JIS B 9955:2017 機械製品の信頼性に関する一般原則 | ページ 2

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それを超えると,機械製品又は機械要素が使用性に関する要求事項を満足できなくなる限界状態。
2.2.12
過負荷破損(overload failure)
それ以前の負荷履歴によらず,荷重がひとたび限界を超過することで生じる破損。基準期間の長短は,
荷重の特性値の形で間接的に影響を及ぼす。
例 延性破断,ぜい(脆)性破断
2.2.13
累積破損(cumulative failure)
荷重の負荷履歴に依存して損傷が累積し,累積値が限界を超えることで生じる破損。基準期間の長短は
累積する損傷に直接的な影響を及ぼす。
例 疲労,クリープ,クリープ疲労
2.2.14
構造ロバスト性(structural robustness)
火災,爆発,衝撃,人的ミスの結果などによって,機械製品がその本来の機能を損なうような被害を受
けない能力。
2.2.15
設計供用期間(design service life)
大きな補修を必要とせずに,当初の目的のために機械製品又は機械要素を使用できると仮定した期間。
2.2.16
維持管理(maintenance)
信頼性に関する要求事項を達成するために機械製品の設計供用期間中に実施する作業の総称。
2.2.17
基本変数(basic variable)
荷重,環境的影響,材料特性,又は幾何学量に対応する物理量を表すある特定の変数群。
2.2.18
限界状態関数(limit state function)
基本変数の関数gで,g(X1, X2, ···, Xn)=0によって限界状態を記述するもの。g>0は望ましい状態で,g
≦0は望ましくない状態を示す。
2.2.19
信頼性指標(reliability index)
信頼性を表す指標で,β=−Φ−1(Pf)で定義される。ただし,Φ−1は標準正規分布関数の逆関数である。
2.2.20
部分係数(partial factors)
信頼性指標と,基本変数の特性値及び不確かさとに応じて定まる係数。
2.2.21
要素信頼性(element reliability)
単一の支配的な破損モードをもつ1部材の信頼性。
2.2.22
システム信頼性(system reliability)
複数の関連する破損モードをもつ1部材の信頼性,又は複数の関連する部材からなるシステムの信頼性。

――――― [JIS B 9955 pdf 6] ―――――

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2.2.23
モデル(model)
荷重,材料特性及び機械製品の挙動を模擬するもので,簡略化された数学的記述又は実験機構。
注記 モデルは,一般的に支配的な要因を考慮しなければならず,重要でないものは無視する。
2.2.24
モデルの不確かさ(model uncertainty)
モデルの精度に関するもので,物理的なもの及び統計的なものがある。
注記 附属書D及び附属書E参照。
2.2.25
統計的不確かさ(statistical uncertainty)
分布及びパラメータ推定の精度に関わる不確かさ。
2.2.26
特性値(characteristic value)
限界状態の照査に用いられる荷重,材料特性,幾何学量などの数値。
注記 望ましくない方向への所定の非超過確率をもつように統計的に定めるか,過去の経験,又は物
理的制限によって選ぶ値。
2.2.27
設計値(design value)
部分係数を荷重,材料特性,幾何学量などの特性値に乗じる,又は除することによって得られる値。

2.3 荷重及び環境的影響に関する用語

2.3.1
持続荷重(persistent load)
与えられた基準期間の全期間又は大半にわたって負荷される荷重。
2.3.2
過渡荷重(transient load)
与えられた基準期間内に負荷されることがほぼ確実であるが,負荷を受ける期間は基準期間と比較して
短期間となる一時的な荷重。
2.3.3
偶発荷重(accidental load)
与えられた基準期間内ではほとんど生じないが,負荷された場合には大きな値となる例外的な荷重。
注記 偶発荷重は多くの場合,負荷されたとしても短時間の負荷である。
2.3.4
静的荷重(static load)
機械製品又は機械要素に有意な加速度を生じさせない荷重。
2.3.5
動的荷重(dynamic load)
機械製品又は機械要素に有意な加速度を生じさせる荷重。
2.3.6
一般荷重(general load)
a) 与えられた基準期間を通して絶えず作用すると予想される荷重で,その時間的変動が平均値に比較し

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て小さいもの。
b) その変動が僅かであり,かつ,限界値をもつ荷重。
2.3.7
ランダム荷重(variable action)
その大きさの時間的変動が平均値に比べて無視できず,かつ,単調変化をしない荷重。
2.3.8
固定荷重(fixed load)
機械製品に対して固定した分布をもつ荷重。すなわち,機械製品のある点で値が決められれば,その大
きさ及び方向が機械製品全体に対しても明確に定まる荷重。
2.3.9
自由荷重(free load)
機械製品全体にわたって,ある制限内で任意の空間分布をとることができる荷重。
2.3.10
有界荷重(bounded load)
正確に,又はおおむね分かっている限界値をもち,それを超えることができない荷重。
2.3.11
非有界荷重(unbounded load)
既知の限界値をもたない荷重。
2.3.12
荷重の特性値(characteristic value of a load)
限界状態の照査に用いられる数値。
注記 望ましくない方向への所定の非超過確率をもつように統計的に定められるか,過去の経験,又
は物理的制限によって選ばれる値。
2.3.13
荷重の設計値(design value of a load)
部分係数を特性値に乗じることによって得られる値。
2.3.14
荷重効果(load effect)
荷重によって機械製品に生じる効果。例えば,地震荷重によって生じる応力。
2.3.15
環境的影響(environmental influence)
機械製品を構成する材料の劣化を引き起し,そのため機械製品の使用性又は安全性を損なうおそれのあ
る力学的,物理的,化学的又は生物的影響。

