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C 2560-2 : 2006
ギャップ付き磁心の場合,測定されるインダクタンスの値は,測定用コイルのボビンの巻枠がどの
程度巻線で占められているかによって影響を受ける。例えば,わずかに巻線されたコイルは,十分に
巻線されたコイルよりも測定されるインダクタンスの値は小さくなる。巻線の占める割合が小さいほ
ど差が大きくなり,又は大きなギャップ付き磁心ほど差は大きくなる。
両面にギャップ付けされた磁心では,コイルを片方の磁心に固定するように位置決めする。片面だ
けにギャップ付けされた磁心では,コイルをギャップ付けされた側に固定するように位置決めをする。
測定の再現性を得るために,測定用コイルの片面に方向性を明示するための印を付けて,一連の測
定の間決められた位置を保つようにする。
c) プレナー形磁心 プレナー形磁心を,通常の巻線用導線を使った巻線,幅広導体はくを使った巻線及
びエッジワイズ巻線のプレナーコイルで試験した例を示す。プレナーコイルを用いて測定の再現性を
実現するために,製造業者及び使用者は可能な限り5.2.4.3 b)の規定に従って測定することを推奨する。
ただし,次の主な二つの問題を考慮する必要がある。1) プレナー形状によって小さくなった窓面積に
よる形状の影響 2) 一般導線を使用したコイルとプレナーコイルとの相関
1) 幾何学上の影響 ほとんどのプレナー形磁心には,実用上100ターンも巻線することができない。
このため,表1に10ターンのプレナー巻線を使用した場合の推奨条件を示す。巻数が10ターンの
ように少ない場合,測定結果は漏えい磁束及びボビンの巻線占有率に大きな影響を受ける。巻線の
占有率及びコイルの構造による影響は他の磁心形状よりも大きい。ロット間及び製造業者・使用者
間の測定値の再現性を最大限に確保するためには,実用上の最大巻数(100ターン以下)を巻線し,
窓枠一杯に巻線した(窓面積占有率は約85 %以上)コイルを使用することを推奨する。
2) 相関への影響 プレナー形磁心が使用される用途では,一般的に巻数の多い通常の導線は用いない。
事実プレナー形磁心を使った用途では,巻数の少ない(例えば310ターン)プリント基板配線に
よるプレナーコイルが主に使用されている。少ない巻数のプレナーコイル及び巻数の多い一般導線
によるコイルなど,様々な種類のコイルで測定したAL値は,形状的な影響を非常に大きく受けるた
め,測定用コイルと実使用コイルとの間の相関の入念な解析が必要である。幾つかの事例において,
製造業者と使用者とが合意の上で,生産時に使用する実際のコイルを測定用コイルに使うことがあ
る。ただし,プレナーコイルを使用した場合の測定ごとのデータの再現性は,巻数の多い通常導線
の測定用コイルを使用した場合よりも測定相関は低下するおそれがあるということを使用者は留意
しなければならない。
5.2.4.4 組立磁心の測定時に考慮すべきこと 測定用コイルを合わせて組み立てた磁心では,磁心は測定
用コイルの直近に配置し,非磁性の締付けジグによって保持する。もし,磁心の接合面のすり合わせによ
ってより高いインダクタンス値となり,インダクタンス測定の再現性を改善させられるならば,製造業者
は使用者に対してすり合わせ方法の詳細を示す。
組立磁心に測定用コイルを装着する場合,測定には締付けジグを使用する。この締付けジグは,5.1.1 b)
に従ったもので,磁心に曲げひずみを与えることなく接触面への固定力が,均一で接合面に垂直に加わる
ものでなければならない。締付け圧力は,実効断面積Aeが50 mm2よりも小さい磁心の場合,0.61.0 N/mm2
の範囲に,50 mm2以上の磁心の場合,50 N±10 %で保持することを推奨する。
5.2.4.5 磁心結合構造に関連するパラメータ
a) インダクタンス係数AL値 インダクタンス係数は,次の式(8)によって磁性材料の実寸法及び透磁率
に関係付けられる。
――――― [JIS C 2560-2 pdf 11] ―――――
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Ae Lmeasured 2
AL 0 e
2
H N (8)
le N
ここに, 磁気定数[0.4π 10-6(H/m)]
実効透磁率
Ae : 実効断面積(m2)
le : 実効磁路長(m)
Lmeasured : 測定インダクタンス(H)
N : 測定用コイルの巻数
b) 実効透磁率 攀 逸 の又は設定されたギャップをもつ磁心のALを求めるに当たって式(6)を適用する
ためには,次の式(9)のように磁路部分の寸法を考慮した実効透磁率を用いる。
le Ae
e (9)
lg Ag le lg i Ae
ここに, le : 実効磁路長(m)
Ae : 実効断面積(m2)
lg : 実効ギャップ長(m)
槿 初透磁率
Ag : 実効ギャップ面積(m2)
