JIS C 1514:2002 オクターブ及び1/Nオクターブバンドフィルタ | ページ 3

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C 1514 : 2002 (IEC 61260 : 1995)
図 1 オクターブバンドフィルタ・クラス1の相対減衰量の最小及び最大限界値の図解

4.5 フィルタ積分応答

4.5.1  デシベルで表したバンドパスフィルタのフィルタ積分応答ΔBは,次の式で算出する。
ΔB=10 log10(Be/Br) (13)
ここに,Be : 規準化実効帯域幅
Br : 同一中心周波数に対する式(9)による規準化基準帯域幅
4.5.2 厳密な中心周波数fmの任意のフィルタの規準化実効帯域幅は,次の式で表される。
Be= 01.0ΔA( f /fm )
10− (14)
d( f /fm )
ここに,ΔA(f/fm) : 連続相対減衰フィルタ応答で,単位はデシベル。
実際には,式(14)の積分は,数値計算される(5.4を参照)。
4.5.3 一つの機器内の各バンドパスフィルタのフィルタ積分応答は,クラス0,1及び2の機器で,それ
ぞれ±0.15 dB,±0.3 dB及び±0.5 dB以内とする。

4.6 線型動作範囲

4.6.1 すべてのフィルタ帯域幅,及び備えていれば平たん周波数特性並びに利用できる各レベルレンジの,
線型動作範囲及びレベル直線性誤差はクラス0,1及び2のフィルタで,それぞれ少なくとも60 dB,50 dB
及び40 dBの線型動作範囲にわたり±0.3 dB,±0.4 dB及び±0.5 dB以内とする。
4.6.2 二つ以上のレベルレンジを備えている場合,その線型動作範囲はクラス0及び1のフィルタで少な
くとも40 dB,クラス2のフィルタで少なくとも30 dB重なり合うものとする。

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4.6.3 二つ以上のレベルレンジを備える場合,それが基準レベルレンジでなければ,最も感度の高いレン
ジの線型動作範囲が狭くなることが許される。
4.6.4 表示部が一体となったフィルタ,若しくはその出力が外部表示器又はその他のシステムに転送され
るフィルタで,表示範囲が線型動作範囲より大きい場合,製造業者は,線型動作範囲外で維持されるレベ
ル直線性誤差を明示する。

4.7 実時間動作

 周波数を一定速度に対数的に変化させたとき,一定振幅正弦波入力信号に応答する出
力信号のレベルが,クラス0及びクラス1の機器で理論的出力信号レベルの±0.3 dB以内,クラス2の機
器で±0.5 dB以内となる帯域幅及び対応する周波数範囲を,製造業者は明示する。一定振幅の掃引周波数
の正弦波入力信号に対する出力信号レベルの理論値を5.6に与える。

4.8 アンチエリアシングフィルタ

 標本化データ又はディジタルフィルタシステムには,アナログ又は
ディジタルの適切なアンチエリアシングフィルタを含む。アンチエリアシングフィルタは,入力信号のエ
リアシングされた周波数成分を生成し,表1の該当する最小減衰量限界値の最も大きな値を超えるような
相対減衰量特性を引き起こす,入力信号と標本化処理との間の干渉を最小限としなければならない。

4.9 出力信号の和

 二つの隣接するオクターブ又は1/Nオクターブ中心周波数の間の任意の周波数の正
弦波入力信号で,(a)入力信号のレベルから基準減衰量を減じたレベルと,(b)規定するフィルタ帯域幅の
多数のフィルタからの時間平均出力信号の和のレベルとの差は,クラス0,1及び2の機器で,それぞれ±
1.0 dB,+1.0;−2.0 dB及び+2.0;4.0 dB以内とする。

4.10 平たん周波数特性

 機器が,周波数に独立な(いわゆる“平たんな”)伝送範囲をもつならば,製造
業者は,クラス0,1及び2のフィルタで,それぞれ,その相対減衰量が基準周波数における相対減衰量の,
±0.15 dB,±0.3 dB及び±0.5 dB以内となる周波数範囲を明示する。平たん周波数特性での相対減衰量の
測定のための基準減衰量は,バンドパスフィルタに対する相対減衰量に等しい。