2.4 材料特性及び幾何学量に関する用語

2.4.1
材料特性の特性値(characteristic value of a material property)
関連する規定に従って生産・供給される,材料特性の統計分布から,望ましくない方向への所定の非超
過確率をもつように定めた値。
2.4.2
材料特性の設計値(design value of a material property)

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特性値を部分係数で除した値,又は特殊な場合には直接評価する値。
2.4.3
幾何学量の特性値(characteristic values of a geometrical quantity)
設計者が指定する寸法に対応して決まる量。
2.4.4
幾何学量の設計値(design value of a geometrical quantity)
特性値に付加的な量を増減した値。
2.4.5
換算係数(conversion factor)
試験体から得られる材料特性を解析モデルでの仮定に対応する値に変換する係数。

3 記号

  この規格で用いられる記号は,次による。ただし,一般的でないもの及び特定の箇条だけで使用しそこ
で説明している記号は,省略する。

3.1 主文字

C        使用性に関する限界値                  serviceability constraint
F 荷重 load in general
F0 基本荷重変数 basic load variable
Pf 破損確率 probability of failure
Pfs 規定破損確率 specified value of Pf
R 強度 resistance
S 荷重効果 load effect
X 基本変数 basic variable
Y モデル出力の変数 model output variable
a 幾何学量 geometrical quantity
Δa 付加的な幾何学量 additive geometrical quantity
f 材料特性 material property
t 時間 time
β 信頼性指標 reliability index
γ 部分係数 partial factor
γf 荷重の部分係数 partial factor for load
γm 材料特性の部分係数 partial factor for material properties
γD モデルの不確かさを表す部分係数 partial factor for model uncertainties
γn 機械製品の重要度又は破損の波及度を factor by which the importance of the mechanical product
考慮する係数 and the consequences of failure are taken into account
θ モデルの不確かさを表すパラメータ parameter which contains model uncertainties
θS 荷重効果の不確かさを表すパラメータ value for load effects
θR 強度の不確かさを表すパラメータ value for resistance
φ 荷重変数の関数 function of action variables

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ω 基本荷重変数を荷重に変換する変数 valuable which transforms the basic load variable to the
load
g(X, t) 限界状態関数 limit state function
f (X) モデル関数 model function

3.2 添え字

i        基本変数(主に荷重)の番号i           basic variable (mainly action)   umber i
j 荷重の番号j action number j
k 特性値 characteristic value
d 設計値 design value

4 要求事項及び概念

4.1 基本的要求事項

  機械製品及び機械要素は,供用期間内にその意図された使用に適するように,また,経済性も考慮して,
設計・施工・維持管理するために,適度な信頼性を保ちながら,次の性能要求を満たさなければならない。
− 考えられる全ての荷重の負荷条件下において適正に機能する(使用限界状態に関する要求)。
− 製造,施工中及び使用中に発生する,極大な又は頻繁に繰り返す荷重の負荷に耐える(終局限界状態
に関する要求)。
− 地震,火災,爆発,衝突及び人的ミスによる重大障害によって,その障害要因とは不釣合いな程度に
損傷しない(構造ロバスト性の要求)。
適度な信頼性は,破損によって生じる結果と,破損の危険性を低減するための費用,労力のレベル及び
措置とに応じて判断する(4.2参照)。適度な信頼性を確保するための方法としては,次がある。
− 品質方針の実施(4.3参照)
− 構造設計(4.4参照)
− 耐久性,維持管理に対する設計及び防護対策(4.5参照)

4.2 信頼性の区別

  4.1で用いた“適度な信頼性を保ち”とは,信頼性の程度は,次のことを考慮して規定することが必要で
あることを意味している。
− 破損によって生じる波及効果を軽減する措置がとれるように,前兆を示した後で壊れる構造と比較し
て,前兆がなく突然壊れるような構造又は機械要素に対しては,より高い信頼性を付与する。
− 人命及び負傷の危険性,経済的な損失,社会的不便の程度などの破損の結果生じる状態。
− 破損の危険性低減に必要な,費用,労力のレベル及び措置。
− 特定の地域での社会的かつ環境的条件。
詳細は,a)及びb)による。
a) 信頼性の要求程度の区別は,機械製品全体又は機械要素を分類することによって定める。例えば,信
頼性の程度は,次のような破損の結果に応じて選ぶことができる。
1) 人命への危険は小さく,かつ,経済的及び社会的損害は小さいか,又は無視できる。
2) 人命への危険は存在し,経済的及び社会的損害はかなりある。
3) 人命への危険は大きく,経済的及び社会的損害は甚大である。
b) 信頼性は,次のような方策を適切に組み合わせることで達成できる。
1) 設計での方策は,次による。

――――― [JIS B 9955 pdf 10] ―――――

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