もし,Ag =Ae,かつ,lg が leより十分小さい場合,実効透磁率はより簡単な次の式(10)となる。
1 1
(pdf 一覧ページ番号 )
e e i
実効透磁率を求めるこの式は,周辺磁束の影響を考慮していない。実効透磁率は,ギャップの周辺に発
生する磁束によってこの式で求められる値より明らかに大きくなる。ギャップ長lgが大きくなれば,測定
される実効透磁率 估梏 磁束によって 椰 度大きくなるかは,磁心の
巻数,コイル設計及び磁心形状による。
5.2.4.6 磁性材料パラメータ
a) 初透磁率 槿
le
(pdf 一覧ページ番号 )
Lmeasured
0 Ae N2
ここに, Lmeasured : 5.2.4.2で定義される低磁界におけるリング形磁心の測定
インダクタンス(H)。磁心はリング形が望ましく,磁気回
路にギャップがあってはならない。そうでなければ,
Lmeasuredはフェライト材料固有のiでなく,構造に依存し
た 実効透磁率)を求めることになる。
le : 実効磁路長(m)
磁気定数 [0.4π 10-6(H/m) ]
Ae : 実効断面積(m2)
N : 測定用コイルの巻数
b) 複素比透磁率
le Zmeasured
r (12)
0 Ae N2 2 f
ここに, Zmeasured : 5.2.4.2で定義される低磁界におけるリング形磁心のイン
ピーダンス( 圀 ンピーダンスは,規定の信号周波数で
――――― [JIS C 2560-2 pdf 12] ―――――
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測定する。インピーダンスは,他に規定がない場合,直列
測定モードで測定する。
le : 実効磁路長(m)
磁気定数 [0.4π 10-6(H/m) ]
s : 複素比透磁率(直列測定モードの場合)
p : 複素比透磁率(並列測定モードの場合)
f : 試験信号周波数(Hz)
Ae : 実効断面積(m2)
N : 測定用コイルの巻数
c) 複素比透磁率の実数部(
le
' (13)
Lmeasured
0 Ae N2
ここに, Lmeasured : 5.2.4.2で定義される低磁界におけるリング形磁心
の測定インダクタンス(H)。インダクタンスは,規
定の信号周波数で測定する。インダクタンスは,
他に規定がない場合,直列測定モードで測定する。
le : 実効磁路長(m)
磁気定数[0.4π 10-6(H/m) ]
s : 複素比透磁率(直列測定モードの場合)の実数部
p : 複素比透磁率(並列測定モードの場合)の実数部
Ae : 実効断面積(m2)
N : 測定用コイルの巻数
d) 複素比透磁率の虚数部
"r le Rmeasured
(pdf 一覧ページ番号 )
0 Ae N2 2 f
ここに, Rmeasured : 5.2.4.2で定義される低磁界におけるリング形磁心のイン
ピーダンスの実数部(Ω)。抵抗は,他に規定がない場合,
直列測定モードで測定する。
le : 実効磁路長(m)
磁気定数[0.4π 10-6(H/m) ]
s : 複素比透磁率(直列測定モードの場合)の虚数部
p : 複素比透磁率(並列測定モードの場合)の虚数部
Ae : 実効断面積(m2)
f : 測定信号周波数(Hz)
N : 測定用コイルの巻数
5.2.6 直流重畳インダクタンス 直流を重畳させて,交流磁界における磁心のインダクタンスを測定する
方法について規定する(5.2.4.2参照)。
5.2.5.1 測定時に考慮すべきこと 磁心の測定用コイルに,規定の直流電流を流してインダクタンスを測
定する。そのときに電流は低い方から連続的に増加させる。電流を重畳させるインダクタンス測定は,5.1.2
によって磁心が消磁された状態になってから再度測定することが望ましい。
5.2.5.2 試料 これらの測定の場合,磁化されていない状態の磁心によって行うことが最も望ましい。以前
に交流又は直流によって励磁された履歴がある磁心は,次の測定に先立ち,5.1.2によって消磁する。測定
には生産品の磁心又は物性測定用に特別に準備された磁心を用いる。
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備考 同じ寸法の磁心であっても異なるギャップをもった磁心同士には,その測定結果に相関はない。
5.2.5.3 測定コイル 測定用コイルの決定は,5.2.4.3による。測定時に磁心の温度変化によってインダク
タンスが変化しないように,流す直流電流の最大値によって導線径を選定する。
二つの巻線を使用する場合,結合が一番大きく取れるようにし,望ましくは同じ径の導線によって並列
に巻かなければならない。
備考 ギャップのある磁心の測定の場合,コイルは,巻線が可能な領域及び電流容量に見合ったでき
るだけ多くの巻線を行う。
5.2.5.4 測定手順
a) 5.2.4.3及び5.2.4.4によって磁心を測定用コイルに組み込む。
b) 測定磁心は,5.1.2によって消磁を行う。