4.11 最大入力信号

 製造業者は,その機器内のすべてのフィルタがこの規格の要求事項に適合する,各
レベルレンジの正弦波入力信号の最大実効電圧を明示する。

4.12 終端インピーダンス

 製造業者は,機器の適切な動作を確実とするための入力及び出力終端インピ
ーダンスを明示する。

4.13 基準環境条件

 基準環境条件は,周囲温度20 ℃,相対湿度65 %,大気圧101.325 kPaとする。

4.14 環境変化による影響

4.14.1 周囲温度 0 ℃から+50 ℃を最小範囲とする気温で,機器で使用可能なすべてのフィルタの公称
中心周波数での相対減衰量は,基準環境条件の同一周波数の相対減衰量からの変化は,クラス0,1及び2
のフィルタで,それぞれ±0.15 dB,±0.3 dB及び±0.5 dB以内とする。
4.14.2 相対湿度 製造業者は,機器が連続使用可能な相対湿度及び対応する周囲温度の範囲を明示する。
相対湿度75 %の湿度雰囲気,+40 ℃の周囲温度及び供試機器の内部部品に結露がない条件に24時間暴
露後,その機器で用い得るすべてのフィルタの公称中心周波数での相対減衰量が,基準環境下の同一周波
数での相対減衰量からの変化は,クラス0,1及び2のフィルタで,それぞれ±0.15 dB,±0.3 dB及び±
0.5 dB以内とする。
4.14.3 交流磁場 フィルタセットの動作に対する,50 Hz又は60 Hz(及び基本周波数の高調波)の交流磁
場の影響は,実用上問題とならないように減少させる。
4.14.4 静電放電 フィルタセットの動作に対する静電放電の影響は,実用上問題とならないように減少
させる。

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4.14.5 無線周波数磁場 フィルタセットの動作に及ぼす無線周波数電磁場の影響は,実用上問題とならな
いように減少させる。

4.15 電源のチェック

 電池を必要とする機器では,この規格のすべての要求事項に従い機器が動作する
ために十分な電源が供給されていることを確認するための適切な方法を備える。

5. 試験方法

5.1 一般

 この箇条では,フィルタセットの性能が,4.に規定する許容差内で維持し続けていることを決
定するための型式評価又は定期検査として行われるであろう試験方法を記述する。製造業者は,この規格
の要求事項に対する適合性を示すために,5.に述べる方法に替わる等価な試験を用いてもよい。附属書C
に,型式評価及び定期的検査で行うことのある推奨試験を示す。
すべての試験は,4.13の基準環境条件を基準とする。供試機器は,電源に接続し,電源を投入し,すべ
ての試験の開始前に,少なくとも製造業者が規定する最小時間は動作させる。

5.2 試験機器

5.2.1  実時間動作の周波数限界を求める試験を除いて,4.の要求事項に従うことを示すすべての試験は,
種々の周波数及び信号レベルの定常正弦波信号を利用する。実時間動作の周波数限界を決定する試験は,
周波数を対数的に一定速度で変化又は掃引する一定振幅正弦波信号を使用する。信号発生器は,供試機器
内のすべてのフィルタ,すべてのフィルタ帯域幅の相対減衰量試験に必要とされる周波数範囲にわたって
正弦波試験信号を発生できる性能をもつ。
備考 試験周波数の間隔は,式(15)で与える。
5.2.2 すべての周波数で,信号発生器の出力での定常正弦波信号の寄生成分を含む全ひず(歪)みは,試験
に使用する最大信号レベルで0.01 %以下とする。正弦波試験信号の周波数は,表示周波数の±0.01 %以
内の精度とする。
5.2.3 定常正弦波試験信号のレベルは,少なくとも80 dBの範囲で変化させることのできる性能とする。
5.2.4 騒音計の要求事項に適合する測定装置とともに動作するように設計されたバンドパスフィルタで
は,その装置の指示表示器を,フィルタセットからの出力信号レベルの測定に使用することが望ましい。
5.2.5 ディジタル数値読取装置,又は製造業者が規定するディジタルフォーマットでの出力を備える(例
えば,ディジタルインタフェース接続を通した)フィルタセットでは,出力のレベルは,読み取った数値又
は適切な記録装置へのディジタル出力によって求めることが望ましい。
5.2.6 ディジタル実時間動作の試験では,周波数掃引信号発生器の出力レベルは既知であり,選択した公
称中心周波数にわたって,公称信号レベルの±0.1 dB以内で一定とする。周波数掃引が網羅する周波数範
囲の各10 : 1の周波数比において,試験信号の周波数を変化する対数速度は,公称周波数掃引速度の±1 %
以内で一定とする。

