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4. 定義,備考1.及び備考2.は,GUMのB.2.18から引用したものである。この規格で用いる選
択肢は,包含係数2のGUMの手順で,区間の半分の値として不確かさを表現することであ
る。この選択は,現在多くの国立計量標準機関が採用している現実に対応するものである。
正規分布の場合,包含係数2は,95 %の信頼の水準に対応する。そうでなければ,内包係数
と信頼の水準との対応を確立するために統計的検討が必要である。このような検討のための
データは,常に得られるものではないので,包含係数を規定することが望ましい。大抵の場
合には,同じ方法で採用された同一測定量の他のすべての測定結果と十分に高い信頼水準で
適合性を保証するので,GUMの定義の意味で,測定量を規定するために,この区間を“合
理的に”採用することができる。
5. 国際度量衡委員会の文書INC-1及びGUMに従って,統計的手法によって評価する不確かさ
の成分は,タイプAの成分と呼び,他の手法の助けを借りて評価する成分は,タイプBの成
分と呼ぶ。
3.1.5 指示値又は読値 (indication or reading-value) 計器の出力信号(IEV 311-01-07,修正)。
備考1. この指示から校正曲線を用いて指示値を求めることができる(IEV)。
2. 実量器の指示は,その公称値又は表記値である(IEV)。
3. 指示は,計器の出力形式による。
− アナログ出力では,表示の適切な単位での読値
− デジタル出力では,表示されたデジタル数値
− コード出力では,コードパターンの形
4. 観測者が読むことを意図する(目盛付き指標の計器のような)アナログ出力の出力単位は,
目盛数字の単位である。他の計器が読み込むことを意図する(校正されたトランスデューサ
のような)アナログ出力の出力単位は,出力信号に対応する量の測定単位である。
3.1.6 校正 (calibration) 規定の条件の下で,指示と測定の結果との間に存在する関係を,標準を参照す
ることによって確立する一連の作業(IEV 311-01-09)。
備考1. 指示と測定結果との関係は,通常,校正曲線図によって表現することができる(IEV)。
2. 計器に対して十分に定義された動作条件の下で,校正を実施しなければならない。その結果
を表す校正曲線は,校正のために用いる範囲外の条件の下で計器を動作させる場合は,有効
ではない。
3. 特に,その計量特性が過去の経験から十分に知られている計器については,計器の応答が依
然その限界内にあるかどうかを点検するために簡素化した校正曲線図をあらかじめ定義し,
校正の検証(3.2.12参照)だけを実施するのがよい。簡素化した曲線図は,計器の完全な校
正によって定義する曲線図よりも幅広く,測定結果に付けられる不確かさはより大きくなる。
3.1.7 校正曲線図 (calibration diagram) 指示の軸と測定結果の軸とによって定義する座標の部分をいい,
異なる測定量の値に対する計器の応答を表す(IEV 311-01-10)。
3.1.8 校正曲線 (calibration curve) 指示と測定量の値との関係を与える曲線(IEV 311-01-11)。
備考1. 校正曲線は,測定結果の軸に平行に校正曲線図の幅を2等分して,測定量の値を表す点を結
ぶ曲線である(6.1及び図1参照)。
2. 校正曲線が0を通る直線であるとき,計器定数として知られているこう(勾)配を参照する
のが便利である(IEV)。
3.1.9 指示値 (indicated value) 校正曲線を基に計器の指示によって与えられる値(IEV 311-01-08)。
――――― [JIS C 1005 pdf 6] ―――――
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備考 校正曲線図が有効なすべての動作条件の下で,計器が直接測定(3.2.7参照)に用いられるとき,
指示値は測定量の測定値である。
3.1.10 (測定の)適合性 [(measurement) ompatibility] それらの区間が,適切に重複することによって特
徴付けられる,同一測定量のすべての測定結果に満足を与える特性(IEV 311-01-14)。
備考1. 任意の測定結果と同一測定量を表す他のすべての測定結果との適合性は,ある信頼の水準に
おいてだけ,少なくとも暗黙の慣習又は内包係数によって宣言できる。適合性が,統計的推
定によって,指示することが望ましい水準に依存するからである。
2. 異なる計器及び方法で得られる測定結果の適合性は,幾つかの計器の校正に使用する標準器
の共通一次標準(3.2.6参照)へのトレーサビリティ(3.1.16参照)によって(及び当然,校
正と作業手順の正しさとによって)確保される。