c) 前処理の後,磁心の温度を安定させるために15分間経過した後に,5.2.4.3によって交流信号を用いて
インダクタンスを測定する。測定に当たって,磁束密度のピーク値は磁心のいかなる部分においても
1.0 mTを超えてはならない。測定周波数は規定する。
d) 重畳する直流電流は,規定の最低値から最高値まで連続的に増加させる。電流の調整に要する時間は,
コイル及び磁心の温度変化が1 ℃以下となるようにする。
e) 直流が重畳するインダクタンスの測定においては,以前に励磁されていないもの又は消磁したものだ
けを用いる。測定を行う前に,最低でも1回はb),c)及びd)の工程を実施すれば,実効透磁率が1 000
より大きい磁心でも再測定することができる。
備考 温度を変えて測定する場合,b),c)及びd)の工程を繰り返した後に測定を実施する。
参考 直流重畳インダクタンスの測定回路の例を,参考として次に示す。
a) 供試コイルと別に直流重畳コイルを設けた場合
b) 供試コイルに直流重畳した場合
b) 供試コイルに直流重畳した場合
参考図 1 直流重畳インダクタンス測定回路例
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5.2.7 ディスアコモデーション 時間に対する磁心の透磁率の変化として定義するディスアコモデーシ
ョンの測定方法は,附属書1による。
5.2.8 透磁率の温度係数
5.2.7.1 試料 測定に使用する磁心は,正常な生産品から抜き取る。組立磁心を使用する場合,インダク
タンスの変化は標準の巻線で測定する。中心部に空洞をもつ磁心の場合,その部分をトロイダルとみなし
て巻線してもよい。
インダクタンスの変化は,標準巻線で得られた結果とほぼ等しいか又は相関がとれていることを確認し
てから測定する。
5.2.7.2 測定手順 測定磁心(試料)は,温度コントロールされた槽内に置くこととする。Tref(25 ℃が
望ましい。)における自己インダクタンスLrefと異なる温度Tにおける自己インダクタンスLTを測定し,
次の式(15)によって温度係数を計算する。
LT Lref T ref
μ (15)
Lref T Tref ref T Tref
ここに, Lref : 基準温度Tref (25 ℃が望ましい)で測定した自己インダク
タンス
LT : 温度Tで測定した自己インダクタンス
自己インダクタンスの測定は,各温度で2時間(推奨)保持した後に行い,電流は測定の間だけ流す。
測定条件は,5.2.2.2,5.2.4.3及び5.2.4.4に従う。低温から高温の順に測定を行う。
備考1. 温度係数は,一般的に,与えられた温度範囲内の磁心の透磁率変化の限界値を計算するため
に用いられる。透磁率の温度変化に対する直線性の限界から,温度係数は記載された温度範
囲内だけの動作であることを考慮する。この特性が非線形であるとTrefの選択によって異な
る温度範囲では異なる温度係数となることに留意すべきである。
より小さい温度範囲を選択する場合,直線からの逸脱は非常に重要となる場合がある。リ
ング形磁心,トロイダル巻線した中央部に空洞のある磁心,又は組合せ磁心では,測定中に
残留ギャップ(予期しえない見かけ上のギャップ)の熱的な変化を誘発することを避けるた
めにギャップをもつ磁心を使うことを推奨する。
2. 温度係数 愀 的に製造業者の仕様に使われ,次のように定義する。
2
N LT Lref μi μe
F
0
2 2
T ref
(pdf 一覧ページ番号 )
C1 Lref T Tref refT Tref iref eref
ギャップをもつ磁心で,その温度範囲内で透磁率の変化が十分に小さい場合,次の近似式に
よって表される。
μ 0
F (17)
C1 AL
ここに, C1 : 磁心定数
AL : 磁心のインダクタンス係数
磁気定数(0.4π×10-6 H/m)
N : 測定コイルの巻数
ある温度における初透磁率
LT : ある温度における自己インダクタンス
3. インダクタンスの温度係数は,磁心の温度係数とは別に,締付けジグ,巻線などの他の要因
――――― [JIS C 2560-2 pdf 15] ―――――
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JIS C 2560-2:2006の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60424-1:1999(MOD)
- IEC 61631:2001(MOD)
- IEC 62044-1:2002(MOD)
- IEC 62044-2:2005(MOD)
- IEC 62044-3:2000(MOD)
JIS C 2560-2:2006の国際規格 ICS 分類一覧
JIS C 2560-2:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称