この規格ページの目次
39
C 4034-1 : 1999 (IEC 60034 : 1996)
8.3 電動機の瞬時超過トルク
8.3.1 多相誘導電動機(8.3.2の電動機を除く。)及び直流電動機
電動機は,その使用及び構造にかかわらず電圧・周波数(誘導電動機のとき)をその定格値に保った状
態において,その定格トルクの60%の超過トルクが15秒間加わっても(トルクは漸増させる。),停止又
は速度の急変を起こすことなく,これに耐えなければならない。
備考 IEC 60034-12の対象となる電動機には,より大きなトルクが要求される。
直流電動機の場合,上記の表現において,トルクを負荷電流に置きかえて解釈する。8.2.4参照。
使用の形式S9に対する電動機は,使用条件に応じて決定された瞬時超過トルクに耐えなければならな
い。
備考 このとき,電流に起因する損失がもたらす温度上昇の評価については,7.8に基づく等価熱時定
数を使用することができる。
直流機及び交流整流子電動機の場合,整流能力の限界に注意する必要がある。
8.3.2 特殊用途の誘導電動機
高いトルクを必要とする特殊用途(例えば,ホイスト用)の電動機は,当事者間の協定による。
始動電流が定格電流の4.5倍以下となるように特別に設計されたかご形誘導電動機においては,超過ト
ルクは8.3.1に規定した値の60%より小さくてもよいが,最低50%以上とする。
可変周波数で使用される電動機のように,特別な始動特性をもった誘導電動機の場合は,その超過トル
クの値は,当事者間の協定による。
8.3.3 多相同期電動機
特に協定がない場合は,多相同期電動機は使用のいかんにかかわらず,励磁を定格負荷に対応する値に
保った状態で,次に示す超過トルクが15秒間加わっても,同期を外れることなく,これに耐えなければな
らない。自動励磁装置を用いる場合も,励磁装置が正常な状態で動作している場合,超過トルクの限度は
同じ値とする。
− 誘導同期電動機(巻線形) : 35%超過トルク
− 同期電動機(円筒形) : 35%超過トルク
− 同期電動機(突極形) : 50%超過トルク
8.3.4 その他の電動機
単相、整流子、その他の電動機の瞬時超過トルクは,当事者間の協定による。
8.4 最小トルク(プルアップトルク)
特に規定していない限り,定格電圧におけるかご形誘導電動機の最小トルクは,次の値以上でなければ
ならない。
単一速度三相誘導電動機
− 定格出力100kW未満 : 定格トルクの0.5倍,かつ,拘束トルクの0.5倍
− 定格出力100kW以下 : 定格トルクの0.3倍,かつ,拘束トルクの0.5倍
− 定格電圧が690V以下のかご形誘導電動機に関しては,IEC 60034-12も参照する。
単相誘導電動機又は多段速度三相誘導電動機 : 定格トルクの0.3倍
8.5 過速度
回転機は,表15に規定した速度に耐えられるよう,設計しなければならない。
過速度試験は通常必要ないが,これが指定されている場合や,当事者間で協定された場合には実施する
(タービン発電機については,IEC 60034-3を参照する。)。過速度試験後,いかなる異常な永久変形もな
――――― [JIS C 4034-1 pdf 41] ―――――
40
C 4034-1 : 1999 (IEC 60034 : 1996)
く,通常の運転を妨げるいかなる欠陥も検出されず,また,回転子巻線は規定された耐電圧試験に耐える
ものでなければならない。過速度試験を実施する場合,試験時間は2分間とする。
過速度試験後,積層回転子のリムや,くさび又はボルトで保持されている積層磁極の径が,微小に永久
的に増加することは当然であり,これをもってその回転機の正常な運転ができない異常な変形とはみなさ
ない。
水車発電機は,バランス確認のため,過速度保護装置が働く速度まで運転試験を行う。
表15 過速度
項目 機械の形式 過速度
1 交流機
下記以外のすべての回転機 最大定格回転速度の1.2倍
1a) 水車発電機及び主機に直接(電気的又は機械的)他に規定がなければ,無拘束速度。ただし,最大定格回転速度
接続された補機 の1.2倍以上
1b) 特定条件のもとで,負荷によって駆動される回 規定された無拘束速度。ただし,最大定格回転速度の1.2倍以
転機 上
1c) 直巻電動機及びユニバーサルモータ 定格電圧における無負荷回転速度の1.1倍。負荷に完全に接続
され,負荷を取り外すことが困難な電動機については,無負荷
回転速度とは,負荷をできるだけ軽くした状態と解釈する。
2 直流機
2a) 分巻及び他励電動機 最大定格速度の1.2倍又は無負荷回転速度の1.15倍のいずれか
大きい方の速度。
2b) 速度変動率35%以下の複巻電動機 最大定格速度の21倍又は無負荷回転速度の1.15倍のいずれか大
きい方の速度。ただし,最高定格速度の1.5倍を超えない速度。
2c) 速度変動率が35%を超える複巻電動機及び直巻 製造業者は,最大安全運転速度を取り決めなければならない。