3. ある測定の二つの測定の結果が適合しない場合には,一方又は両方の測定の結果が誤り(お
そらく,不確かさが余りにも小さいため)であるか否か又は測定量が同一であるか否かを,
独自の手段によって決定しなければならない。
4. より大きい不確かさで行われる測定は,より広い範囲で適合することになる。これは,より
単純なモデルで測定を分類させ,異なる測定量間での識別を困難にするためである。より小
さい不確かさの場合,適合性は,測定システムのより詳細なモデルを必要とする。
3.1.11 測定量の固有不確かさ (intrinsic uncertainty of the measurand) 測定量の表記で指定する最小の不確
かさ。
備考1. 任意の所定量は,所定の詳細な水準で定義又は特定されるので,いかなる量もより小さい不
確かさで測定することはできない。所定量をそれ自体の固有不確かさよりも小さい不確かさ
で測定しようとする場合は,実際には他の量を測定しているように,より詳細に所定量を再
定義することが必す(須)となる。GUM D.1.1も参照する。
2. 測定量の固有不確かさでの下で行われる測定の結果は,問題とする量の最良測定と呼んでも
よい。
3.1.12 (絶対)計器不確かさ [(absolute) nstrumental uncertainty] 無視できる固有不確かさをもつ測定量
の直接測定の結果の不確かさ。
備考1. 他に明りょう(瞭)に規定されていなければ,計器不確かさは包含係数2の区間として表現
する。
2. 計器不確かさに比べて小さな固有不確かさをもつ測定量の1回の読みの直接測定の場合には,
測定の不確かさは,定義によって計器不確かさと一致する。そうでなければ,関与する幾つ
かの直接測定を結ぶモデルを基に測定の不確かさを評価するとき,計器不確かさをタイプB
の一成分として処理しなければならない。
3. 計器不確かさは,定義によって読値の量子化[アナログ出力では目量の最小評価可能部分,
デジタル出力では最後の安定なけた(桁)の単位]による影響を自動的に含む。
4. 実量器の場合,計器不確かさは,その測定結果の適合性を確保するために実量器によって再
現される量の値に付随する不確かさである。
5. 可能,かつ,便利であれば,不確かさは相対形式(3.3.3参照)又は基底形式(3.3.4参照)で
表現してもよい。相対不確かさは,測定値Vに対する絶対不確かさUの比U / Vであり,基
底不確かさは,協定によって選ばれた値Vfに対する絶対不確かさUの比U / Vfである。
――――― [JIS C 1005 pdf 7] ―――――
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3.1.13 協定値 (conventional value) 校正作業に用いられ,校正の対象となる計器の不確かさに比べて無視
できる既知の不確かさをもつ標準の測定値。
備考 この定義は,“(ある量の)協定による真の値”の定義からこの規格に採用する。これは,特定
の量に帰する値で,ときには協定によって,所定の目的に適切な不確かさをもつとして容認さ
れる(IEV 311-01-06,VIM 1.20)。
3.1.14 影響量 (influence quantity) 測定の対象ではなく,その変化が,指示と測定結果との関係に影響を
与える量(IEV 311-06-01)。
備考1. 影響量は,測定システム,計測器又は環境に起因する(IEV)。
2. 校正曲線図は,影響量に依存するので測定の結果を確定するためには,関係する影響量が規
定の範囲内にあるかどうかを知ることが必要である(IEV)。
3. 測定の結果がC ≦V−U3.1.15 定常状態 (steady-state conditions) 測定量の時間的変動に関して,計器の入力信号と出力信号との
関係が,時間的に測定量が一定であるときに得られる関係に対し重要な変化を受けない場合に,そのよう
な測定量の時間的変動の下での計器の動作状態。
3.1.16 トレーサビリティ (traceability) 不確かさがすべて表記された,切れ目のない比較の連鎖を通じて,
通常,国家計量標準又は国際計量標準で決められた標準に関連付けられる測定結果又は標準の値の性質
(IEV 311-01-15,VIM 6.10)。
備考1. この概念は,トレーサブルという形容詞で表現されることがある(IEV,VIM)。
2. 切れ目のない比較の連鎖は,トレーサビリティ連鎖と呼ぶ(IEV,VIM)。
3. トレーサビリティは,増加する固有不確かさの標準(計器及び実量器)について,階層構造
をもつ計量機関が設立されていることを意味する。一次標準から校正された装置への比較の
連鎖は,各段階で実際に新規の不確かさを加算する。
4. トレーサビリティは,与えられた不確かさ内でだけ保証される。これを規定することが望ま
しい。
3.2 装置及び動作の定義
