JIS C 1514:2002 オクターブ及び1/Nオクターブバンドフィルタ | ページ 2

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C 1514 : 2002 (IEC 61260 : 1995)
備考 IEC 60050(801),Internationl Electrotechnical Vocabulary(IEV)―Chapter 801 : Acoustics and
electroacousticsからの引用部分が,この規格と一致している。

2.2 国際規格

    IEC 60801-2 : 1991 Electromagnetic compatibility for industrial-process measurement and control equipment
―Part 2 : Electrostatic discharge requirements
IEC 60801-3 : 1984 Electromagnetic compatibility for industrial-process measurement and control equipment
―Part 3 : Radiated electromagnetic field requirements
ISO 266 : 1997 Acoustics―Preferred frequencies
OIML : 1978 Vocabulary of legal metrology―Fundamental terms
参考 原国際規格ではIEC 60651 : 1979,Sound level meters及びそのAmendment 1並びにIEC 60804 :
1985,Integrating-averaging sound level meters,そのAmendment 1及びAmendment 2を引用規格
として掲げているが,原国際規格に引用している箇所がないので,この規格では削除した。

3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
備考 この規格に定義しない用語に関しては,JIS Z 8106及びOIML法定計量用語集を参照する。

3.1 バンドパスフィルタ(bandpass filter)

 ゼロより大きい下端周波数から有限の上端周波数までにわた
る伝送帯域(又は小さな相対減衰量の通過帯域)をもつ単一のフィルタ。

3.2 オクターブ比(octave ratio)

 2 : 1の公称周波数比。一般的記号G 。
備考1. この規格は,オクターブバンド又は1/Nオクターブバンド周波数比を決定するために,10
のべき(冪)による系及び2のべきによる系の二つの方法を認める。
2. 10のべきによる系では,次の値とする。
G10=103/10··· (1)
3. 2のべきによる系では,次の値とする。
G2=2 (2)
4. 10のべきによる系を推奨する。

3.3 帯域幅を表す分数(bandwidth designator)

 フィルタの帯域幅をオクターブバンドの分数で表示する
ための1を含む正の整数の逆数。量記号1/N 。

3.4 基準周波数(reference frequency)

 厳密に周波数1 000 Hz。量記号fr 。

3.5 厳密な中心周波数(exact midband frequency)

 規定する帯域幅のフィルタセットのすべてのフィルタ
で,任意の隣接するバンドパスフィルタの中心周波数の比が同一となるように,基準周波数に対して規定
する周波数で,単位はヘルツ。量記号fm 。帯域幅を表す分数の分母Nが奇数の場合,フィルタセットの
任意のフィルタの厳密な中心周波数fmは,次の式で求められる。
fm=(Gx/N)(fr) (3)
また,帯域幅を表す分数の分母Nが偶数の場合,フィルタセットの任意のフィルタの厳密な中心周波数
fmは,次の式で求められる。
fm=(G(2x+1)/(2N))(fr) (4)
ここに,x : 正,負又はゼロの任意の整数
備考1. 式(3)又は式(4)から決定される厳密な中心周波数は,1/Nオクターブバンドフィルタの出力
を合成して,より広い帯域幅の厳密な中心周波数及び帯域端周波数に対応するバンドレベル
を与えることを可能にする。

――――― [JIS C 1514 pdf 6] ―――――

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C 1514 : 2002 (IEC 61260 : 1995)
2. 10のべきによる系では,10 : 1の周波数範囲内に含まれる厳密な中心周波数は,他の10 : 1
の周波数範囲内の厳密な中心周波数と小数点の位置を除いて同じである。2のべきによる系
では,厳密な中心周波数は唯一の値であり,繰り返さない。
3. 例えば,1/3オクターブバンドフィルタにおいて,公称中心周波数5 000 Hzの小数点以下3
けたまでの厳密な中心周波数は,10のべきによる系で5 011.872 Hz,2のべきによる系で
5 039.684 Hzであり,その違いは約0.6 %である。公称中心周波数50 000 Hzの厳密な中心周
波数は,10のべきによる系で50 118.723 Hz,2のべきによる系で50 796.834 Hzであり,その
違いは約1.4 %である。
4. 帯域幅を表す分数の分母Nが奇数のとき,フィルタセット中の一つのフィルタの中心周波数
は1 000 Hzとなる。帯域幅を表す分数の分母Nが偶数のとき,フィルタセット中のある隣接
したフィルタ対の帯域端周波数を1 000 Hzとすることはできるが,中心周波数を1 000 Hzと
することはできない。
5. 通常の可聴周波数範囲におけるオクターブバンド及び1/3オクターブバンドフィルタの厳密
な中心周波数を表A.1に示す。

