JIS C 2560-2:2006 フェライト磁心―第2部:試験方法 | ページ 4

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によって影響を受けることがある。
5.2.9 低磁界における損失
5.2.8.1 目的 ギャップ付き及びギャップなし磁心双方の損失に関する一般的な測定について説明する。
5.2.8.2 測定コイル 測定コイルの詳細な構造は関連個別仕様書で与えられるものとする。構造は基本的
に次の内容を考慮する。
a) 複数の部分で構成される磁心用のコイルは,可能な限り測定周波数における磁心のQ[式(18)参照]
が最大になるように設計する。これによってコイルの損失は無視することができる。このような設計
が難しい場合,より線,低巻数及び/又は分割巻きコイルを使用することによって巻線損失及びコイ
ル絶縁による誘電損失をできるだけ小さくし,測定結果にはコイルの直流抵抗損失の補正だけを行え
ばよいようにする。
コイル損失を補正しても誤差が無視できないときは,標準コイルを使用し,磁心及びコイルによる
損失を規定する[5.2.2.1 b)参照]。ギャップ付き磁心のようにQの高い磁心を測定する場合,標準コ
イルを使用し,磁心を交換しながら行う。
b) トロイダル磁心巻線は,絶縁被覆導線を磁心円周上に均等に巻線することが望ましい。
5.2.8.3 相対損失係数の測定 規定の損失限界値が精度よく測定可能で,周波数及び磁束密度を規定値に
調整できるLCR-ブリッジなどの測定装置を使用する。磁束密度の値が規定されていない場合,5.2.4に応
じて,同じ磁心におけるインダクタンス測定のための値以下で行う。
コイル損失の補正が必要な場合,次の方法で行う。
磁心入りコイルの直列抵抗及びインダクタンスを測定し,コイルの直流抵抗分を差し引く[5.2.8.2 a)参
照]。必要な場合,コアロスを表現することのできる並列抵抗,式(18)によってQなどに変換する。
損失係数をギャップ加工前に測定する場合[5.2.2.1 a)参照],ギャップ付き磁心の損失は次の式(19)によ
って算出する。
r Rmeasured 1
tan (18)
r 2 f LmeasuredQ
tane tan i e (19)
ここに, tan ギャップ付き磁心の実効透磁率を加味した損失角の正接
tan 槿 ギャップ加工前の磁心(同一ロット又は同形状磁心)で
測定した相対損失係数
備考 ギャップ研削による機械的ストレスが磁心の総合損失に影響を与えていない場合は,上の方程
式は有効である。
5.2.8.4 ヒステリシス損失の測定 ヒステリシス損失の測定には,5.2.8.3の測定器を使用する。ヒステリ
シス損失は,関連個別仕様書で周波数とともに規定のピーク磁束密度値 B及び
1 Bにおいて測定する損失
2
の差から求める。
tan tan tan

(pdf 一覧ページ番号 )

                              h        B         B
2 1
ここに, tan h
: ヒステリシス損失係数
B
tan
: 高い側の規定磁束密度で測定した相対損失係数
2
B
tan
: 低い側の規定磁束密度で測定した相対損失係数
1

――――― [JIS C 2560-2 pdf 16] ―――――

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ヒステリシス材料定数は,次の式(21)によって算出する。
1 tan tan B
2
tan B
1
B B B B B

(pdf 一覧ページ番号 )

                               2   1        h      2   1    e
ここに, ヒステリシス材料定数
例えば,エアギャップ付き磁心測定においては,近似式 は有効である。
B2 B1 e
備考 損失角の測定精度は,ギャップの増加とともに減少する(5.2.2.1参照)。
5.2.10 総高調波ひずみ
5.2.9.1 試料 組立磁心の固定及び測定巻線の選択は,5.1.15.1.3による。一次巻線及び二次巻線は,一
つのボビンに層巻きする。
5.2.9.2 測定器及び測定回路 図2にTHDF (Total Harmonic Distortion Factor)の測定回路例を示す。測定器
と試料との間の配線は,シールド付きのツイストケーブルを推奨する。
回路部分もシールドすることを推奨する。
CH1 CH2
RS N1
N1 N2
V1 L1 V2
Specimen
試料
Rs : 信号源一次側抵抗(抵抗=50Ω)
L1 : 一次側インダクタンス
V1 : 入力電圧(Vrms)
V2 : 出力電圧(Vrms)
N1 : 一次巻線の巻数
N2 : 二次巻線の巻数
備考1. THDF測定では,N1及びN2の巻数は同一にする。
2. THDF測定では,CH2の入力インピーダンスは100 kΩ以上とする。
図 2 THDFの測定回路の例
5.2.9.3 測定手順 測定周波数が5 kHz及び10 kHzの場合は,磁束密度を50 mTに設定する。25 kHzの場
合は,30 mTに設定する。周囲温度は25 ℃±3 ℃に設定する。組立磁心は,金具などで固定しなければ
ならない。金具などの締付けジグは5.1.1 b)に従って接触面に垂直で均一な力がかかり,磁心に曲げ応力が
加わらないものでなければならない。締付け圧力は,0.2 N/mm2±10 %を推奨する。
備考 THDは締付け圧力に敏感で,力が増加するとTHDも増加する。
a) 磁束密度特性 THDは,5.2.9.3によって測定する。磁束密度の設定は,信号源の出力電圧ではなく,
一次電圧V1から計算によって求める。
b) 温度特性 試料は,温度制御できる恒温槽内に入れる。THDの測定温度は,−40 ℃,−20 ℃,0 ℃,
25 ℃,40 ℃,70 ℃及び85 ℃とする。試料は測定前の30分間,各温度に保つ。
備考 5.2.7.2で推奨する温度係数測定のための温度保持時間は2時間であるが,THD測定の場合,温
度係数測定のときほど温度変動による影響は大きくないので,保持時間は30分間が適切である。

