JIS B 9620-1:2000 印刷技術―カラー印刷における工程管理―第1部:パラメータ及びその測定方法 | ページ 2

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B 9620-1 : 2000 (ISO 12647-1: 1996)
反射濃度
Ds : べた部分の反射濃度
Dt : 階調部の反射濃度
備考1. 見かけ上の等価網点面積率,又は見かけ上の総網点面積率ともいう。
2. “網点面積率”は,網点パターンの場合だけに使用できる。
3. 上の定義式は,版面の網点面積率の近似式としても使用される。
4. ISO 12642で“ink value”として表されているのは,イメージセッターでフィルム上に再現さ
れたものである。すなわち,フィルム上にその数値で示されたトーンバリューが再現されて
いる。
次の式で計算される百
3.40 トーンバリュー;網点面積,A(ポジフィルムの)(tone value; dot area, A)
分率。
A (%) =100−100× [1−10−(Dt−D0) ] / [1−10−(Ds−D0) ]
ここに, D0 : クリア部分の透過濃度
Ds : べた部分の透過濃度
Dt : 階調部の透過濃度
備考 フィルム焼付網点面積率ともいう。
次の式で計算される
3.41 トーンバリュー;網点面積,A(ネガフィルムの) (tone value; dot area, A)
百分率。
A (%) =100−100× [1−10−(Dt−D0) ] / [1−10−(Ds−D0) ]
ここに, D0 : クリア部分の透過濃度
Ds : べた部分の透過濃度
Dt : 階調部の透過濃度
備考 フィルム焼付網点面積率ともいう。
3.42 トーンバリューインクリース(ドットゲイン) (tone value increase; dot gain) 印刷物のトーンバリ
ューとそれに対応する色分解フィルムのトーンバリューとの差。単位 %。
備考 ドットゲインは,網点パターンの場合だけに使用する。
3.43 トーンバリューサム (tone value sum) 1組の色分解フィルムのある部分でのトーンバリューの総
和。単位 %。
備考1. 合計網点面積率 (TDA) ともいう。
2. 通常,画像の最も暗い無彩色部分でトーンバリューサムが最大になる。
3.44 透過濃度計 (transmission densitometer)透過濃度を測定する装置。
透過率の逆数の常用対数値。単
3.45 透過濃度 [transmission density(1) ; transmittance optical density(2) ]
位 1。
注(1) SO 5-2
(2) IE 17.4
3.46 透過率 (transmittance factor) アパーチャーに試料が挿入されているときと挿入されていないと
きの放射束の測定値の比 (ISO 5-2) 。単位 1。
3.47 許容変動 (variation tolerance) Kシートと本機刷印刷物のロットから無作為に抜き取られた印
刷物との許容差。
4. 規定 この項では,カラー印刷物の視覚特性及びその他の物理的な特性に影響を及ぼす幾つかの特性
や1次パラメータについて規定する。また,必要に応じてその測定方法や特性値についても規定している。