3.6 公称中心周波数(nominal midband frequencies)

 バンドパスフィルタを識別するために,厳密な中心
周波数を丸めた周波数。単位はヘルツ。

3.7 帯域端周波数(bandedge frequencies)

 厳密な中心周波数がそのバンドパスフィルタの下端及び上端
周波数の幾何平均となるようにしたフィルタ通過帯域の下限及び上限周波数。単位はヘルツ,量記号はそ
れぞれf1及びf2 。帯域端周波数は,次の式で求める。
f1=(G−1/(2N))(fm) (5)
及び
f2=(G+1/(2N))(fm) (6)
ここに,G : 10のべきによる系の式(1)又は2のべきによる系の式(2)で計算する
オクターブ周波数比
fm : 式(3)又は式(4)による厳密な中心周波数

3.8 規準化周波数(normalized frequency)

 あるバンドパスフィルタで,厳密な中心周波数に対する周波数
の比。記号f/fm 。

3.9 フィルタ帯域幅(filter bandwidth)

 あるフィルタで,式(6)による上端周波数f2から式(5)による下端
周波数f1を減じたもの。単位はヘルツ。

3.10 オクターブバンドフィルタ(octave-band filter)

 下端周波数に対する上端周波数の公称比が2のバン
ドパスフィルタ。

3.11 1/Nオクターブバンドフィルタ(fractional-octave-band filter)

 下端周波数f1に対する上端周波数f2
の比が,該当する帯域幅を表す分数を指数とするオクターブ比のべき乗であるバンドパスフィルタ。
備考 帯域幅周波数比は,記号でG1/N=f2/f1と表される。

3.12 フィルタ減衰量(filter attenuation)

 バンドパスフィルタで,任意の周波数の時間平均二乗入力信号の
レベルから時間平均二乗出力信号のレベルを減じたもの。両信号レベルとも同じ電圧を基準とし,単位は
デシベル。量記号はA。
備考 デシベルで表した時間平均二乗入力信号レベルLinは量記号で,次のように表される。
T 2 2
(1/T) 0 Vin (t) dt /V0
Lin=10 log10 dB (7)

――――― [JIS C 1514 pdf 7] ―――――

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C 1514 : 2002 (IEC 61260 : 1995)
ここに,Vin(t) : 瞬時入力信号で時刻tの関数
T : 積分の経過時間
V0 : 20 檐 な基準量
対応する表現を,時間平均二乗出力信号のレベルにも適用する。

3.13 基準減衰量(reference attenuation)

 ある機器内のすべてのバンドパスフィルタに対し,相対減衰量を
決定するために製造業者が規定する通過帯域の公称フィルタ減衰量。単位はデシベル。量記号はAref 。

3.14 相対減衰量(relative attenuation)

 バンドパスフィルタで,任意の周波数において,フィルタ減衰量か
ら基準減衰量を減じたもの。単位はデシベル。量記号はΔA。
備考 任意の規準化周波数f/fmで,デシベルを単位とする相対減衰量ΔA(f/fm)は,次の式で求められ
る。
ΔA(f/fm)=A(f/fm)−Aref (8)
ここに,A(f/fm) : 規準化周波数f/fmでのフィルタ減衰量
Aref : 基準減衰量
厳密な中心周波数fmは,式(3)又は式(4)から計算する。

3.15 規準化実効帯域幅(normalized effective bandwidth)

 フィルタセットの出力として読取装置が指示す
る時間平均二乗信号の時間平均二乗入力信号に対する比の,規準化周波数についての積分。一定振幅の正
弦波電気入力信号による。時間平均二乗信号の比はArefをデシベルを単位とする基準減衰量として100.1Aref
に等しい定数を乗じて規準化する。量記号はBe 。
備考 規準化実効帯域幅の解析的表現を4.5.2に与える。