5.3 相対減衰量

5.3.1  フィルタセットの各フィルタの相対減衰量特性は,基準レベルレンジで測定する。入力信号レベル
は,線型動作範囲上限から1 dB以内とする。
5.3.2 必要であれば,製造業者が規定するインピーダンスで機器の入力及び出力を終端し,フィルタセッ
トの入力に定常正弦波信号を加える。適切な周波数で,入力及び出力信号のレベルを測定する。
5.3.3 型式評価試験,及びその他のフィルタ評価試験(試験信号の周波数及び入出力信号レベルの測定が
プログラムによって自動的に制御される試験)では,正弦波試験信号の周波数は,厳密な中心周波数を中心
として,できれば,対数目盛上で等間隔に配置する。Sをフィルタ帯域幅当たりの試験周波数の数とする

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と,i番目の試験信号の規準化周波数fi/fmは,次の式で算出する。
fi/fm=[G1/(NS) ]i (15)
ここに,i : ゼロを含む正又は負の整数
フィルタ帯域幅当たりの試験周波数の数Sは,24以上とする。周波数による相対減衰量の変化が大きい
場合,試験周波数の数はフィルタ帯域幅当たり24を超えるように増やす。帯域幅当たりの試験周波数の数
は,フィルタ積分応答の計算値が,1/10デシベルの分解能でSと無関係になるまで12ずつ増加する。
5.3.4 任意の周波数fでの相対減衰量ΔA(f/fm)は,式(8)で算出する。
5.3.5 4.4の相対減衰量の要求事項に対する適合性の定期検査では,入力信号周波数は,表1の規準化周
波数Ωに対応する17個の,オクターブ又は1/Nオクターブ規準化周波数に限定してもよい。1/Nオクタ
ーブバンドフィルタに対する実際の試験周波数は,オクターブバンド規準化周波数と規定された帯域幅の
規準化周波数との関係を定める式(10)及び式(11)から計算する。

5.4 フィルタ積分応答

5.4.1  フィルタ積分応答は,規準化実効帯域幅に対する式(14)の積分表現の数値解に基づく式(13)から,
5.3に記述するように測定した相対減衰量を用いて決定する。
5.4.2 フィルタセットの各フィルタで,式(14)の数値積分の推奨手順は,次の式に従って要素面積の総和
を求める台形則による。
i=n
Be= 1 −1.0ΔA( fi+1 / fm )
−1.0ΔA( fi / fm )
[{10 +10 }][( fi+1 / fm )−( fi / fm ) ] (16)
2
i=−n
ここに,ΔA(fi/fm) : i番目の規準化試験周波数で測定した相対減衰量
n : 任意のフィルタ帯域幅及び精度のクラスに対して,少なくと
も5S=120以上

5.5 線型動作範囲

5.5.1  入力での信号レベルの変化によるフィルタセットの応答の直線性は,定常正弦波信号で試験する。
線型動作範囲は,少なくともこの規格の要求事項への適合性を要求されるすべての帯域幅での最低及び最
高公称中心周波数のフィルタに対して測定する。平たん周波数特性を備えている場合,少なくとも製造業
者が示す平たん周波数特性の最低及び最高周波数で測定する。
5.5.2 各試験周波数で,任意のレベルレンジのレベル直線性誤差は,入力信号レベルを5 dB以下で段階
的に変化させ3.22の定義に従って決定する。線型動作範囲の下限及び上限値を決定するために,入力信号
レベルの段階的変化を1 dBまで減少させる。
5.5.3 測定中の平均化時間は,低い入力信号レベルにおいて内部で発生する雑音の影響を考慮し,安定な
指示を得るために十分長くする。
5.5.4 製造業者が推奨するならば,線型動作範囲に対する4.6の要求事項は,二つの正弦波信号で構成さ
れる一つの複号信号で検証されてもよい。一つの信号は試験信号であり,他方は線型動作範囲の上限より
20 dB低い一定レベルで,4.4に与えるフィルタ応答の相対減衰量に対する許容最小限界の最大値に対する
周波数範囲内の試験周波数より高い又は低い周波数の補助信号である。

