JIS C 2560-2:2006 フェライト磁心―第2部:試験方法 | ページ 5

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精度が上記の上限を超える場合,すべての高調波の含有率が1 %未満の正弦波による励磁を推奨す
る。また,
− 正弦波の実効値,平均値及びせん頭値を決定する場合,1 %以内の精度をもつ実効値電圧計を使う。
平均値は実行値に0.9を,ピーク値は実効値に 2を乗じることによって求めることができる。
− 非正弦波の場合,実効値,平均値及びせん頭値の計測には,ディジタル電圧計を使用する。
なお,これらの測定器は,被計測波形1周期当たり150以上のサンプリングレートで,8ビット以
上の分解能によって波形を取り込み処理できるものとする。
備考 波高率は,測定した波形の実効値とピーク値との比である。
g) 直列電流測定抵抗の抵抗値は,熱による抵抗値の変化を含め,有効数字3けた目が±1以内の変動が
あることに注意する。ヒートシンク又は冷却器を用いた抵抗では上記の熱変動は緩和される。抵抗値
Rのもつインダクタンス値Lは,5.3.1.4 d)で規定する周波数範囲において次の値を超えてはならない。
R
L≦ 2VR (27)
m
ここに, R : 抵抗値
角周波数(=2 [fmは5.3.1.4 d)で規定した周波数範囲内
の最大周波数]
V : 周波数fmにおいてインダクタンスLに起因する抵抗Rによ
R
る電圧降下Vの許容相対増加値
R
RV= 0.1 %,R =1 500
最大周波数fm=500 kHzの場合,インダクタンスLは(2 103)-1 1 (2 0.001)0.5=14.2

nH以下とする。
5.3.1.4 d)で規定する周波数範囲内で波形の振幅及び位相精度を低下させなければ,電流検出抵抗に
代えて,適切に校正した電流プローブを使用してもよい。このとき,電流プローブは,高調波を生じ
させないような線形デバイスでなければならない。
備考 振幅透磁率の測定では,主に電流プローブの振幅精度が測定結果を左右するおそれがあるので
注意する。
h) 測定器及び部品の配線はできるだけ短くする。位相変動をもたらす接続が二つ以上ある場合,それら
は同じタイプで,同じ長さの接続にしなければならない。5.3.1.4 d)で規定する周波数範囲内で磁界及
び磁束密度に相当する信号を導くように設計されたチャンネル間の位相変動 次の値より小さく
なければならない。
p 愀

(pdf 一覧ページ番号 )

                                 Qc
ここに, 位相変動 アロス測定の総誤差の一部
Qc : 供試磁心の損失係数の逆数 B e
eH
2Pv
角周波数(=2 替
eB及び H : 磁心の実効磁束密度及び実効磁界のピーク値
e
Pv : 単位体積当たりのコアロス(=P/Ve,Veは磁心の実効
体積)
非正弦波によって励磁した場合,その高調波によって位相変動が決まってくる。各高調波の周波数
に応じて,上述のパラメータの値を算出に使うとよい。
例 試供磁心及び測定条件に対して, 1 %以内及びQ=5である。したがって, ‰