3.2.1 計器 [(measuring) nstrument] 単独又は補助装置とともに,測定するために用いることを意図する
装置(IEV 311-03-01,VIM 4.1)。
備考 用語“計器”は,指示計器及び実量器の両方を含む。
3.2.2 指示計器 [indicating (measuring) nstrument] 指示を表示する計器(IEV 311-03-02,VIM 4.6)。
備考1. 表示は,アナログ(連続又は不連続),デジタル又はコードであってもよい(IEV)。
2. 二つ以上の量の値が,同時に表示可能である(IEV)。
3. 表示計器は,記録させることもできる(IEV)。
4. 表示は,観測者が直接読むことができない出力信号である場合,適切な装置によって解読す
ることができる(IEV)。
5. 指示計器は,他のプロセス装置への追加可能なトランスデューサの連鎖又は1個のトランス
デューサで構成することがある。
6. 指示計器,測定システム及び環境間の相互作用は,計器の(センサと呼ばれる)最初の段で
信号を発生する。この信号は,計器の内部で測定量の情報を伝送する出力信号に変換される。
適切な出力形式での出力信号の表記は,計器が提供する指示である。
7. 測定量を連鎖の最後の素子の出力に結び付ける単一の校正曲線が利用できる場合には,計器
――――― [JIS C 1005 pdf 8] ―――――
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の連鎖は,単一の指示計器として扱う。この場合,全連鎖について影響量を定義しなければ
ならない。
3.2.3 実量器 (material measure) ある量の一つ以上の既知の値を,使用するとき恒久的な方法で再現又は
供給することを意図する装置(IEV 311-03-03,VIM 4.2)。
備考1. 関係する量を,供給量と呼ぶことがある(IEV)。
2. この定義は,信号発生器及び標準電圧又は電流発生器のような装置も網羅し,ときには供給
計器として引用される。
3. 供給量の値及び不確かさの特定は,実量器の公称値又は表記値と呼び,測定単位を付けた数
字又はコード記号で与える。
3.2.4 電気計器 (electrical measuring instrument) 電気又は電子的手段を用い,電気又は非電気的量を測定
することを意図する計器(IEV 311-03-04)。
3.2.5 トランスデューサ (transducer) 入力信号に対して一定の関係をもつ出力信号に変換する装置。
備考 すべての指示計器は,複数のトランスデューサを包含し,また,指示計器が一つのトランスデ
ューサからなることもある。信号がトランスデューサの連鎖で作られる場合には,各トランス
デューサの入出力信号は必ずしも直接,かつ,一義的にアクセス可能とは限らない。
3.2.6 一次標準 (primary standard) 最高の計量品質をもつものとして指定されるか,又は広く認知され,
同一量の他の標準を参照することなく,その値が容認される標準(IEV 311-04-02,VIM 6.4)。
備考1. 一次標準の概念は,基本量及び組立量に対して,同等に有効である(IEV)。
2. 一次標準は,標準の複製又は参照標準との比較以外の測定用に直接用いられることは決して
ない(IEV)。
3.2.7 直接測定(方法)[direct (method of) easurement] 測定量の値が直接得られる測定方法で,測定量
と実際に測定される他の量との関数関係に基づく補助計算を必要としない測定方法(IEV 311-02-01)。
備考1. 計器の目盛が,表又はグラフの手段によって測定量の値に相当するようにリンクする値をも
つ場合でも,測定量の値は直接得られたものとみなす(IEV)。
2. 補正するために,影響量の値を決定するための補助測定が必要な場合でも,測定法は直接法
である(IEV)。
3. 計器の計量特性の定義は,暗黙的に直接測定での計量特性の使用を意味している。
3.2.8 間接測定(方法)[indirect (method of) easurement] 測定量にリンクするほかの量の直接測定方法
によって行われる測定から,既知の関係によって一つの量の値が得られる測定方法(IEV 311-02-02)。
備考1. 間接測定方法を適用するためには,測定量と直接測定によって測定されるパラメータとの関
係を,十分に明確に提供できるモデルを必要とする。
2. 値及び不確かさの両方について,計算しなければならない。したがって,GUMに提供され
ているような不確かさの適用についての容認された規則を必要とする。
3.2.9 繰返し観測による測定(方法)[(method of) easurement by repeated observations] 名目的に同等の
条件の下で繰り返される何回かの観測によって得られるデータの分布について,統計的解析を基に測定結
果を求める測定法。
