JIS C 2501:2019 永久磁石試験方法 | ページ 2

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図2−電磁石及び磁化システム構成

4.2 幾何学的条件

  図2に関して,円形磁極の直径又は長方形磁極の最も小さい側の寸法(d1)は,次の関係式を満足する
必要がある。
d1≧ d2 l (2)
d1≧ 0.2 l (3)
ここに, d1 : 円形磁極の直径又は長方形磁極の最も小さい側の寸法
(mm)
l' : 磁極間距離(mm)
d2 : 均一磁界部分の円柱体積の最大直径(mm)
空隙の中心における磁界強度に関して,式(2)で半径方向(d2/2)における最大磁界の減少は1 %以内と
し,式(3)で磁極面における軸に沿う最大磁界の増大は1 %以内とする。

4.3 電磁石の条件

  減磁曲線の測定において,磁極の磁束密度は,磁極面が極力等磁位を保つように実質的に飽和磁気分極
よりも低くする。磁束密度は,鉄の場合1 T以下で,コバルト含有率が35 %50 %の鉄合金の場合は1.2 T
以下とする。
ヨークは,試験片にできるだけ近く対称的に配置された磁化コイルによって励磁する(図2参照)。試験

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片の軸は,磁化コイルの軸と一致させる。
測定に先立ち,試験片は,試験片を飽和状態に近づけることのできる最大磁界Hmaxで磁化する。減磁曲
線の測定は,初期磁化に用いた磁界と逆方向の磁界で行う。
ヨーク内で試験片を飽和させるほどに磁化できない場合[例えば,式(4)及び式(5)のいずれも満たされな
い場合],試験片は,電磁石外部で超電導コイル,パルス磁化器などで磁化する。
各種永久磁石に推奨されるHmaxは,IEC TR 62517[2]に示す。
製品規格が最大磁界強度Hmaxを規定しない場合,又は製造業者が宣言しない場合,減磁曲線の測定前に,
試験片を飽和磁化させることを推奨する。試験片は,磁界強度H1及びH2の関係が次の式(4)及び式(5)を満
たすとき,飽和磁化したとみなす。
.0025 24
P2 ≦ P1H2 /H1 (4)
及び
H≧
2 2.1H1 (5)
ここに, P2 : 最大到達可能 (BH) max値(J/m3),又は最大到達可能HcB
値(A/m)
P1 : 低い方の (BH) max値(J/m3),又は低い方のHcB値(A/m)
H2 : P2に対応する磁界強度(A/m)
H1 : P1に対応する磁界強度(A/m)
H2/H1が1.5の特別なケースでは,式(4)はP2<1.01 P1になる。
いかなる場合も,磁化プロセスが試験片を過度に加熱する原因となってはならない。

5 試験片

  試験片は,単純な形状(円柱又は直方体)とする。試験片の長さlは,5 mm以上で,その他の寸法も5
mm以上とし,試験片及び検出部は,4.2で定義する直径d2内に配置する。
注記 希土類永久磁石材料のように高い (BH) maxをもつ試料の場合,磁化方向の長さlが5 mm未満に
なることがある。そのような長さの試験片を測定する場合は,電磁石の磁極間の磁場の均一性
が悪化する。磁極間距離が磁場の均一性に与える影響はChenら[3]によって報告されている。
測定結果を評価するときにはその寄与を考慮し,必要な場合,その寄与を測定の不確かさに含
める。これらの試験片の厚さにおいては,試験片と磁極との間の空隙の影響も増大する。した
がって,空隙は慎重に最小化する必要がある。REFeB焼結磁石の機械加工された表面は,磁気
特性が劣化している。厚さが5 mm未満及び/又は高いS/V比率(ここに,Sは試験片の表面積
で,Vは体積を指す。)をもつ試験片の磁気特性評価は,慎重に行う必要がある。この場合,減
磁曲線の角形性の劣化が,通常,観察される。
空隙を小さくするために試験片の端部はできるだけ互いに平行かつ試験片軸方向と直角にする(附属書
A参照)。
試験片の断面積は,試験片の長さ方向に対してできるだけ均一にし,その変動は最小断面積の1 %未満
とする。平均断面積は,1 %以内の精度で決定する。
試験片は,磁化方向に印を付ける。