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0.01/5=±0.002 radでなければならない。
i) 電圧又は電流測定回路に接続する配線(コネクタ,スイッチなどを含む。)は,必要な電圧及び関係す
る仕様で規定した電流の値を測定できるものを使用する。配線による接触抵抗,位相変動,誘導的な
結合及び容量的な結合,直列インピーダンス並びに平行アドミッタンスは,5.3.1.4 d)で規定する周波
数範囲を含む測定条件下での測定結果に対し,影響を与えないようにする。
j) 測定又はこれに付随する校正は,すべての測定条件における振幅透磁率及びコアロス測定の誤差が,
附属書3及び附属書4に示す測定方法及び回路による測定の誤差を超えないように実施する。
k) 前処理,セッティング,測定及び読取り作業中は,磁心及び周囲環境が温度平衡を維持できる制御可
能な環境で行う。
5.3.1.5 試料 測定には正常な生産品から抜き取った,閉磁路の磁心を用いる。
5.3.2 振幅透磁率及びコアロスの測定手順
a) 測定する磁心は,5.1.1 b)及び5.2.2.2によって測定コイルと組み合わせる。リング形磁心の場合,5.3.1.2
a)に従って巻線する。
b) 磁心は,5.3.1.4 k)に従って制御した環境内に保持する。磁気的な前処理,組込み及び測定のようなす
べての測定作業は,磁心の温度が規定の温度に到達し,その温度に安定した後に実施する。
c) 測定を行う磁束密度及び磁界のピーク値に相当する電圧は,次の式によって算出する。
磁束密度 Bによる励磁の場合 : Vav 4 f N Ae B (29)
e e
ここに, N : N1(励磁及び電圧検出に単巻線を使用の場合)又は
N2(電圧検出に二次巻線を使用の場合)
磁界 Hによる励磁の場合 : V R le He N1 (30)
e R
ここに, N1 : 励磁巻線の巻数
備考1. 実用上,正弦波形の磁束密度 Bの場合,
e
Bに相当する電圧は,電圧計又はその他装置を利用
e
して測定することができる。各実効値,Vrms値及びピーク値Vは,次の式によって算出する。
Vrms 2 f N Ae B (31)
e
V 2 f N Ae B (32)
e
2. 抵抗Rの代わりに電流プローブを使用する場合,磁界 Hに相当する電流のピーク値
e Iは,
次の数式によって算出する。
e
I H le N1 (33)
3. 例えば,Vavを算出する場合のAminのように,Ae以外の断面積を使用するとき,そのことにつ
いて関連個別仕様書で明確に記述する。
d) 磁心は,他に規定がない場合,5.1.2.3によって消磁する。
e) 消磁終了後の時間tc経過後に,時間に依存する特性についてはできるだけ早く,できれば時間tc=2秒
±0.5秒以内に,規定の周波数,波形及び励磁振幅に励磁源を設定する。
備考 すべての測定条件において正確な励磁波形を維持するために,制御可能な信号源を用いる。磁
束密度モードによる励磁の場合,分離した電圧検出巻線に発生する電圧によって信号原を制御
することが望ましい。
f) 磁心を励磁する時間tm後,測定値の読取りを行い,励磁を素早く終了する。磁心の過度の自己発熱を
避けるために,磁心を励磁する時間tmはできるだけ短くし,10秒間未満でなければならない。

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5.3.3 振幅透磁率の測定方法
5.3.3.1 目的 閉磁路における対称な周期波形及び高磁界での(実効)振幅透磁率の測定方法について規
定する。
備考 磁界強さの規定のピーク値で得られる磁束密度のピーク値を決定してもよいし,逆に磁束密度
の規定のピーク値から得られる磁界の強さのピーク値を決定してもよい。
5.3.3.2 測定の原理 磁心の磁束密度及び磁界の強さは,磁心の電圧検出巻線の平均値電圧及び励磁巻線
に直列に接続した抵抗器のピーク値電圧を測定することによって決定する。測定は,磁束密度又は磁界の
強さのいずれかの規定のピーク値,周波数及び温度で行う。
5.3.3.3 回路及び装置 附属書3に示された回路の機能を満足することができるならば,どのような測定
装置を使用してもよい。
5.3.1.4の要求事項を満足しなければならない。磁束密度及び磁界の強さの波形は,振幅透磁率の測定の
場合それほど重要でないため,5.3.1.4 a)及び5.3.1.4 b)の要求事項を厳密な形で満たす必要はない。
備考 振幅透磁率が,磁束密度及び磁界の強さの波形の基本的構成部分のピーク値によって決まる場
合,それらのピーク値は5.3.1.4の要求事項を満足する周波数選択タイプの測定器によって測定
する。
5.3.3.4 測定手順 5.3.2の一般的手順を行う。
電圧検出用巻線の平均値電圧Vavでの,抵抗Rの電圧のピーク値電圧V又は励磁コイルを流れる電流の
R
ピーク値 Iのいずれかの値を読み取る。
RVの規定のピーク値又は
磁界の強さによって励磁する場合,電圧値平均Vavは, Iの規定のピーク値で
の値を読み取る。
備考 規定の磁界の強さで測定する磁束密度又は逆に規定の磁束密度で測定する磁界の強さを必要と
する場合,励磁による規定のピーク値を設定することによって,それぞれの値を決定する。
5.3.3.5 計算 (実効)振幅透磁率は,次の式(34)及び式(35)によって算出する。
B leR Vav
e
ea H V

