならない。
表2−一般の試験環境条件
パラメータ 値
使用圧力 630±30 kPa
周囲温度 23±10 ℃
媒体温度 23±10 ℃
空気の品質 公称ろ過度 5 m
最高圧力露点a) −20+7 ℃
油分 なし
注a) SO規格では+3 ℃としているが,JIS B 8392-1
に従って,−20+7 ℃と規定する。
8.4 特性パラメータの測定
信頼性試験に先立ち,試験実施担当者は予想される寿命に応じて,特性パラメータの測定間隔を決定し
なければならない。効果的な測定間隔の決定は,試験担当者の経験及び適切な判断によるところが大きい。
測定間隔が空きすぎると,統計的に判定される寿命が短くなる可能性がある(10.2参照)。逆に測定間隔が
短すぎると,試験コストが高くなる。
試験状態が安定するまでの試験立上げ時は,頻繁に測定を実施するのがよい。初回の測定は,予想寿命
の10 %以内で実施しなければならない。測定装置は継続して稼働させ,適切に機能していることを定期的
に確認しなければならない。
注記 測定装置は,特性パラメータを常時監視し,故障の時点を的確に判定できるものが望ましい
(10.2参照)。

9 標本の大きさ及び選択基準

9.1   一般事項
標本は,母集団を代表するように,無作為に選ばなければならない。
9.2 標本の大きさ
標本の大きさは,7個以上とする。
注記 ワイブル確率紙上の最初のデータポイントが,10 %未満の故障確率になるために,標本は少な
くとも7個あることが重要である。これによって,10 %の故障確率に対する片側信頼限界をよ
り正確に推定でき,B10寿命を精度よく決定することができる(JA.2.2参照)。
9.3 標本の選択基準
設計原理が同じ製品シリーズでは,全ての形式又はサイズの製品を試験する必要はない。ただし,試験
対象品には,例えば,最高速度など,最も厳しい条件の形式が含まれていなければならない。

――――― [JIS B 8672-1 pdf 7] ―――――

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10 試験の終了

10.1 要求最小故障数
表3に,B10寿命を適切に評価するために要求される最小故障数を示す。この数字には,故障とみなされ
ない停止は含めない。試験は,要求最小故障数を満たすまで,継続して行わなければならない。
表3−B10寿命を評価するための要求最小故障数
標本の大きさ 7 8 9 10 11以上
要求最小故障数 5 6 7 7 標本の大きさの70 % ,端数切り捨てa)
注a) 例えば,標本の大きさが11の場合,要求最小故障数は7である。
10.2 寿命サイクル数
試験中に,ある標本が特性パラメータの測定間隔の間で故障したときは,左側打切りデータとみなす。
この場合は,その標本が正常に動作していたときの寿命時間及び故障を発見したときの寿命時間の両方を
記録する。
故障寿命をより正確に決定することが要求される場合は,リミットスイッチ又は故障を検知するための
適切な他の方法を用いて,個別の標本の性能を継続的にモニターすることが必要である。
注記 左側打切りデータとは,最後に正常に動作していたときの寿命で試験を打ち切ったとみなすこ
とである。
なお,最ゆう(尤)推定法(以下,最ゆう推定法という。)などを用いて,故障発見寿命と直
前の正常作動寿命との間に真の寿命があるとして解析することもできる(附属書A及び附属書
B参照)。
10.3 中途打切り試験
該当故障が起こる前に,個別の標本の試験を中止することがある。これは,中途打切りと呼ばれている。
中途打切りの例を,次に示す。
− その標本を検査のために分解し,試験の継続ができなくなったとき。
− その標本を誤って損傷し,試験の継続ができなくなったとき。
これらの標本は中途打切りまでにある程度の寿命試験に耐えており,そのデータは信頼度の計算にプラ
スの影響を与えるため無視してはならない。中途打切りを含むデータの解析は,附属書Bを参考にして行
うのがよい。
10.4 打切り試験
表3に規定した要求最小故障数に達した後も,依然,残りの標本が正常に作動している場合,それらの
試験は打ち切ることができる。
中途打切りを含まない打切り試験の場合は,附属書Aに示す方法を用いて解析を行う。1個以上の中途
打切りを含む打切り試験の場合は,附属書Bに示す方法を用いて解析を行う。
注記 一般に,あらかじめ定めた最大寿命時間において,試験を打ち切ることが多い。

11 試験データによる信頼度の評価

11.1 故障モード
試験結果を的確に評価するため,あらかじめ対象とする故障モード(複数でもよい)を定めておき,個
別の標本ごとに故障モードを記録しなければならない。

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11.2 母数推定
試験データを用いて,次に示す母数を計算し決定する。
− 尺度母数η : ワイブル確率紙上の直線が故障確率63.2 %の線を切る寿命値。
− 形状母数β : ワイブル確率紙上の直線の傾き。
注記 この規格の対応国際規格ISO 19973-1では,母数を求める計算方法,及びワイブル確率紙上に
直線を描く方法は特に規定せず,市販のソフトウェアを利用してよいとしている。最も一般的
に用いられる方法はメディアンランク回帰法で,中途打切りデータ及び左側打切りデータにつ
いては最ゆう推定法を用いることもできる。これらの方法の適用例は附属書A及び附属書Bに
示してあるが,更に数学的な基礎について附属書JAに示す。
11.3 B10寿命
11.2で推定した母数を用いてB10寿命を計算する(図1のbを参照)。
11.4 B10寿命の信頼限界
フィッシャーのマトリックス法(附属書JA)によって,信頼水準95 %におけるB10寿命の信頼限界を計
算する(図1のaを参照)。
1 最適当てはめ線
2 フィッシャーのマトリックス法による95 %信頼限界
3 故障確率F(t)=10 %の線
4 故障確率F(t)=63.2 %の線
a 信頼水準95 %におけるB10寿命の信頼限界
b B10寿命
c 特性寿命η
図1−B10寿命の決定例

――――― [JIS B 8672-1 pdf 9] ―――――

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12 試験報告書

  試験報告書には,少なくとも次の事項を記載しなければならない。
a) IS B 8672及び該当機器に対応する部の番号
b) 試験報告年月日
c) 機器の種類(製作者,形式,シリーズ番号)
d) 標本の大きさ
e) 試験条件(使用圧力,温度,空気の質,周波数,負荷など)
f) 故障の判定に用いた特性パラメータ及びそのしきい値
g) 個別の標本ごとの故障モード及び故障寿命
h) 解析対象とした故障数
i) 特性寿命η及びワイブル係数β
j) 10寿命及び信頼水準95 %におけるB10寿命の信頼限界
k) )及びj)を推定するためのグラフ(図1の直線1及び曲線2)
l) ワイブル関数の当てはめなど主な計算方法(例えば,メディアンランク回帰法,最ゆう推定法,フィ
ッシャーのマトリックス法)
m) 異常値の有無及びその詳細,また,必要に応じ他の特記事項

13 規格準拠表示

  この規格に準拠して信頼性評価を行った製造業者に対し,試験報告,カタログ及び販売資料作成時に,
次の内容を盛り込むよう強く推奨する。
“試験による空気圧機器の信頼性を評価するための一般手順は,“JIS B 8672-1,空気圧−試験による機
器の信頼性評価−第1部 : 通則”に準拠して実施した。”

――――― [JIS B 8672-1 pdf 10] ―――――

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JIS B 8672-1:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 19973-1:2007(MOD)

JIS B 8672-1:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8672-1:2011の関連規格と引用規格一覧