JIS C 1911:2013 交流電力システムから発生する電界及び磁界の強さ―公衆の人体ばく露を考慮した測定手順 | ページ 5

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C 1911 : 2013 (IEC 62110 : 2009)
図A.10は,1回線水平配列の500 kV架空送電線が発生する電界の強さの垂直成分及び水平成分の空間
分布を計算した例である。電界の強さは,地上1.0 mの高さにおいて,送電線の中心からの距離の関数と
して計算している。最低位置にある導体と地表との間隔は11.0 mである。各相は,半径14.25 mmの導体
4本で構成されており,隣接する導体の間隔は400 mmである。したがって,式(A.12)によって得られる等
価な幾何学的半径189.5 mmを計算に用いる。
電界(V/m)
10 000
10000 phase
位相配列 10.0 m 10.0 m
8 000
8000 C B
A
A
vertical 導体
C B
6 000
6000
11.0 m
合成
4 000 resultant
4000 水平成分
horizontal
垂直成分
2 000
2000 1.0 m
地表
0
0 距離(m)
- 30 -20
- -10
- 0
0 10 20 30
距離(m)
図A.10−500 kV架空送電線下における電界の強さの垂直成分及び水平成分
A.3.4 近接効果
図A.11は,高い建築物に近接した25 kV架空送電線が発生する電界を計算し,等高線図に示した例であ
る。建築物の壁面における最大電界は,その導体と同じ高さで発生している。地表では,電界は建築物に
よって低下している(図A.12参照)。
高さ(m) 高さ(m)
電界(kV/m) 電界(kV/m)
Building
建築物あり 建築物なし
Building
location
地表 地表
送電線中心からの距離(m) 送電線中心からの距離(m)
a) 建築物あり b) 建築物なし
計算条件 導体の高さ 11.0 m
導体の間隔 1.12 m
建築物の高さ 20.0 m
架空送電線の中心から建築物までの距離 7.0 m
図A.11−25 kV架空送電線の電界等高線

――――― [JIS C 1911 pdf 21] ―――――

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C 1911 : 2013 (IEC 62110 : 2009)
0.30 0.08 Field at 1m from the ground (kV/m)
Electric
V/m)
0,08
V/m)
建築物あり 建築物あり
of the building
With the effect
k
0.25
地表面から1mの高さにおける電界分布(
k
建築物の壁面位置に沿った電界分布(
0.06 建築物なし
effect of the building
Without the
0,06
0.20
0.15 0.04
0,04
0.10
0.02
0,02
0.05
建築物なし
0.00
0.00
0 15 0,00
5 10 20 -4 2 6
-6 -2 0 4
地表からの高さ(m) 送電線中心からの距離(m)
図A.12−建築物の壁面位置に沿った電界分布,及び地上1 mの高さにおける電界分布

――――― [JIS C 1911 pdf 22] ―――――

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C 1911 : 2013 (IEC 62110 : 2009)
附属書B
(参考)
交流電力システムが発生する磁界の特性
B.1 一般的事項
磁界が均一であれば,磁界への平均ばく露レベルは1点測定で求めることができる。しかし磁界が不均
一な場合,平均ばく露レベルを推定するには適切な測定方法が必要である。このためには,電力システム
周辺の磁界の空間分布を理解しなければならない。
磁界の空間分布は,発生源の種類によって,例えば架空送電線,地中ケーブル,配電設備又は変電所の
いずれであるかによって異なる。また各系統の回線配列によっても異なる。
この附属書では,磁界の強さの一般的な計算手順,及び多様な電力システムが発生する磁界の空間分布
を計算した例を示す。
B.2 磁界の強さの一般的な計算手順
B.2.1 合成磁界
合成磁束密度Brは,式(B.1)で示す磁界ベクトルB及びBの内積の,周期Tにわたる平均値の平方根と
して定義することができ,式(B.2)で表す。
B ti
Bx )( tj
By )( tk
Bz )(
(B.1)
2Bx sin t i 2By sin t j 2Bz sint
ここに, i,j,k : 直交3方向の単位ベクトル
T
1 2 2 2
Br T B dt B dt
T 2
2
(B.2)
2 2 2
2Bx sin 2t 2By sin 2t 2Bz sin 2t dt
2
ここで式(B.3)の関係を用いると,式(B.2)を式(B.4)のように大幅に簡素化することができる。
1
sin2 t dt 1 cos 2t dt (B.3)
2
2 2 2
Br Bx By Bz (B.4)
このBrを単純に合成磁界と呼ぶ。これは,各軸成分間の位相差によって影響されることはなく,磁界の
各軸成分の実効値だけで決定される。
人体の磁界ばく露を評価する場合には,Brを用いることが望ましい。
B.2.2 単一周波数の交流磁界における最大及び最小の実効値
磁界ベクトルBの絶対値|B|が最大又は最小になる条件は,次のようになる。
d B
0 (B.5)
dt
|B|は式(B.6)によって表すことができる。