――――― [JIS B 9620-1 pdf 6] ―――――

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B 9620-1 : 2000 (ISO 12647-1: 1996)
この規格の4.における項目構成は,第2部以降もシリーズを通じて同じである。
備考 上記の特性や1次パラメータに関する情報は,カラー印刷物の製作過程での意志の疎通にとっ
て非常に重要である。実際には,これらのパラメータの多くは個々の印刷方式でそれぞれの標
準値が決められているので,ここでは規定しない。それらは,この規格の他のシリーズ中で規
定されている。
4.1 色分解フィルムに関する規定
4.1.1 フィルム品質 最低限必要なコア濃度と,許容できる最大限のフリンジ幅を規定する。
備考 上記の測定方法及び評価方法については,附属書Bを参照。
4.1.2 スクリーン線数 センチ当たりの線数 (cm-1) で表示する。一つのカラー印刷物に2種類以上使用
する場合には,各色ごとにそのスクリーン線数を表示するか,又は例外的に使用される場合にはそれを明
確に表示する。
備考1. 粗い表面の被印刷物の場合は,コート紙のような平滑な表面のものと比べて,よりスクリー
ン線数の粗いものを使用する必要がある。そうしないと,網点の再現に無理がかかり,トー
ンバリューインクリースが異常になる。
2. ブラック版用フィルムのスクリーン線数は,色版より細かいものを使用してもよい。
例 ブラック版用80cm−1,色版用60cm−1
3. 4.1.3の備考2.も参照。
4.1.3 スクリーン角度 スクリーン角度を規定する。試験方法は5.1の規定に,表示方法は附属書Aの規
定による。
備考1. 従来法では,ブラック版,シアン版,マゼンタ版用はスクリーン角度をそれぞれ30°ずつ変
え,イエロー版用はシアン版又はブラック版から15°変えるのが普通である。さらに,影響
力の強い色版用の主軸角度を45°とする。
2. コンピュータで網点を生成する場合は,線数と角度が色版ごとに微妙に変化することがある。
4.1.4 網点形状とトーンバリューとの関係 完全を期すには,網点階調全体にわたる網点形状とそれに対
応するトーンバリューとの関連を規定することが望ましい。そうでない場合は,中間調の網点形状(円形,
正方形,だ円形)を規定する。さらに,主軸のあるスクリーンの場合は,網点の連結が生じる点のトーン
バリュー(2点)を規定する。トーンバリューの試験方法は5.2の規定に,表示方法は附属書AのA.2に
よる。
4.1.5 画像サイズの許容差 1組の分解フィルムの中で,画像の対角線長の差が最大になる2枚の色分解
フィルムの画像の対角線の長さの差を,その対角線の長さとの比で表示する。その差を求めるには,色分
解フィルムの画像部の左上端を合わせておいて右下端の差を測って,対角線の長さとの比で表示する。
4.1.6 トーンバリューサム 画像の中で,無彩色で最も暗い部分のトーンバリューサムを規定する。更に,
ブラック版のトーンバリューを規定しておくとよい。トーンバリューの試験方法は5.2の規定に,表示方
法は附属書AのA.2による。
4.1.7 グレーバランス 1組の分解フィルムの中で,シアン版のトーンバリュー(通常50%)と,それに
グレーバランスすると想定するマゼンタ版及びイエロー版のトーンバリューを規定しておくとよい。その
他のシアンのトーンバリューと,それに対応するマゼンタ版及びイエロー版のトーンバリューを併記して
もよい。トーンバリューの試験方法は,5.2の規定に,表示方法は附属書AのA.2による。
備考 グレーバランスは,現実には,シアン,マゼンタ,イエローの印刷物のトーンバリューとそれ
ら色の重ね刷とで決まる問題である。これら問題は別に規定があるので,この4.1.7と重複する

