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C 2560-2 : 2006
4. 標準試験状態
4.1 一般事項
磁心は,必要があれば規定の測定方法のための消磁を5.1.2によって行う。
すべての試験手順の間,磁心は機械的及び磁気的な障害から保護されていなければならない。測定コイ
ル上に温度変化による結露があってはならない。
4.2 標準大気条件(標準状態)
他に規定がない場合,全ての測定はJIS C 60068-1の標準試験状態にお
ける温度及び湿度の範囲内で実施する。測定の間,測定結果に大きな影響を及ぼすほどの温度変化があっ
てはならない。恒温槽が必要な場合,磁心及び締付けジグが温度平衡に達するのに十分な時間,試験環境
に放置し,測定中も温度を一定に保つ。
備考 測定は,1535 ℃の温度範囲(望ましくは25 ℃±3 ℃)及び2575 %の湿度範囲内で実施
する。
5. 電磁気的試験
フェライト磁心の電磁気的特性は,次の手順で測定する。
5.1 一般事項
5.1.1 一般的な注意事項
a) 実用上との関係 測定条件は,磁心の性能を判定するのに適したものを選択する。すべての条件が一
般的に広く用いられている条件と一致しなくてもよい。
b) 組立磁心の固定 組立磁心は,測定の間締付けジグで固定する。この締付けジグは,接触面に均一な
力が加わり,磁心をしっかりと固定できるものでなければならない。締付けジグの締付け圧力は,測
定する特性の変動をできるだけ小さくするような範囲の値とする。測定の間,締付け圧力は±10 %の
許容差で一定に保たなければならない。
備考 インダクタンスはこの締付け圧力の変動に最も敏感な特性であるため,インダクタンス測定の
ための特別な締付け圧力を規定してもよい。また,この圧力を他の測定に適用してもよい。
組立磁心の接合面は,測定前にきれいな状態にしておく。境面及び加工面からは特にほこり
を取り除く。磁心に測定コイルを組み込むときに,座金などの非磁性な緩衝材で固定する。磁
心は,ずれないように配置し,測定時間内の特性の変動が無視できるほど十分な時間,規定し
た力を加える。
c) 測定コイルの選定 測定コイルは,次の指針を参考に選定する。
− 巻数は測定条件,使用する測定器及び必要な測定精度との兼ね合いで規定する。
− 巻線の抵抗成分及び静電容量成分は,関連する測定誤差と比べて,無視できる程度に小さくする。
複数巻線したコイルからなる磁心の場合,それらの巻線間静電容量はできるだけ小さく保つ。
− 巻線は,できるだけ100 %の結合状態となるように,磁心の近くに巻く。
− リング形磁心の場合,巻線は磁心の周りに均等に巻かなければならない。 他の形状の磁心については,
できるだけ多くの窓(巻き線が挿入される部分)面積を占有するように配置する。これは大きなギャ
ップをもった磁心のインダクタンスの測定のときに,特に重要な注意事項である。
5.1.2 消磁
5.1.2.1 目的 測定に先立ち,磁心を再現性のある消磁状態にする。
5.1.2.2 原理 消磁には,次の二つの方法がある。
a) 磁心に十分な強さの交流磁界を印加し,その振幅を徐々に0(零)に近付ける電気的方法
b) 磁心をキュリー温度以上にする熱的方法
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5.1.2.3 電気的方法の手順 磁界の強さの初期のピーク値は,磁化曲線の変曲点よりも十分に大きく,振
幅を減少させるときには,1サイクルに2回磁束が方向変換するようなものでなければならない。
次の二つの方法のうちいずれかを行う。
a) 磁気履歴を消去しながら,測定コイルに交流電流を流す。電流の減少が線形的な場合は1),指数関数
的な場合には2)による。磁心には,消磁を実施する間,電流による発熱があってはならない。
1) 線形的な場合 : 正弦波発生器で電力増幅器に入力信号を供給する。適切なゲイン制御回路を使い,
望ましい周波数及び規定のピーク振幅を調整するために磁心の試験巻線に電流を流し,間隔ごとの
出力信号の振幅を調節する。交流は50 Hz以下でなければならない。
2) 指数関数的な場合 : コンデンサはプリセット電圧で充電し,調整する磁心の試験巻線と直列なイン
ダクタを介して放電する。放電回路におけるコンデンサ,磁心の巻線と直列なインダクタ及びその
他の部分が,振動電流を決定する。同方向での各交流電流ピーク値の比は,0.78以下でなければな
らない。
b) 磁心を電磁石のギャップの中で交流磁界にさらす。コイルの巻数,電流及びギャップの寸法は,ギャ
ップに約25 kA/mの磁界の強さが得られるように調整する。
5.1.2.4 熱的方法の手順 磁心は規定の温度変化速度で加熱し,キュリー温度より約25 ℃高い温度で30
60秒間そのままの状態を維持する。加熱速度は,2 ℃/sを超えてはならない。また,冷却速度は5 ℃/s
を超えてはならない。この方法を用いる前に,加熱サイクルの結果として,磁心材料が非可逆変化を示さ
ないものであることを確認する。すべての手順の間,磁心は,磁気的障害及び機械的ストレスから守られ
なければならない。