(pdf 一覧ページ番号 )

                               0  e   4 0 fN1N2 Ae R
抵抗Rの代わりに電流プローブを使用する場合,
le Vav
ea I

(pdf 一覧ページ番号 )

                              4 0fN1N2 Ae
ここに, Vav : 電圧検出用巻線N2にかかる平均値電圧
V : 直列抵抗Rにかかるピーク値電圧
R
I : 励磁巻線N1によって流れる電流のピーク値
N1 : 励磁コイルN1の巻数
N2 : 検知用コイルN2の巻数
備考 励磁及び電圧検出が一次コイルN1だけによって行う場合,N2=N1と置き代える。
5.3.4 コアロスの測定方法
5.3.4.1 目的 閉磁気回路を形成する磁心の周期的な高磁界波形によるコアロスの測定方法について規
定する。
5.3.4.2 測定方法及び原理 コアロスの測定方法及び原理は,次による。
a) マルチプライング法 これらの測定方法は,電流−電圧積算原理に基づくものであり,位相変動に対
して誤差が少ない方法である。磁心の磁束密度及び磁界の強さを電圧で測定し,処理方法,時間又は
周波数ドメイン技術でのアナログ,ディジタル又はそれらを合わせた方法によって積算する。これら

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の方法の代表的なものを表3に示す。
表 3 マルチプライング法の種類及びドメイン
測定方法 ドメイン 附属書4における
使用する励磁波形 データ取得方法 演算処理方法 記載項目
デジタイジング法 任意 時間 時間 4.
クロスパワー法 任意 時間 周波数 5.
ベクトルスペクトル法 任意 周波数 周波数 6.
V-A-Wメータ法 正弦波 時間 時間 7.
インピーダンスアナライザ法 正弦波 適用しない 適用しない 8.
その他の関連する測定手順を,附属書4に示す。
1) デジタイジング法 この方法は,任意の励磁波形での測定に適している。測定電圧はサンプリング
され,デジタイザによってディジタルデータとして処理される。各サンプリング点における電圧値
の積が計算される。コアロスは,1サイクルでの積算した電圧の平均値に比例している。
2) クロスパワー法 この方法は,任意の励磁波形に適している。
規定の励磁状態において,1回以上のサイクルで測定電圧をサンプリングし,ディジタルデータ
として処理する。測定サイクルの複素スペクトラムは,FFTによって計算する。磁心のコアロスは,
各周波数のクロスパワースペクトラムの実部の総和によって得られる。
3) ベクトルスペクトル法 この方法は,任意の励磁波形に適している。
電圧信号の振幅及び位相の差異は,ネットワークアナライザによって測定する。測定は,適用す
る電圧の基本周波数及び高調周波数での値で行う。磁心のコアロスは,基本周波数及び高調周波数
によるコアロス要素の総和によって得られる。
4) -A-W(ボルト-アンペア-ワット)メータ法 この測定方法は,5.3.1.4 b)に規定した正弦波励磁に
限定する。
V-A-Wメータは,磁心のコアロスに比例する電圧及び電流を測定し,積算して時間平均を算出す
る。
5) インピーダンスアナライザ法 この測定方法は,5.3.1.4 b)に規定した正弦波励磁に限定する。イン
ピーダンスアナライザは,基本周波数における磁束密度及び磁界の強さをベクトル要素部分で決定
し,磁心のコアロスを算出する。
b) 二乗平均値法(rms法) この方法は,
− 一般に,使用する回路部品,組立て及び測定装置が5.3.1.4の要求事項を満たす場合に適用できる。
− ひずみの小さい印加波形に適している。
磁心に装着した測定コイルの無負荷の測定巻線にかかる電圧と,測定コイルの励磁巻線に直列に配
した抵抗器にかかる電圧の実効値の総量との差異を実効値電圧計によって測定する。実効値の平方根
の差がコアロスに相当する。
c) 反射測定法 この方法は,入力電力PFと反射電力PRとの差異の測定に基づくものであり,次のよう
な特長をもつ。
− 正弦波励磁に限らない。
− 500 kHz以上の周波数に適用できる。
− 磁束密度モードでの励磁に適している。
測定は,2チャンネルの測定検知部に接続した反射メータ(S.W.R.メータ)を使用することによって

