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C 1912 : 2014 (IEC 62233 : 2005)
4 試験方法及び限度値の選択
適切な限度値を選択する。
5.5.2の手順は,発生した電磁界のスペクトルに関係なく,全ての機器に適用できる。この手順は,標準
となる方法であり,疑義がある場合は,この方法を採用する。
電磁界の特定の状況(人体の位置又は測定配置)において,参考レベルを超える場合は,基本制限への
適合判定を行う。
一つの基本周波数成分及びその高調波成分によって構成される線状スペクトルを発生する機器には,
5.5.3の手順を適用してもよい。
機器から発生する電磁界の大部分が電源周波数及びその高調波に限る場合,その機器には,5.5.4の代替
試験方法の中のいずれかを適用してもよい。
動作サイクル全体が1秒未満の機器は,IEC 62311に規定するパルス電磁界に対する測定方法に従って
測定するが,動作条件,測定距離及び結合係数は,この規格で規定する。
最も簡単な方法からより複雑な方法へと,段階的な手順を適用してもよい(図1参照)。
5 測定方法
5.1 電界
電界の測定方法は,検討中である。
変圧器又は電子回路をもつ機器が1 000 V未満の電圧で動作している場合,その機器は,試験なしで適
合とみなす。
5.2 周波数範囲
対象とする周波数範囲は,10 Hz400 kHzとする(箇条1参照)。
1回の測定でこの周波数範囲を網羅できない場合は,各測定周波数範囲での重み付け結果を加える。
5.3 測定距離,センサの位置及び動作条件
測定距離,センサの位置及び動作条件は,附属書Aによる。
測定時の動作条件,測定位置及び測定距離は,試験報告書に記載する。
5.4 磁界センサ
測定面積は,各方向ごとに100 cm2とし,この面積全体で平均化した磁束密度を測定値とする。標準セ
ンサの構成は,等方向性感度を得るために,相互に直交する軸をもち,測定面積が100 cm2±5 cm2で,三
つのコイルからなる。標準センサの外径は,13 cmを超えてはならない。
結合係数を決定する場合,附属書Cに規定する測定面積が,3 cm2±0.3 cm2の等方向性センサを用いる。
適切な加算法と組み合わせて,単一方向センサ(等方向性ではない。)を用いてもよい。
注記 磁束密度の最終値は,各方向ごとに測定した値のベクトル和である。これによって,測定値は,
磁界ベクトルの方向に依存しなくなる。
5.5 磁界の測定手順
5.5.1 一般
測定信号は,周波数との関係で評価する。独立した複数の磁界源を考慮して,一番大きい測定値を採用
する。
継続時間が200 ms未満の過渡磁界(例 スイッチの開閉のとき)は,無視する。
測定中に開閉動作が発生した場合には,再測定を行う。
測定器の内部雑音は,限度値の5 %以下とする。内部雑音の最大レベルより低い測定値の場合は,無視
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する。
背景雑音は,限度値の5 %以下とする。
測定器の応答時間(最終値の90 %に達するまでの時間)は,1秒を超えてはならない。
磁束密度は,1秒間の平均とする。
磁界源からの10 Hz400 kHzの信号が,1秒を超えて一定であることが分かっている場合は,1秒未満
のサンプリング時間を用いてもよい。
適合判定のために行う最終測定の場合には,センサを固定しておくことが望ましい。
5.5.2 時間領域評価
磁束密度の時間領域測定は,信号の種類に関係なく行うことができる。複数の周波数構成要素をもつ磁
界の場合,周波数の関数である参考レベルの逆数となる伝達関数Aを実行することによって,参考レベル
の周波数依存が織り込まれる。
参考レベルの周波数依存の例を,図2に示す。
伝達関数Aは,参考レベルBRLをB0で正規化した関数の逆数であり,B0は,基準周波数fc0でのBRLで
ある。
注記1 正規化には,電源周波数を用いることが望ましい(例 fc0=50 Hz又は60 Hz)。
一次フィルタを用いることによって,伝達関数Aとすることができる。伝達関数の特性例を,図3に示
す。
伝達関数を表す一般式を,式(1)に示す。
BRL ( fc 0 )
A( f ) (1)
BRL ( f )
ここに, A(f) : 周波数fを変数とした伝達関数
BRL(fc0) : 基準周波数fc0での磁束密度の参考レベル
BRL(f) : 周波数fでの磁束密度の参考レベル
伝達関数の始点は,f1=10 Hzとする。伝達関数の終点は,fn=400 kHzとする。
注記2 伝達関数の数値例については,表D.1及び表D.2を参照。
測定及び結果の処理は,次によって行う。
・ 各コイル信号を個別に測定する。
・ 伝達関数を用いて各信号に重み付けを行う。
・ 重み付け信号を二乗する。
・ 二乗した信号を加算する。
・ 和を平均する。
・ 平均の平方根を得る。
この結果は,磁束密度の重み付け実効値となる。
この手順の概念を,図4に示す。
注記3 伝達関数A(図4の破線部分)は,磁束密度B(t)に対して時間微分を行うセンサコイル,