3.16 規準化基準帯域幅(normalized reference bandwidth)

 あるバンドパスフィルタで,厳密な周波数に対
するフィルタ帯域幅の比。量記号はBr 。
備考 規準化基準帯域幅Brは,次の式で求める。
Br=(f2−f1)/fm=[G+1/(2N)−G−1/(2N) ] (9)

3.17 フィルタ積分応答(filter integrated response)

 規準化基準帯域幅に対するフィルタの規準化実効帯域
幅の比の常用対数の10倍。単位はデシベル。量記号はΔB。
備考 ΔBの解析的表現を4.5.1に与える。

3.18 基準レベルレンジ(reference level range)

 製造業者が電気性能特性試験のために規定する,利用可能
なレベルレンジの一つ。単位はデシベル。

3.19 基準入力信号レベル(reference input signal level)

 製造業者が規定する基準レベルレンジ上の入力信
号のレベル。単位はデシベル。

3.20 レベル差(level difference)

 バンドパスフィルタで,任意のレベルレンジにおいて,出力信号レベル
から入力信号レベルを減じ,もしレベルレンジ調整器があればその公称減衰量を加えたもの。単位はデシ
ベル。

3.21 基準レベル差(reference level difference)

 基準レベルレンジ上の中心周波数の,基準入力信号レベル
の入力信号に対するレベル差。単位はデシベル。

3.22 レベル直線性誤差(level linearity error)

 任意のレベルレンジ上で,中心周波数のレンジ差から基準レ
ベル差を減じたもの。単位はデシベル。

3.23 線型動作範囲(linear operating range)

 明示されたフィルタの帯域幅及び明示されたレベルレンジで,
レベル直線性誤差が規定する許容差の下限から上限内に維持される定常正弦波入力信号レベルの範囲。単
位はデシベル。

――――― [JIS C 1514 pdf 8] ―――――

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3.24 レベルレンジ調整器(level range control)

 機器の総合動作を線型動作範囲内に維持するために,入力
信号レベルの変化に対応して機器の感度を調整する装置。

3.25 測定範囲(measurement range)

 任意の公称中心周波数の,最も感度が低いレベルレンジでの線型動作
範囲の入力信号レベルの上限から,最も感度が高いレベルレンジでの線型動作範囲の入力信号レベルの下
限を減じた値。単位はデシベル。

3.26 アナログフィルタ(analogue filter)

 フィルタ出力を生成させるために,入力信号に対して連続に動作
するフィルタ。

3.27 標本化データフィルタ(sampled-data filter)

 フィルタ出力を発生させるために,入力信号の標本に対
して動作する演算処理。

3.28 ディジタルフィルタ(digital filter)

 入力データをディジタル化して動作する標本化データフィルタ
の一種。

3.29 実時間動作(real time operation)

 すべての入力データが標本化間隔内で処理され,入力信号のすべて
の標本が等しい重みでフィルタを通過した出力信号レベルに反映されるように,標本化間隔の時間内に各
標本化に関する計算を完遂し,バンドパスフィルタを通した出力信号レベルを生成する標本化データフィ
ルタシステムの動作状態又は能力。

3.30 エリアシングされた周波数成分(allased frequency components)

 時間変動する連続入力信号を,入力
信号の最も高い周波数成分に対して低すぎる周波数で標本化した場合に生じる,標本化データバンドパス
フィルタからの出力信号の偽りの周波数成分。

3.31 アンチエリアシングフィルタ(anti-allas filter)

 エリアシングされた周波数成分の発生を,無視でき
るレベルまで低減させるための低域通過フィルタ。

4. 性能要求事項

4.1 一般

 この規格で規定するオクターブバンド及び1/Nオクターブバンドフィルタの電気応答性能は,
4.13の基準環境条件下で適用する。
この規格で適用するすべての要求事項を満足する機器を提供するために,10又は2のべきによるオクタ
ーブ比の,任意の設計で実現されるフィルタを使用してよい。