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B 9620-1 : 2000 (ISO 12647-1: 1996)
ことになり,厳密な意味では必要がないといえる。しかし,実務上は本機刷と色校正システム
で色合せを行う色分解担当者にとっては有効な情報である。
4.2 印刷物に関する規定
4.2.1 印刷物の視覚特性
a) 被印刷物の色 CIELAB測色値 (L*, a*, b*) と許容色差(色差 : △E*ab)を規定する。表面仕上げが行
われる場合は,仕上げ後の状態について規定する。試験方法は5.6の規定に,表示方法は附属書Aの
A.6による。
b) 被印刷物の光沢 光沢値と許容誤差を規定すること。表面仕上げが行われる場合は,仕上げ後の状態
について規定する。試験方法は5.5の規定に,表示方法は附属書AのA.5による。
c) べた刷の色 1次色 (C, M, Y, K) のCIELAB測色値 (L*, a*, b*) 及び許容偏差,許容変動を規定するこ
と。さらに,2次色 (C+M, C+Y, M+Y, K+Y) のCIELAB測色値 (L*, a*, b*) を規定するか,又は後
刷インキのトラッピングに関する何らかの尺度を規定する。表面仕上げが行われる場合は、仕上げ後
の状態について規定する。べた刷の色は,厳密な意味では,次の8色を加えていう場合がある。
− C+K, M+K, Y+K
− C+M+Y, M+Y+K, C+M+K, C+Y+K
− C+M+Y+K
試験方法は5.6の規定に,表示方法は附属書AのA.6による。
備考1. ブラックとの重ね色は,“色”という点ではさほど重要ではないが,透明性を見るという点で
は非常に有効である。
2. 参考基準として,1次色の反射濃度を規定する場合もある。反射濃度の測定は,ISO 5-4の規
定に従って,ブラックバッキングで行うことが望ましい。表示方法は附属書AのA.7による。
3. 実務上,濃度値を使うことが多いが,測色値と合わない場合があることに注意する。
4. インキの透明性とトラッピングの状況が常に一定である場合に限り,刷順を規定する方が,2
次色を規定するより効果的である。
d) べた刷の光沢 光沢値と許容誤差を規定することが望ましい。試験方法は5.5の規定に,表示方法は
附属書AのA.5による。
4.2.2 トーンバリューの再現範囲 印刷面に明確かつ均一な網点として再現する色分解フィルムのトー
ンバリューの最小値と最大値を規定する。トーンバリューの試験方法は5.2の規定に,表示方法は附属書
AのA.2による。
4.2.3 見当ずれに関する許容差 色版相互間で最大のずれの大きさを3色版のスクリーン幅に対する比
で表示し,その許容量を規定する。
4.2.4 トーンバリューインクリース(ドットゲイン) プロセスカラーの各色について,階調フィルムの
0%と100%を除いて,印刷物を代表する少なくとも2か所のトーンバリューインクリースを示す。若しく
は表又はグラフを利用してトーンバリューインクリース関数で規定してもよい。図1にグラフの概略を示
す。さらに,許容偏差及び許容変動についても規定する。トーンバリューは,すべてコントロールパッチ
と関連づけることが必要である。そのため色校正にはコントロールパッチを必ずつける。本機刷にもつけ
ることが望ましい。
コントロールストリップには,網点面積率が正確なコントロールパッチ(表示値±1%)を含むこと。ま
た,コントロールパッチの網点の形状は円形とする。
トーンバリューインクリースの試験方法は5.4の規定に,表示方法は附属書AのA.3による。

――――― [JIS B 9620-1 pdf 8] ―――――

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B 9620-1 : 2000 (ISO 12647-1: 1996)
備考 紙に印刷が行われる場合は,トーンバリューインクリースとスクリーン線数との間には一定の
関係があるので,それさえ分かっていれば,コントロールストリップのスクリーン線数は,必
ずしも,印刷物と同じにする必要はない。ただし,その差はスクリーン線数の1/6以内のもの
が望ましい。
図1 トーンバリューインクリースのグラフ
5. 試験方法
5.1 スクリーン角度 まず,色分解フィルムを,最終ユーザーが印刷物を見る状態にしてライトテーブ
ル上に置く(これが正像の状態になる。)。スクリーンの主軸を決めて,基準の方向に対して反時計方向に
主軸との角度を測定する(図2参照)。主軸がない場合は,小さい方の角度をとる。同じことを,印刷物で
行ってもよい。表示方法は,附属書AのA.1による。
備考 スクリーン角度の測定方法については,従来から特に決まった方法がなく,上記の方法は,フ
ィルムの場合でも,印刷物の場合でも常に同じ結果が得られるという理由で採用された。
図2 スクリーン角度の測定
5.2 色分解フィルムのトーンバリュー ISO 5-2に適合する透過濃度計と幾何条件(0°/d又はd/0°)で,
フィルムベースの透過濃度 (D0) ,べた部分の透過濃度 (Ds) 及びトーンバリューを求めようとしている部
分の透過濃度 (Dt) を測定する。それらの測定値を3.40又は,3.41の定義式に代入して求める。