及び“遅れ又は進み素子”を用いたローパスフィルタである。ローパスフィルタは,“遅れ又
は進み素子”によって決まるコーナ周波数(遮断周波数)より低い周波数帯域では,信号を
通過させ,高い周波数帯域では,周波数に比例して信号を減衰させる(参考文献[24]参照)。
また,高い周波数帯域では,信号に対して時間積分する特性によって,出力を得る。この出
力は,図3に示す伝達関数Aを用いた評価となる。コーナ周波数(遮断周波数)は,図3の
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伝達関数に示すfc1である。
注記4 時間領域信号に用いる伝達関数のこれ以外の方法として,電子回路によるアナログフィルタ,
あらかじめプログラムされたデジタルシグナルプロセッサ,信号アナライザ,表計算ソフト
ウェア,専用のプログラムを用いたコンピュータによる計算などがある。
注記5 50 Hz又は60 Hzの電源周波数を用い,その高調波及びそれらの周波数範囲全体で,実質的
に周波数に依存しない磁界強度を限度値とする多くの機器に関しては,伝達関数なしでこの
方法が使用できる。この方法は,例えば,20 Hz759 Hzの周波数範囲で,磁束密度に関し
て,最大許容ばく露値(maximum permissible exposure,MPE)が一定であるIEEE C95.6:2002
[12]の安全規格に対して使用できる。この場合,当該周波数範囲での実効値の測定だけを行
い,その測定結果を,直接,限度値(例 MPE)と比較できる。
この測定結果は,基準周波数fc0での参考レベルBRLと,直接,比較する。局所的な磁界を発生する機器
では,附属書Cに規定する結合係数ac(r1)を織り込んで比較する。最終の重み付け結果Wn及び結合係数を
織り込んだ重み付け結果Wncは,式(2)及び式(3)によって求めることができる。
Brms
Wn (2)
BRL
Wnc Wn
ac (r1 ) (3)
ここに, Wn : 1回の測定での重み付け結果
Brms : 磁束密度の重み付け実効値
BRL : fc0での磁束密度の参考レベル
Wnc : 不均一な磁界の結合を考慮してac(r1)を織り込んだ1回の測
定での重み付け結果
ac(r1) : 附属書C又は表D.3による結合係数
重み付け結果Wn及びWncは,値1を超えてはならない。
5.5.3 線状スペクトル評価
この方法は,線状スペクトルしかない(例 50 Hz又は60Hzの基本周波数と幾つかの高調波とで構成さ
れる。)場合に適用できる(箇条4参照)。
該当する各周波数で磁束密度を測定する。これは,磁束密度の時間信号を記録し,スペクトル構成要素
にフーリエ変換を行うことによって測定できる。
測定は,次の手順による。
・ 各コイル信号(x,y,z)を別々に測定する。
・ B(t)の値を得るために信号を積分する。
・ 各コイルに離散フーリエ変換を行い,i(i=1,2,3,···)番目の離散周波数f(i)=i/T0における実効値を
表す離散振幅スペクトルの推定値B(i)を得る(T0 : 観測時間)。
・ 離散スペクトルB(i)から,j(j=1,2,3,···)番目に磁束密度が極大となるB(j),対応する周波数f(j)を
特定する。
・ 全ての離散スペクトル線B(j)で全3方向のベクトル加算を行う。
2x 2y 2z
B( j) (4)
B ( j)+B ( j)+B ( j)
最後の二つの処理アルゴリズムは,式(4)でB(j)の代わりにB(i)を用いる場合,入れ換えることができる。
結果は,検出された各周波数での磁束密度の値となる。
測定値と限度値とを比較する場合,参考レベルBRL(j)を用いる。局所的な磁界を発生する機器では,附
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属書Cで規定する結合係数ac(r1)を織り込む。複数の周波数成分をもつ磁界では,周波数重み付け合計の
計算が必要となる。
重み付け結果は,式(5),又は結合係数を織り込んだ式(6)によって求める。
n 2
B( j)
Wn (5)
BRL ( j)
j=1
Wnc Wn
ac (r1 ) (6)
ここに, Wn : 1回の測定での重み付け結果
B(j) : 測定スペクトルのj番目の周波数線における磁束密度
BRL(j) : j番目の周波数における磁束密度の参考レベル
Wnc : 不均一な磁界の結合を考慮してac(r1)を織り込んだ1回の測
定での重み付け結果
ac(r1) : 附属書C又は表D.3による結合係数
注記1 結合係数は,周波数に依存しない。詳細については,附属書Cを参照。
決定した重み付け結果Wは,値1を超えてはならない。
1とだけ比較する場合は,平方根を得る必要はない。
注記2 単純な総和は,ばく露量が過大評価となる。したがって,高調波成分又は雑音成分が含まれ
る広帯域磁界では,総和式による結果を限度値と比較することは,振幅が同位相にないため
に,安全側(不適合を適合とする間違いをしない。)の判定となる。大半の測定器では相対位
相を測定しない(スペクトルアナライザを用いる場合など)が,周波数成分の実効値の総和
