JIS B 9622:2000 印刷技術―反射濃度及び測色データの工程管理並びに画像評価への応用 | ページ 2

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B 9622 : 2000 (ISO 13656 : 2000)
A (%) =100−100 [1−10- (Dt-Do) ] / [1−10- (Ds-Do) ]
ここに, Do : クリア部分の透過濃度
Ds : ベタ部分の透過濃度
Dt : 網点部の透過濃度
参考 フィルム焼き付け網点面積ともいう (JIS B 9620-1)。
印刷物のトーンバリューとそれに対応する網点
ah) トーンバリューインクリース (tone value increase)
フィルム又はデジタル電子ファイルのトーンバリューとの差。単位 : 百分率 (JIS B 9620-1)
参考 同意語としての“ドットゲイン”は,網点パターンの場合だけに使用する。
4. 規定 色再現では,予測どおりの結果を得るために調整しなければならない変動要因が数多くある。
一つの被印刷物に対する最も重要な変動要因は,各色プロセスインキ及びそれらのベタとの重刷り色,ス
ラー,ダブリ及びトーンバリューである。4.1は工程管理を確立していない生産現場に対しては,印刷に必
要なコントロールパッチ,すなわち,最低限これだけは必要とされるパッチ類とそれらのトーンバリュー
の許容差を規定している。予想される工程の変動に対して合理的な確信をもって対処している作業者には,
この変動を調整するのに最も適当と思われるパッチ類を適宜選択して補助セットを活用することを薦める。
4.1では,さらに,コントロールパッチを作るためのフィルムコントロールストリップについて規定して
いる。4.2,4.3及び4.4の測定手順,及びデータ記録の規定は,フィルムから作ったか,CTP(コンピュー
タツープレート)又は機上製版によるものかには関係なくこれらのコントロールパッチについて行う測定
に適用する。
4.1 コントロールストリップ
4.1.1 フィルム品質 コア濃度,フリンジ幅,ベース濃度などのコントロールストリップフィルムに関す
る品質パラメータは,JIS B 9620の第1部及び第2部の規定に適合しなければならない。
4.1.2 最低限必要なコントロールパッチの構成 コントロールストリップは,ダブリ/スラーパッチとと
もに一次色,二次色,三次色,すなわち,K,C,M,Y, (C+M), (C+Y), (M+Y), (C+M+Y) の
ベタパッチを含む。さらに,トーンバリューが正確に分かっているK,C,M,Yの少なくとも3段階の網
点パッチを含み,それぞれの公称トーンバリューを表示する。3段階のトーンバリューは,それぞれ20
30%,4050%及び7080%の範囲にある。また,さらに,トーンバリューが正確に分かっている中間調
バランス測定用のパッチと被印刷物自体を測定するための余白をコントロールストリップの中又は付近に
設ける。コントロールストリップは,印刷物の幅全体にわたって繰返し並べて配置する形で使用すること
が望ましい。
コトロールパッチに使用する網点形状はラウンドとし,スクリーン線数は印刷物のスクリーン線数に対
して10cm-1以内の差のものが望ましい。網点パッチのトーンバリューは,中間調コントロール用のものを
含めて,公称表示の1%以内の差とする。
参考1. ポジとネガの両方のパターンが入ったコントロールストリップには,各々10%未満及び90%
超のトーンバリューで幾つかの段階の網点パッチを加えることが望ましい。
2. コントロールパッチに使用する網点形状はラウンドを規定しているが,印刷物はラウンド,
スクェア,チェーンなどの網点の使用も可能である。しかし,印刷物間,印刷機間又は会社
間での工程管理のチェックには規定の網点形状,すなわち,ラウンドドットで行えるように
しておく。