4.2 公称中心周波数

 オクターブバンド又は1/Nオクターブバンドフィルタは,厳密な周波数を適切に
丸めた値である公称中心周波数で識別又は表現する。附属書Aに,オクターブバンド及び1/3オクターブ
バンドフィルタの厳密な中心周波数及び公称中心周波数を規定する。また,1/4から1/24オクターブバン
ドに対する公称中心周波数を決定する手順を述べる。

4.3 基準減衰量

 製造業者は,通過帯域の基準減衰量を規定する。一つのフィルタセットのすべてのフ
ィルタの基準減衰量は,同一でなければならない。

4.4 相対減衰量

4.4.1  クラス0,1又は2のオクターブバンドフィルタで,任意のフィルタの相対減衰量は,オクターブ
バンド規準化周波数f/fm=Ωの規定値に対して最小及び最大相対減衰量を与える表1の限界値内になけれ
ばならない。
4.4.2 1/Nオクターブバンドフィルタで,精度の各クラスに対する有限の相対減衰量の限界値に対応する
高周波数側の1/Nオクターブバンド規準化周波数Ωh(1/N)は,Ω≧1に対して,次の式で計算される。
Ωh(1/N)=1+[(G1/(2N)−1)/(G1/2−1) ](Ω−1) (10)
Ω<1に対して,相対減衰量に関して同じ限界値となる低周波数側の1/Nオクターブバンド規準化周波

――――― [JIS C 1514 pdf 9] ―――――

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C 1514 : 2002 (IEC 61260 : 1995)
数Ω1(1/N)は,次の式で計算する。
Ω1(1/N)=1/Ωh(1/N) (11)
備考 附属書Bに1/3オクターブバンドフィルタに対する最小及び最大相対減衰量限界値の不連続点
での規準化周波数の計算例を示す。
表 1 オクターブバンドフィルタの相対減衰量の限界値
規準化周波数 最小;最大減衰量限界値 dB
f/fm=Ω フィルタのクラス
0 1 2
G0 −0.15;+0.15 −0.3;+0.3 −0.5;+0.5
G±1/8 −0.15;+0.2 −0.3;+0.4 −0.5;+0.6
G±1/4 −0.15;+0.4 −0.3;+0.6 −0.5;+0.8
G±3/8 −0.15;+1.1 −0.3;+1.3 −0.5;+1.6
−0.15;+4.5 −0.3;+5.0 −0.5;+5.5
>G−1/2
G±1/2(1) +2.3;+4.5 +2.0;+5.0 +1.6;+5.5
G±1 +18.0;+∞ +17.5;+∞ +16.5;+∞
G±2 +42.5;+∞ +42;+∞ +41;+∞
G±3 +62;+∞ +61;+∞ +55;+∞
≧G+4 +75;+∞ +70;+∞ +60;+∞
≦G−4 +75;+∞ +70;+∞ +60;+∞
注(1) 下端帯域端周波数以下の周波数及び上端帯域端周波数以上の周波数で,最大相対減衰量の限界値は
+∞;図1参照。
4.4.3 オクターブバンドフィルタに対して表1に与える規準化周波数又は1/Nオクターブバンドフィル
タに対して式(10)又は式(11)に従って計算される二つの規準化周波数Ωa及びΩbの間の規準化周波数Ωx
における相対減衰量ΔAxの限界値は,直線補間の関係から決定する。
ΔAx=ΔAa+[ΔAb−ΔAa] [log10(Ωx/Ωa)/log10(Ωb/Ωa) ] (12)
ここに,ΔAa : 規準化周波数Ωaでの相対減衰量の限界値
ΔAb : 規準化周波数Ωbでの相対減衰量の限界値
4.4.4 図1に,オクターブバンドフィルタの相対減衰量の最小及び最大限界値を図示する。また,図1
は,相対減衰量の最小及び最大限界値が帯域端周波数で不連続に変化し,表1の不連続点となる規準化周
波数の間では相対減衰量の変化は直線的であることを示す。

――――― [JIS C 1514 pdf 10] ―――――

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JIS C 1514:2002の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61260:1995(IDT)

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規格番号
規格名称
JISZ8106:2000
音響用語