は求める。通常,位相を完全に無視するよりは,現実的な結果が得られる。
5.5.4 代替試験方法
電源周波数及びその高調波だけの磁界が発生するような機器の場合は,2 kHz未満の周波数における試
験だけでよい。
こうした機器では,選択した参考レベルに基づいて,簡略化した手順によって試験できる。
注記1 このような方法は,いずれも安全側を考慮したものである。値として測定しないで,合格又
は不合格の判定を行う。このような手順で不合格になっても,この規格の要求事項を満たし
ていないということを意味するものではない。このような場合は,5.5.2又は5.5.3の詳細な
方法を採用するのがよい。
注記2 JIS C 61000-3-2に従って,高調波電流の測定が可能である。多くの場合,このような値は既
知となっている。
5.5.4.1 特定勾配で減少する参考レベル
調査対象周波数範囲の参考レベルが1/f以下の勾配で減少する場合は,次の5.5.4.1.1又は5.5.4.1.2のい
ずれかを適用するのがよい。
注記 この箇条は,例えば附属書Bに示す,時間的に変化する電界及び磁界への公衆ばく露に対して
のICNIRPの指針[11]の参考レベルが該当する。
5.5.4.1.1 特定勾配,第一手順
次の二つの条件を満たす場合,機器は,この規格の要求事項に適合する。
・ 重み付けをしない(伝達関数を適用しない)広帯域測定時の磁束密度Bが,電源周波数における参考
レベルの30 %未満である。
・ 振幅が電源周波数における振幅の10 %より大きい全ての高調波電流が,調査対象周波数範囲全体で連
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続的に減少する。
最初の条件(Bが基準レベルの30 %未満。)を満たしていない場合は,5.5.4.1.2の手順での適合性を確認
するのがよい。
5.5.4.1.2 特定勾配,第二手順
次の三つの条件を全て満たす場合,機器は,この規格の要求事項に適合する。
・ 電源周波数における磁束密度が,電源周波数における参考レベルの50 %未満である。
・ 電源周波数の入力を抑制(アクティブノッチフィルタ)して,重み付けをしない(伝達関数を適用し
ない)広帯域測定時の測定磁束密度Bが,調査対象周波数範囲全体で,電源周波数における参考レベ
ルの15 %未満である。
・ 振幅が電源周波数における振幅の10 %より大きい全ての高調波電流が,調査対象周波数範囲全体で連
続的に減少する。
5.5.4.2 参考レベル一定
参考レベルが電源周波数の第10次高調波まで一定であり,かつ,調査対象周波数範囲の中で,第10次
高調波より高い周波数で,一定又は1/f以下の勾配で減少する場合は,高調波電流の追加測定を行うこと
なく,5.5.4.1で規定する方法を適用できる。
注記 この箇条は,例えば附属書Bに示す,0 kHz3 kHzの電界及び磁界への人体ばく露に対しての
IEEE C95.6:2002 [12]安全規格の参考レベルが該当する。
この簡略化した試験方法は,次の5.5.4.2.1又は5.5.4.2.2による。
5.5.4.2.1 参考レベル一定,第一手順
次の条件を満たす場合,機器は,この規格の要求事項に適合する。
・ 重み付けをしない(伝達関数を適用しない)広帯域測定時の測定磁束密度Bが,電源周波数における
参考レベルの30 %未満である。
この条件を満たしていない場合は,5.5.4.2.2の手順によって適合性を調べるのがよい。
5.5.4.2.2 参考レベル一定,第二手順
次の二つの条件を満たす場合,機器は,この規格の要求事項に適合する。
・ 電源周波数における磁束密度Bが,電源周波数における参考レベルの50 %未満である。
・ 電源周波数の入力を抑制(アクティブノッチフィルタ)して,重み付けをしない(伝達関数を適用し
ない)広帯域測定での測定磁束密度Bが,調査対象周波数範囲全体で,電源周波数における参考レベ
ルの15 %未満である。
5.6 測定の不確かさ
測定全体での不確かさの最大は,限度の25 %を超えてはならない。不確かさの評価に関する手引は,JIS
C 1910による。
注記1 測定の不確かさには,センサの位置,動作条件,背景雑音又は測定器の仕様範囲を超える信
号の影響を含んでいる。
注記2 測定の不確かさが測定値の25 %を超える場合,用いる限度値にこの不確かさを換算する必要
がある。
結果を限度値と比較する必要がある場合,測定の不確かさを次のように処理する。
・ 機器から発生する磁界が限度値以下であることを確認する場合は,結果に測定の不確かさを加え,そ
の和を限度値と比較する。
注記3 例えば,製造業者が行う測定には,この方法を適用する。
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JIS C 1912:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC1910:2004
- 人体ばく露を考慮した低周波磁界及び電界の測定―測定器の特別要求事項及び測定の手引き