――――― [JIS B 9622 pdf 6] ―――――

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B 9622 : 2000 (ISO 13656 : 2000)
4.2 測定に際しての準備 計測器の測定ヘッドとサンプリングアパーチャが清浄なことを確認する。ウ
ォームアップが必要な場合は,メーカの薦めるウォームアップ時間を経過した後で,メーカの取扱説明書
に従って完全拡散反射体との校正を行い,測定できる状態にする。
測定用のサンプルが表面にしわがなく平らであることを確かめてから,ISO 5-4及びISO 13655で規定
した平らなブラックパッキング(すなわち,分光特性がフラットでISO視感濃度が約1.5の拡散面)の上
に置く。サンプリングアパーチャはISO 5-4の規定にあるように,照射面積より小さいことが望ましいが,
これをコントロールパッチ又は測定試料の中心部にセットする。計測器の基準位置と試料が同一面にある
ことを確かめる。
網点計測のためのサンプリングアパーチャの径は,スクリーン幅の15倍以上大きいことが望ましく,10
倍未満になってはならない。非周期性スクリーンの場合は,アパーチャの径は4mm未満にならないもの
とする。また,30 ‰歛地 上であることが望ましい。アパーチャが円形でない
場合は,上で規定した円形アパーチャの面積より小さくならないものとする。
参考 アパーチャが推奨値以下の場合は,測定点数を多くして平均をとることが望ましい。
4.3 反射濃度測定及び測定値
4.3.1 測定器の仕様 濃度計は,ISO 14981の規定に適合しなければならない。
4.3.2 測定データの記録 濃度データには,測定条件を付記する。その記録は,この規格に適合するほか,
次のパラメータを含む。
− 濃度計のメーカ名及び型式
− カラーチャンネル[K,C,M,Y又はピーク波長(単位 : nm)]
− 分光感度特性は,(ISO 5-3で規定する)ISOステータスI,T,E,又は(DIN 16536-1で規定する)
DIN I,DIN Eのいずれか一方
− 偏光フィルタの有無
− バッキング(ブラックバッキング以外の場合)
− サンプリングアパーチャ(単位 : mm)
− 相対濃度(被印刷物面の濃度を零にする)又は絶対濃度の区別,ただし,濃度差の場合には不要
− 標準複合精度 (Combined standard uncertainty : ISO 15790)
4.4 測色
4.4.1 計測器の仕様 測色計,計測条件及び測色値の計算方法は,ISO 13655の規定に適合しなければな
らない。三刺激値直読式測色計を使用する場合,計測条件(バッキング,照射受光の幾何学的条件など)
は,ISO 13655に適合しなければならない。
参考 測色計によっては,分光データから計算した濃度値を表示するものもある。これらの中には偏
光フィルタを装着できるものもあるが,測色にはこうしたフィルタの使用は薦められない。
4.4.2 測定データの記録 色彩値 (color co-ordinate) の記録は,ISO 13655の規定に従って行い,使用し
た条件を計画に付記する。その記録は,ISO 13655の規定に適合していることを明示するほか,次のパラ
メータを含む。
− 測色計メーカ名及び型式(三刺激値直読式の場合はその旨を記入する)
− バッキング(ブラックバッキング以外の)
− サンプリングアパーチャ (mm)
− 標準複合精度 (Combined standard uncertainty : ISO 15790)