――――― [JIS C 2560-2 pdf 17] ―――――

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5.2.9.4 THDF測定のためのAL値及び巻線条件 一次巻線及び二次巻線の巻数は同一とし,コイル部の同
一部分にバイファイラ巻きで巻く。5.2.9.3に規定の磁束密度を得るためには,表2から磁心寸法に依存す
るAL値及び巻数を選択する。
表 2 THDF測定のためのAL値及び巻数
磁心形状 インダクタンス係数AL
Ae 巻数
ポット形磁 公差
mm2 EP形磁心 RM形磁心 E形磁心 nH/N2 N1 = N2
心 %
P5.8/3.3
314.4 EP7,EP10 E5.3/2E13/4 P7.4/4, P9/5 63 ±5 71
14.426.7 EP13 RM4, RM5 E13/4, E16/5 P11/7 200 ±5 39
26.755 EP17 RM6, RM7 E20/6, E25/7 P14/8, 630 ±10 22
P18/11
5590.3 EP20 E32/9 P22/13 1 600 ±15 14
90.3100 RM8, 2 000 ±15 12
RM10
備考1. 指定する磁束密度に到達するためには,開放電圧は少なくとも10 Vの実効値に設定できなければならな
い。
2. Aeは,実効断面積である。
5.2.9.5 材料特性−THDF
a) 試料 磁心材の特性評価のためには,トロイダル磁心を推奨する。寸法は,R10からR30を推奨する。
b) 手順及び測定条件 測定回路及び手順を5.2.9.2及び5.2.9.3に示す。
備考 巻数は,磁束密度条件によって設定する(附属書2参照)。
c) 総高調波ひずみ係数(THDF) HDFは,3.16の式によって算出する。
5.2.11 キュリー温度 測定する磁心を恒温槽に置き,温度を上昇させながら自己インダクタンス(L)を測
定し,インダクタンスと温度との関係を記録する。昇温速度は1 ℃/分以下が望ましい。キュリー温度は,
インダクタンス最大値(Lmax)の80 %の点(L80)と20 %の点(L20)とを直線で結んだ延長線と,磁心のないコ
イル単独のインダクタンスであるL0ライン(X軸)との交点として定義する。
なお,キュリー温度の記号はTcである。
Lmax



ク L80
インダクタンス



L20
Lo
L0
温度 キュリー温度
温度
図 3 キュリー温度

――――― [JIS C 2560-2 pdf 18] ―――――

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5.2.12 正規化インピーダンス及びコンダクタンス
5.2.11.1 目的 共通の用途に関連する周波数依存材料パラメータの測定のための一般的な注意事項を提供
する。
5.2.11.2 測定手順 測定手順は,5.2.4による。
5.2.11.3 正規化インピーダンス 1ターンで測定した磁心の正規化インピーダンスZN( f )は,次の式(22)及
び式(23)によって算出する。
2s 2s
2
ZN ( f ) f 0 r, r, (22)
1ターン以上で巻線した磁心のインピーダンスZ( f )は,次の式によって予測できる。
Ae 2
Z( f ) N (23)
ZN ( f )
le
ここに, le : 実効磁路長(m)
Ae : 実効断面積(m2)
備考 インピーダンスの実測値は,測定コイルの自己静電容量の影響によって,予想されるインピー
ダンスの真値と異なる。1ターンでは,ZN( f )の精度の高い測定値は得られない(5.2.4.2参照)。
ZN( f )は,1ターン以上巻線したコイルを使用して求める。
5.2.11.4 コンダクタンス コンダクタンスgp( f )は,次の式(24)(26)によって算出する。
1
gp ( f ) (24)
f r, p ( f )
なお,磁心の抵抗Rp( f )は,コンダクタンスを用いた次の式によって算出する。
Ae 1
2
Rp ( f ) N2 (25)
le gp ( f )
また,挿入損失に対するコンダクタンスの影響度は,次の式によって算出する。
aC ( f ) fL (26)
gp ( f )
ここに, fL : 周波数帯の下限