5.6 実時間動作

5.6.1  フィルタが実時間で動作する周波数範囲は,掃引周波数試験で決定する。
5.6.2 機器の出力において読取装置が指示する時間平均又は等価連続出力信号レベルL0は,一定振幅の
正弦波信号が入力に加えられ,ある帯域幅でのすべてのフィルタの周波数範囲にわたり信号の周波数を対
数的に一定の速さで変化させた場合,すべてのフィルタに対して同一であることが望ましい。

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5.6.3 与える周波数掃引正弦波入力信号に対し,相対減衰量が実際のフィルタの基準減衰量に等しく帯域
端周波数外では無限大減衰量であるフィルタが,出力において指示する時間平均出力信号レベルの理論値
Lcは,次の式で与えられる。
Lc=Lin−Aref+10 log10[{(Tsweep/Tave) [log10(f2/f1)/log10(fend/fstart) ]}] dB (17)
ここに,Lin : 一定振幅入力信号の時間平均信号レベルの測定値
Tsweep : 開始周波数fstartから終了周波数fendまで対数速度で掃引するために
必要な時間
f1及びf2 : 帯域端周波数
Tave : 出力信号レベルL0を測定するために選択した平均時間
備考 式(17)のlog10(f2/f1)は,10のべきによる系で3/(10N),2のべきによる系で(1/N) log10(2)であ
る。
5.6.4 時間平均出力レベルの測定値L0,対応する時間平均出力レベルの一定の理論値Lc,及びフィルタ
積分応答の測定値ΔBの差δは,次の式で与えられる。
δ=L0−ΔB−Lc (18)
5.6.5 実時間動作の試験は,基準レベルレンジで行う。入力信号レベルは,基準レベルレンジの線型動作
範囲上限より3 dB低くする。対数周波数掃引速度は,そのフィルタ帯域幅に適切でありフィルタ通過帯域
の相対減衰量の正確な測定ができるように十分に遅くする。掃引開始周波数fstartは,そのフィルタ帯域幅
に対する最低公称中心周波数の約半分とする。掃引終了周波数fendは対応する最高公称中心周波数の約2
倍とする。平均時間Taveは,総掃引時間より少なくとも5秒長くする。
備考1. 対数掃引率,単位毎秒“ディケード”は,次の式で定義する。
[log10(fend/fstart) ]/Tsweep
ここに,fend : 掃引終了周波数
fstart : 掃引開始周波数
Tsweep : 秒を単位とした掃引時間
2. 掃引率は,毎秒0.5“ディケード”(又は毎秒1.6“オクターブ”)以下であることが望ましい。
参考 ディケード(decade)とは,10倍の周波数比を表す。
5.6.6 時間平均の開始後,3秒以内に周波数掃引を開始し,fstartからfendまでの周波数範囲を1回掃引する。
時間平均出力信号レベルを測定し,式(18)に従う出力信号レベルの計算値と比較する。その機器で使用で
きるすべてのフィルタ帯域幅に対して,差δの絶対値が4.7の許容差を最初に超過する公称中心周波数が,
実時間動作の下限及び上限周波数を定義する。

5.7 アンチエリアシングフィルタ

5.7.1  標本化データフィルタに対し,入力信号の不要スペクトル成分を十分に減衰させるためのアンチエ
リアシングフィルタの性能試験は,入力に定常正弦波信号を加えて実施する。入力信号レベルは,基準レ
ベルレンジの線型動作範囲上限に等しくする。
5.7.2 その機器に使用可能な各フィルタ帯域幅に対し,入力試験信号の周波数は,該当する標本化周波数
からその帯域幅のフィルタセットの全周波数範囲の各1 : 10の周波数比ごとに少なくとも一つのフィルタ
の公称中心周波数を減じたものとする。例えば,20 Hzから20 kHzの公称中心周波数の範囲では,20 Hz
から200 Hzの範囲内から一つ,200 Hzから2 kHzの範囲内から一つ,2 kHzから20 kHzの範囲内から一
つを選択する。

――――― [JIS C 1514 pdf 15] ―――――

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JIS C 1514:2002の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61260:1995(IDT)

JIS C 1514:2002の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 1514:2002の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISZ8106:2000
音響用語