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6 磁束密度の測定

  試験片における磁束密度の変化は,サーチコイル中に誘導される電圧Uを積分して測定する。
サーチコイルは,できるだけ試験片に密着し,磁極面に対して対称に巻き付ける。リード線はきつくね
じり,リード線中のループ内に誘導される電圧によって発生する誤差を避ける。
磁束密度測定の総合測定誤差は,±2 %とする。
二つの瞬間t1とt2との間における空隙磁束を補正しない見掛けの磁束密度の変化量ΔBapは,次の式(6)
によって求める。
1 t2
Bap B2 B1 Udt (6)
AN t1
ここに, B2 : t2における磁束密度(T)
B1 : t1における磁束密度(T)
A : 試験片の断面積(m2)
N : サーチコイルの巻数
1 t2
: (t2−t1)の時間間隔(秒)におけるサーチコイルに誘導
Udt
t される電圧の積分値(Wb)
見掛けの磁束密度の変化量ΔBapにおけるこの変化は,サーチコイルに含まれる空隙磁束を考慮して補正
する。したがって,試験片中における磁束密度変化ΔBは,次の式(7)によって求める。
ap At A
B B 0 H (7)
A
ここに, μ0 : 真空の透磁率=4π×10−7(H/m)
ΔH : 磁界強度測定値の変化(A/m)
At : サーチコイルの平均断面積(m2)

7 磁気分極の測定

  試験片における磁気分極の変化は,二つのコイルCOIL 1及びCOIL 2で構成されるサーチコイルデバイ
スの端子における誘導電圧を積分することによって測定する。ここで,試験片はCOIL 2の中に置かれ
COIL 1は空とする。個々のコイルの断面積と巻数の積が同じで,電気的に互いに打ち消し合うように接続
する場合,COIL 1の出力によってCOIL 2の試験片の磁気分極J以外の出力が打ち消される。試験片の磁
気分極の変化ΔJは,次の式(8)によって求める。
1 t2
J J2 J1 Udt (8)
AN t1
ここに, J2 : t2における磁気分極(T)
J1 : t1における磁気分極(T)
A : 試験片の断面積(m2)
N : サーチコイルの巻数
1 t2
: (t2−t1)の時間間隔(秒)におけるサーチコイルに誘導
Udt
t される電圧の積分値(Wb)
したがって,COIL 2の試験片による磁気分極J以外の出力は,COIL 1の出力によって打ち消される。
同一の二つのサーチコイルを用いることで,ある範囲の断面積をもつ試験片は,個々の空隙の磁束を補正
する必要なく測定できる。二つのサーチコイルは,式(2)及び式(3)で定義される均一磁界内の直径d2で限
定される範囲内に設置する。
磁束密度(又は磁気分極)の測定に用いる積分器及びBコイル(又はJコイル)は,トレーサビリティ

――――― [JIS C 2501 pdf 8] ―――――

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のある磁束源によって校正する(例えば,附属書JAに示す相互誘導器及び電圧の時間積による磁束源を
用いて校正する方法などがある。)。
総合測定誤差は,±2 %でなければならない。

8 磁界強度の測定

  試験片の表面及び内部の磁界強度は,磁界強度ベクトルが試験片側面に平行になっている空間部におい
てだけ等しくなる。したがって,磁界強度センサ(以下,Hセンサという。)は,試験片に対してできるだ
け近い均一磁界内に,磁極面に対して対称に置く(図2参照)。
磁界強度を測定するために,フラットサーチコイル,磁気ポテンショメータ又はホールプローブを適切
な計器とともに用いる。Hセンサの寸法及びその位置は,直径がd2で限定される範囲内でなければならな
い[式(2)及び式(3)参照]。
測定誤差を低減するために,試験片と磁極との間の空隙は小さくする。空隙の影響は,附属書Aで規定
する。
磁界強度の測定システムは,校正しておく。フラットサーチコイルにおける実効面積と巻数の積NA(N
は巻数で,Aは実効面積),及び磁気ポテンショメータにおけるポテンショコイルの長さを校正する。ホー
ルプローブは,NMR(核磁気共鳴)などの適切な手段によって校正する。
総合測定誤差は,±2 %でなければならない。
注記 電磁石の磁極面は,通常,等磁位面とする(箇条4参照)。高い残留磁束密度,高い保磁力又は
両方同時にもつ永久磁石材料の場合,1.0 T又は1.2 T以上の磁束密度をもつ場合がある。これ
らは,試験片に近接する磁極面に磁気飽和を生じさせる可能性がある。このようなケースでは,
磁極面がもはや等電位面ではなくなり,誤差が大きくなるおそれがある。