5.3 高磁界における磁気特性の測定

5.3.1 高磁界での測定における一般的注意事項
5.3.1.1 一般事項
a) 実用上との関係 測定条件,方法及び手順は,実動状態での磁心の性能判定に適した方法で選択する。
これらはすべての規定事項(特に励起波形に関連するもの)が実用上の条件に一致する必要はない。
b) 磁心実効パラメータ及び材料特性 磁心は,一般的に不均等な断面をもっており,磁路に沿って一様
に巻線されていない。したがって測定結果は,材料の振幅透磁率及びコアロスではなく,磁心の実効
磁束密度及び実効磁界に対応する実効振幅透磁率及びコアロスを表す。
材料の振幅透磁率及びコアロスを測定する場合,磁心はリング又はトロイダル形を用い,その外径
/内径比が1.4以上あってはならず,均一な閉磁路で,誘導結合係数が実際上1とみなせるように巻
線する。
c) 消磁 磁心材料の中での様々な残留磁気及び時間による効果を抹消するために,5.1.2よって消磁する。
5.3.1.2 測定コイル

――――― [JIS C 2560-2 pdf 19] ―――――

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a) 巻数 巻数は,測定条件,使用する計測装置及び精度との関係で,各巻線に対して規定する。巻線は,
測定コイル巻線と磁心との間及び測定コイル巻線間の結合係数が可能な限り100 %に近くなるよう
にする。
巻線の抵抗,自己容量及び巻線間静電容量は,関連誤差を無視できるようできるだけ低くする。
磁心がリング又はトロイダル形状の場合,磁心の周りに均等に巻線する。高周波での測定が必要な
場合,主に励磁巻線のコネクタは,絶縁タイプのより線によって構成する。
備考 角が鋭角な磁心に巻線するとき,電線の絶縁が破壊されないようにする。また,巻線がより線
の場合,素線が切断しないよう注意を払う。
b) 単巻線 次の場合,励磁及び電圧検出には単巻線を使用するのがよい。
− 磁心の磁束密度Bを測定するとき,励磁巻線と電圧検出巻線との間の結合が非常に悪く,無視できな
い誤差を生じる場合
− 巻線間静電容量が高過ぎる場合
− 測定器の入力側への励磁巻線を直接接続できない場合
備考 単巻線を使用する場合,磁心のパワーロスと比べ,巻線のコアロスが無視できる程度に巻線の
抵抗値を小さくした方がよい。
c) 二巻線 励磁巻線が,電圧及び電流測定器と電気的に分離された状態であるとき,励磁巻線と電圧検
出巻線(二重巻線)とを分離して使用した方がよい。例えば,入力側へのフローティング,直流接続
などを避けるためである。
備考1. 励磁巻線及び電圧検出巻線を使用する場合,磁気結合係数が可能な限り100 %に近くなるよ
うにすることが重要である。
2. 磁心の磁束密度を電圧検出巻線によって測定する場合,磁心のパワーロスは,励磁電流(供
給)巻線の銅損(ワイヤーロス又はオーミックロス)を取り除くことで決定できる。
3. 200 kHz以上では二つの巻線を使用した方がよい。
5.3.1.3 組立磁心の固定 組立磁心の固定は,5.1.1 b)による。締付け圧力は,5.2.2.2の備考2.による。
5.3.1.4 測定装置 測定装置は,測定に適した装置を使用する。適切な回路例を,附属書3及び附属書4
に示す。
規定の測定方法及び/又は測定回路に対して規定した要求事項に加え,次の一般的な要求事項を満足し
なければならない。
a) 磁束密度(磁界の強さ)によって確実に励磁するために,供試磁心及び電流検出抵抗によって組み立
てる測定コイルにおける励磁巻線の直列インピーダンスと比べて,励磁電源の出力インピーダンスを
低くする。
b) 励磁に正弦波形が規定されている場合,励磁信号源の全高調波成分は1 %以下とする。
c) 測定の間,励磁振幅変動は0.05 %を超えてはならない。
d) 電圧計及び他の電圧検出計測機器の周波数範囲は,測定する基本波の1 %以上の振幅をもった電圧の
すべての高調波を含んでいなければならない。この周波数範囲は関連機器の規格において規定する。
e) 使用する電圧計及びその他の電圧検出計測器は高インピーダンス計測器とし,それらを接続すること
による測定回路への影響は,特に高周波域において無視できる程度でなければならない。入力抵抗が
高く入力容量の小さいプローブは,負荷の影響を減少させることができる。
f) 測定波形の波高率が計測器の定格範囲内である場合,正弦波波形の校正に使用する電圧計測器の精度
は,実効値及び平均値の場合±0.5 %以内,ピーク値の場合±1 %以内とする。

――――― [JIS C 2560-2 pdf 20] ―――――

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JIS C 2560-2:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60424-1:1999(MOD)
  • IEC 61631:2001(MOD)
  • IEC 62044-1:2002(MOD)
  • IEC 62044-2:2005(MOD)
  • IEC 62044-3:2000(MOD)

JIS C 2560-2:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 2560-2:2006の関連規格と引用規格一覧

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規格名称