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B 9622 : 2000 (ISO 13656 : 2000)
5. 試験方法 反射率テータから求められるパラメータで,工程管理上最も有効と考えられるものについ
て記述する。パラメータに異なる定義方法がある場合には,最初の定義を優先する。したがって,情報交
換を図るためには最初の定義の使用を推奨する。この規格で定義づけしていないものでも,一般に利用さ
れているパラメータがある。それらは,例えば,ヒューエラー,グレイネス,プリントコントラスト及び
“ユール/ニールセン (Yule-Nielsen)”の網点面積といったものであるが,それらは特定の用途では有効で
あっても,広く一般の情報交換には推奨できないので,この規格には含めなかった。
同様に,Xo,Yo,Zoを被印刷物の反射率として規定したり,又は三刺激値とした上で定義されるlog (Xo/X) ;
log (Yo/Y) ; log (Zo/Z) などの測色濃度も,そのもとになっているスペクトル積がこの規格のどの規定にも適
合していないので排除している。
5.で規定しているパラメータの多くは,工程管理には有効であるが印刷物の見え方のパラメータには適
さない。特に濃度測定をベースにしているものは,その傾向がある。これらは,印刷作業の管理及び校正
刷りと本機刷りの差を明確にしたり,印刷物の変動を知るのに有効なパラメータである。さらに,ゴース
トなどの印刷現象の評価に使用するものも含めている。5.の幾つかのパラメータは測色関連のものもある
が,大半のものは濃度測定がベースになっている。
色の評価及びマッチングが主な要件となっているところでは,同種の顔料が前提にある場合を除けば,
カラーマッチングの際に濃度測定を利用することは妥当でない。測色はもっと一般的な状況のなかで必要
とされる。印刷分野では色空間としてCIELAB色空間をISO 13655で規定しており,そこでの主要なパラ
メータは明度,クロマ,色相角及び色差である。測定サンプルの色の見え方には,明度・クロマ・色相角
のほうが,明度・a*・b*より有効な概念である。カラーマッチングでは,例えば,ニュートラルカラーの
場合のように明度よりクロマがどれだけ小さいかが問題になるように,明度,クロマ及び色相の面から取
り組むことを求められることもあるが,通常は標準とする色に対して最も小さい色差を示すサンプルを求
める方法がとられる。
5.1 OKシートと校正刷りにおけるベタ色の偏差 プロセスカラー各色について,絵柄とともに印刷さ
れているコントロールストリップのベタパッチの三刺激値を測定する。OKシートと校正刷りのそれぞれ
対応する部分のCIELABEab*を計算し,その結果をISO 12647の該当する許容差の規定と照合する。コン
トロールストリップが印刷されていない場合は,印刷画像の中のベタ部分を測色する。
5.2 プロセスカラーのベタの濃度及び相対濃度 測色しようとするプロセスカラーのサンプルについて,
最も高い濃度値を示すカラーチャンネルを選択する。ベタ色濃度値と被印刷物の白紙部分の濃度を測定す
る。濃度は,ベタ部分を測って得た濃度をそのまま記録する。相対濃度は,次の式で算出する。
Dr=Ds−Do
ここに, Dr : 相対濃度
Ds : ベタ濃度
Do : 被印刷物の白紙部分の濃度
5.3 印刷物のトーンバリュー 測色しようとするプロセスカラーのサンプルについて,最も高い濃度値
を示すカラーチャンネルをセットする。被印刷物の濃度測定には同じカラーチャンネルを使用する。近接
した場所の被印刷物の白紙部分,ベタ及びフィルムのトーンバリューが明確になっている網点部分の濃度
を測定する。直接トーンバリューを表示しない濃度計の場合は,3.ae)の式を使用して換算する。
参考1. トーンバリュー(網点面積)は,計測器の条件によって若干数値が異なる。特に,イエロー
では偏光フィルタなしの広帯域フィルタの場合と偏光フィルタを付けた狭帯域フィルタの場
合とでは差が2%になることがある。

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2. トーンバリューインクリースは,印刷物のトーンバリューから対応するコントロールストリ
ップフィルム又はデジタルファイルのトーンバリューを差し引いて求める。階調全体にわた
るトーンバリューインクリース曲線は,フィルム又はデジタルファイルのコントロールスト
リップにおける最少3段階のトーンバリューインクリースが分かれば求められるが,できれ
ば1090%の範囲で10%間隔のステップから求めることが望ましい。フィルム又はデジタル
ファイルのトーンバリューに対する差をプロットし,それらの各点を滑らかに結ぶ。それが
トーンバリューインクリース関数を図で表したものとなるが,これはドットゲイン関数とし
ても知られている。
5.4 見かけのインキトラッピング ベタの重刷りとその先刷り単色ベタ及び後刷り単色ベタがある中で,
後刷りの単色ベタに対して最も高い濃度値を示すカラーチャンネルをセットし,次のプリューシル
(Preucil) の式からIpを求める。
Ip= (D0−D1) /D2
ここに, Ip : 濃度測定から求めたインキトラッピング
D0 : 重刷りのベタ濃度
D1 : 先刷りの単色ベタ濃度
D2 : 後刷りの単色ベタ濃度
参考1. プリューシルの式から求めた見かけのトラッピング%は,後刷りインキの先刷りインキへの
トラッピングの絶対量の百分率を示すものではない。ここで得られる値は,刷り順によって
も異なってくる。仮に,刷り順によってトラッピング量が変わらないとしても見かけのトラ
ッピングは,インキの不透明度の差によっても異なってくるし,さらに,問題なのはカラー
チャンネルをどう選択するかによっても異なることである。上の手順によれば刷り順によっ
てカラーチャンネルを変えることになるので,それ自体ですでに異なる結果になることは明
らかである。
2. 真のトラッピングIg(質量%)は,附属書1に記述してあるように重量法で求めることがで
きる。重刷りを顕微鏡で観察したり画像解析技術によって,被印刷物上のインキ又は互いの
インキの着肉状態について,見かけのインキトラッピングからでは得られない情報を知るこ
とができる。
3. 見かけのインキトラッピングは,工程管理の手段として本機刷り中のトラッピング状態の変
動を監視するのに使用できる。
4. プリューシルの式は,特によく知られているが,そのほかにも多くの式が提案されている。
大半がプリューシルの式を変形したものであるが,より実態に合うように調整するパラメー
タを含んでいる。しかし,いずれも参考1.で述べた欠陥からは逃れられない。
5. 偏向フィルタ付き濃度計と狭帯域フィルタで測定したIPは,他の条件で求めたものよりIG(重
量法で求めた真のインキトラッピング)に近い値を示す。
5.5 ダブリとスラー 測色しようとするプロセスカラーのサンプルについて最も高い濃度値を示すカラ
ーチャンネルをセットする。ダブリ/スラーコントロールパッチの中にあるそれぞれの方向の異なる線ス
クリーンパターンの濃度を測定する。方向による反射濃度の差がダブリ/スラーの現象を示す相対的な尺
度になる。