電動機 この電動機の過速度は最大安全速度の1.1倍とする。
なお,最大安全運転速度は,定格銘板に表示しなければなら
ない。ただし,定格電圧における無負荷回転速度の1.1倍が過
速度として許容できる電動機については,最大安全運転速度の
表示は必要ない。
2d) 永久磁石励磁電動機 2a)に同じ。ただし,直巻巻線をもつ電動機の場合,2b)又は2c)
による。
2e) 発電機 定格回転速度の1.2倍
8.6 同期機の短絡電流
特に規定していない限り,IEC 60034-3の対象外となるタービン発電機を含め,同期機の短絡電流の最
大値は,定格電圧での運転中において全相短絡時に,定格電流における瞬時値の15倍又は実効値の21倍
を超えてはならない。
この値は,計算又は定格電圧の0.5倍以上の電圧における試験によって確認することができる。
8.7 同期機の短絡試験
同期機の三相短絡試験は,注文者の要求によってだけ実施する。実施する場合,特に合意された場合を
除いて,無負荷定格電圧で行う。試験は無負荷状態であっても,定格電圧の1.05倍を超える電圧で試験を
行ってはならない。
製造業者と注文者の合意に基づき,同期機と系統間に設置される変圧器のインピーダンスを考慮して試
験電圧を減じることもできる。回路の短絡は3秒間維持する。
短絡試験後,有害な変形の発生がなく,かつ,この規格で規定する耐電圧試験(8.1の表14を参照)に
耐えれば合格とみなす。三相タービン発電機については,IEC 60034-3を参照する。
8.8 直流機及び交流整流子機の整流試験
――――― [JIS C 4034-1 pdf 42] ―――――
41
C 4034-1 : 1999 (IEC 60034 : 1996)
直流又は交流整流子機は,無負荷から8.2と8.3に規定された過電流又は超過トルクの運転に対して,整
流子若しくはブラシの表面に永久的な損傷を与えることなく,かつ,有害な火花を発生することなく,運
転できなければならない。温度上昇試験を行う場合,整流試験は温度上昇試験の完了直後に行うものとす
る。
8.9 同期機の電話調波係数 (THF)
8.9.1 一般事項
8.9.2及び8.9.3の要求事項は,電力線路と隣接回路の間の干渉を最小限にする目的で,16.66Hz100Hz
の公称周波数で使用されている電力網に接続される300kW(又はkVA)以上の回転機にだけ適用される。
8.9.2 限度
開放開路で,定格電圧及び定格速度で試験を行う場合には,8.9.3に規定した方法によって測定された線
間端子電圧の電話調波係数 (THF) は,次の値を超えてはならない。
回転機の定格出力 THF
300 kW(又はkVA)<PN≦1 000kW(又はkVA) 5%
1 000 kW(又はkVA)<PN≦5 000kW(又はkVA) 3%
5 000 kW(又はkVA)<PN 1.5%
備考1. 上記要求事項に適合している回転機は,満足のいく運転が行われているものと考えられるた
め,個々の高調波の制限値については規定しない。
2. 回転機が通常とは異なる方法で系統に接続されている場合(例えば,中性点に接地された同
期機が,変圧器を介して系統に接続されていない場合),波形に関する要求事項は,製造業者
と注文者との協定による。
8.9.3 試験
8.9.2に適合していることを検証するために交流発電機について形式試験を実施しなければならない。
測定される周波数範囲は,定格周波数から5 000Hzまでの全高調波である。
THFは,この目的のために特別に設計された計測装置で測定するか,個々の高調波を測定し,その測定
値から次の式によって計算する。
100
THF % E21 21
E22 22
E23 23
En2 2
n
U
ここに,
En : 線間の端子電圧のn次高調波の実効値
U : 回転機の線間の端子電圧の実効値
滿 n次高調波に関する重み係数
異なる周波数の重み係数の数値は,表16及び表16Aから求める。図13の曲線は補間の支援用に使用で
きる。
――――― [JIS C 4034-1 pdf 43] ―――――
42
C 4034-1 : 1999 (IEC 60034 : 1996)
表16 重み係数
周波数 Hz 重み係数 周波数 Hz 重み係数
16.66 0.000 001 17 2 050 1.79
50 0.000 044 2 100 1.81
100 0.001 12 2 150 1.82
150 0.006 65 2 200 1.84
200 0.022 3 2 250 1.86
250 0.055 6 2 300 1.87
300 0.111 2 350 1.89
350 0.165 2 400 1.90
400 0.242 2 450 1.91
450 0.327 2 500 1.93
500 0.414 2 550 1.93
550 0.505 2 600 1.94
600 0.595 2 650 1.95