9 減磁曲線の測定

9.1 概要

  減磁曲線は,B(H) 又はJ(H) のグラフとして求める。初めに測定されたBシグナルのJシグナルへの変
換及びその逆変換は,式(1)の0Hをそれぞれ減算又は加算することによって電気的又は数値的に行うこと
ができる。
B(H) 曲線の測定は,9.2及び9.3による。J(H) 曲線については,磁束密度Bが関連する式及び曲線によ
って磁気分極Jで置き換えられる場合は,同様とする。
測定は,周囲温度が(23±5)℃で行う。温度係数α(HcJ) の大きな永久磁石の測定においては,測定操
作中は試験片の温度が19 ℃27 ℃の範囲において±1 ℃に制御して行う(附属書B参照)。試験片の温度
は,電磁石の磁極面に取り付けた非磁性温度センサで測定する。測定計器の温度依存性(例えば,ホール
プローブの出力の温度依存性)についても考慮する。
注記1 HcJが1.6 MA/m以上の測定では,磁極面の飽和の影響によって測定値に誤差が現れる場合が
ある。
注記2 昇温時の測定方法(参考)については,IEC TR 61807[4]及び附属書JBに示されている。

9.2 減磁曲線の測定原理(電磁石で磁化された試験片の場合。)

  磁束密度B又は磁気分極Jの測定に用いるBコイル又はJコイルは,ゼロに調整した校正済み磁束積分
器に接続する。試験片は,Bコイル又はJコイルに挿入して電磁石に組み込み,飽和状態まで磁化する。
次に,磁化電流を非常に低いレベルかゼロまで低下させる又は必要な場合,極性を逆転することによって,

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磁界強度をゼロにする。それに対応する磁束密度B又は磁気分極Jの値を,記録する(図3参照)。
逆方向へ磁化するための電流は,磁界強度が保磁力HcB又は固有保磁力HcJを超すレベルまで徐々に増
大する。ある種の材料の場合,磁束密度の変化と磁界強度の変化との間に顕著な遅れがある。この場合,
正確な積分値を確保するためには,高感度,ゼロ点変動(ドリフト)が小さい,及び測定レンジが大きい
という性能が積分器に必要である。
磁極を反転する間の磁界強度の変動速度(dH/dt)は,磁界強度Hに対する磁束密度Bの遅れ又は試験
片における渦電流の発生を避けるために,十分遅くする。
減磁曲線における磁界強度Hと磁束密度B又は磁界強度Hと磁気分極Jとの対応値は,磁界強度の測定
装置及び磁束積分器の出力に接続した記録計で得られる連続減磁曲線,又は磁界強度と磁束密度若しくは
磁気分極との一点一点の測定から得る。
H : H測定器 E : 磁化電源装置
J : J測定器 自記磁束計 S : 切換開閉器
R : X-Y記録計
図3−測定回路(概要)

9.3 減磁曲線の測定原理(超電導コイル又はパルス磁化器で磁化された試験片の場合。)

  箇条4に従って,超電導コイル又はパルス磁化器を使用し,試験片を飽和状態まで磁化する。飽和状態
にするために必要な磁界強度は,永久磁石の磁化過程によって異なる。詳細は,IEC TR 62517[2]に示す。
磁束密度B又は磁気分極Jの測定に使用されるBコイル又はJコイルは,ゼロに調整した校正済み磁束
積分器に接続する。試験片は,サーチコイルの中へ挿入し,電磁石に組み込み,超電導コイル又はパルス
磁化器で着磁した方向と同じ方向に飽和状態まで着磁する。
磁化電流を非常に低いレベルかゼロまで低下させる又は必要な場合,極性を逆転することによって,磁
界強度をゼロにする。それに対応する磁束密度B又は磁気分極Jの値を,記録する。
9.2に従って,逆方向への磁化のための電流は,磁界強度が保磁力HcB又はHcJを超すレベルまで徐々に
増大する。
電磁石を使用して得られた磁界強度では,固有保磁力(HcJ)の高い値を計測するためには不十分な場合
がある。その場合,超電導ソレノイド,パルス磁力計(IEC TR 62331[1]参照)などの装置を用いて測定を
行う。一般的に,2 MA/mよりも高い保磁力をもつ永久磁石の磁気特性を決定するために,この規格で規
定する方法は,Br,HcB及び (BH) maxの測定に用い,超電導ソレノイド又はパルス磁場を用いる磁力計は,
HcJを測定するために用いる。ただし,これらの方法は,規定ではない。

――――― [JIS C 2501 pdf 10] ―――――

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  • IEC 60404-5:2015(MOD)

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