――――― [JIS C 1911 pdf 23] ―――――

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C 1911 : 2013 (IEC 62110 : 2009)
B BB
(B.6)
2 2 2
2Bx sin 2t 2By sin 2t 2Bz sin 2t
式(B.6)において式(B.5)を満足する条件は式(B.7)となる。
2ωt+δ=π又は2ωt+δ=0 (B.7)
ここで,δは式(B.8)で与えられる。
2 2 2
1 Bx sin 2 By sin 2 Bz sin 2
tan 2 2 2 (B.8)
Bx cos 2 By cos 2 Bz cos 2
式(B.7)を式(B.6)に代入すると,式(B.6)の|B|は式(B.9)で表される。よって,|B|の最小の実効値Bmin,及び
|B|の最大の実効値Bmaxは,それぞれ式(B.10)及び式(B.11)で求めることができる。
2 2 2 2 2 2
B Bx By Bz Bx cos 2 By cos 2 Bz cos 2 (B.9)
1
Bmax Max B
2
(B.10)
1 2 2 2 2 2 2
Bx By Bz Bx cos 2 By cos 2 Bz cos 2
2
1
Bmin Min B
2
(B.11)
1 2 2 2 2 2 2
Bx By Bz Bx cos 2 By cos 2 Bz cos 2
2
磁界の最大の実効値及び最小の実効値であるBmax及びBminは,それぞれだ円磁界の長径及び短径に対応
している。Bmax≦Brの関係は常に成り立ち,直線磁界ではBmax=Brとなる。
さらにBmax,Bmin及びBrの間には,式(B.12)の関係が成り立つ。
2 2
Br Bmax Bmin (B.12)
高調波を含む磁界では,Bmax及びBminを決定することは困難であるため,4.3に規定する方法でBrを測
定する。
B.3 架空送電線が発生する磁界の例
B.3.1 磁界の空間分布
図B.1は,2回線垂直配列の77 kV架空送電線が発生する磁界の強さの空間分布を計算した例である。
順相及び逆相の両方を考慮している。磁界の強さは,地表上1.0 mの高さにおいて,送電線の中心からの
距離の関数として計算している。各回線を流れる電流値は,平衡で200 Aと仮定した。

――――― [JIS C 1911 pdf 24] ―――――

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C 1911 : 2013 (IEC 62110 : 2009)
磁界(μT) 3.2 m 3.2 m
2.0 順相配列
順相
1.8 逆相 A A 3.0 m
B
A A 3.5 m 3.5 m
B B
1.6
B
C C
1.4 逆相配列 3.0 m
3.8 m 3.8 m
1.2 A C
B
A C
B
1.0 B
A
導体
B
C
0.8
0.6
11.0 m
0.4
0.2
0.0 1.0 m
-
30
-
20
-
10 0 10 20 30 地表
距離(m) 距離(m)
図B.1−77 kVの架空送電線下における磁界の強さの空間分布(77 kV,2回線垂直配列)
図B.2は,1回線水平配列の500 kV架空送電線が発生する磁界の強さの空間分布を計算した例である。
磁界の強さは,地表上1.0 mの高さにおいて,送電線の中心からの距離の関数として計算している。回線
を流れる電流値は,平衡で200 Aと仮定した。
磁界(μT)
4.5
位相配列
4.0 phase sequence 10.0 m 10.0 m
B
3.5 C A
導体
3.0
2.5
2.0
11.0 m
1.5
1.0
1.0 m
0.5
地表
0.0
- -
距離(m)
30 20 -10 0 10 20 30
距離(m)
図B.2−500 kV架空送電線下における磁界の強さの空間分布(500 kV,1回線水平配列)
B.3.2 磁界に影響を及ぼす要因
B.3.2.1 最低位置の導体と地表との間隔
図B.3は,2回線垂直配列の77 kV架空送電線が発生する磁界の強さの空間分布を計算した二つの例で
ある。一方の例では,最低位置にある導体と地表との間隔を11.0 mと想定し,他方の例ではそれを6.0 m
と想定した。順相及び逆相の両方を考慮している。磁界の強さは,地表上0.5 m,1.0 m及び1.5 mの高さ
において,送電線の中心からの距離の関数として計算している。各回線を流れる電流値は,平衡で200 A
と仮定した。
図B.3には,不均一性の計算結果も示しており,不均一性は式(B.13)の最大値として定義している。
Bh Bavg
N 100 (B.13)
Bavg
ここに, N : 不均一性(%)
Bh : 地表上0.5 m,1.0 m及び1.5 mの高さにおける磁界の強さ

――――― [JIS C 1911 pdf 25] ―――――

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JIS C 1911:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62110:2009(IDT)

JIS C 1911:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 1911:2013の関連規格と引用規格一覧