5.1.3 測定精度 特性の測定中に得られる精度は,その測定方法と関連する。試験方法は,その精度が規
定の特性限界値を満足するように選択する。
測定における精度は,使用する測定装置固有の精度だけでなく,環境条件及び磁心と測定コイルとの組
立状態によって決まる。これは測定のために暫定的な方法で磁心と測定コイルとを組み立てることによっ
て起こる。フェライト材料で作られた磁心の測定方法の精度は本質的に限定され,一般磁性部品に用いる
測定方法の精度とは異なる。したがって,磁心の測定方法とその磁心を使用した磁性部品の測定方法との
必要な相関関係を考慮することが望ましい。
5.2 低磁界における磁気特性の測定
5.2.1 透磁率測定に関する一般的注意事項
a) パラメータ 磁心の実効透磁率は,磁気履歴,時間,温度,磁界強度,機械的圧力,測定電流の周波
数,磁心形状,測定巻線の位置などの多くの要因に依存する。この規格で説明する個々の測定方法で
は,例えば時間,温度などの要因の一つを選択し,測定の間は他のすべての要因による影響を排除す
ることに注意する。
例えば,締付けジグの締付け圧力は,圧力の変化が測定結果に影響しないように,時間の経過又は
温度の変化によらず一定でなければならない。
b) 組立磁心の固定 組立磁心の固定は,5.1.1 b)による。
5.2.2 低磁界での損失測定に関する一般的注意事項
5.2.2.1 損失の要因 低磁界では,コイルなどを用いて測定する磁心の損失は,多くの要因を含んでいる。
それは磁心固有のもの,コイルなどと測定器との接続によるものなどである。
コイルを用いる測定では,次の要因によって損失を区別することができる。
− コアロス
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− コイルの直流損失
− 表皮効果及び近接効果による損失
− コイルの誘電損失
− 接続された配線の損失
− その他の要因による損失(例えば,コンデンサとの共振)
全損失からコアロスを分離できるように,他の要因による損失を無視できる測定条件を選び,設定する。
コイルの直流損失及びその他の要因による損失は,測定時に分離することが可能である。また,それ以外
に起因する損失は,計算又は実験によって求めることも可能である。
ギャップがないか又はあっても非常に小さなフェライト磁心(例えば,リング形磁心及びギャップのな
い形状の磁心)では,コアロスの限定(分離)は比較的容易である。理由は,適切に設計されたコイルを
用いることよって,コアロスが他の要因による損失よりはるかに大きな値を示すようになるためである。
これは,コアロスを得ることが難しいギャップ付き磁心の測定には当てはまらない。
ギャップ付きの場合,次の二つの測定方法がある。
a) ギャップがない状態で測定した損失を基に,ギャップ付き磁心の損失を計算する。
備考 ギャップ付き磁心と異なる形状をしたギャップなし磁心の損失値を用いてはならない。同材質
で作られたリング形磁心を使った場合,渦電流損失は磁心の形状に大きく影響を受けてしまう
ためである。ただし,中心部に開口がある形状にトロイダル状(環状)に巻線した磁心は,こ
の限りではない。
b) 磁心及びコイルの損失の分離はせず,同一構造及び同一直流抵抗をもつコイルを使って,異なる磁心
を測定して得られた結果と磁心及び測定コイルの全損失とを比較する。
最良な方法は同じ製造元のものか,少なくとも(空心)コイルの直流抵抗値を含む同一仕様の測定
コイルを用いることである。
5.2.2.2 組立て 磁心と周囲の物との間に磁気的な結合が生じないようにする。
試料の移動による付加的な誤差が生じないように,測定コイルなどと測定装置とはできるだけ短く配線
する。配線部分における誘導電圧の影響を軽減させるために接続導線をねじるのも効果的である。組立磁
心と測定コイルとは通常5.1.1 b)によって固定する。
備考1. tan びTHDFの測定に関して,締付け圧力は0.2 N/mm2±10 %に保持し,突合せ面に
垂直な方向にだけ力を加えることが望ましい。
2. AL, 愀 DF及びZNの測定に関して,実効断面積(Ae)が50 mm2未満である磁心については締
付け圧力を0.61.0 N/mm2の範囲とし,実効断面積(Ae)が50 mm2以上の磁心については締付
け圧力を50 N±10 %とすることが望ましい。
磁心の測定巻線の位置決めは,5.2.4.3による。
5.2.3 消磁 消磁は,5.1.2による。
5.2.4 インダクタンス
5.2.4.1 一般事項 5.2.5では測定方法の詳細ではなく,電気計測器に依存する,インダクタ及びトランス
のインダクタンスの測定についての一般的な注意事項を規定する。
測定の目的は,次の三つに分類される。
a) 磁心のインダクタンス特性の絶対値を求める。
b) ある条件の下でインダクタンス値の条件依存を求める。
c) 測定結果から特定条件下での磁心材料の透磁率を計算によって求める。
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5.2.4.2 試験信号の決定 インダクタンスの測定には,交流磁気特性測定装置を使用する。装置は周波数
