JIS B 9650-2:2011 食料品加工機械の安全及び衛生に関する設計基準通則―第2部:衛生設計基準 | ページ 2

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意図した衛生上の要件を満たす表面粗さをもつ状態。
3.18
耐久性(durable)
表面及び構造が,意図した使用期間及び使用条件に対して意図する機能が維持できる性能。
3.19
自己排出(self draining)
液体の滞留を防ぐことができる構造,設置方法,形状及び表面仕上げ。
3.20
隙間(crevice)
ひび,裂け目,構造上の空隙など。
3.21
デッドスペース(dead space)
食料品,洗浄剤,消毒剤,汚染物などの滞留,又はそれらを通常の洗浄・清掃作業によって完全に取り
除くことが困難な箇所。
3.22
ボンド(bond)
材料,部品などを接合する接着剤。
3.23
シール(seal)
外部及び内部からの物質の侵入及び通過を有効に防ぐように,開口部を封じる処置。
3.24
汚染物質(contaminant)
食料品の安全性又は適切性2) を危うくするような,意図せず加えられたあらゆる物質。
なお,ここでいう“あらゆる物質”とは,4.1に規定する生物的原因,化学的原因,物理的原因に分類さ
れる物質を指す。
注2) “適切性”の定義は,Codex Alimentarius, Basic Texts on Food Hygiene−Third Editionが規定する
“Food Suitability”を参照。
3.25
汚れ(soil)
機械類の表面に付着した食品残さなど,その場所に全く必要としない物質。
3.26
有害小動物(pest, vermin)
食料品の品質に有害な影響を与え得る小動物[哺乳類,鳥類,は(爬)虫類及び昆虫を含む。]。
3.27
洗浄・清掃(cleaning)
汚れを意図するレベルにまで除去する行為。
3.28
定置洗浄,CIP(cleaning in place)
分解することなく,特別に設けた閉鎖系を用いて機械・装置を洗浄する方法。

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3.29
洗浄・清掃しやすい(cleanable)
推奨される洗浄・清掃方法によって,汚れが容易に除去できること。
3.30
容易に分解可能(readily removable)
手又は簡単な工具を用いて,機械・装置の分離・分解が可能なこと。
3.31
アクセス可能(accessible)
簡単な工具を用いて,目的とする箇所を容易に露出させることが可能で,作業者が作業区域から目視に
よる確認及び触れることができること。
3.32
容易にアクセス可能(readily accessible)
工具を使用しないで,目的とする箇所を容易に露出することが可能で,作業者が作業区域から目視によ
る確認及び触れることが容易にできること。

4 重大な危険源のリスト

4.1 一般

  衛生面の危険源を生じさせる原因のカテゴリには,生物的原因,化学的原因及び物理的原因がある。こ
の規格では,これら三つの原因に由来する重大な危険源を次に示す(附属書B参照)。

4.2 構成材料から生じる危険源

4.2.1  材質(一般)
食料品加工機械を構成する材質が,意図した用途に対し不適切である場合,使用期間中に腐食,割れ,
破損,摩耗,表面剥離,ピンホール,隙間,毒性物質の溶出,材料由来による汚染,物質の吸収・収着3),
意図した用途に不適切な耐熱性,耐薬品性などの原因によって,食料品が汚染されるおそれがある。また,
規格範囲外の材質,及び材料由来の汚染も食料品を汚染するおそれがある。
注3) 収着(sorption)とは,気体分子及び溶質が固体表面に存在する微細なくぼ(窪)み又は細孔内
に吸着と吸収とが同時に起こる現象をいう。
4.2.2 食品接触部の構成材料(金属材料,非金属材料を含む)
構成材料の破損は,異物混入などの物理的危害だけでなく,食料品,洗浄剤などを捕捉することがある。
捕捉された食料品の腐敗又は捕捉された洗浄剤などは,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそ
れがある。また,人の健康を損なうおそれのある成分の溶出及び食料品成分の吸収・収着するような材質
は,化学的危害を引き起こすおそれがある。