650 0.691 2 700 1.96
700 0.790 2 750 1.96
750 0.895 2 800 1.97
800 1.000
850 1.10 2 850 1.97
900 1.21 2 900 1.97
950 1.32 2 950 1.97
1 000 1.40 3 000 1.97
1 050 1.46 3 100 1.94
1 100 1.47 3 200 1.89
1 150 1.49 3 300 1.83
1 200 1.50 3 400 1.75
1 250 1.53 3 500 1.65
1 300 1.55 3 600 1.51
1 350 1.57 3 700 1.35
1 400 1.58 3 800 1.19
1 450 1.60 3 900 1.04
1 500 1.61 4 000 0.890
1 550 1.63 4 100 0.740
1 600 1.65 4 200 0.610
1 650 1.66 4 300 0.496
1 700 1.68 4 400 0.398
1 750 1.70 4 500 0.316
1 800 1.71 4 600 0.252
1 850 1.72 4 700 0.199
1 900 1.74 4 800 0.158
1 950 1.75 4 900 0.125
2 000 1.77 5 000 0.100
――――― [JIS C 4034-1 pdf 44] ―――――
43
C 4034-1 : 1999 (IEC 60034 : 1996)
表16A 重み係数(60Hz対応)
周波数 Hz 重み係数 周波数 Hz 重み係数
60 0.000 1 2 460 1.92
120 0.002 9 2 520 1.93
180 0.016 2 580 1.94
240 0.047 2 640 1.95
300 0.111 2 700 1.96
360 0.177 2 760 1.96
420 0.275 2 820 1.97
480 0.380 2 880 1.97
540 0.489 2 940 1.97
600 0.595 3 000 1.97
660 0.714 3 060 1.96
720 0.830 3 120 1.93
780 0.956 3 180 1.90
840 1.08 3 240 1.87
900 1.21 3 300 1.83
960 1.34 3 360 1.79
1 020 1.43 3 420 1.74
1 080 1.47 3 480 1.67
1 140 1.49 3 540 1.60
1 200 1.50 3 600 1.51
1 260 1.53 3 660 1.42
1 320 1.56 3 720 1.32
1 380 1.58 3 780 1.22
1 440 1.59 3 840 1.13
1 500 1.61 3 900 1.04
1 560 1.64 3 960 0.95
1 620 1.65 4 020 0.86
1 680 1.67 4 080 0.77
1 740 1.69 4 140 0.69
1 800 1.71 4 200 0.61
1 860 1.73 4 260 0.54
1 920 1.74 4 320 0.476
1 980 1.76 4 380 0.416
2 040 1.79 4 440 0.364
2 100 1.81 4 500 0.316
2 160 1.82 4 560 0.275
2 220 1.85 4 620 0.241
2 280 1.87 4 680 0.208
2 340 1.89 4 740 0.183
2 400 1.90 4 800 0.158
備考 : 表16Aは,60Hz対応の値を図13のグラフから読
み取った。
――――― [JIS C 4034-1 pdf 45] ―――――
次のページ PDF 46
JIS C 4034-1:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60034-1:1996(NEQ)
- IEC 60034-1:1996/AMENDMENT 1:1997(NEQ)
JIS C 4034-1:1999の国際規格 ICS 分類一覧
JIS C 4034-1:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0364-4-41:1997
- 建築電気設備 第4部:安全保護 第41章:感電保護
- JISC0366:1997
- 建築電気設備の電圧バンド
- JISC4003:2010
- 電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
- JISC4034-5:1999
- 回転電気機械―第5部:外被構造による保護方式の分類
- JISC4034-6:1999
- 回転電気機械―第6部:冷却方式による分類