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5.6 一枚の印刷物における上の色の変動 印刷機では,左右方向で均一なインキングになるように制御
することが必要であるとともに,左右方向又は印刷方向におけるインキングの変動の状態を知ることも有
益なことが多い。例えば,オフセット印刷におけるメカニカルゴースト現象又はその他の印刷トラブル(又
は欠陥)を定量的に把握するために有効である。濃度測定は,こうしたインキングの変動を敏感にとらえ
ることができるので必す(須)の方法とする。
しかし,原因よりも影響を見るためには,ベタ色又は重刷りの階調色の変動を測定することが必要にな
る場合もある。このようなときには,色の違いを正確に知る必要があるので測色が必ず条件になる。
5.6.1 濃度測定 最も高い濃度値を示すカラーチャンネルをセットする。単色ベタの濃度を測定し,次の
式の計算量を求める。
100 [Dmax/Dmin−1]
ここに, Dmax : 印刷物の単色ベタ濃度の最大値
Dmin : 印刷物の単色ベタ濃度の最小値
変動値は,百分率で記録する。
5.6.2 測色 印刷物の左右方向にある同一の網点構成のパッチ(例 : “K12C60M45Y100”,“K100%”,“バ
ランスパッチC75M70Y70”)間のCIELAB色差(Eab*)を求める。測定した網点構成と位置をその色差
と一緒に記録する。
5.7 本機刷り一連の通しの中のベタ色の変動 一連の通しの中から,本機刷りを代表すると思われるサ
ンプルを少なくとも15枚取り出す。15万部を超える場合は,それに比例した枚数を追加する。印刷物の
絵柄と同じ印刷方向に印刷されているコントロールストリップ中のベタパッチについて測色を行い,その
結果をISO 12647の該当する許容色差の規定と比較する。
5.7.1 測色(正) 本刷りの中から抜き取ったサンプルについてCIELAB値 (L*,a*,b*) を測定し,そ
の平均値に対する差L*,a*,b*を計算する。L*,a*,b*の平均とそれぞれの標準偏差を計算す
る。95%信頼限界(すなわち,95%のサンプルが存在する範囲)を標準偏差に1.96を掛けて求める。最後
にそれぞれの平均値からCIELAB色差と信頼範囲を計算する。平均値から求めた色差は,本刷りの色偏差
の中心値とOKシートとの差を示し,信頼範囲から求めた色差は,一連の本刷りの中の変動を示す。
5.7.2 濃度測定(副) 測色しようとする色について,最も高い濃度値を示すカラーチャンネルをセット
する。個々のサンプルと対応する本機刷り部分の平均値との差を求める。それぞれの位置の統計量として
の“平均値”と“標準偏差”を計算する。これは,その位置におけるベタ色の変動の方向と広がりの程度
の指標となる。その他の位置についても同様な操作を繰り返す。

――――― [JIS B 9622 pdf 10] ―――――

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JIS B 9622:2000の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 13656:2000(IDT)

JIS B 9622:2000の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 9622:2000の関連規格と引用規格一覧