備考1. 計器不確かさが,測定の適合性を保証するためにはあまりにも小さい場合には,統計的解析
に頼らざるを得ない。これは,次の二つの全く異なる組の状況で起こることがある。
a) 測定量が固有の統計的変動(例えば,核の崩壊を伴う測定)を受ける量である場合。こ
の場合,実際の測定量は,その統計的パラメータ(平均及び標準偏差)によって表記し
――――― [JIS C 1005 pdf 9] ―――――
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なければならない,測定量の状態の統計的分布である。統計的解析は,それぞれの観測
が測定量の一つの特定の状態を正しく表現しているので,各測定結果がそれ自体の値と
不確かさをもつ測定結果の母集団について行う。この状況は,直接測定の特別な場合と
考えてもよい。
b) 信号の伝送に伴うノイズが,校正に用いる動作条件によって,読値に影響を与える場合
には,計器不確かさに同等であるか,又は計器不確かさより大きい程度(例えば,検査
用計器の野外使用の場合)まで,測定の不確かさに影響を与える。この場合には,測定
量に関する情報をノイズから分離する目的で,読値の母集団に統計的解析を行う。この
状況は,定格範囲外の一組の動作条件に対する計器の新規の校正とみなしてもよい。
2. 校正又は計器の精密さの等級によって指定される計器不確かさよりも小さい不確かさを,繰
返し観測の手段によって得られると考えることはできない。実際に,繰返し測定の結果が計
器不確かさ内で互いに適合しているならば,計器不確かさは測定の不確かさにとって有効な
データであり,幾つかの観測でもそれ以上の情報をもたらさない。他方,計器不確かさ内で
適合していなければ,測定の最終結果は,定義によってそれらが望ましいようにすべての結
果を適合させるために,より大きな不確かさで表現しなければならない。
3. 無視できないヒステリシスがある計器については,繰返し観測のそのままの統計的解析は誤
解を招くこととなる。そのような計器に対しては,計器の個々の規格で,適切な試験手順を
規定するのがよい。
3.2.10 固有(計器)不確かさ [intrinsic (instrumental) ncertainty] 基準条件の下で使用するときの計器の
不確かさ(IEV 311-03-09)。
3.2.11 動作計器不確かさ (operating instrumental uncertainty) 定格動作条件の下での計器の不確かさ。
備考 動作計器不確かさは,固有不確かさと同様に,計器の使用者によって評価されるものではなく,
製造業者又は校正業者によって評価される。評価は,固有計器不確かさ及び一つ又は数個の影
響量の値を含む代数的関係の手段によって表現してもよいが,そのような関係は,単に,異な
る動作条件の下での一組の動作計器不確かさを表すのに便利な手段であり,計器内部での不確
かさの適用を評価するために用いられる関数関係ではない。
3.2.12 (校正の)検証 [verification (of calibration) ] 規定の条件の下で,あらかじめ決めた校正曲線図の限
界内で,指示が一組の既知の測定量に対応しているかどうかを点検するために用いる一連の操作(IEV
311-01-13)。
参考1. 検証に用いる測定量の既知の不確かさは,校正曲線図で計器に付けられる不確かさに比べて,
一般的に無視できる(IEV)。
2. 実量器の校正の検証は,供給量の測定の結果が,校正曲線図によって与えられる区間と一致
しているかどうかを点検する。
3.2.13 (計器の)調整 [adjustment (of a measuring instrument) ] 測定量の所定の値に対応して,所定の指示
を与えるために,計器に実施する一連の操作(IEV 311-03-16)。
備考 計器が測定量の零値に対応する零指示を与えるように作られているとき,一連の操作は零調整
と呼ばれる(IEV)。
3.2.14 (計器の)使用者調整 [user adjustment (of a measuring instrument) ] 製造業者によって指定され,使
用者に任された手段でだけ行われる調整(IEV 311-03-17,VIM 4.31)。
――――― [JIS C 1005 pdf 10] ―――――
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JIS C 1005:2006の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60359:2001(IDT)
JIS C 1005:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.220 : 電気学.磁気学.電気的及び磁気的測定 > 17.220.20 : 電気的及び磁気的量の測定