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行う。電圧は,電圧検出用巻線に並列接続したボルトメータでモニタする。電圧検出用巻線に接続し
たボルトメータ又は測定器の平均値によって,励磁磁束密度のピーク値を設定できる。
備考 磁界の強さによる励磁の場合,電圧測定器に並列に挿入する電流検知用抵抗は,測定の確度を
低下させる可能性がある。
d) カロリーメトリック測定法 この方法は,磁心のコアロスによる容器内の流体の温度上昇の測定に基
づくものであり,
− 特に校正に適している。
− 測定周波数にあまり依存しない。
− 波形のひずみに敏感でない。
− かなりの測定時間を要する(一般的に各測定点ごとに数時間を要する。)。
コアロスは温度平衡状態において,校正温度抵抗の温度差ΔT(磁心の電力消費によって導かれる。)
を測定することによって,又は温度ΔTを,発熱抵抗への電力供給レベルによって導かれる温度ΔT
に相当する温度とマッチングさせることによって決まる。
非温度平衡状態の場合,希望する測定温度を設定温度として用いる。磁心のコアロスは,磁心への
電力の供給がある場合とない場合に,発熱抵抗に規定の電力を供給することによって決定する。

6. 機械的強度試験

 フェライト磁心の機械的強度を,次の手順で測定する。

6.1 装置

6.1.1  支持具及び加圧くさび 磁心は,その大きさによって,自由に動くローラ又は平たんな支持具の上
に固定する。加圧ジグ及びローラは,硬度4060 HRCの硬度鋼で,半径2 mmとする。加圧ジグは,負
荷の大きさを測定するために測定装置及び記録装置を接続する。
6.1.2 試験装置 試験装置は,磁心を破壊するのに十分な負荷を,一定の速度でかけられることができる
機器でなければならない。また,試験器具は,破壊時の負荷のピーク値を記録できる機能をもっていなけ
ればならない。試験器具の精度は,測定値の1 %とする。
6.1.3 湿度計 湿度を計測する装置は,2 %の精度で相対湿度を測定できなければならない。

6.2 試料

 試料は,受渡当事者間での合意の下で選定する。試料の表面は機械的強度に大きな影響を及
ぼすため,規定の寸法に合うように試料の表面研磨を行った方がよい。
6.2.1 試料の数 材料の進歩度,特性又は品質を検査するために最低5個の試料が必要である。機械的強
度の統計的評価を行うためには,最低30個の試料が必要である。
備考 異なる材料のデータの比較を行うためには,統計的に十分な根拠をもった結果を得るに十分な
試料数が必要である。一般にその根拠は,試験結果の数及び試料のばらつき度合いに依存する
ため,試料の数は,統計的な検討を十分に行ったうえで決定しなければならない。
6.2.2 注意事項 試料は,試験結果に影響を及ぼすような試験以外の付加的な損傷を与えないよう取り扱
う。試料は常に個別に保管し,輸送の際には個々に包装する。

6.3 試験

6.3.1  環境状態 試験条件は,4.2による。
6.3.2 試験手順 磁心は,次のa) e)に従って,試験を行う状態に配置する(図48及び附属書7参照)。
E強度試験及びW強度試験は,材料比較の目的に適用でき,一方のM強度試験及びT強度試験は工程比
較の目的に適用できる。I強度試験は,アンテナロッドのような平面形状の磁心にだけ適用することを推
奨する。磁心の上面及び下面は完全に平行ではないため,磁心に525 Nの予備負荷をかける。さらに,

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JIS C 2560-2:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60424-1:1999(MOD)
  • IEC 61631:2001(MOD)
  • IEC 62044-1:2002(MOD)
  • IEC 62044-2:2005(MOD)
  • IEC 62044-3:2000(MOD)

JIS C 2560-2:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 2560-2:2006の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称