4.3 食品接触部の設計・製造から生じる危険源

4.3.1  表面形状
僅かな隙間,割れ目,ピンホール,不適切な表面粗さなどは,食料品,洗浄剤,微生物などの残留,及
び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き
起こすおそれがある。食料品及び洗浄剤などを周囲へ飛散,付着させる表面形状は,同様の生物的・化学
的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.2 洗浄・清掃性
意図するレベルにまで洗浄・清掃しにくい,又は清浄度の確認しにくい構造は,食料品,洗浄剤,微生

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物などが残留,及び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物
理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.3 消毒性,殺菌性及び滅菌性
意図するレベルにまで消毒,殺菌及び滅菌しにくい構造は,想定以上の微生物が残留する可能性がある。
これらの事象は,微生物の増殖及び食料品への混入によって生物的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.4 無菌プロセスでの微生物の侵入
特に無菌食料品を製造する食料品加工機械の場合,外部環境から食品接触部への微生物侵入を確実に防
止できない構造は,微生物の侵入によって生物的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.5 排出性
排出を意図しているにもかかわらず十分に廃液が排出されない構造は,廃液が残留,及び残留した廃液
の腐敗が生じる可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがあ
る。
4.3.6 デッドスペース
デッドスペースは,洗浄及び殺菌が十分に行えず,食料品,洗浄剤,微生物などが残留,及び残留した
食料品の腐敗が生じる可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそ
れがある。
4.3.7 接合部
不適切な接合部は,洗浄・清掃及び殺菌が十分に行えず,食料品,洗浄剤,微生物などが残留,及び残
留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こ
すおそれがある。
4.3.8 すみ肉・内角・溝
不適切なすみ肉・内角・溝は,洗浄・清掃及び殺菌が十分に行えず,食料品,洗浄剤,微生物などが残
留及び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を
引き起こすおそれがある。
4.3.9 ガスケット(シール・Oリング・ジョイントリングなど)
意図した用途に対し不適切なガスケットの使用は,成分の溶出,食料品成分の吸収・収着又は食料品,
洗浄剤,微生物などが残留,及び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。また,ガスケットのエラ
ストマは,過剰な圧縮による破損,不十分な圧縮による食料品の侵入などの可能性がある。これらの事象
は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.10 ベルト(コンベア)
意図した用途に対し不適切なベルトの使用は,食料品,洗浄剤,微生物などが残留,及び残留した食料
品の腐敗,食料品成分の吸収,ベルト材のほつれが生じる可能性がある。これらの事象は,生物的・化学
的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.11 ファスナ(ねじなどのボルト,リベットなどの締付け具,及び締結部)
ファスナの隙間は,洗浄・清掃しにくく,食料品,洗浄剤,微生物などが残留,及び残留した食料品の
腐敗が生じる可能性がある。また,ファスナは,緩みによって脱落する可能性がある。これらの事象は,
生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.12 連続移送時の阻害
食料品が連続移送される場所のスプリング,開口部などの可動部は,食料品の移送を阻害し,食料品,
洗浄剤,微生物などが残留,及び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。これらの事象は,生物的・