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B 9620-1 : 2000 (ISO 12647-1: 1996)
透過濃度計のサンプリングアパーチャーの径は,スクリーン幅の15倍より大きくすることが望ましく,
10倍以下になってはならない。アパーチャーが円形でなくても基本的には同じである。表示方法は,附属
書AのA.2による。
5.3 印刷物のトーンバリュー
5.3.1 濃度計を使用してトーンバリューを求める方法 ISO 5-4の規定に従って,試料印刷物をブラック
バッキングの上に置く。測定しようとしている色に対応するフィルターチャンネルを選定し,白紙の濃度
(D0) ,べた部分の濃度 (Ds) 及びトーンバリューを求めようとしている部分の濃度 (Dt) を測定する。ブラ
ック版については,“ISO visual(ISO 5-3参照)”フィルターのチャンネルにして,同様な測定を行う。そ
れらの測定値を3.39の定義式に代入して求める。
反射濃度計のサンプリングアパーチャーの径は,スクリーン幅の15倍より大きくすることが望ましく,
10倍未満になってはならない。アパーチャーが円形でなくても基本的には同じである。表示方法は,附属
書AのA.3による。
備考 トーンバリューの測定結果は,測定器によって若干異なる。特に,イエローパッチの場合は,
偏光フィルターありのナローバンドフィルターを採用した濃度計と偏光フィルターなしのワイ
ドバンドフィルターを採用した濃度計では2%程度の差が出ることがある。
5.3.2 測色計を使用してトーンバリューを求める方法 0/45又は45/0,D50又はD65,CIE 2°視野の条件
で三刺激値 (X, Y, Z) を測定し,次の式によって求める。
シアンのトーンバリュー;A (%) =100% (X0−Xt) / (X0−Xs)
マゼンタ,ブラックのトーンバリュー;A (%) =100% (Y0−Yt) / (Y0−Ys)
イエローのトーンバリュー;A (%) =100% (Z0−Zt) / (Z0−Zs)
ここに, 添え字0は印刷されていない被印刷物。
添え字tは求めようとする階調部分。
添え字sはべた刷部分。
測色計のサンプリングアパーチャーの径は,スクリーン幅の15倍以上大きくすることが望ましく,10
倍未満であってはならない。アパーチャーが円形でなくても基本的には同じである。表示方法は,附属書
AのA.3による。
5.4 印刷物のトーンバリューインクリース 印刷物のトーンバリュー(5.3参照)から,それに対応する
階調部分の色分解フィルムのトーンバリュー(5.2参照)を引き算して求める。表示方法は,附属書Aの
A.3による。
5.5 光沢 被印刷物及び印刷物の鏡面光沢を測定する。入射角は,被印刷物及び印刷物の光沢のレベル
に応じて適当に設定する。具体的な方法については,この規格の他のシリーズで規定する。表示方法は,
附属書AのA.5による
5.6 分光測光及びCIELAB測色値,CIELAB色差の計算 ISO 13655に規定する幾何条件(0/45又は45/0)
のスペクトルフォトメーター,及びISO 5-4で規定されたブラックバッキングを使用して測色を行う。三
刺激値の計算は,D50, 2°視野 (CIE 1931) で行う。三刺激値からのCIELAB測色値 (L*,a*,b*) ,CIELAB
色差 (△E*ab) の計算は,ISO 13655の規定による。スペクトルフォトメーターの代わりに色彩計を使う場
合は,精度がISO 12647で規定した許容誤差の範囲以内のものを使用する。表示方法は,附属書AのA.6
による。

――――― [JIS B 9620-1 pdf 10] ―――――

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  • ISO 12647-1:1996(IDT)

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