が選択でき,電圧値又は電流値のいずれかが設定可能な正弦波交流信号を出力できなければならない。装
置の試験信号は電圧及び電流の大きさに限界があるため上限値には注意する。等価並列回路が指定されな
い場合,等価直列回路を使用して測定する。
測定装置の推奨精度は,それぞれの周波数におけるインピーダンス又はインダクタンスレベルによって
変化するため,それぞれの周波数における特定のインピーダンスについて装置の要求精度を検証する。
測定電流の周波数及びピーク磁束密度は,一定に保つ。
備考 磁心のピーク磁束密度B(交流磁束密度)は,次の式によって算出する。
2Vrms
B (7)
2 f N Ae
ここに, B : ピーク磁束密度(T)
Vrms : コイルに印加された正弦波電圧の実効値(rms値)
f : 信号周波数(Hz)
N : 巻数
Ae : 実効断面積(m2)
推奨するピーク磁束密度は,0.5 mTである。この磁束密度の値は,レイリー領域内にある。
試験周波数は,10 kHz又は100 kHzのいずれかであることが望ましい。次の基準によって10 kHz又は
100 kHzを選択する。
a) 測定装置は,試料の予想されるインピーダンスに必要な交流電圧及び交流電流を供給する能力をもつ。
b) 試験装置は,要求精度を満足する能力をもつ。
c) 試験周波数は,自己共振周波数から十分に離れていなければならない[周波数を変えることによって
自己共振の影響が無視できる程度の値(10 %未満)になるようにする。]。
d) 磁性材料の透磁率の周波数依存が低い[周波数を変えることによって周波数依存性の影響が無視でき
る程度の値(10 %未満)になるようにする。]。
自己共振周波数の影響を避けてインダクタンスを測定するのに適切な周波数範囲を,図1に示す。
自己共振に起因するインダクタンスの変化を無視するように,自己共振
周波数より低い周波数でインダクタンスを測定する。
イ
ン
ダ
ク
タ
ン
ス
周波数
図 1 自己共振周波数がインダクタンス測定値に与える影響の概念図
5.2.4.3 試験コイルの決定 通常,測定コイルを使用するが,磁性材料と電磁信号との必要な相互関係を
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満たすために他の適切なコイル装置を使用してもよい。
コイルと磁心との組合せによるインダクタンスの測定は,次の事項の影響を受けやすい。
− 巻数
− 導体材質,寸法及び構造
− 磁気回路に適応した巻線方法
− 巻線占積率
測定コイルの仕様には,これらの各影響について十分な注意を促すような記述をすることが望ましい。
5.2.4.2に示した推奨する二つの測定周波数及び三種類の磁心形状に対して,十分な測定分解能を得るため
に,磁心形状,試験周波数及びインダクタンス係数ALと巻数との関係を,表1に示す。三種類の磁心には
それぞれ異なったタイプの巻線を施す。
− リング形磁心のトロイダル巻線
− 一般E形磁心のボビン巻線
− プレナー形磁心のプレナーコイル巻線
表 1 磁心形状,試験周波数及びインダクタンス係数ALと巻数との関係
周波数 インダクタンス係数AL
磁心形状 巻数
kHz nH/N2
10
1
100
10
リング形磁心 10
100
10 −
100
100 −
1 10 −
一般E形磁心 10 10 −
100 10
10 −
1
100 −
10
プレナー形磁心 10
100
10 −
100
100 −
a) リング形磁心 ギャップ付きリング形磁心は,特に導体の位置に影響を受けやすい。ギャップ付きリ
ング形磁心は特定な例として,巻線とギャップとの相対位置を規定しなければならない。ギャップの
入っていないリング形磁心は,比較的巻線の位置に影響を受けにくい。
巻数10ターンの場合,測定巻線は磁心の円周の上で均等に巻き付けなければならない。
初透磁率が100未満であるギャップの入っていないリング形磁心では,空洞形の測定用ジグを測定
用又は相関用として使用する。
b) 形磁心 標準コイルとして,ボビンに導線を層巻によって巻線する(巻線面積の85 %以上)表1
の巻数及び5.2.4.2 c)を満足するコイルを推奨する。しかし,磁心が大きければ大きいほど巻線された
導体の厚さが薄くなるため,ボビンに十分巻線することは難しくなる。
標準コイルと著しく異なった特殊な測定用コイルを使用する場合には,測定相関をとる必要がある。
――――― [JIS C 2560-2 pdf 10] ―――――
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JIS C 2560-2:2006の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60424-1:1999(MOD)
- IEC 61631:2001(MOD)
- IEC 62044-1:2002(MOD)
- IEC 62044-2:2005(MOD)
- IEC 62044-3:2000(MOD)
JIS C 2560-2:2006の国際規格 ICS 分類一覧
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