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化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.13 シャフト及びベアリング
食料品が侵入したシャフトの継ぎ目,ベアリングを洗浄・清掃するために容易に接近できない構造は,
食料品,洗浄剤,微生物などが残留,及び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。また,ベアリン
グ部の構造が使用に不適切な場合,又はシールが不適切な場合は,潤滑油が漏れる可能性がある。これら
の事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.14 センサの構造及び取付部
温度,圧力などを計測するセンサ取付部は,食料品,洗浄剤,微生物などが滞留,及び残留した食料品
の腐敗が生じる可能性がある。また,不適切なセンサの構造は,センサ内部から物質が漏れる可能性があ
る。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.15 結合部
パイプ,部品,可動部などの結合部は,食料品,洗浄剤,微生物などが残留,及び残留した食料品の腐
敗が生じる可能性がある。また,これらの結合部は,部品の脱落,シール材の破損などが生じる可能性が
ある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.16 開口部,カバー及びドア
洗浄・清掃時に容易に接近できない構造の開口部,カバー及びドアは,食料品,洗浄剤,微生物などが
残留及び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。また,これらの部位の不適切な構造は破損する可
能性がある。これらの事象は,生物的・化学的な危害を,及び構造の破損は物理的な危害を引き起こすお
それがある。
4.3.17 のぞき窓
食品接触部の洗浄・清掃しにくいのぞき窓は,食料品,洗浄剤,微生物などが残留及び残留した食料品
の腐敗が生じる可能性がある。また,不適切な構造ののぞき窓は,破損する可能性がある。これらの事象
は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.18 ボタン,レバーなどのアクチュエータ
食料品加工中に作業者が触れる洗浄・清掃しにくいアクチュエータ4) は,食料品及び洗浄剤の残留,及
び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。また,不適切な構造のアクチュエータは破損する可能性
がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
注4) アクチュエータとは,ここでは押しボタン,レバーなどの手動制御器を指す(JIS B 9700-1参
照)。
4.3.19 定置洗浄(CIP)
CIPによる洗浄を行う箇所のデッドスペース,シール不良及び洗浄水が完全に排水できない不適切な構
造などは,食料品及び洗浄剤が残留及び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。また,不適切なシ
ールは,シール材が破損する可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こ
すおそれがある。
4.3.20 ヒンジ
ヒンジ部の隙間は,洗浄・清掃しにくく,食料品及び洗浄剤が残留,及び残留した食料品の腐敗が生じ
る可能性がある。また,不適切な構造のヒンジは破損する可能性がある。これらの事象は,生物的・化学
的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.21 交換部品(フィルタなど)
フィルタなど定期的に交換が必要な部品は,機能劣化,破損及び取付不良によって,食料品,洗浄剤の

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残留及び残留した食料品の腐敗が生じる可能性がある。また,使用に不適切な材質は構成成分が溶出する
可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.3.22 食料品加工時に接触する気体,液体の関連機器
食料品のかくはん及び食料品への添加に使用される気体・液体を扱う関連機器の不適切な構造は,破損
及び取付不良による不具合が発生する可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を
引き起こすおそれがある。

4.4 食品飛散部の設計・製造から生じる危険源

  材質,表面形状及び各種構造については,4.2に規定する危険源,危険事象がある。

4.5 食品非接触部の設計・製造から生じる危険源

4.5.1  一般構造
洗浄・清掃又は清浄度の確認しにくい構造は,汚れ,汚染物質,洗浄剤などの吸収・収着,残留,滞留,
堆積及び有害小動物の発生又は侵入の可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を
引き起こすおそれがある。
4.5.2 ファスナ(ねじなど)
ファスナの隙間は,洗浄・清掃しにくく,食料品及び洗浄剤などが残留及び滞留する可能性がある。ま
た,ファスナが脱落する可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすお
それがある。
4.5.3 容器などの縁の折返し部[リム(rim)]
洗浄・清掃が困難な容器などの縁の折返し部は,飛散などによって侵入した食料品,洗浄剤が残留する
可能性及び有害小動物が侵入する可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き
起こすおそれがある。
4.5.4 補強部[リブ(rib,reinforcing)]
洗浄・清掃が困難な機械の補強部は,食料品及び洗浄剤などが残留する可能性,及び有害小動物が侵入
する可能性などがある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.5.5 照明器具,ガラス部品など
食料品加工機械に設ける照明器具,計器,その他のガラス部品などは,破損によって破片が散乱する可
能性がある。これらの事象は,物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.5.6 モータ,駆動部及びエンクロージャ
モータ,駆動部及びエンクロージャは,じんあい(塵埃)の堆積及び腐敗,有害小動物の侵入,塗装の
剥がれ,潤滑油漏えいなどが生じる可能性がある。これらの事象は,生物的・化学的・物理的な危害を引
き起こすおそれがある。
4.5.7 生産ライン上のステップ・ステージ
食料品加工機械には,作業者が昇降するためのステップ・ステージを設備上に備えているものがある。
このステップ・ステージ又は昇降する作業者から,じんあいなどが食品接触部へ落下する可能性がある。
これらの事象は,生物的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.5.8 キャスタ
洗浄・清掃が容易にできない構造のキャスタにはじんあいが堆積し,腐敗する可能性がある。これらの
事象は,生物的・物理的な危害を引き起こすおそれがある。
4.5.9 警告表示などの表示ラベル
用途に対して不適切な材質によって作成した警告表示などの表示ラベルは,熱,紫外線,洗浄剤などの

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